一人ぼっちの僕が提督になるお話【完結】   作:木啄

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こんばんわ、木啄です。

さて、本日で本編は終了になります。短い間ではありましたが、今まで読んでいただきまして誠に、誠にありがとうございます

 とは言っても、おまけを2話ほど追加する予定なので、あと少し続きます。
今回はいっきに3話更新です。

最後まで皆様と同じ世界を歩めたらいいなと思っております、それでは。


これからのみちを

寒い冬も終わりを告げると、少しずつ世界は春の季節へと衣替えを始めようとしている。

 

 出会いの季節でもあり、別れの季節でもある。この文を考えた人は本当にこの季節を理解しているなと、私は思っており、そんな私達も同じように別れが待っている訳で。

 

「・・はいっ。書類は全て確認させていただきましたっ!あとはこれを大本営に送るだけですね~」

「すみません鹿島教官。ご足労おかけします」

 

 いつもどうりの職務。いつもどうりの時間に彼女はやってきて、私から書類を受け取り、その書類を大本営へと送る・・だけど、そんな行為もあと僅かで終わってしまう。

 

「なんというか・・あっという間・・でしたね。」

 

 鹿島教官は、提督室の窓から見える景色を見つめる。その視線の先に見えるのは・・海だ。

 

「ですね。長いようで短いような。だけど結構大変だった半年でもあります」

 

 思い返してみれば、半年前の夏。私はまだ学生をしていて、気が付いたら今現在、提督候補として職務を行っていて、いずれは”提督”として仲間たちと戦っていく運命にある私を、あの時の”僕”は果たして想像することができただろうかと”私”は思っていて。

 

「ふふふっ。大変なぶんだけ、学んだこと、感じたこと。わかったこと。沢山あると思いませんか?」

 

 鹿島の言葉に、私は「そうですね」と頷いて見せる。

 

それはどれも私にとって、必要な日常で、必要な存在で、大切なものにもなった訳で。

「だから、この気持ちを常に持って、僕はこれからも頑張っていきたいなー・・なんて思っています」

 

「はいっ♪」

 

 私の言葉に、鹿島は嬉しそうに微笑んでいて、だけど寂しげな表情にもなって。

「・・どうしましたか?鹿島教官」

 

 不思議に思った私が問いかけてみると、彼女はその顔を私に向ける。その表情は過去に見たことが無い程に寂しそうな・・チワワのような目をしていて。

「・・・やっぱり。私は大本営から動けないんでしょうか・・」

 

「・・・え?」

 

 彼女の言葉の意味がよく理解できずに、私は声を上げる。するとー

「お願いです優月さんっ。私を・・私を貴方と同じ場所に連れて行って・・いえ。すみません」

 

”・・・なんでも・・ないです”。

 

 途中まで言いかけた言葉を必死にこらえるように止めた彼女の表情は・・とても苦しそうで。

そんな鹿島を見て、私はー

 

「・・・鹿島教官は、大本営にとって・・。そして、僕達にとっても大切な存在です。鹿島教官が居てくれたからこそ、僕が今ここに居る訳でもありますし、僕が提督候補生として頑張れたのも」

 

”鹿島教官。貴方のおかげでもあるんです”

 

「え・・・?」

 

 きょとんとする彼女を前にして、私はいったん区切りを入れ、再び口を開ける。

「最初は・・とても不安で、怖かったんです。やっぱり。」

 

 しかし、その恐怖を、不安をぬぐってくれたのは鹿島という存在のおかげで。

「でも、少しずつ、頑張っていこう。皆と一緒に歩んでいこうって思えるようになったのは」

 

 元をたどれば、全て彼女に行きつくわけで。

 

「・・だから、鹿島教官。貴方には、そんな僕たちにとっての灯台になってほしいのです。」

 

 いずれまたここを使う新しい提督候補生や艦娘たちの。道しるべとなるために

 

 

 私がそういうと、鹿島はしばらくぽかーんと私を見つめたと思うと、くるりと後ろを振り向く。

「・・・そういうこと。ずるいです」

 

「えっ?」

 

 何か言ったような気がするものの、その言葉はうまく聞き取れなくて、再度訪ねようとするも「なんでもありません!秘密です!」と言われてしまうオチである訳で。

 

 一体何を思い、何を感じ、ここまで彼女が歩んできたのか、それは彼女にしかわからないけれど。・・それでも、私たちとともに過ごしてきたというのは間違いなく存在している。

