この屋敷に引っ越してから暫く。朝や夜はすっかり冷え込み、二度寝が恋しい季節……だが、我が屋敷にはそんな神の恵みとも呼べる二度寝を脅かす脅威が巣食っていた————
「えー、では『第1回チキチキ幽霊対策会議』を執り行う。意見がある者はどんどん発言を」
「はい!」
「はい、クリスさん早かった」
「
「今後クリスは発言を控えるように。他には?」
「何故!?」
そう、それはまだ多少寝苦しかった日の朝のこと————
その日は前日の夜に宴会があり、常識人の俺は飲兵衛たちの介抱を任され、疲れて昼まで泥のように眠っていた。
「ふあぁ……よく眠れた」
目を覚ました俺はまだあまり慣れない部屋を見渡し、クローゼットの中から着替えを取り出して……ふと、何かの視線を感じて振り向く。
すると、化粧箪笥の上に置いてある西洋人形と目が合った。
(……あれ、確かベッドの方を向いてなかったか……?)
夜寝る前に人形を見たのは覚えている。その時に正面を向いていたような気がするのだが。
嫌な汗が流れる。心なしか人形にじろじろと観察されているような気がしてきて……
「うん、気のせいか」
自分に言い聞かせるように呟き、さっさと着替えを済ませる。普段よりも素早く着替えることができた。これも大きな屋敷に引っ越して来たことで余裕が出て来たんだな! うん! そうに違いない!
早くギルドにでも行こうと部屋の扉に手をかけた途端、どさっ、と何かが落ちる音がした。ひいっ、と情けない声が出てしまった俺を、誰が責めることができようか。
恐る恐る振り向くと、やはりというか人形が床に転がっていた。偶然にもこちらを向いて倒れたようで、またもそのガラスの双眼と目が合った。
正直触れたくもないところだが、このままにしておくのも気味が悪い。できる限り人形を見ないようにして、元の場所にうつ伏せの状態になるようにして置いた。これで目を合わせなくて済む……と、思いたい。
「本当に……ほんっとうにやめろよ……そういうの誰も望んでないからな……もっと気持ちのいい冒険活劇が見たいんだよ……なんで異世界くんだりまで来てB級パニックホラー見たいっつうんだよマジで……」
念入りに人形へと言い聞かせ、俺は部屋を後にした。くそ、ミツルギに文句言ってやる!
「あっ! 漸く起きてきましたか!」
すると、廊下で拭き掃除をしているめぐみんと会った。なんだか何時もより語気が強い。
「ん? めぐみんじゃないか。こんなに早くから掃除とは精が出るな、じゃ俺は急いでるから……」
「ちょっと待ってください! 幾ら私に腕相撲で負けたからと言って、こんな嫌がらせして恥ずかしくないんですか!?」
「はぁ? なんのことだよ。それと俺は断じて負けてない。お前が先に勝利宣言しただけで手の甲はまだ付いてなかった」
「見苦しい……! とにかく、この足跡の掃除は責任を持ってカズマさんがやるべきです! 当番だからと言って私に押し付けるとか最低ですよ!!」
「足跡……?」
床を見ると、なるほど確かに一面に足跡の汚れがびっしりと付いている。しかし俺は何もしていないので、他の誰かと言うことに……
…………
「なぁ、めぐみん」
「何ですか? 言い訳は後で聞きますからさっさと雑巾持ってきてください」
「この足跡、明らかに小さいんだけど……なんつーか、子供くらいの……」
「そんな……あれ、確かによく見たら私の足よりも小さいような……」
めぐみんは怪訝な表情で床とにらめっこしている。そう、明らかに子供のような足跡がそこら中にびっしりと……
「…………あっ、あぁ〜……えっと、実は私今日用事があるのでギルドに出かける用事が……」
「きっ、奇遇だなめぐみん! 実は俺もギルドに用事があったんだ! 一緒に行こうぜ!」
