一人ぼっちの僕が提督になるお話【完結】   作:木啄

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今回は少しシリアスですね。次回もシリアスです。多分。

お気に入り件数が物凄くて驚きました、ご感想もいただいたのですが、返信の仕方が分かたなくてごめんなさい。ですがありがとうございます。

前書きではありますが、ここで言えることは、せんせいは同じような妖精さんの姿なのですが、彼女達とはまた少し違う。そんな雰囲気の妖精さんです。

さて、本日も誤字脱字及び矛盾点ありの可能性有です。恒例です。ご迷惑おかけします




叢雲として

 青い空に、たくさんの塊の雲が群れを成して空に彩を作る。

そこに、同じような。しかし似て非なるたくさんの小さな雲たちの群れを成す雲の事を、叢雲と呼ぶ。

 

同じような姿形をしていようと、それぞれ異なる個をもって生きている。それだけは、忘れてはいけない

 

「だからっ。そこは違うって言ってるでしょう!」

 

「ご、ごめん叢雲。直ぐに修正するから」

 

 本日の秘書艦担当は叢雲。他、龍驤及び大淀明石鹿島教官は出撃演習。

提督候補生である私は、相も変わらぬ大量に増えてきた紙との闘いを繰り広げている訳で。

 

「そっちの出撃報告書。こっちに回しなさい、私のほうでもできるから」

 

「すみません。ありがとう叢

雲」

 

「別に、これぐらい当然よ」

 

 ほかの子とかなり異なって、自分の出来うる事は完ぺきに仕上げようとする完璧主義者のような存在で。

あの大淀も彼女の働きには何か勉強になるところがあるらしく、時々私から活動報告を受けている。

 

・・が、私からすれば

「・・・・」

 

なんとも息苦しそうな生き方をしている。と思ったりはしていた。

 

「最近は遠征に出撃・・装備の作成といろいろできるようになってきてるから・・中々大変ですね」

 

「そりゃあそうでしょう?私もあなたも。そういったことを訓練するためにここにいるんだから」

 

 そりゃそうだ。もちのろんだ。もうなんもいえないというのはこのことだろう。

 

「ま、それでもよくやってると思うわよ。あの子たちも」

 

 秘書艦の机で事務作業をしている彼女を横目に見ながら、私は口を開く。

 

「君もですよ。叢雲。」

 

 おそらく、この中で一番頑張り屋は彼女であることは間違いない。というのも、早朝からの自主練や、夕方から夜にかけての鹿島教官を用いての夜戦演習など、様々な訓練を彼女から望んで行っているぐらいだ

 

「私は・・そんなことないわ。」

 

 その時ふと気になって、私は彼女の表情を垣間見るように書類の間からちらりと視線を向ける。

 

「・・・!」

 

その時、彼女の表情は、外の天気には不釣り合いな程に、暗い表情を一瞬だけ浮かべているのを私は見てしまったが、その時の私は、声をかける勇気が、その時の私にはなかったー

 

・・・・。

 

「ねえ、提督候補生」

 

「どうしましたか?」

 

書類にペンを走らせ、その内容をパソコンを用いて記入していったりという事を行っている最中。珍しく叢雲から声がかかるも。私はそのまま作業を続行しつつ話を聞く

 

「・・・あなたは、姉妹とか。兄弟っているのかしら?」

 

「・・?突然ですね。生憎ながら私は一人で・・兄弟は居ないですね」

 

「・・そっ。それじゃあわからない・・・わよね」

 

「・・・?」

 

 そう言って、彼女は口を開くことはなかった。

 

 

 

・・・だけど。この時私はもっと。彼女の言葉の意味を汲み取って理解してやるべき・・だったんだ。

それが、彼女なりの”サイン”でもあり、彼女なりの”心の言葉”だったんだと。

 

「ほら。終わったわよ。他にもあるんでしょう?」

 

「早いですね・・。それじゃあこれを。終わったらあとは僕が仕上げますから」

 

「了解したわ。」

 

 そういって私は書類を手渡し、彼女は背を向けて秘書艦の作業机へと戻っていく。

 

(さっきの言葉の意味は・・一体何だったんだろう?)

