一介の人形遣いに何を求めているんですか…   作:影元冬華

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大型建造、爆死したと思ったラストなけなしの一回でKSG来ました。資材18万溶けたよ…ヒィ。
いや、前からいたけどもう一人育てておかないと低体温症で苦労すると思ったので。





今回、でかくしようと思ったらこちらの実力不足で消化不良気味になったよ…すまねえ。
指揮官がいる病院はみんなとは違うので緑谷君たちの出奔は一切関知してません。


小さな仕返し

「やるのは言わば敵の補給線を断つ事。直接殴りに行ったところで歯牙にもかけられずに死ぬのがオチだろうしな。」

 

 

 

 ガサリ、と手元の紙の資料を読んでいて考えたこと。それはUSJと保須市に現れた脳無がいるとされる廃工場を無力化すること。大本のオール・フォー・ワンを狙いに行ったところで倒せるかと言われればノー。ならやるのは補給線…あるいは増援に当たるものを無力化するのが2番手に手痛い仕打ちだ。それに、もう一枚の資料を見れば警察とプロヒーローが動き出していることも、どこに向かっているのかも書かれているが為にこちらも動きやすい。

 

 

 

 

「廃工場…木を隠すなら森にってことか。確かに、それなりの設備もそろっているだろうし、廃棄されているのなら人も寄ってこない。」

「我々が見つけたのは3か所、そのうち一つにはすでに警察とヒーローが動いています。」

「なら目標は決まりだな。残りの2つをAとBとし…手段は問わない。二度と使えなくしてやれ。」

 

 

 

 

 

 

 むしろ3か所も脳無を管理している施設があったのか…。しかも狙う場所は長野と群馬の2つ。微妙に離れているのが実にいやらしい。警察たちが向かっているのは神奈川の端にある地域…この病院からそう離れていない場所であり、そこに向かえば鉢合わせになる可能性もあるために部隊は出さない。その代わりに、恐らく警察が気づいていないであろう場所を潰す。徹底的にな!

 

 

 

 

 

 

 

 

「一〇〇式、編成は任せる。それぞれ2部隊ずつ展開、周囲に人がいるなら丁重に、関係者だと判明したら…生き地獄を見せるくらいで済ませとけ。絶対に殺すな、こんなところでも手を汚す必要はないからな。」

「了解。」

「容赦ないねぇ、指揮官。ま、そのくらいがあたしたちにとってもいい感じの落としどころだけど。」

「スコーピオン、今回は好きなだけ投げていいぞ。巻き込まない程度に、なおかつ何も残らないくらいにな。」

「やった!」

「出撃する人形は一般人や周辺施設等に影響を与えない限りで好きなだけ暴れてやれ。ただし、()()()()()()()()()。不自然に何もないくらいがちょうどいい。」

「その理由は?」

 

 

 

 

 416が聞いてくる。そんなの、決まっているじゃないか。

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()事になっているんだ。今更()()()()()()()()()()()()()()()()()があったってことになって終了だからな。…要は、ここ2つはどこぞの企業が税金を逃れるために作った不当な施設だったんだよ。」

「なるほど。なら、偶々そこで誰かが何かをしていて…巻き込まれていてもそれは不慮の事故だった、と?」

「関係者だけな。一般人は巻き込むなよ。」

「了解。」

 

 

 

 

 

 

 

 ぞろぞろと人形たちが部屋を出ていく。しかし、その動作はすべて音もなく行われ、見ていなければ決して気づくことはないだろう。人ではない人形だからこそできる動きともいえる。

 寝かされていたベットから降り、いつもとは趣のだいぶ違う服を着る。UMPの2人がいくつかの服と装備を持ち込んできてくれたおかげですぐに動ける。

 今回は完全に隠密行動で行かなければいけない。それ故に、顔を出さないように…少々思い入れのある黒い狐面をつけ、首には一〇〇式と似たような赤いマフラーを巻く。そのほかに、耳に少し前にも使った高性能通信機を装備。軽く体をほぐすようにその場で肩や足を回す。

