一人ぼっちの僕が提督になるお話【完結】   作:木啄

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こんばんわ、お気に入り件数が200も超えていて。正直驚きを隠せません。ありがとうございます。

さて、短編といいつつ7話まで来てしまいました・・が。まだ当分は終わりません。
今回は主に明石さんが出てきます。イメージしているキャラが異なっている可能性もありますが、お許しください。

恒例の誤字脱字及び矛盾点ありの可能性有です。直しては居るんですが・・中々一人だけでは気が付かないものですね。いつもありがとうございます。



明石の奮闘記

「明石、入りますよ」

 

 大淀の声とともに、中に足を踏み入れる、するとまず最初に目に入ったのは、工廠にて働いている妖精さん達であった。

 

「ひときたです」

「およよよ、どなたさまでしょうか」

「たんそーほういるですか?」

 

 カンカンと小さなトンカチを振ってなにやら武器?らしきものを作成している妖精さんたち、これもおそらく明石の指示なのかもしれない・・・多分?

 

「あの。すみません、明石さんはいまどこに?」

 

 私が彼らに話しかけると、えっさほっさと働いていた様子一変、まるでもの珍しい動物を見るかのようなキラキラした視線になっているではないか。

 

「こりゃおでれーた!人間さん人間さん。ぼくたちみえーるですか」

「およよよ。これはどなたさまでしょうか」

「たんそーほういるですか?」

 

 最後の子はおそらく単装砲の妖精さんだな?

 

以前みた女の子とはまた別の妖精さんのようだが。というかそれはさておき

 

「あかしさんならあっちです。さっきからとんかんとんかんうるさいです」

「およよよ。これはおでれーた」

「たんそーほうおいしいです」

 

 単装砲おいしい・・?いや、食べないでくださいね!?

 

・・・・。

 

 

「本当に・・妖精さんは個性豊かといいますか・・驚きますね。本当に」

「あの子たちの感性でもありますからね。私たちでは図りしれないものがあるのかもしれません・・っと、いました、あそこですね」

 

 ここにきてから数日の間でこの施設もだいぶ賑やかになっている。というのも明石からの要望を受け、鹿島教官が様々な機械等を大本営から支給してくれるよう手配してくれていたそうだ。

 

あの人は一体何者なのだろう。私は時々そう考えることがある。やっぱり鬼なのか?裏では

 

「んー・・発射口がこれじゃあ少し・・んー・・」

 

「明石、明石。聞こえますか?」

 

「ふぇ?はいっ!・・って、なーんだ。大淀さん・・じゃ・・あ」

 

 私と目が合った瞬間。彼女の様子もまた、一変した。なんだ?工廠に居ると急変する奴多くないか?というツッコミはしない。

 

「て、提督・・こっ・・こここ候補生さん!?」

 

つるっ。

 

「あ”っ!!!」

 

 それは誰しもが予想しない出来事だった。一体何故、そんなことが起きてしまったのか。それは誰もが思った問であり、誰もがその答えを求めた。

 

びたーーん

 

「いったーーーーーーっ・・!!!」

 盛大に彼女は。転んで。

 

「人間さん人間さん」

「・・・はい?」

 

 

 

ー機械がたおれるです

 

「・・・え?」

 

上を見上げると、”それ”はゆっくりとこちらに向かって落ちてきていてー

 

「うわああああああああああああああっ!!!?」

「「きゃああああああああああああああああっ!!!」」

 

「とってもわんだほーかと。にげろーです」

 

盛大な叫び声と悲鳴が。工廠を轟かせたー。

 

・・・・・・。

・・・・。

 

 

「・・ま、まぁ。大怪我した人が0人でよかったけれど・・」

 

倒れる寸前。一体何が起きたのかわからないけれど。体を無意識のうちに誰かに押され、私は転倒、機材は私が立っていた場所に盛大に倒れなんとか難を逃れるものの。

 

 工廠内のあちらこちらから妖精さんの悲鳴にも近い声・・というよりなんかはしゃいでいた。

 

 とはいえ、なかなかの非常事態であったものの、私と大淀。そして涙目の明石達の活躍・・?によって、なんとか元通りになり、ほっと一息一安心というところだ

 

「すみませんでした・・私の責任です・・」

 

その後、提督室で私と大淀。そして明石の3人が集まり、今現在反省会という名の事情聴取?を行っている訳でー。

 

「気にしなくていい・・と言いたいところですが。その、聞いてもいいですか?」

 

「は、はいっ。何でしょうか・・?」

 

ほかの子たちと接している雰囲気が明らかに違う明石。私の時だけ妙に空気が張り詰めたようになるのは一体何故なのだろうか。

 

(・・・何となくだけど。)

 

 この子も。私という存在を嫌っているのかもしれない。というのも、似たような出来事は昔からあった。

 

腫れ物に触るようにして私と接触を図る両親。唯一私を可愛がってくれた祖父母はもう居ない。

 

 

 

それ以降も、私という存在をなるべく遠ざけようとする人たちの雰囲気と

 

ー彼女の雰囲気が、似ていたからだ。

 

 

 

「正直に言ってください。これに関しては・・私は何も問い詰めたりしません。」

 

ー私のことが。嫌いですか?

