一介の人形遣いに何を求めているんですか…   作:影元冬華

9 / 58
呼び名が独特なので、出てきた人形で違う呼び方してるものを乗っけておきます。

一〇〇式→ももちゃん
スプリングフィールド→智春さん
M16A1→イム姉
ST AR-15→コルト姉
RO635→ろーちゃん
Kar98k→かーちゃん
トンプソン→姉御


あとは大丈夫だと思うけど…。


労災にはご注意を!ご安全に!(工場作業員感)


後悔、先に立たず。故に前を向くしかない

ユラユラと水の中から浮上するような感覚。夢と現実が曖昧な状態の中、聞こえてきたのは規則正しい電子音。目を開こうとして感じたのは、鋭い痛みと倦怠感。そして顔と左肩が上手く動かない違和感だった。

 

「…う。」

「…!指揮官!まだ動かないでください。」

「ん、わか…た。」

 

 

どうも、声の出も悪い。そこまで理解して思い出した。おそらくここは病室だろう。他の人の姿はないから個室。横に見える機器の多さから相当やばい状態だったのだろう。

私の横についてくれていたのはFALだった。格好はいつものものではなく、こちらにいても違和感を感じないものである。おそらく智春さんが用意してくれていたのだろう。いつもの白いモフモフの姿もなかった。

 

「取り敢えず、担当の人に知らせて来ます。おそらく時間がかかると思うので、もう少し寝ていても大丈夫ですよ。」

「ん。そ…する。」

 

 

FALのそんな言葉に誘われる様に、私は再び眠りへと落ちて行った…。

 

 

 

 

 

「___という事でして。左目は失明とまではいきませんが、視力は0.1くらいしか残っていない状態です。傷跡の方は、よく見なければ分からない程度まで治すことができますが、中学校を卒業するかしないかまでの時期までは残ったままになります。」

「そう、ですか。」

「左肩に関しては後遺症もなく治るでしょう。…しかし、しばらくの間は動かすことができないため苦労が多くなりますね。」

 

 

 

 致し方ないとはいえ、流石になぁ…。特に左目の視力がご臨終ですか。クォレハタイヘンデスネェー!なんでも、先に傷を消そうとすると完全に視力がなくなってしまうため後回しにするんだとか。しばらく左目開けないようにとも言われました。眼帯ですね分かります。左肩はなんと、ぶっとい血管を両断するかしないかの位置だったらしい。マジであのタイミングで動けたのはよかった…。じゃないと本当に死んでただろうね。シャレにならん。

 担当医の先生、まさかの幼稚園の時にもお世話になった先生で、最後にめっちゃ肝が冷えたと言ってた。そりゃそうだよね。人生で2回もヴィランに襲われた身だし。正直、私自身びっくらぽん状態だわ…。普通死ぬって。両親はタイミング悪すぎて、海外出張に行くために飛行機乗ってたんだよね…。

 そんなわけで今は、まさかの智春さん預かりの状態です。なんと智春さん、404小隊がどこでやったか分からない書類偽装のおかげで身分があるんです!マジですか。いや助かるけど…。両親とも面識があるので「頼みますー」と言われていた模様。国単位のお仕事だから簡単に抜けてこられないってビデオチャットでいわれた。心配かけて申し訳ねぇ…!でもわたしゃあ悪くねぇ!ヴィランが悪い!

 先生はほかの患者を診るために出ていきました。診察中に出てきてもらってありがとうございました。説明聞いたので私はもう一度寝る!…体が休息を求めてきてしょうがないんだわ。

 

 今回はちょっと基地にも顔を出してみんなに話をしないとな。その中でも特に_________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 霧に包まれたこの世界のどこから風が吹いているのかは分からないが、考え事をして熱くなった頭を冷やすのには十分だろう。ぐるぐると同じことをずっと考えて、後悔して、己を責める。どうすればいいのかなんて分からなかった。あの時、嫌な気配がしていたから外で監視をしていた404小隊の3人に確認を取りに行っていた。簡単な連絡であったが故に、油断していた。指揮官との繋がりが薄まり、声が聞こえなくなった。どうしようも出来ない己の弱さを突きつけられ、また失うところだった。

 

浅い呼吸音と生気の失せた肌色、流れ出る血の多さが、今もフラッシュバックする。他の人形達であればそんなことはないのだろう。だが、(一〇〇式)は違う。人の様に夢を見て、一度壊れてしまえばもう二度と戻ってくることはない。ダミーならともかく、メインフレームたる本体がやられてしまえば…。

そんな事ばかりが頭の中から離れない。感情シミュレータがエラーを吐き、再起動を掛けようとする。もう、どうしようも無かった。

 

 

「いたいた、やっと見つけたよ。」

「…っ!しき…かん…。」

 

 