「そ、そうですね! 一緒に行きましょう! は、早くしなければ時間に間に合わなくなってしまいます! あははははは!!」
「ははははは!! 早く行こうぜ! ははははは!!」
早く、と気を紛らわせるように大きな声で笑い合う。
すると、背後から足音が。大声を出してしまったので誰か起こしてしまったのだろうか? だけど声もかけないなんて……
あれ、これまずいやつなのではと俺が言う前にめぐみんが振り向いて足音の主に話しかける。
「おや、ごめんなさい起こしてしまいましたか? 良ければ一緒にギルドに」
振り向いた先には誰もいない。ただ、ひたひたと言う不気味な足音と砂利の混じった荒い泥の足跡だけが少しずつこちらに近づいてきた。
「ひ……」
「し、喋るなよ……目も逸らしちゃダメだ……静かにやり過ごすんだ……静かに……」
生臭い風が俺とめぐみんの間を通り抜ける。足音が通り過ぎるまでの10数秒間は、まるで永遠の様に思え、そして足音が聞こえなくなった瞬間に俺たち2人はへたり込んだ。
「な、なんだったんですか今の? 何だったんですか今の!? 本当に怖かったんですけど!?」
「お、おちら、落ち着くんだめぐみん。もう早く行こう」
そうして立ち上がった瞬間———–
『オソウジシナクテイイノ?』
2人の耳元から、子供の無邪気な声が。
「「ぎゃああああああああああ!!!」」
そして今に至る訳だが……
その後も幽霊は屋敷の至る所に出現し、その度にクリスやクレアが一体一体浄化するという日が続いた。
曰く、こう言う屋敷にゴーストの被害はよくあることで、その類のクエストも数は少ないが普通に存在するらしい。
それで事態は収束するかに思われたが、何故か全く被害は収まることを知らない。
最初は脅かす程度だったゴースト被害も、徐々に実害が酷くなっていく。夜になると子供の笑い声がこだまするなどの睡眠妨害に始まり、朝になると屋敷中の窓に手形、歩いていると急に足を掴まれ転ばされる、何故か食事が急に冷たくなる、皿が飛んでくる等のポルターガイストetc……
この間はシャンデリアが急に錆びて落ちてきてクリスが頭を打って悶絶していた。
それどころか、理由は全く不明だが徐々に神聖魔法の効き目が悪くなり、今や高レベルであるはずのクレアの
クリスならなんとか浄化することができるが、彼女が屋敷に常時貼っている
そもそも女神であるクリスの神聖魔法が、結界系のものとはいえ効かないと言うのも相当おかしな話だ。かと言って、皆に女神エリス本人である事をバラすわけにも行かないので、この異常さを共有することもできない。
耐えかねた俺は、一旦全員を集めて会議を開くことにした訳である。
「まさかこんなことになるとは……
くそっ、自らのレベルに胡座をかいた結果がこれか。無力とは辛いものだな……」
普段より弱った風のクレアが呟く。
聞けば初心者時代にゴースト関係のクエストを何度も受けたという。普段なら簡単に対処できるものに対して無力だと言うのは情けない……と語っていた。
「……真面目に引っ越しすることを考えてみませんか? 居候の私が言うのも何ですが、ちょっと異常ですよ。この間カズマさんが本棚に潰されて死にかけてた時も、クリスさんが屋敷に居なかったら今頃……」
「で、でも流石にそんなすぐに引っ越すのはちょっと……」
「いや、めぐみんの言う通りかも知れない。流石に冒険者になって家具に潰されて死ぬのは嫌だぞ俺」
あの時は本気で死ぬかと思った。ベッドの下から血塗れの女がこっちを見つめてて、思わず跳びのいたらその先にあった本棚が急に倒れかかってきて……どこのピタゴラ◯イッチだよ。
「最悪私が屋敷を爆裂魔法で消しとばしてあげますよ。木っ端微塵にすれば流石のゴーストも出て行くでしょう」
「俺たちも住めなくなるじゃねーか!
