そしてな!!!今回は!!!なんと!!!敵側しか出てこねえ!!!
久々の更新が敵側オンリーとかうっそだろお前
一際強く風が吹く。肌を撫でる風は冷たく、切り裂くのではないかと思うくらいに乾いている。
その風に揺さぶられ、靡く黒いマフラーは今にも飛ばされそうなくらいにバサバサと揺れる。
町の中でも一段高いビルの屋上、そこにAUGは立っていた。
「…ついに、動き出しましたか。」
開かれた瞳は下、人であふれかえった道路をぼんやりと見つめている。つぶやく言葉にはどこか緊張が感じられ、それを隠すように己の半身たる銃を強く握る。
「【処刑人】【狩人】【侵入者】…今動いているのはこの3体のみ。今なら、まだ。」
────私一人で、対処できる
▽▽▽▽
「見るからに不衛生だな。ここが拠点か?」
「ああ!いきなり本拠地連れてくかよ。面接会場ってとこ。」
「勘弁してくれよ…随分埃っぽいな…病気になりそうだ。」
「安心しろ、中にいる奴らはとっくに病気だ。」
とある山中に存在する廃工場。寂れた入り口の鉄扉を開け、中へと入って行く2人のやり取りはあくまで事務的なものである。ガコッ、と滑らかではない、錆びた音を響かせながら扉を両手で開ける男。連れてこられたもう一人は心底嫌そうな雰囲気を隠そうともしない。
開かれた扉の先には数名折おり、現れた人物に対して少々驚いているようだった。
「───大物とは…皮肉が効いているな、敵連合。」
「何!?大物って有名人!?」
「“先生”に写真を見せてもらったことがある…。」
部屋の奥、数名立っている中で真ん中にいる顔に手の模型を付けた人物──死柄木弔がやってきた人物を見据えて話し始める。
「いわゆるスジ者さ…【死穢八斎會】、その若頭だ。」
死穢八斎會。昔は山ほどあった裏組織を取り仕切る団体がヒーローの活躍によって激減、摘発と解体が進み時代を終えた後にも尻尾を掴ませず、生き残った「敵予備軍」。監視され、肩身の狭い思いをしながらも生きている極道と呼ばれる者たち。
「時代遅れの天然記念物、と言っても過言ではないね。」
「まァ、間違っちゃいない。」
「それで、細々ライフの極道君がなぜ敵連合に?あなたもオールマイトが引退してハイになっちゃったタイプ?」
ペストマスクの下、死穢八斎會の若頭はため息とも取れる呼吸をした後に死柄木の方を見据え、見極めるように目を細める。
「いや、
「…。」
「裏社会の全てを支配していたという闇の帝王…俺の世代じゃ都市伝説だった。」
ほんの少し、どこか興味があると感じる口調になる若頭。なおも死柄木の表情は動かない。
「だが、老人たちは確信をもって畏れていた。死亡説が噂されても尚、な。それが今回、実体を現し…
若頭は僅かに目を開く。その下に隠している獰猛な『何か』と共に。
「つまり今は、日向も日陰も支配者がいない。じゃあ次は、誰が支配者になるか。」
「……うちの“先生”が誰か知ってて言ってるんならそりゃ…挑発でもしているのか?」
チリッ、と一瞬で部屋の中に殺気が満ちる。思わずその雰囲気に若頭以外の全員が身構える。だが、そんなことを意に介さないように、今この場にふさわしくない朗らかな声を出す人物が奥からやってきた。
「まぁまぁ!そんなことを言わずに穏便に行きましょうよ…若頭も詰まらない挑発しないでくださいよ。」
「…。」
「誰だ、お前は。」
部屋の奥からやってきたのは一人の男。白いタキシードに白のシルクハット、その顔にはのっぺらな白い面を付けており、いかにも「怪しい」としか言いようのない姿。隙だらけのようだが、その立ち振る舞いに突け込む隙は無い。
突然湧いたように出てきた不審者に、死柄木は若頭に向けていた視線をずらす。不審者の姿を確認した若頭は「面倒な奴が来た」と言わんばかりにさっきまで放っていた殺気を霧散させる。
「…後ろを付けてきたのか、
「えぇ、まあ。こちらもやることは終わっていましたし、そちらの全身タイツ野郎に話しかけられた貴方を見て、穏便に事が済まなさそうに見えたので。」
ケラケラと人をあざ笑う、神経を逆なでするような物言いに言いようのないイライラが募る。ノーフェイスと呼ばれた真っ白な人物は死柄木の方へと向き直り、大仰に両腕を広げて自己紹介をする。
「さてさて、初めまして。敵連合の首魁たる死柄木弔様、
桁桁とした物言いを突然やめ、一気に静かになるノーフェイス。その不気味さに思わず、ぞっとする怖さを感じた。
「───お互い、利用価値あるうちに利用し合ったほうがいいでしょう?」
「…何が言いたい。」
「死穢八斎會は【覇権】を、あなた方は己の正義を、そして私は───」
クツクツと、壊れた人形のような動きで笑いだすノーフェイス。先ほどの雰囲気と言い、今の不気味さと言い、こいつ自身が「壊れた人形」を感じさせる。
そして、告げる言葉すらも壊れているかのように。
「『秀内奏』をこの手で殺すこと。…どうあがいても相手取るのは『ヒーロー』なのですから、お互い使い潰して生き残れば「勝ち」でしょう?ハイリスクハイリターン…乗りませんかね、お二人様?」
壊れた人形が、動き出した。