あと、誤字脱字及び矛盾点ありの可能性有なのでよろしくお願いします。
夏の残暑も終わり、少しずつ秋の衣替えが始まろうとしている街並みと同じように、私が今現在住んでいるこの”候補生寮”もまた、衣替えが始まっている。
というのも、大本営という海軍を統括している偉い人たちがたくさんいるところからの指示で、いよいよ私にも候補生としての自覚を、ということで制服が支給されたのだ。
それじゃあ今までどうしていたんだ?と言われると、鹿島さんの許可で私服。または学生が着用するような落ち着いた服装でいることで、
「へえ・・本当に海軍の制服なんですね」
私は、支給された制服をまじまじと見つめながら、これが海軍の・・と心ときめかせていたのは内緒だ。
青い空にも負けない真っ白な生地。胸元に候補生の候というバッジが設けられており、私を他所の人が見ても、私は候補生ですと示すものになるらしい。
夏服と冬服で生地の厚みも変わり、今は夏服で過ごしても問題ないだろうという気候。というのも、まだ時折暑苦しいときがあり、普通に半袖を身に着けていてもなんら問題はないという状況で、鹿島教官はー
「はい♪提督の皆さんとほとんど同じものを着用するのが義務付けられています!かっこいいですよねっ!」
鹿島教官は鹿島教官でなんだか興奮しているし、本当に大丈夫なんだろうかと不安になる
「そうですか。それじゃあ僕はちょっと着替えてきます。すぐ戻りますから」
「はーい!お待ちしてます!」
いや・・別に待っていなくてもいいんですけどね。それはそれで何だか気恥ずかしくなる。
とはいえ、こうしてみるとますます自分自身が提督候補生として歩んでいるのだなとしみじみ感じるのは事実で、この制服に見合う提督になれるだろうか、と少し不安にもなる
(そこは鹿島教官の言う・・なんとかなる精神なんだろうか)
それはそれでどうかと思うが。
・・・さて。そんなこんなで制服に身を包んだ自分を”せんせい”にお披露目する。
「どうだろう、せんせい。似合っているだろうか」
部屋の中。私は”せんせい”に。候補生の制服に身を包んだ私を見せると、”せんせい”は小さなメモ書きにすらすらと文字を書き込んでいるのが見え、その紙を私に手渡す。そこにはー
”とってもかっこいい”
「・・そっか。ありがとうな、せんせ」
私が礼を言いつつ頭をそっとなでると、せんせいはどこか嬉しそうにはにかんでいる。・・っと
「いけない。鹿島教官のところに戻らないとな」
怒られたことはないが、道草を食っているとやはり注意はされるかもしれない。
時間厳守。これは、普通の世界でもごくあたりまえのことであるからにして。私はあわてて部屋の扉を開けて、飛び出すようにして教室へと走っていく。
窓から差し込む日差しと、青い海。そして、そんな青に映えるような真っ白い制服を着た私。
その時の自分は、きっと笑っていたに違いないー
・・・。
「わぁ!!よーーーーくにあってますよ!!優月さん!」
いつの間にか、正確には前話から私を名前で呼んでいる鹿島教官はさらにテンションが高い。一体どうしたんだろうか?何か変なものでも?それはさすがに失礼かもしれないが、そう思えるぐらいにテンションが高いのだ
「えと。ありがとうございます。鹿島教官」
私は深く頭を下げると、鹿島教官はいえいえと両手を振っている。気にしないでということだろう
「ふふ・・あ。こほん!・・えっとですね。実は今日、候補生さんには会ってほしい”人たち”がいるんです」
「はぁ。僕がですか。一体どんな人たちなのでしょうか??」
私が首をかしげていると、彼女・・鹿島教官は何かを考えるそぶりをしてから、なぜかウインクをする。
いや、ウィンクはかわいいとは思うが、それは答えになっていないと思う、というツッコミを心の中でしているわけで。
「会ってみればわかります!!とーーっても大切ですから!」
とても大切な人たち。なんだろう、とても気にはなるものの、要領得ない言葉に首を傾げつつ、私は鹿島教官の後をついていく。
もともとこの教育施設は、簡易的な軍港のようなものもあり、波止場や、工廠といった、実際に提督や艦娘たちが用いる施設を、簡易的に設置され、提督候補生でもそれ相応の指揮や行動といったものができるように設計されているらしくー
「はい!つきました!軍港ですね!」
「ええと。それで・・。僕はどうしたらいいのでしょうか?」
疑問に思っていると。突然軍港の門が開いてー。
「ふ~えらい長旅やったなぁ。ほんま!疲れた疲れた!」
「はいっ!!私もこんなに海上を走ったのは初めてです!」
一人はえらい大阪弁を喋る和装な女の子と、もう一人は元気がよく、セーラー服のようなものに身を包ませた女の子。
そしてー
「こら、まだ任務が終わってないのでしょう?これは私たちの初任務なのよ?わかっているの?」
「そうですよ。龍驤さん、それに明石も。叢雲ちゃんの言う通りです」
雲のような白い髪の毛で、ウサギの耳のような機械?を身に着け、背中には槍を背負った少女に。
こっちの”明石”という女の子とよく似た制服に身を包み、いかにも優等生のような女の子。
「わ、わかってますよう!でも疲れたんです~!」
「まぁまぁ明石。あともう少しや、それまで辛抱・・ん?って、あそこにおるやないか。おーい!」
こちらの姿に気が付いたのだろう。和装の女の子がこちらに手を振っており、鹿島教官は彼女たちに向かって手を振っている。私も真似したほうがいいのかと戸惑っているとー
「彼女たちは、私と同じ艦娘なんです。最近艦娘に転化したばかりで、まだ実戦経験もない、候補生さんと似たような状況。と言うとわかりやすいかもしれません」
「・・・あれが。艦娘・・」
海上の上に立ち、その姿はまさに凛々しさを感じる戦士にすら見える彼女たちを目の前に、私は口を開けてそのさまを見つめていた。
「・・はい。私も、彼女たちも。艦の記憶を引き継いだ、軍艦なんです」
ーだから。兵器。ということなのだろうか?