 感情の処理にほとんど持っていかれていたせいか、後ろからやってきた指揮官に気づけなかった。左目は閉じられ、その上には大きな傷跡が痛ましく刻まれている。その姿は、感情シミュレータにさらなる負荷を掛け、益々言葉が出なくなる。行き場のない後悔の念だけが募り、その場に縫い付けられたかのように動けなくなる。処理限界を超えてしまった私のプログラムが、強制的にシャットダウンしようとする。それでも、どうしても指揮官に謝りたくて…。

 

 

「大丈夫、大丈夫だよ。私はちゃんとここにいるよ、もも。」

「で…もわた…し、は…!」

 

 

 指揮官は、微笑みながら私のことを抱きしめる。直接伝わって来るのは、しっかりとした鼓動と確かな熱。あの時とは全然違う、安心感。それを理解したとき、エラーを吐いた感情の波が収まっていくのを感じる。指揮官は私の頭を優しく撫で、大丈夫だと言い続けてくれている。抑えきれない別の感情が、堰を切ったように表に出ようとしてくる。

 

「抑えなくてもいいんだよ。心配かけてごめんね。だからさ、泣いていいんだよ、もも。」

 

 

 指揮官のその言葉に、私は大きな声を上げて哭いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「後悔先に立たず、って言葉があるでしょ?つまり、今回はそういうことなんだよ。それに、たぶんあの時は誰かが傍についてても同じ結果だと思うよ。」

「傍に、いても同じだった…?」

「そそ。あいつの個性はね、同じ座標に()()()()()()()()()()個性だったみたいでね。条件は厳しいけど、それをクリアすれば完全犯罪なんてお手の物。さらに巻き込まれた相手は自分の個性を発動することができないオマケつき。正直、あいつに目をつけられたら終わりってことだったらしいよ。」

 

 

 

 現在ももちゃんと2人きりでお話してまーす。場所は屋上、霧に包まれてるこっちでお外見てもしょうがないなーと思ったけど案外涼しい、というか寒いわここ。でも頭冷やすのにはちょうどいいと思う。ももちゃんが来てた理由もそうっぽいし。

 ももちゃん、性格が性格だからおそらく自分を責めて、追い込んで、溜め込んじゃうだろうなーと思ったのでまず話をしなければと思った次第でございます。そうして基地内を探せば、まさに屋上で一人自責に追い込んでました。だめよー、私がいるところで塞ぎこむのは許しません!ぬん!というわけで感情吐かせて好きなだけ泣かせました。うん、声を出して泣くことは悪くないからね。むしろ安心しましたわ。

 

 そんでもって現在は、あの時何があったのかを説明しておりまする。いやー、あの後警察の事情聴取とか結構大変でねー。いざ聞いてみればマジでヤバイことが起きてましたわ。よく生き残ったなって本当に思いました。自分の世界に引きずり込んで、そのまま好きなだけ相手を…ここから先はさすがに言いたくねぇ。反吐が出るわ。ともかく、あいつはターゲットを決めて、フィールド張って待機。あとは蟻地獄のごとく待つだけ。証拠も目撃者も出ないわけだ。

 でも私がある程度動けたのは、今のこの個性のおかげらしい。こうやって自分の中に別の世界があったため、ある程度の抵抗ができていて動けたのではないか、と45姉が言ってた。45姉、マジで情報収集に関して優秀すぎひん?春庭周辺の不審者情報もよく見つけたねってレベルだったよ?ともかく、そういった経緯もあり、今回は悪運で生き残ったというわけだ。

 

 

 

「油断してたのは私も同じ。だからさ、これからはそんなことがないようにもっと支えてくれないかな?こんな頼りない指揮官だからね。」

「っ!はい!」

 

 

 

 うん、この様子ならもう大丈夫みたいね。

 そうとなれば、あとは()()()()()()()()()A()R()-()1()5()が制限を超えて出てきたことについて、聞かないとなぁ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「コルト姉ー!ちょっと話があるけど、今大じょーぶかーい?」

「…ええ。私もちょうど、指揮官に確かめたいことがあったので大丈夫ですよ。」

 

 

 ももちゃんとやってきたのは射撃演習場、通称『キルハウス』でございます。ソロサバゲーみたいな感じで楽しそう。難易度高くて悲鳴上げてるって聞いたことあるけど。コルト姉はキルハウスやってて、私たち2人は上のほうから見下ろす位置にいたので声を張り上げる必要があったんだけど…コルト姉、さらっと通信機で言って来たね。そうすれば早かったか…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの時、何があったか分かる?私はあの時満身創痍だったからほとんど覚えてなくて…。」

「そうですね…。正直、私も何が起きたか分かってはいないです。気がついたら指揮官のそばにいた、といった感じでしたので。」

「そっかぁ…。ももちゃん、外にいたときにコルト姉ってカフェにいなかったんだよね?」

「はい。そもそもAR-15は居残り組だったのでここにいたはずです。」

 

 

 コルト姉もよく分かってないんだ…。ってことは完全に巻き込まれたパターンですね。すまん、でも助かったわ。そして私の中で感覚として覚えているのは…。

 

 

「なんだろう、こう、纏ったって感じだったのかな?でも体の中に入ってくるような変な感じもしたんだけど。」

「もしかしたら、召喚のほかに使えるようになった別の力なのでは?」

 

 

 ナ、ナンダッテー!いや、ありえなくはないかも。いまだにこの個性、何ができるか分からないし。もし、コルト姉の仮説が事実なら戦術の幅が超絶広がるじゃないですか…!そうと決まればやることは決まった!