 

 

 

 

 そしてそのまま______窓から外へと飛び降りた。高さは3階…おおよそ10mと言ったところだが一瞬で【装備】した一〇〇式による身体能力の上昇効果のおかげで音もなく着地。無論、ダメージも皆無である。

 【装備】を解き、すぐ横に再顕現する一〇〇式。言葉は交わさず、一瞬視線を合わせ…同時に静かな町を駆ける。

 

 

 

 

 確かに、私は大本のボスと戦うとは言わなかった…が、その顔を見ないとは言っていない。これまでの恨みは無論ある。それに、しつこく狙ってきていた上に今回は完全に殺しに来ていたようなもんだった。ならせめて、「クソ野郎」の一言でも言ってやらなければ気が済まない。何が目的で、どうしようとしたかなどを尋問なり拷問で聞けるならそれが一番だけど。…今までにされたこと全部があいつのせいだとわかって余計に腹立たしくなってきたな。

 

 

 

 

 

『だからと言って独りでに突っ込んだりしないでくださいね。』

『無論。多分実力的には…代理人以上だと思うし、そこまで行けばいくら何でもちょっかい出すつもりもないから。』

『でも確かに…指揮官を狙っていたのは戯れというわけではなさそうですよね?』

『私に何かをさせたかったのか、それとも本当に遊んでただけなのか。どちらにせよ、一方的に顔を知られてるだけってのは気に入らない。』

 

 

 

 

 

 軽快に並ぶ家々の屋根を駆け抜けながら、2か所に散った部隊の状況を確認していく。箱を中継地点及び顕現用の地点とすることで、私から離れていても顕現できるのは隠密行動においてとても大きな利点である。長野は合宿の時に、群馬は何人かの人形が自由行動している時に設置していたおかげで、既に行動に入っているようだ。

 先ほどスコーピオンから『爆破だー!』という楽しげな通信が一瞬届いたために、今頃派手な花火でも上がっているだろう。もう片方、404小隊がメインで動いている方からは通信が無いが…何事も無く予定通りということなのだろう。

 

 

 

 

 

 

『さぁて、少々いやらしい八つ当たりと行きますかね!』

 

 

 

 

 

 

 そう叫ぶ私と一〇〇式の向かう先で、一際大きな爆発音と光、そして______混乱しているヒーローたちの怒号が聞こえた。

 

 

 

 

_____________________

 

 

 

 

「こいつら…あっちから流れてきているのか!?」

「ジーニストたちと連絡がつかない…恐らくあっちが失敗した!」

 

「グダグダじゃないか全く!」

 

 

 

 

 敵連合がアジトとしている場所を突き止め、突入した。そして全員をシンリンカムイの個性で捕らえ、制圧したと思った瞬間だった。

 突如として敵連合と誘拐されていた生徒が真っ黒い水のようなものに飲まれたと思えば、何もないところから脳無が溢れんばかりに出現。数で有利だったはずの制圧戦が一気に乱戦へと変わっていった。オールマイトは何かを察したのか、すぐに別の場所へと移動していったが…ここでの作戦は失敗したということに変わりはなかった。

 №2プロヒーロー、エンデヴァーやそのほかのヒーローがいても、あまりにも多すぎる脳無相手に苦戦している。時間が勝負な今は、それがとても致命的すぎる。

 

 

 

 

「くそっ…動向を探られないようにと少数だったのが仇になったか!」

「いいからこいつらをとっとと倒してオールマイトの援護に行くぞ…ああもう邪魔だぁ!」

 

 

 

 

 いくら倒しても際限を知らないかのように沸いてくる脳無。そこまで強くはないが如何せんしつこいとしか言いようのない動きと数に、徐々に消耗していく。警察の機動部隊にも負傷者が増え始め、後退していく。元より援護は見込めない状況の中、それでも脳無をここで倒さなければ町へと被害が及ぶ。

 