……屋敷を爆破するのは流石にやめておくとして、実際引っ越しの事はちょっと考えてた。確かこの前クレアが借りてた借家でも5人くらいは住めると思う、どうだ?」
そう提案すると、普段はあまり我を通さないゆんゆんがえらく饒舌に語り出す。
「えっと、本棚の件はカズマさんの不注意もありますし、結果的に無事だった訳ですから。それにほら、流石に屋敷が勿体無いですので……その、都合よく他の宿が空いているとも限りませんし……」
「「「「……」」」」
「このお屋敷も別に自分たちで買ったわけでも無いので罪悪感も……? え、な、何です? みなさん私の方をジロジロみて……何でも無いですよ? 本当に……」
明らかに挙動不審気味なゆんゆん。どう考えても怪しい。
全員で目を見つめていると……ゆんゆんがさっと目を逸らした。
「ダウトだな」
「ああ。間違いない」
「確定ですね。ゆんゆんさん、後で部屋を捜索させていただきます」
「ええっ!?」
ゆんゆんは驚いているが、こんな事態になったというのにまだ
「ま、待ってください! 大丈夫ですから! メアリーちゃんもジェニスちゃんもジニーくんもすごく良い子で!」
「ふざけんな! 何が良い子だ!」
「これ以上やったら友達辞めるって言ったの忘れたんですか? ん? どうなんです? 紅魔の里に強制送還されたいんですかあなたは」
「ぴいっ! お、お願いだからそれだけは! ちゃんと私が責任持つから! 大丈夫だから!」
「うわまだ言ってる怖っ……もうこいつ手遅れだろ。いっそのこと修道院にでもぶち込もうぜ」
何とこの拗らせぼっち、あろうことか幾度となく部屋に幽霊を匿い、話し相手にしているのである。最初に発覚した時には『みんな私がお話ししてもちゃんと反応を返してくれる良い子達』とぬかしやがった。
部屋の浄化が終わった後、念の為にクリスがお祓いをしても何故か精神は正常だという判定が出た。
正常とは一体なんなんだ……?
「後生ですから! 後生ですから!」
「ダメに決まってるでしょうが! 飼うなら犬か猫にしなさい!」
「犬も猫も吠えるし噛むからいやぁ! 幽霊さんはみんな優しいの! 彼女たちは遊びのお誘いもしてくれるのよ!? 夜になるとみんなかくれんぼに誘ってくれるの! みんなすっごく良くしてくれるの!」
「連れて行かれかけてるじゃないですか……そもそも被害が出てるのによくもまぁ抜け抜けと……」
「よせ、かわいそうだがもう手遅れだ。俺たちの手の届かない遠くへ行ってしまったんだよ……」
「なんで死んだみたいな扱いに!?」
もうゆんゆんのことは一旦放っておこう……こんなことならめぐみんを仲間に加えておけば……
いや、それはそれで何だか悪い予感がする。無い物ねだりはやめよう。
「ですから大元を叩くのが一番ですって! 自らが天の法に逆らうだけに飽き足らず、無辜の魂を操り惑わすなど言語道断!」
クリスは終始ベルディアさん黒幕説を提唱している。ゴーストが出た当初から一貫してこんな態度だ。
「ベルディアさんがそんなことするわけないだろ。動機もないだろうし……そもそも何で神聖魔法が効かないんだよ」
「そ、それは……でも確かなんです! その……アレです! 私の勘が言ってます! 間違いありません!」
クリスもゆんゆんと似たり寄ったりの重症だ。なんでこの連中、どいつもこいつも人の話を聞かないんだよ……
「……確か、魔王軍のアンデッドや悪魔には神聖魔法が効きづらいって聞いたことがあるな」
「は? 魔王軍?」
ぼそっとクレアが不穏なことを言う。
「何ですって!? やっぱりそうですよカズマさん! あのクソ蛆虫ヘタレ野郎は魔王軍に所属していて、正攻法で私を倒せないからって嫌がらせに走ったんですよ! 間違いない! 何と卑劣な!」
「そんな! そんなはずはありません! ジニーくんはイタズラ好きとは言え根は優しい良い子ですし、何よりあの引っ込み思案で大人しい性格のアイリーンちゃんが魔王軍に与しているなんてそんなこと……!」
「ええい埒があかん! なんでお前ら人の話を全然聞かないんだ!」
流石にこれ以上話し合いをしても意味は無いだろう……唯一冷静そうなクレアも何か具体的な案は出せそうにないし……
パリン……
……どうやら食器の一つが独りでに割れたようだ。退治なんて考えるな、という意思表示だろうか? 反射的にクリスがターンアンデッドをぶちかましていたが。
「はぁ……俺はちょっと情報収集に出てくる。めぐみんはゆんゆんを見張っててくれ。クリスとクレアはゆんゆんの部屋のお祓いを頼む」
「待って! お願いだからやめて! 私からみんなを奪わないで————–!」
悲痛なゆんゆんの叫びを背に、俺は屋敷を後にした。
そうして俺はベルディアさんの店に来た。
魔王軍がどうとか不穏な話もあったことだし、そもそも最初にクリスが言った通り
そうしてベルディアさんの店のドアを開けると、
「い、いらっしゃいませ……!」
栗色の髪が美しい、エプロン調の衣装を身につけた美女が、何やらぎこちない様子で俺を迎えてくれた。
「あ、ど、どうも……」
ベルディアさんに失礼かもしれないが、この無骨な店に似つかわしくないような女性。ベルディアさんの野太いイケボを想定していた俺は面食らって、コミュ障よろしく威圧されてしまった。————べ、別に俺は緊張なんてしてないからね?