 

 

「なら試すしかないよね!早速明日にでも___」

「「大人しくけがを治すことに集中してください!!」」

「うっす。」

 

 

 

 

 怒られた。

 このあと、基地内にいるみんなのところにも顔を出して、今回の失敗を繰り返さないようにって言って回った。顔出すたびに撫でられたり抱きつかれたりして結構時間かかっちゃったけど、心配かけたことに変わりはないからね。撫で返したりギュってしてあげた。イム姉はあとで眼帯あげるって言ってくれた。マジで!?うれしい!いやでもあれ学校内でつけると超目立つよね…?今更か。

 そんな風にしてると鳴り響くいつもの鐘の音が。むぅ、もうおしまいですか…。しょうがない、大人しく病院で怪我が治るまでダラダラしてます。

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ、また明日ね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 二度と大怪我なんてするわけにはいかんな、これは。

 そう、自分自身に誓った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 聞き覚えのあるあのフレーズはもう聞こえない。つまり、()()()()()()ということなのだろう。ならば、私はそれに対して答えを言おう。

 

 

“What am I Fighting for”(なんのために戦うのか)なんてね。そんなの簡単だよ。」

 

 

『そうしたいから』だよ。たとえそれが私のわがままであっても。




みんなに会いに行った時の一幕
・食堂にて
指揮官「ここに何人かいるっぽいね」
ももちゃん「そうですね…。ほかのみんなは気持ちの切り替えもしっかりしてるから大丈夫だと思いますが…」

入室

M1895『殺してみやがれ!!!ク〇ぉぉぉーーーーッッッ!!!』
指揮官「何事!?」




Codブラックオプスのモノマネをしていたとのこと。細かすぎて伝わらないモノマネ選手権だったらしい。ちなみにこの前にモノマネをしていたのはWA2000とのこと。


・MG達の部屋(M249SAW)
M249「…(無言で指揮官を抱きしめる)」
指揮官「わわ!びっくりした!心配かけてごめんね。」
M249「…指揮官のためなら本気になる。だから、もう無茶しないで。(モフッ)」
指揮官「ふふっ、ありがとね。(もっふもふだぁぁ…!)」

モフモフさせてあげたかったとのこと(本人談)本気出せばやばいMGランク1位。


・404小隊
指揮官「3人とも、苦労掛けてごめんね…。」
45「本当ですよ!!!!!…でも、生きててよかった。」
416「もう目の前で失うのは嫌なの。だから、気をつけなさい。私たちがいつでもついているのだから。」
9「次にこんなことになったら…徹底的にお仕置きするからねー。」
指揮官「んっふふー。わかったよー。…これからもよろしくね。」


徹底的なお仕置き=404小隊による護身術授業。拷問レベルできつい。ももちゃんの近接訓練のほうがすごくましになるらしい。決して監禁などではない。いたって普通の家族とのこと。ファミパンもないよ!









G11チャレンジを続行しています。今のところ150連回しましたが負けてます。KSGは気まぐれで引いたら来ちゃいました。マジですか。



ネタ話
・視力0.1しか残りません~のところ
→私、溶接作業がメインなのですが…。やらかしまして、労災で左目だけほぼ失明状態に近いのでそれを参考にしてます。傷はありませんが。マジで何も見えない。

・左肩に関して後遺症は~のところ
→父上が骨折してやらかした実体験を参考にしています。スキーでの滑落事故にもご注意を!

・一〇〇式ちゃんも夢を見る、のところについて
→これは個人的な設定です!!!実際の設定とは大きく異なっております!!!!ドルフロ世界戦では戦術人形は第2世代(のはず)ということですが、一〇〇式ちゃんだけ1.5世代、つまり【自主規制】で作られた試作人形ということにしております。今後使うか分からない設定。つまり完全な趣味です。

・キルハウス
→同じサイトの中にある2次創作のとある作品に出てきたもの。名前が思いつかなかったので参考にしました(というか丸々持ってきました。名前だけですが)。問題があれば変更します。

・What am I Fighting for
→大陸版で行われた大型イベント「特異点」のエンディング曲です。あれね…イベントでやるシナリオじゃないんですよ…うぅ…。歌っているのは艦〇れのアニメOP歌ってた方です。ニコニ〇にコメントで歌詞を書いてくださっている同志がいます。気になったら覗くのもありですかね。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。