右足、左足、杖の3つの足でぐらつく身体を支える。まだ身体が頭についてきてくれないからか、力が入らないし、足元もヨタついて歩くのもままならない。
「ふぅ、ふぅ……。あっ……!」
「危ない!」
脚がもつれて転びそうになったところを、駆け寄ったエルフナインちゃんに支えられて事なきを得る。このところ、ずっとこの調子だ。
「今日はこのくらいにしましょう」
「分かった。それとごめんね……。まともに身体を動かすこともできなくて……」
「気に病まないでください。寧ろこの程度しか直せなくて申し訳ないです」
「いや、ジャンク品でここまでの物を作ってくれたのだから有難いよ……」
前の戦闘で大破した身体を折角直してもらったのに、戦うどころか足を1本増やさないと身体を動かせない体たらく。早く脱却しないといけないのに、10日前からちっとも進歩していない。
早く前みたいに動けるようにならなきゃ、響を探すのもままならないというのに……。
「イタタタ……」
靴を脱ぎ、杖を手離して、寝泊まりしている山小屋の床に倒れ込む。疲れが出て体が熱くなり、手足が痛み出した。タチの悪い病気にでもかかったみたいだ。
このままではたまらないので、改造した原子炉を繋げて動かした製氷機から井戸水を冷やして作った氷を盥にぶち撒け、その中に顔を突っ込む。
「熱い……」
歩いただけで熱が出る。ガングニールの侵食が酷くなった時の響よりも酷い状態だ。あそこまでの熱は出していないかもしれないが、日常生活すらまともに送れない身体になっていなかった事を考えると、あちらの方がまだマシかもしれない。響からすれば、とんでもない事だったのは言うまでもないけど。
「死ぬ可能性が高かった響の方が危ないか。いや、こっちも今はエネルギー量をめちゃくちゃ上げてるから、似たようなものかな……」
今後のことを考えて、動力炉を増やしたからエネルギー量は以前よりも増えている。でも肝心の動かす部分が、ジャンクパーツの組み合わせだから、パーツが耐え切れていないのかもしれない。
「エルフナインちゃんと相談しておかないと……。そういえばあの子……」
盥から顔を上げて外を見やる。近くの倉庫に何か取りに行っていたが、あそこにあるのはガラクタばかりで、大した物は無かったような……。でも余程気に入ったのか、よくあそこに入り込んでいた。
ただ私がついて行こうとした時、頑なに寝ていてくれと言われたのが気になるなぁ。まるで前日に用意した誕生日プレゼントを見つかりそうになった人みたいだった。
氷がぬるま湯になり、体が少しばかり冷えてきた時に、エルフナインちゃんが手に何か抱えて帰ってきた。
「おかえり」
身体を起こして出迎えると、掘り出し物を見つけたかのような喜色満面のエルフナインちゃんが、夏によく見かける物を私の目の前に置いた。
「ようやく直りました」
「これ……、カキ氷機?」
かなり年季の入った物のようだけど、削り出し用の刃は新品に取り替えられていた。
「未来さん、カキ氷はお好きでしょう?」
「うん。大好物だけど……、それがどうかした?」
「カキ氷で身体の中から冷やしてもらおうかと……。それに今日は未来さんの誕生日ですからね。そのプレゼントも兼ねてます」
「今日がそうだった?」
時計を見てみると、たしかに11月7日と日付の欄で指してあった。
「本当だ。わざわざありがとう」
「もっといい物を用意したかったのですが……、今ある物だとこれが精一杯です」
「これで十分」
こうして久々にカキ氷を食べることになった。誕生日プレゼントでもあるからとっても嬉しかったのだけど……。
「冷えてきちゃった……」
削られた氷を頬張るうちに、段々と体が寒くなってきた。エルフナインちゃんはおかわりを一生懸命に作っているのだけど、それに反比例して食べるスピードが遅くなっていく。
「まだまだ沢山ありますから」
「う、うん。ありがと……」
せっせと私の為に氷の山を築いていくのを止めるのもなんだか悪くて、そのまま私を2人は裕に冷やせるほどのカキ氷を平らげることになったのだった。
如何でしたか。
少し遅れてしまいましたが、未来の誕生日記念のお話です。