鹿島に明石。大淀に龍驤に叢雲。この5人で過ごしたここは、まぎれもない大切な場所で。

 

「・・・あの。優月さん」

 

「はい、鹿島教官」

 

 窓際に立つ彼女は、ゆっくりとこちらを振り向いては、私の顔をまっすぐ見つめて・・・笑顔になる。

「優月さんは、以前。私の事を人間だと仰ってくれました」

 

・・・そう。私はかつて、彼女に対して兵器ではなく、人であると伝えた。なぜならそれはー

 

「・・今でも。私たちの事を。一人の女の子として思ってくれている・・んでしょうか?」

 

兵器や機械は、物事を考えたり、笑ったり、泣いたり、怒ったり。そんな人間臭い感情を出さないだろう。と私は思っていて・・・妖精さんはまた別のお話。

 

 鹿島の質問に対して、私は口ごもることもせずに、はっきりとした口調で答えた。

 

「はい。そうですよ、僕は、皆さんは人と変わりない・・普通とはまたちょっと違うかもしれません、だけど。それでも立派な女の子であると思っています」

 

「・・・ふふ。だそうですよ”皆さん”」

 

ー・・・え?。

 

 鹿島の言葉に、突然提督室の扉が開かれてはー

 

「女の子・・ですか、優月提督候補生に言われると・・悪い気はしませんね」

 

 眼鏡をくいっと動かしながらも、どこか嬉しそうに笑みを浮かべる総合的な秘書を担当していた大淀。

 

「あ、明石も女の子に見えるのでしょうかっ。それはそれで・・照れます」

 

 工作艦。工廠にて彼女たちの装備の点検に改造、装備の開発などを行ってくれた、どこか抜けてる初心な女の子である明石。

 

「普通とはちょっと違うって言葉にすこーしひっかかるけど・・まぁええわっ!」

 

 私の言葉にどうつっこみをいれてやろうかと企んでいるに違いない龍驤。しかし素直に受け取ってくれたようで私は心の中でほっと胸をなでおろす

 

「まったくもう。そんなじゃ提督になっても舐められるわよ?・・あんたらしくていいけど」

 

 普段から私に対して少し厳しめだった叢雲。しかし、あの一件以来仲間達との連携も多く取るようになり、この艦隊の中でもやはり、大きく成長してくれたであろう叢雲。

 

「ですが・・そうですね~・・優月さんはあれです。無意識に女の修羅場を作り出しそうな気がしますね」

 

「えっ・・?修羅場ですか・・?」

 

 一体どんな修羅場だそれは。とツッコミを入れる。もちろん心の中で

 

「まっ!女ったらしにならんければなんでもええわ!」

 

 龍驤の言葉に、彼女たちはうんうんとうなずいている・・・?いや、なぜ?おかしくないか?

もうどこから否定したらいいんだろうと頭の中で考えていると。彼女たちは私の机の前まで歩み寄る

 

「優月さん。貴方はこの半年の間、私達艦娘との合同訓練をこなし、大本営から見事。貴方を提督として任命するとされる指示書が届いています。よってー」

 

 この訓練が終了次第、貴方は新しい鎮守府に着任することになります。と、彼女はそう言った

 

「・・・おめでとうござます。あと僅かでありますが、それまでよろしくお願いしますね・・”提督”」

 

 鹿島の笑顔に、私はハッとするように動く

 

「はいっ。僕のほうからも、よろしくお願いします・・!鹿島教官。それに、みんなも」

 

 私はそう言い、席を立ち、慌てて頭を深く下げると、5人はくすくすと笑って、つられて私もみんなと同じように

 

笑って、見せたー。

 

 

 ・・・それは、昼下がりの温かい日の出来事で。私はきっと、この日の事を忘れないだろう

 

 

「さてとっ。それじゃあ任務再開です。ほら、皆さん、動いてくださいー」

 

「「はーいっ」」

 

 彼女たちの声が、提督室から響き渡る、そんな声も、あと少しで。消える

 

そんな日の最後の夜。訓練施設全体が真っ暗の中、一つの部屋だけは明かりが灯されていてー

 

 

「・・とはいっても、あんまり荷物無いから部屋の最終確認もすぐ終わっちゃうなこれ」

 

 