「如何されました?」
「あ、いえ……その、ベルディアさんはどちらに……」
「————やあ、カズマくん……久しぶりだね……」
所在を尋ねようとした矢先、店の奥からベルディアさんが出てきたんだが……
「痛てて……今日は、どうしたんだい?」
「いやこっちのセリフっすよベルディアさん」
なんだか元気がない。若干窶れた風ですらある。椅子に座るだけでも痛てて、とか言っちゃうし。歳なんだろうか……アンデッドに歳は関係ないはずだが。
「怪我でもしたんすか?」
「えっと……うん、まぁそんな所だ。ちょっと火傷しちゃってな……ほら、アンデッドって火に弱いから。
あー……カズマ君は大丈夫か。ちょっと待ってな、紅茶入れてくるから……」
「いやほんとになにがあったんですか!? あとお構いなく!」
そんなことを言いつつベルディアさんは店の奥へと引っ込んで行ってしまった。
「火傷って言ってたけど……いや火傷ごときであんなになるか? 普通」
心配だ……と、そんなことを考えていた時。
「あの、少々よろしいですか?」
「え!? あ、はい」
あの巨乳の店員さんが話しかけてきた。
「えっと……はじめまして、ですよね? 私はこの店で臨時のアルバイトをさせていただいているウィズと申します」
よろしくおねがいします、と鈴の鳴るような美しい声で
よくよく考えたら不自然な行為であるが、美人に握手を求められて嫌な気分になるわけもなく、さっとその手を握り返し……
「あれ……」
「サトウカズマさん、でしたか? ふふ……」
冷たい、という違和感を覚える暇もなく。咄嗟に手を離そうとするも、既に体は自分の意思では動かさなくなっていた。
愉快な気持ちを隠さない美しい声と、貼り付けた様な笑顔がとても似合う彼女は……優しく、俺の手を軽く握りしめる。
「ち……から……が…………」
体が重い。手足の感覚が薄くなる。そして何より、思考に霞がかかったように何も考えられなくなっていく……
いし……き、が…………し…………ぬ………………
「【
手を握られてからたったの十数秒でカズマ自身の魔力は全て吸い尽くされた。
本来、カズマごときの魔力量ならば生命力を無理やり魔力に変換されて搾り滓となり死に至るまで一瞬すらかからない。
それなのにカズマが生きていられるのは、ウィズが手加減をしているからだけではなく、クリスがこっそり仲間に付与していた神聖属性の防御魔法があったからである。
「まぁ良いでしょう、元々殺す気は無かった訳ですしね。ふふ……貴方の命は一滴残らず私が利用させてもらいますからね……」
————それを含めてさえ、カズマが耐えられるのは数秒が限界だったのだが。
ベルディアが紅茶を注いで戻ってくると、土魔法で手足を拘束されたカズマが床に転がっていた。
「おまたせ……!? おい、何を……!?」
「あ、ベルディアさんありがとうございます。貴方があのクソ忌々しい女の一味を誘き寄せてくださったおかげで有利に立ち回ることが出来そうです」
笑顔でベルディアに語りかけるウィズ。なんだか昔のイケイケだった頃の様な危ない雰囲気を醸し出している。
「いやそんな事をした覚えは無い! マジでやめとけって! 報告するだけの情報は集まったろ!? なんなら俺が
「いーやそれだけじゃ足りませんねっ!」
「えぇ……」
憤慨した様子のウィズは最早聞く耳を持たない。
「絶対に私があの一味を始末してやりますとも! 神は信者と共依存の関係にありますので、このカズマという冒険者は確実に切り札となり得ます! 爆弾でも仕込んで家に帰せばそれだけで……!」
「やめろやめろって! 第一本当に彼女が女神エリス本人ならそんな爆弾程度効く訳ないし、
「む、そう言われればそうですね。なら人質としてええええええええええええええええ!!!!!!」
「いや、だからああああああああああああ!!!!」