 もう駄目だ、と誰かがつぶやく。その言葉は決して大きい声で言われたわけではないはず。しかし、その言葉は皆が思っている事に違いないだろう。

 ある種の諦めがちらついたその時だった。視界の端に、白と桃色の何かが見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「『この身が行きしは月下の雪原、ともに在りしは日ノ本の象徴…ってなぁ!』」

「『接近戦、用意!』」

 

 

 

 

 

 

 

 ()()()が視界を覆うほどに舞い、黒い狐面に赤いマフラーを靡かせた何者かが、ここにいる脳無を刈り取っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_________________________

 

 

 

「一〇〇式、桜逆像用意。あとは熱光学迷彩を掛けて接近戦のみで対処するように。」

「しかしそれだと指揮官は…!」

「大丈夫。ちょうど、試したいこともあるからね。武器に関しては…まあ、近接武器をデータベースから引っ張り出して顕現させるよ。」

 

 

 

 

 眼下で起きている戦闘、それはどこから見ても制圧戦ではなく乱戦。戦線維持すらできていないところからして奇襲を受け、そのまま縺れ込んだと見える。すでに後退している機動隊なども見えることから士気も落ちている可能性までありうる。しかも目標を見失って打つ手なし、といった通信も傍受したためにここでの作戦は失敗、出現した脳無の掃滅戦といったところだろう。

 見える範囲に雄英の先生はいない。知名度の高いヒーローがぽつぽつと見えるけど…あっちはあっちで手一杯みたいだな。

 

 

 先ほどから、体の内側で溢れるように何かが滾っている。けれどもそれは嫌な感じではなく…むしろ、こういった時の為に使えと言わんばかりに荒ぶっている。今までにこんなことは一切なかったし…けれども、何がきっかけか覚えがない。だったら使えばいいだろ!といった短絡思考になっているけどあながち間違っていないと思う。

 お面よし、声の調子よし、突撃地点よし…。データベース照合、顕現…抜剣・闇鴉。

 

 

 

 

 

 

「さて、得物を使っての戦闘はそんなにやったことないけど…まずは援護と行こうか。親玉の顔を拝むのは無理そうだったけどねぇ!」

「___はいっ!」

 

 

 

 

 

 

 押さえていたものを全力で外に出すような感覚。同時に、【装備】をした時のような体の軽さになり、自分が持っている刀…闇鴉が自分の手足のように感じる。そして、眠っているものを起こすためにトリガーとなる祝詞を詠う。

 視界の端に舞い始めたのは______真っ白な雪。驚く一〇〇式の顔を傍目に見つつ、大丈夫という意味を込めて笑いかける。直後に舞い始める桜も確認し、下の戦場へと飛び降りる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『この身が行きしは月下の雪原、ともに在りしは日ノ本の象徴…ってなぁ!』」

「『接近戦、用意!』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 勢いをそのままに目の前の敵を切り裂いていく。無論、突然現れて攻撃してきたこちらに向かって脳無も襲い掛かってくる。だが、その攻撃は舞い散る雪に阻まれ届かず、それどころか自分の攻撃がそのまま返って自滅する。たとえ倒れなくとも出来た隙を逃さず首と胴体をサヨナラバイバイ状態にしてやる。迷彩で姿を隠したままの一〇〇式も桜を纏いながら己の銃身についた銃剣で切って倒していく。

 

 陣形の崩れていた機動隊たちもその間に立て直し、その顔には先ほどのような諦めの色はない。立て直してくれればあとは何とかしてくれるだろう。なら、あとは止めに暴れるだけだな!