 夜。職務を無事終わらせた私は、せんせいと共に、今まで過ごした自室の掃除を始めている。

汚したところは綺麗にして、補充をしたりと。新たにここで生活をするであろう未来の”提督”のために。

 

”くいくい”

 

 せんせいが私の服のすそをひっぱる。なんだろうかと後ろを振り向くと。そこにはー

 

「こんばんちあ」

「やっほいー」

「やぶんおそくにしつれいしました」

 

 この訓練施設に住んでいる妖精さん達に、一部ほかの艦娘の妖精さんも混じっている。どうやら遊びにきてくれたようで、その手には、お菓子。いったいどこから持ってきたんだ。

 

「おわかれちかいときいたです」

「かなしみがふかいですか?」

「おわかれいやいやです」

 

 一体何故妖精さんが知っているんだろう。ふと疑問に思っていると、隣に立つ”せんせい”がくいっと自分自身を指さしていて。

 

「せんせいが言ったのか?」

 

 するとせんせいはこくりと頷いている。・・なるほど、最後のお別れにというかもしれない

妖精さん達とも、半年間の付き合いだ。ちゃんとお別れをしなさい、という事だろう。

 

「明日・・正確には今日だけど、ここを出るんだ」

 

 新人の提督として、これからは”守られる側”から、人々を”守る側”に立つ。

そして、新たな艦娘達との出会いももちろんあるというわけで

 

「いよいよていとくでびゅーですかーそうですかー」

 

 きっと彼女達も何かしら思うところがあるのかもしれない。うんうんとその短い腕で腕を組んで頷いているから・・恐らく。

 

この半年間で唯一理解できなかったことと言えば、恐らくこの妖精さん達の行動力に関してだと断言できる

突然現れたり、突然消えたり、突然お菓子パーティーを開いたりと、突然楽しそうなことをよくしていて、せんせいもそこに交じって色々遊んだりしていたし、時には明石の任務なども手伝ってくれたりしていたらしい

 

・・やはり私の知る中で、”せんせい”は普通の妖精さんとはどこか異なっているような気がしてならない。

長年共にいるからこそわかる違和感でもある訳だがー。

 

「またあそびにきてくださいです」

 

「ていとくさんとおはなしできるきかいないですしなー」

 

 成程。たしかに、と私は頷いて見せる。ここに居る妖精さんたちはきっと、大本営からのお願いでここに居るようにしているのだろう。・・・いつか来る提督候補生を待ち続けて

 

それはそれでなんだか寂しいと思い、私は彼女たちの頭をそっと撫でてみる。

 

「また遊びにくるさ。せんせいも、な?」

 

 せんせいに声をかけると、せんせいは私の肩の上でふんぞりかえっている。なんか生意気だが、おそらく”もちろん”と言っているのだろう・・多分。

 

 そんな私とせんせいのやりとりをみながら、妖精さんたちは楽しそうにきゃっきゃと会話を始めて。

先ほどまで静かだった私の部屋が、会話の華が咲いた賑やかな部屋へと変わりー。

 

「こーらっ。あんまりごみを散らかすんじゃないぞー?」

 

「「「あいあいあー」」」

 

 最終的にお菓子を広げてお菓子パーティーを始めている始末。どうしてこうなった?ほんとに。

 

・・とはいえ、きっとこれは。彼女達なりのお別れ会なのかもしれないな、と私は考えてみる。

寂しがりやで泣き虫の”僕”を励ますための。そんな風に私は思ったんだー

 

ー。

 

 

 

・・朝は昼になり、昼は夕方になり、夕方が夜に変わり・・そしてまた新しい1日がやってくる。

そんな新しい1日の朝日が部屋を照らすとき、私は静かに荷造りをしていた。

 

 ”・・・”

 

ついにこの時が来た。私も、せんせいも同じことを考えていたようで、その表情は真剣そのもので。

 

「・・あ。そうだ。」

 

 ふと、図書室に置かれていたあのノートの事を思い出し、せんせいを肩に乗せると、私は自分の部屋をと出し、図書室へと走り、鍵のかかっていない扉を開けて、中に入り、以前見つけた棚を調べるとー

「・・あった。これだ」

 

 以前みたときと同じ古いノート。しかし、その用途はもう既に理解していて。

胸ポケットからボールペンを抜き取り、カチッと子気味良い音を部屋の中に響かせ、ノートの何も書かれていないページまで捲り、手を止める。

 

