一人ぼっちの僕が提督になるお話【完結】   作:木啄

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前回からほんのちょっと進んだお話です。誤字脱字及び矛盾点ありの可能性がありますが、お許しください。



なまえをつけよう

【適正試験から数日後】

 

今現在は近くの専門学校に通いつつ、親から送られてくる資金と、バイトなどのお金ももあってか、なんとか生活をしている。

 

傍から見れば、なんて良いご両親なのかと思われるかもしれない。しかし実際の本質は違った。

 

”妙なものが見えるものを家に置いておきたくはない。”ただそれだけなんだ。

 

「・・ふう」

 

ポストからばさばさといつものようにたくさんのチラシが落ちてくる。それを拾ってはいらないものを選別して、親友の遊び道具にする。折り紙とか。お絵描きとか?

 

 

 

「だけど・・妖精さん・・か」

 

”・・・?”

 

不思議そうにこちらを見上げてくる親友を見つめながら、私は彼に話しかけてみる。

 

「”君にも何か名前。つけたほうがいいのかなと思って”」

 

あの試験を受けていた時、親友のような存在がほかにもいるということは、なんとなく親友を見て察しはしていた私だったが、あんなにもたくさんいると度肝を抜かれてしまったわけで

 

折角だし親愛の気持ちも込めて、何か名前があったほうがいいかもしれないという、なんとも今更感丸出しの私だ。

 

 

”・・!!!!”

 

 

すると何か決めていたのだろうか。彼はふらふらと空を飛んで本棚のすみから一枚の小さな切り抜きらしき紙を持ってきて、それを私に手渡す。

 

「・・・え?せんせい・・?」

 

”・・・!”

 

なんとも言えないネーミングセンス。私は思わず笑ってしまった。

 

「ははは・・!!そっか・・うん・・!わかったよせんせい・・だね・・ぷっ」

”せんせい”もまた、嬉しそうに笑顔になる。それにつられて、私もまた、笑う。

 

そうか。親友もまた、欲しかったのかもしれない。

 

 

自分をー

 

”自分を必要としてくれるような、自分を自分と認識する。そんなものを”

 

「それじゃあせんせい。僕の名前はわかる??」

 

私が言うと、任せろと言わんばかりにせんせいはすらすらと鉛筆を動かし、3つの文字を書き上げた

 

”ゆ づ き”

 

「うん。正解。さすがせんせいだ」

 

机の上に置かれてた袋の中からお菓子を取り出して封を開け、それをひとつ”せんせい”に渡す。

 

私も一つ口に含む。ラムネの懐かしくも甘い味が口に広がるのを感じつつ、再び書類整頓をしていたとき。

”提督適正試験の合否発表”と書かれた書類が目に映る。

 

間違いない。これは数日前に受けたあの試験の合否発表が書かれているものだ

 

「あの時の人たち・・みんなすごい驚いてる風だったから・・一体どうしたんだろうね、せんせい」

 

せんせいは首をかしげるしぐさをして、はやくはやくと中身を開けてくれと促している、どうやら私以上に

 

せんせいは合否の内容が気になっているようだ。・・・単純に開けたいだけなのかもしれないけど。

 

(ま、きっと落ちてると思うけどね)

 

さすがに国家クラスの試験でもある。そんなものに簡単に受かるはずがない。ましてや軍と呼ばれる組織の話

 

だ。こんな学生のような自分が選ばれるはずもない。

 

私はせんせいを見ると、せんせいは笑顔になる。私も笑顔になった。

 

 

・・・机の上からハサミを取り出し、封を切る。

 

「さて・・ええと。どれかな」

 

何だかいろいろ折りたたまれてはいってる書類。ただの合否発表だというのに一体なぜ?

 

そんなことを思いつつも、私は1枚の書類に目を通していく

 

”合否に関する書類”

 

 

「・・ええと??記載された期日に鎮守府に来るように・・って・・・え?」

 

そして、必要書類に関するものなどが細かく記載されており、私の頬を一滴の汗が伝う

 

それは、もしかしてー・・?

 

「もしかして・・合格した・・のか?」

 

・・え?私が??嘘だろ・・!?

 

一人と一匹。お互いに見つめあうと思うと、声にならない悲鳴を上げる。

 

予想もしていない状況で、私は普段勉強する机に書類を置いて、椅子に深く腰を掛けては、空を見上げる

 

窓から差し込まれる夕暮れの日差しを見つめながら、私は誰ともなくたずねてみる

 

「・・・こんな僕でも。役に立つ時がきたのかな」

 

それは、私の心の悲鳴だったのかもしれないし、混乱している頭で導きだした答えなのかもしれない

 

要するに、私は今、まともな判断ができない状況であるということだ

 

「-・・・あぁもう。考えてても無駄無駄。仕方ない、せんせい。ごはん作ろう」

 

髪の毛を多少乱雑にかきむしりながら、勢いよく立ち上がり、キッチンに足を進める。

 

今日は何にしようか?野菜炒めは昨日したし。もやしもそろそろ飽きてきたところだ

 

「豆腐があるから・・山芋を擦ってとろろにして・・豆腐ステーキでもいいね」

 

”せんせい”もうなずき、それじゃあと私は夕食づくりの準備を始めていく。

 

 

・・・なんとも現金なお話で、さっきまであれほどどうすればいいんだと悩んでいたのに、今はもうすっかりそんなことを忘れて、夕食づくりに集中している私がここにいて。

 

「・・はは、本当に。僕は単純だ」

 

”・・・?”

 

 私が一人笑ったことに不思議そうな顔をしている”せんせい”に、何でもないよ。と笑顔を見せる。

 

・・私は以前、笑うことすらできなかったというのに、”せんせい”だけには笑顔になれる、本当に”せんせい”は不思議な奴だなと、私は思う。

 

「よし、それじゃあ次はー」

 

ゆっくりと夕暮れの太陽が海に沈んでいき、夜が来て、そして少ししたら朝がやってくる。

 

「・・なぁ”せんせい”」

 

”どうしたの?”と言わんばかりに首をかしげてくる。”せんせい”も最近なんだかとても表情を表現するのが上手になってきているような気がする。一体誰の影響だろうか?・・・私か?・・まさかね。

 

「僕さ、行ってみる。例の鎮守府の適正試験の合否発表」

 

フライパンの上で焼かれる豆腐を見つめつつ、私はそんなことをつぶやいた。

 

「きっと、僕にもなにかできることがあるんじゃないかと思って」

 

自身が役立つ事はあるかもしれない。そう私は信じて、この時大きな一歩を歩みだしたんだと思う。

 

本当はおくてで、弱虫で、怖がりな私が。初めて勇気を振り絞った一歩。だからこそ。私はー

 

「がんばろう。”せんせい”」

 

そう、思えたのかもしれない。

 

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