私は心の中でそうつぶやきながら、以前見た鹿島教官の寂しそうな表情を思い出す。
(だけど。それでも僕はー)
・・・。
「というわけで!本日から半年間ですね!こちらの候補生さんと一緒に!この訓練所で鎮守府としての活動を訓練していただきます!」
「へえ。この人が候補生さんっちゅーことか」
「ずいぶんとお若いですね!失礼ですが年齢を聞いてもいいですか?」
「本当に失礼ね明石。・・って、あなたも何か言ったらどうなの?」
「ま、まぁまぁ、落ち着いてください。私は大淀。大淀といいます、これから半年間。お世話になります、提督候補生さん」
各自様々な反応を見せる中、自らを大淀と呼んだ彼女は、深々と頭を下げ、つられて私も頭を下げる
「失礼しました。僕は優月。柊優月提督候補生です。年齢は19。まだ若いですが、これから半年の間。よろしくお願いします。皆さん」
鹿島教官の説明によると。本日から本来の鎮守府に近い活動を、これから半年間の間行ってもらい。提督としての活動やノウハウといったものを実際に行動して理解してもらおうというプログラムが始まったらしい
これもひとつの教育の一環で、艦娘になりたての彼女たちもまた、いい経験になるという話だ
「へえ!19!えらい若いな!!うちは龍驤って言うんや!軽空母や、頑張るからな!よろしゅうに!」
いや、見た目で言えばあなたも十分若く見えるし、私よりも幼く見える。といったら怒られるかもしれない。
「私は叢雲。吹雪型5番艦よ。よろしく頼むわ。提督候補生さん」
髪の毛をすくいあげるそのさまはとても美しく、龍驤とはまた違った雰囲気を放つ少女で。どうやら彼女には姉妹艦がいるらしいー。
「・・まだ実戦経験はないけど、頑張るから。こき使ってくれてかまわないわよ」
「僕も似たようなものですから。一緒に頑張っていきましょう、叢雲さん。」
「さんはいらないわよ。叢雲でいいわ」
これもまた、彼女なりに親睦を深めようとしてくれてるのかもしれない、と私は悟る
なんとなく。彼女は私と似ているような、そんな気がした
「はい!はいはい!私は工作艦明石です!といってもまだなーーーんにも作ったことないんですが!!頑張ります!!」
まるでどんな苦悩も気合一つで乗り越えてきましたと言わんばかりに元気のいい彼女。明石。
それもまた、彼女の良いところでもあり、また欠点に至る点なのかもしれない・・が。今はそんなことはさておき。
「はい、明石さん。これからよろしくお願いします」
どっちかと言えばぶっきらぼうな挨拶しかできない私に難があるのではないかと内心頭を悩ませ始めているわけなんだがー
「それでは私で最後。ですね。軽巡洋艦大淀です。秘書艦の総指揮を行います。よろしくお願いします、提督候補生さん」
眼鏡を付けた彼女は、礼儀正しくお辞儀をして、私も同じように頭を下げる。
「よろしく頼みます大淀さん、困ったことがあればお互い頑張っていきましょう」
「はいっ」
「はい!というわけで!これから皆さん頑張っていきましょう・・!と言いたいところですが。4人は今先ほどまで海上に居ましたからね、補給や入渠を済ましてしまいましょうか。」
「せやな~体もすこ~し疲れてるし、休みたいかもしれんな」
「私もです~。なんだかとっても疲れましたぁ」
「もう、大本営からそう遠くないじゃないの。情けないわね」
「・・とかいいつつ、叢雲ちゃんも疲れているのでしょう?ほら、行きましょうか」
「う・・そうね」
各自わいわいと話題に華を咲かせている間、私は置いてけぼりを食らっていることに気が付いているのは、おそらく練習艦鹿島教官だけなのかもしれない。
「それでは提督候補生さん。また後程」
「はい。教官。わかりました」
簡単な自己紹介と顔合わせを済ませたところで、彼女たちは補給や入渠と呼ばれる行動を始める。
入渠とは、彼女達が受けたダメージを回復させるために、いわば入浴に近い行為を行うことで、艤装に憑いている妖精さんや、彼女達の肉体的、精神的ダメージを回復させるという儀式に近い行い。らしい
もちろん男性禁制というのはあたりまで、無断で入室した場合は、彼女たちの鉄拳制裁。または憲兵さんが出動する可能性ありという話だ。
(覗きと似たようなもんなんだろうな)
そんなことを考えながら、私は一人、潮風にあたりながら自分の部屋に足を向け、歩き始める。
いよいよ提督候補生としても中盤に差し迫っているのだろうこの状況に、私は一人、心地よい緊張感を抱きながら、歩いていたんだとさ。