 それは、ここを出ていった”提督”達の思い。だからこそ私も、ここに思いを記していきたい。

「・・・ここで感じたこと。思ったこと、考えたこと。」

 

 思い出せば様々な事が、そして、どれも大切なものに変わりはない。だからこそー

 

”提督として、皆を守っていける。そんな提督に”私”はなりたい”

 

「・・・よし。」

 

 これでよし。と呟き、ノートを閉じると、せんせいは隣でこくこくと頷いている。・・よくやったということなのだろう。恐らく。

 

「それじゃあ行こうか。せんせい」

 

”・・・こくり”

 

 隣で頷く親友の姿を見て、私はノートを戻す為に席を立つ。

朝日に照らされるその横顔は、もうかつての幼さは感じられなくてー

 

ゆっくりと棚にノートを戻して。僕は・・いや、私は。扉を・・閉めた

 

 

ー0830。提督室に集まった彼女たちの前に、私は立つ。今日が最後の朝礼だからだ

 

「おはようございます。皆さん」

 

 私の言葉を受け取るように、彼女たちは頷く。そのまま私は続けてー

 

「本日にて、私はこの訓練所から異動することになります。大本営に帰還後、皆さんは各自、着任するであろう鎮守府に備え、用意を怠らないようにしてください」

 

「「はいっ!!」」

 

 これが、最後の私の指示となり、彼女達もまた、最後の私の任務となる。

 

「今までお世話になりました。・・・ありがとう・・ございました」

 

 私は、もう一度。彼女たちに深く・・深く頭を下げるとー

 

「一同!!優月提督にッ敬礼!!」

 

「「はっ!!!」」

 

 

「・・・・!」

 

 鹿島の声と共に、彼女たちは・・それはとても凛々しい表情でー。

私もまた、彼女たちに負けないぐらいの自信を持った笑みで・・。

 

「敬礼」

 

この日の空はとても青く澄み渡り・・どこまでも、どこまでも進んでいけそうな、そんな1日だったことを。

私は未だに覚えている。

 

 

私は大本営からやってきた車に乗り込み、そのまま自分が”赴くべき場所”へと進もうとしたとき

 

「またお会いしましょうー!!!ていとくーっ!!!」

 

「お別れやないでーー!!またなーー!!!!」

 

「しゃきっとしなさいよね!!新人提督っ!!!」

 

「明石も頑張りますからー!!!!優月提督--っ!!」

 

・・その時、私を最後まで見送ろうと、大きく手を振ってくれた”彼女達”の姿が見えた。

 

鹿島は声を出すことができず、その場で泣いてしまっていたが、こちらに手を振っているのが見え。

私もまた、車の窓から手を振って見せる。

 

「随分と慕われておりますな。優月提督は」

 

 車を運転する大本営の職員に対して、私は少し笑みを浮かべながら。

 

「はい、彼女たちは自慢の・・大切な部下達でしたので」

 

 自信をもって私は、そう言って見せた。

 

 

・・・・・・。

 

 

 

 それから年月が流れて。立冬が終わり、外もいよいよ冬支度が始まろうとしている中。私・・・柊優月提督が率いる鎮守府もまた、ストーブを用意したりと、暖房対策をとる。

 

「はぁ・・ストーブってあったかいね・・」

 

「あー・・ほんと。罪だわ・・うごきたくねー・・」

 

 ストーブの前を独占しているのは黄色いツインテールの駆逐艦ともう一人、同じ駆逐艦の末っ子にあたる子が見事に提督室のストーブ前を占拠。そんな状況に見兼ねた長女はー

「こらぁーーっ!だめにゃし!ふたりともまだ報告おわってないでしょー!」

 

「ほらっ。皐月ちゃんに望月ちゃん。司令官に報告しなきゃ・・ね?」

 

 2番艦である如月も含めた二名が、不動たる二人を引きずるようにしてー

 

「うわぁーっ!睦月姉ぇひっぱらないでーっわかったからー!!」

 

「ぽかぽかして気持ちいんだからぁ~って、あたしもか・・しれーかんたすけてぇ~」

 

 なんともやる気のないSOSだなお前はと苦笑いを浮かべつつも、睦月の奮闘によって二人をストーブの前から引きはがすことに成功。任務成功といった感じだろうか。

 

「わかったよぉ・・あ~・・めんど・・」

 

「うう・・さむっ・・はぁ・・冬はつらいや。しれーかんっ」

 