そうして話をしていると、最早日課となった極光がベルディアの店を包み込んで———————
そして、数分後。
「いたたた……? ウィズ? おいウィズ!?」
「……」
いつの間にか制服から紫のローブに着替えていたウィズは、無言で店の商品を幾つか物色する。
ベルディア曰く、その顔は氷像のように美しく、また能面の様に何処か恐ろしさを秘めていたという。
そして数時間後のカズマ邸。
「それにしても遅いですね、カズマさん」
「ああ、そうだな……もう先に食べててもいいんじゃないか? あいつの自業自得だろ」
仲間の彼女らは夜が深くなっても帰らないカズマを心配していた。
「うーん、確かに遅いですね。
「そうですね。どうせ宴会にでも巻き込まれてるんですよ多分。そんな男より私のハンバーグを優先することは間違っているだろうか? いや間違っていない」
「めぐみん……ちょっとは心配してあげようよ……」
「あっ、おいしい! 今日の当番はクリスさんでしたか! いやー、流石クリスさんのご飯はいつも美味しいですね! ゆんゆんと違って」
「もう食べてるし……今なんて言ったの?」
「あっ、こら! 先にいただきますしてからだろう! 全く……では私もいただきます。うん、おいしい! 流石クリスさんの手料理、絶品だ! 仕方ないからカズマの分もみんなで分けて食べよう! 仕方ないからな!」
「あっ、私のハンバーグ!」
「カズマさんのでしょ!?」
心配していた。少なくともゆんゆんは。
「それにしても今日はやけに静かですね。普段はもっと家鳴りとかラップ音がそこら中から聞こえるのに」
仕方ないので先に夕飯を食べ始めた4人は、屋敷に住まう幽霊の話を始めた。
「確かに……クリスさん結界かけ直しました?」
「結界は毎日かけ直してますけど…………
…………?」
「幽霊が大人しいと寝てる間が少し怖いよな」
もう完全に慣れてしまった幽霊について話していると、ふとクリスが何かに反応する。
「この感じ……」
「……? どうしましたクリスさん」
「急に上を見上げて……どうしたんですか?」
「フッ、ゆんゆんには
「めぐみんには聞いてないよ!」
「ッ!? 拙い!」
「ひゃあっ!?」
珍しく大声を上げ、急に立ち上がるクリス。そうして空に向かって手を伸ばし———
「
かなりの魔力を込め、防御魔法を放った。
瞬間、屋敷全体を揺らすほどの轟音が響き渡る。
「えっ!? えっ!? な、なにこれめぐみん!」
「わ、私に聞かないでくださいよ!
……あれ、もしかしてこれ……爆裂魔法?」
「「え?」」
爆裂魔法。魔法の頂点と呼ぶ者もいる程の、最大にして最強の魔法。恐らくはこの街で使用できる
そんな究極の威力をもった爆裂魔法がクリスの魔法防御に阻まれ、
その日、アクセル郊外の屋敷は瓦礫の山となった。
「うひゃああああ!? えっ!? 何!?」
凄まじい爆音で、今まで呑気に意識を失っていたカズマは目を覚ました。
「あれ、確か俺、ベルディアさんの店で……
いや寒っ。は? なんで外?」
「……起きたか、カズマくん」
「うおっ、ベルディアさん?」
起きるとそこはベルディアの店ではなく、何処かの茂みの影だった。空はすっかり暗くなり、夜の風が身体を容赦なくカズマの体を冷やす。
そして、周りを見渡すと……
「あっはははははははは!! ザマァ見ろクソ女ァ! 何が偵察よ、もう任務も何も知らないわ! 全力でぶっ殺してやる! あはははははははははははは!!!!!」
「……」
「……」
狂った様に笑う、ベルディアさんの店にいた店員さんが…………ん?
「え、あれもしかして…………」
俺の家……?
このファン面白いですね。攻撃が当たらないダクネスとか爆裂魔法を撃ったら戦闘不能になるめぐみんとかゴッドブロー耐性があるカエルとか……
はい、このファンの勢いで更新しました。スイヤセン……