 

 

 チンッ…と鞘に刀身を収め息と体勢を整える。一瞬だが動かなくなったのを好機と見た脳無が私を囲んで襲い来る。柄に手を添え、体を沈め、右足を半歩前へ。そのまま、一息に抜刀、一閃____そして納刀、残身。再びチンッと音がすれば襲い掛かってきた脳無全てが地に沈んでいった。

 

 

 

 

 

「なん…っ!」

「あの数をあっという間に…!?」

 

『一〇〇式、撤退!流石に目立ちすぎたからあと病院に戻って何事も無かったかのようにする!!』

『了解、スモーク投げます!』

 

 

 

 

 時間にして3分もたっていないだろう。しかし、先ほどまで猛威を振るっていた脳無は機動隊のほうに多くいたために…そのほとんどを倒す形になってしまったようだった。もう少し離れたところで戦闘していたプロヒーローも片付いたのかこちらに合流しようとしている。このままでは大ボスの顔を拝む前にこっちがお縄になる。それは絶対に避けなければならない事態なので大人しく下がることにした。…だいぶ予定が狂ったけどしょうがないか。

 迷彩を掛けたままの一〇〇式がスモークグレネードを投げ、その煙に紛れるようにして離れる。何人かがこちらを追いかけてこようとしていたが、途中で止められて下がっていった。

 

 

 

 

 

 

 ある程度離れたところで一〇〇式は迷彩を解除し、私も顕現させていた刀を解除した。同時に、がっくりと体から力が抜けたような感覚、それとともに先ほどまで舞っていた雪も消えた。時間切れ、ということだろうか。それでも、だいぶ助かったことに変わりはなかったけど。

 いきなりふらついた私を心配して駆け寄ってきたももちゃんに肩を貸してもらい、のっそりと立ち上がる。本当に、お礼参りどころじゃなくなったなぁ…。

 

 

 

 

 

 

「指揮官…!」

「消耗しただけ…休めば問題ないと思うから大丈夫。いやぁ…まさか親玉見に行こうとしたら乱戦騒ぎで鉄砲玉になるとは思わなかったな。」

「もう…。それと、先ほど2か所に送った部隊から作戦終了の報告を受けました。跡形もなく吹っ飛ばして、なおかつ偽装工作も完璧に終わらせたとのことです。」

「ならいっか!これで大本の顔を拝めれば一番だったんだけど…ま、高望みはしないほうがいいか。早いとこ病室に戻ってこっちも偽装工作しないとね。」

 

 

 

 

 

 とりあえず、あいつが造ってた施設はわかる範囲で吹っ飛ばしたし…これ以上は流石に個人の身に余りすぎる。ここが引き際だろう。完全に個人の理由でしか動いていなかったけど…ほかに動いてる人なんていないはずだし。…いないよね?

 またフラっと来てしまったので、今度こそ一〇〇式に背負われてしまう。無茶しすぎました、はい。

 

 

 

 

「お願いですから指揮官、これ以上突っ込んだりするのは控えるようにしてくださいね。」

「うぅ…善処します。」

 

 

 

 

 

 

 こうして、どこか消化不良な気もしたけど…ただの子供にできる反撃はここまで。あとは強い大人に任せるとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ももちゃんに背負われて戻る途中、誰かの笑い声が少しだけ頭の中で響いたような気がした。




3分クッキング(物理)
反撃→脳無造ってる施設を爆☆破

原作と少し離れて拡大解釈したりしてる部分がありますが作者の都合だと思って見逃してください。




指揮官が手に入れたスキル

スキル名・雪月花   開幕2秒 CT15秒
効果:4秒間敵の攻撃を反射するシールドを展開する。シールドの展開中に10回以上攻撃を受けると火力(攻撃力)が100%上昇、10回未満で回避(機動力)120%上昇する。
 また、一〇〇式が指揮範囲内にいる場合桜逆像の効果を50%上昇させる。








元ネタ
・闇鴉
 PSO2から。個人的に好きな武器の一つ。衣装エロイじゃん…ウェポノイドやばいよ。

・黒い狐面
 同じくPSO2から。ゲンガマスク黒というアクセサリー。ついでにこの時着てた衣装は同じくPSO2内の衣装、「カムイコイッタカラ茜」と脳内解釈してました。全然隠密じゃねぇ…!





謎の人物から渡されたのはこのスキルでした。
桜には雪が対称的できれいじゃね?といったことからできたもの。やったね!指揮官も人形みたいにスキルを手に入れたよ!




や り す ぎ た
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