 

気にはなるものの。私にも成さなくてはならない書類があるために、思考をここでいったん放棄し、再び作業に取り組み始めてしまう。

 

 

・・例え、どれも同じような見た目をした雲でも、一つ一つ。色や形は異なっていて。それぞれの個性を持っていて、”叢雲”もまた、例外ではなくてー

 

・・・・。

 

 彼女の涼し気な横顔を時折見ながら、私と叢雲は二人、お互いに業務をこなしていって、気が付くと昼下がりの夕方。あと少しで本日の作戦行動は終了するー。

「・・ねえ提督候補生。ちょっと良いかしら」

 

「はい。どうしましたか?叢雲」

 

顔を上げると、そこには叢雲が立っていて、私をまっすぐ見つめている。

 

一体何だろうかと思っていると、彼女はじっとこちらを見据えてー

「今日の秘書艦の業務。先に抜けてもらわせても良いかしら、少しやり残したことがあって」

 

「やり残したことですか?といっても書類等はもう終わっていますが・・」

 

”個人的な”よ。と言い残し、彼女はゆっくりと提督室の扉へと歩いていく。

「それじゃあ、お先に失礼するわ。・・またね」

 

 ガチャリと扉が閉まる音。そして足音がゆっくりと遠のいていく気配を感じつつ、私は首をかしげていると

「ぱんぱかぱーん。」

「わいはー」

”・・・ひょこっ”

 

一体どこに隠れていたのか。気が付いたら机の上に妖精さんズがいて、まぎれて”せんせい”も居る。

「はじめましてですていとくさん」

「はじめまして・・?僕と君は初対面なのか・・じゃなくて。僕はまだ提督候補生だよ。」

 

そーなのかー。といった表情をしてるが、本当に理解して・・いるんだよね?きっと大丈夫だろう

「もしもし、ていとくこーほせーさん。これであってるです?」

「ん。正解。それでなんだい?妖精さん」

 

私は机の上の書類をトントンとまとめて、封筒の中にしまい。鹿島教官宛ての箱の中に入れて、業務を終了させた。

 

「わたしはむらーのあいぼーです」

「ぼくはむらーのろんぎぬすー」

 

「む・・むらーって。叢雲のことか?」

 

「「ぱんぱかぱーん」」

 

・・・なるほど。続きをどうぞ

 

「むらーがいません」

「どっかいったみたい」

 

「・・・は?どっかいった?」

 

 ・・・確か鹿島教官から教えられた授業内容では。装備には必ず妖精さんを伴い出撃、または。妖精さんの力や思いといった念を装備に振りかけてから出撃するのが艦娘たちの儀式のようなもの。らしい

 

それは、必ず戦勝し、この港へ無事に帰ってこれるように。という彼女たちの祈りから始まった事らしく。

実際にそれは効果を発揮しており、轟沈数は減ったという活動報告も出ているという説明を受けた

 

しかし、彼女は今先ほど扉を出て、やり残したことがあるといってこの部屋を出たばかりだぞ・・?

 

一体どこに行ってしまったのだろうかと思っていたその時だ。

 

「優月さん!!!大変ですっ!!!叢雲ちゃんの装備が一式ありません!!!」

 

扉を破る勢いで入ってきたのは、鹿島。龍驤。そして大淀に明石の4名でー

「あ、あの。私は偶然捕まえられたといいますか~・・」

 

「でも明石、あなたさっき海上を滑っていく叢雲ちゃんを見たって言ってなかったかしら?」

 

「そ、それはそうなんですけどっ」

 

 皆それぞれどこか落ち着きがない様子に、私はいったん深呼吸をしてから、彼女たちを見る。そしてー

 

「教えてください。何があったんですか?」

 

・・・・・。

 夕方の波止場。しかし、もう太陽は海に沈みかけており、もうじき夜が訪れようとしている

「・・・はっ・・・はぁ・・っ・・」

 

 そんな中、ライトを片手に一人、走り回る青年と。そんな青年の肩に乗って周りを見渡す”せんせい”が一匹

 

「叢雲ーーーっ!どこにいるんですかー!反応してくださーーい!!」

 

 荒い息継ぎをしながらも、大きな声で彼女の名前を呼ぶ。しかし、反応はない。

 