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 私という存在は、イレギュラーなのではないか。と思っていた。

 

 戦いに出るのではなく。装備や武器、艤装などといった道具を修繕したり、時には酒保を開いて、艦娘や提督たちのアイテムをサポートするのが主な任務であると聞いた。

 

 正直言って、私はかなりどんくさく。また不器用な方だ。

 

 人との関わりもうまくできず、唯一会話できたのは妖精さん。今現在は大淀もいるけれど、私は孤独に近い存在だった。

 

 武器を構えて海上を走り、水柱をたてながら祖国を守るために戦う艦娘ではなく。そんな彼女たちの装備を作り、修理し、戦場に赴く彼女たちを見送る側の”艦娘”。

 

 

 

だからこそ、私は私という存在に自信が持てなかった。

 

 

 

そんな中、私と大淀。そして、同じく新人である二人の艦娘達とともに、大本営から少し離れた海域に作られている訓練施設にて、半年間。艦娘としてのスキルを磨いて来いという”任務”。

 

そこにはいずれ提督になるであろう存在の、提督候補生さんが居て、私たちの指揮権はその提督候補生さんが持っているという話も聞いた。

 

 人から指図されたり、指示されることはよくあった。自主的に動く事がそこまで得意ではない私にとって、願ってもない任務だと・・。

 

 

そう。思っていた

 

 

しかし、油断していた。

 

 

 

「初めまして。今日から君たちを指揮させていただきます。提督候補生の柊優月です」

 

そう。油断していた。・・いや、落ち着いて考えればその可能性はあったはずなんだ。

 

そう、この工作艦明石は・・明石は・・!

 

 

私は、今まで男性と話したことが無かったのだーーーっ

 

 

考えてもみてください!私は工作艦という適正があり、工作艦になるそれまでは女の園と呼ばれるような場所ですくすくと育ってきたんです!!

 

そんな私がいきなり男性と鉢合わせ、更には私と同い年のような・・?私より背が小さい?から年下?なのかわかりませんけれど!!そんな方と半年間一緒になんて!!

 

無理です!!緊張して絶対ミスばっかするに決まってます!!!!

 

同僚の大淀ですら、提督候補生さんと会話をしているというのに、私はつい緊張して声が出せなくなってしまうのです。しかも同性ですらまともに会話をした経験値は・・あれ?私の経験値はどこに!?

 

 

だからー

 

「私の事が。嫌いですか?」

 

 

ー・・え?

 

そういわれたとき、私は一体、この人が。優月提督候補生が何を言っているのか。

 

正直理解できませんでしたー。

 

・・・・・。

 

 

嫌い・・?いえ、嫌いでは。ありません。むしろ、優しい人だと思います。だからー

 

「私はそんな・・っ」

私はそんなこと思ってなんかいません・・と、言おうとしました。

 

また、言葉がうまく出せません。伝えなければならないのに。違うと、それは違うといわなければならないのに、私の中の”私”は、まだおびえてしまっています。

 

 そもそも私は、人の役に、皆の役に立てたらという思いで艦娘に立候補したんです。

 

面接の時は、男性ではなく、後に知りましたが、艦娘の方々が行っていたので、男性とは合わなかったのです

だけれど。

 

 こんな、こんなダメダメな私でも、何か一つでも役に立ちたい。そう思ってー

 

「・・・あぁいえ。無理に言わずとも大丈夫ですよ。明石さん。」

 

ーズキン。

 

「ちがっ・・あの・・えと・・その・・」

 

心のどこかが痛むような。なにか締め付けられるような感覚。

これはー・・?

 

ちがう、ちがうちがう。違うんです優月提督候補生。私は、私はーーーっ

 

「・・・提督候補生。少し落ち着いてください。明石、あなたも。ですよ」

 

その時、近くにいた大淀が間に入り、二人の会話をいったん遮断させる

 

「・・・提督候補生。違うのです。彼女は、別の理由があって話すことができないのです。そうでしょう?明石。貴方の口からちゃんと言わないと」

 

「別の・・理由ですか?」

 

 大淀がフォローを入れてくれる。こういうところは本当に、以前から変わらず上手というかなんというか。

まさに助け舟!・・と、今ここで洒落を言っている場合ではありません。

 

「は、はいっ。その。明石は・・明石はですね・・・」

 

 勇気を出せ。明石。(私)-。

「私はー・・・っ・・!!」

 

ーーーー!