「気持ちはわかるが、あともう少しだ・・頑張ってくれ、みんな」

 

 

 なんとか駆逐艦達のモチベーションアップを狙って鼓舞をする。効果有なのは睦月と如月、おまけに皐月と望月に関してはいつもどうりではある。

 

 

「はぁーい♪司令官」

 

「まかせて司令官!睦月をもーっとほめるがよいぞっ♪」

 

 るんるんと部屋の片づけにファイリングなどといった作業を続けてくれる中、近くで物が落ちる音がする。

「あて・・っ・・うう。なんで本が落ちてくるんだよぉ・・いてて」

 

「あらあら。望月ちゃん怪我はないかしら・・?」

 

「およよ?どうしたの?」

 

「望月ちゃん大丈夫ーっ?って・・これってーアルバムかい?」

 

 4人が棚から落ちた1冊に視線を集めている。一体どうしたのだろうかと立ち上がり、様子を見るとー。

「・・ほう。懐かしいな、それは私がまだ提督候補生の頃に撮ってくれたものだ」

 

 あれから数ヶ月。龍驤から送られてきたアルバムと称されるそれには、以前撮ったものから、彼女の趣味であろう明石や大淀達の写真などなど。

 

”「せめてもの思い出や、大切にせんと怒るでなっ!」”とのこと。

 

それから彼女たちは、無事全員別々の鎮守府に着任することができ、叢雲はなんと姉の吹雪が居る鎮守府に着任することができ、姉の吹雪曰く、随分と心配性の妹が来ちゃいました。とのこと。

 

 一方の龍驤は、以前着任していた鎮守府に戻り、今現在、再び最前線で仲間たちと日々深海棲艦との激しい攻防戦を繰り広げているものの、休日には仲間たちと一緒に遊んだりと、以前と変わった、前と比べてもっと明るくなったという評判らしく。「今度優月提督に鳳翔会わせたる!!」とのことらしい・・しかしどうやって?

 

明石と大淀は同じ鎮守府に。運がよかったのか、その鎮守府の提督は女性で、明石も問題なく日々工廠で装備づくりに励んているとかなんとか。時々私にメールを送ってくることがありー。

”優月提督と接していた時の感覚を忘れないためにです!!”とのことだ。

 

 そして、彼女らを導いていた練習艦鹿島はというとー。

 

「お久しぶりです優月さん♪来ちゃいましたっ」

 

「えっ」

 

・・・どうやら香取さんの計らいによって、我が鎮守府に着任することが決まった。なんでも彼女が珍しく大本営にお願いしたそうで。本当に何者なんだ。この人は

・・・・。

 

「およよっ!まだ優月提督若い!!」

 

「む、睦月ちゃん。今も司令官は十分若いと思うわ・・?」

 

「しれーかんかわいいなぁ・・・!!」

 

「へー・・というかしれーかんの表情どれもぎこちなくね?」

 

 4人それぞれ様々な反応ありがとう・・特に睦月と望月。覚えておくぞ

 

「ねえねえ司令官。」

 

 如月が私の隣に立ち、こちらをじっと見つめてくる。一体どうしたのだろうか?

 

「提督候補生の時ってどんな司令官だったのかしら・・?」

 

 恐らく私の写る昔の写真を見て興味がわいたのかもしれない、他3名も、如月の言葉に興味を示したかのように集まってくる。これはもう職務どころではないな、と心の中であきらめる。

 

”・・・・むくり”

 

「おー・・でたな。おさぼり妖精」

 

”~~”

 

 誰がおさぼりだ誰が、といった感じの訴えの視線をこちらに送ってきているものの、事実なのでどうしようもない、と私はため息を吐く。

 

「それでっ!それでっ?しれーかんがまだ候補生だったときのお話!!」

 

「あたしもきになるなー。おもしろそうだし」

 

「・・そうだな。」

 

 私は床に置かれたアルバムを手にとり、近くのソファーの腰かけると、彼女達も同じようにソファーの上に座り、こちらをじーっと見つめている。

 

「・・・あの時の私は。変わり種だったのかもしれない」

 

わくわくと期待の視線を向けられつつも、私は目を細め、昔を思い出すようにして口を開きー

 

「あれは・・まだ私が一人ぼっち・・・いや、違うな。」

 

一人ぼっち”だった”僕が提督になる話だー。

 

 

 

おしまい

 

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