上空を龍驤が放った艦載機が翔けていき、海上には探照灯を持った艦娘達が必死の捜索をしている。

「叢雲・・一体どこに行ったんだ・・?」

 

 

・・・・。

「つまり、出撃から戻ってきて、装備保管室に入ったところ。叢雲の装備が一式なくなっていたと」

 

そんなどっきりめいたことをするよいな子ではないのは、鹿島が一番よく理解しているのだろうし、私がそういった指示を出すはずがないというのも、理解していたようで。

 

「緊急性を伴う事例だと思い、慌てて優月さんのところに戻りかけていた時に、偶然明石さんとも出会って」

 

 

 

・・・・【少し前】

 

「優月さんが夜戦の出撃指示を出す訳がありません、これには何か理由があるかと・・!」

 

「そう言うても鹿島さん。まだ決まったわけじゃないんやろ?叢雲だってもしかしたらただ装備を・・訳ないか・・しかしなぁ」

 

「とにかく今は提督候補生にいったん確認を取るのが先決かと思われます。おふたかた」

 

 3人は廊下を足早に歩き、角を曲がり、提督室を目指しているとー。

 

・・・。

 

「ふぅーっ。今日も中々いい汗かきましたねっ。はいっ」

 

「おふろはいりたいです?」

 

「あーっいいですねえお風呂!あとで一緒に入りましょう!妖精さんっ!」

 

「あいあいさーっ」

 

 意気揚々と私と私の艤装にくっついている相棒でもある妖精さんをは、廊下を歩きながら手に持った書類をまじまじと見る

 

 (書類もばっちりですし!あとは提督候補生さんにこれを届ける・・だけですねっ)

 

あの日から、彼と少しずつ会話を増やしていき、彼の言う通りに”慣れていこう”としている訳なんですが。

 

(緊張は大分ほぐれてきたんですが・・少しどこか気恥ずかしさはありますね・・・)

 

 これもすべて、大淀と提督候補生さんの感謝の極みですね。はいっ…ですがー

 

「だけど提督候補生さんも不思議な人ですね~。」

 

「ふしぎー」

 

「えぇ。今から叢雲ちゃんは夜戦演習でしょうか?流石に出撃・・というのもあり得ないですし。焦って飛び出して行ったような…?」

 

(そういえばそんな項目今日の内容に記載されてましたっけ??。すこーしひっかかりますね)

 

まぁこれは提督候補生さんに聞けばいいとして。と思考を切り替え、歩いているとー

 

「おや、あの後ろ姿はー・・」

 

「てきかんみゆでありまして?」

 

「違いますよっ。敵艦ではありませんね~・・っ。あれは大淀に鹿島さんに龍驤さんですねっ」

 

前方に見えるのは本日出撃演習を行っていた大淀に鹿島さん。そして龍驤さん・・ですが、何か様子が変。どこか焦っているようにも見えます?何かあったのでしょうか?

 

「どうしたんでしょうか」

 

「とらぶるのかのうせいあり?」

 

「かもしれませんね。声をかけてみましょうか。おーいっ!どうしたんですか~?」

 

 私の声に反応したのか。3人はこちらを見たと思うと慌てて駆け寄ってくる。その様子はやはり焦っているようにも見えますね~

 

「明石さん!ちょうどいいところに!!」

 

「ほんまに、ナイスタイミングってやつや!」

 

「あなたもこれから提督候補生に報告でしたか。ちょうどよかったです。叢雲ちゃんを見かけませんでしたか?どうやら見当たらないようなので」

 

「叢雲ちゃんでしたら、先ほど海上を滑っていくのを見えましたよ~?なにやら慌てていたようで、なにかあったんですか?」

 

 私がそういうと、3人の表情は見る見るうちに驚愕へと変わっていく。

 

「こうしてはいられません!!!!早く優月さんのところに!!!」

 

「って!こらーっ!廊下ははしっちゃあかんてー!って!あんた練習艦ちゃうんかー!!」

 

「明石、あなたも来てください。時は一刻を争いますから」

 

「へ?私も・・?って、ひっぱらないでくださいー!!!!」

 

 

4人の艦娘が慌てふためく最中(さなか)。一匹とりのこされた妖精さんはー

 

「とってもでんじゃらすかと」

 

・・・やはり妖精さんは個性豊かである。

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