ーー・・!

 

 

・・・・・・・。

 

「あぁああ~今日は一段とくたびれました・・」

 

波止場にて、私と大淀は二人、夕暮れの海を眺めつつ、私は大きくため息を吐き出す

「私のほうがくたびれました。まったくもう、素直にはじめのときに言っておけばよかったじゃないですか、私は男性との面識が初めてです。と」

 

 その後、私は勇気を振り絞って打ち明けました。

 

 男性と会話したことが無く、どう接したらいいのかわからなくてパニックになってしまっていた。と

「だから、私・・は、嫌い・・とかではないですっ。提督候補生さん、ですから・・っ」

 

「・・・はぁ~~~~・・・そうですか・・そうでしたか・・」

 

 私の必死の力説をしているとき。優月提督候補生は大きなため息にも近い息を思いっきり吐きだしていた

 

・・・もしかして嫌われてしまったのでしょうか?

 

「・・・よかった。」

 

 そう、小さくつぶやいた彼の表情は、何か吹っ切れたような、どこか安堵にも近い表情で。

 

「僕も、女性とお話しするのはかなり下手なんですよね。だから僕も」

 

”明石さんとおんなじなんですよ”

 

 

 彼も。私と同じ。つまりそれは、似た者同士というわけで。

 

「直ぐに安心してくれというわけではありません。お互いにこれから、少しずつ慣れていきませんか?」

 

「・・ふふ。だそうよ、明石、よかったじゃない。」

 

二人の視線が私に集まる。その時の大淀の表情は、とても穏やかでー。

 

その時の私は、先ほどまで感じていた”震え”が、既に居ない事に気が付いた

 

だから、だから私はー

「・・・はいっ!!私、頑張ります・・・から!

 

ですからっ・・見てて・・く、下さい!優月提督候補生っ!!」

 

 

そう、言えたのかもしれません。と今なら自信をもって言えますね。はいっ!

 

 

・・・・。

 

「ねえ大淀。あの候補生さん。なんだか不思議な人ですね」

 

「んー・・そうですね。確かに、あまり見ない感じの人かもしれません・・というより、貴方は男性をそもそも毛嫌いしてたんですから、わからないのでは?」

 

大淀の意地悪そうな質問に、私は思わず立ち上がった

 

 

「ち、ちがいます!!毛嫌いではなくてですねっ!!!そういった経験がないだけですよっ!!!!」

 

「はいはい。わかりましたわかりました。ほら、明石。貴方はまだ今日の任務の書類報告が終わってませんよね?どうするんですか??」

 

 大淀の言葉に、私の体温が一気に下がっていくのを感じ、私は青い顔で立ち上がった。と思う。見えないけど、きっとそうに違いありません。

 

「私はもう報告は終わってます。どうしますか?」

 

”手伝ってあげないこともないですよ?”といった感じの相棒に、私はー

 

「しょうがないですから!手伝わせてあげますっ!!ほら!いきますよ!おーよどっ!!」

 

「あっ!こら!ひっぱらないでください!もうっ!!それに私は大淀ですっ!・・第一!貴方は最初あんなに元気よく挨拶してたじゃないのっ?!」

 

・・そう。あの時私は優月提督候補生に対して、勢いよく明石でーーす!!と言っていた。だけどあの時はー

 

「あ、あれは私もつい興奮してて!それにほかの子も一緒だったからー!!!」

 

 

夕暮れの海に二人の姿。その表情はとても晴れやかな太陽のようなもので

 

「あの子たち、元気でてよかったな、せんせ」

 

私とせんせいは、そんな二人の様子を提督室から見ていた。というより偶然目に入ったというほうが正しい。

「・・・だけど、僕を押した人は一体誰だったんだろうな」

 

物凄い力で押されて一体何が起きたのかと思うくらい。しかし幸いにも無傷だった

”・・・・もぐもぐ”

 

机の上で盛大にごみを散らかしてお菓子を食べている親友を見つめながら、僕はふとそんなことを考える。

 

(まさか君が僕を助けてくれるわけ・・)

 

ーないか。流石に大きさが違う。・・というより

 

「こーらせんせい!!このあとごはんだろう!いま食べていたら食べられないじゃないか!」

 

すると”せんせい”はぷいっと明後日の方向を見ている。どうやら徹底抗戦の構えに出るようだ

 

「はぁ・・もう。君という奴は・・まったく」

 

あきれるような、なんとも言えない人間臭さを感じるこのせんせいを見つめながら、僕は苦笑いを浮かべる。

 

「・・っと。そろそろ遠征組が戻ってくる、波止場に行こうか、せんせっ」

 

 私と先生。夕陽を背中に向け、提督室の扉を開いては

 

その一歩を。歩みだしたのであった

 

 

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