繋がるか不明ですが、こうなって欲しいです。
休みの日の夜中の2時に響を起こさないようにそっと起き出す。私にしかできない楽しみにしていることがあるからだ。
「明るいうちにはできないからね…、こんなこと…」
響を起こさないようにしながら、楽しみの準備に取り掛かった。
アロマキャンドルを付けて、落ち着くことが出来そうなジャズを流す。服も寝間着ではなくドレスに着替えて、化粧をし髪型もセットしておく。寝間着だと雰囲気でないからね。
用意していた冷えたグラスに氷を入れて、貯金をはたいて買った取って置きのスコッチ・ウィスキーを注ぐ。
「ふふ、大人の特権ってやつだね。まあ、普通の寮暮らしの女子高生がこんなことしたらえらいことになるけど、私は一足先に歳をとっちゃったし…」
見た目は全く変わらないのだけど。
「ふぅ…」
グラスを傾ける。ああ、やっぱり美味しい。こうやってウィスキーをゆっくり飲める平和な時間がなんといいことか。ちょっと前までこうはいかなかったしなぁ。
「本当ならバーとかで飲みたいんだけど…、まあ卒業するまで我慢我慢と…」
再びグラスを傾ける。
「イギリスには少々トラウマがあるけど、ウィスキーにはそんなものないからね。今度はジンも飲みたいな。そういや…、ジン売場にヴィクトリー・ジンが売っているのを見つけてギョッとしたなぁ。たまに夢に出てくるんだよね、オセアニア…」
ハンナさん、元気かなぁ。とんでもない目に遭わされたから、オセアニアには二度と行きたくないけど、あの人にはもう一度会いたい。
少し物思いにふけっているとグラスの中の氷がカランと音を立てた。それと同時に後ろから声がした。
「未来…、何してるの…?」
振り返ると響が寝惚け眼で立っていた。起こしちゃったかな。
「何飲んでるの…」
「これ、スコッチ・ウィスキー」
「ああ、なんだ。ウィスキー…、ウィスキー?って、ええぇぇぇっ⁉︎」
「ちょっと響、声が大きいって」
「いやいや、駄目だよ未来!まだ私たち未成年!お酒は20歳になってからだって!」
「響…、私、見た目はあれだけど一応、今20歳なんだけど…」
「へっ?あ、あー、そうだったね。ごめんごめん」
「いいよ、それよりもさ響。響も何か持ってきて飲まない?」
「そうしようかな」
響が冷蔵庫からオレンジソーダを取り出してこっちに来た。一人で飲むのもいいけど、誰かと一緒に飲むのもいい。相手が響なら尚更だ。
「それにしても、未来…」
「なあに?」
「ウィスキーって美味しいの?私は飲めないからさ、ちょっと聞いてみたくて…」
「美味しいよ、そうでもなきゃ料理に使うだけだよ。どう、一口飲む?」
「いや、いいよ。出動がかかるといけないから」
「それじゃあ、もう少し時間が経ってからお休みがもらえたら、その時一緒に飲もう。約束」
「わかった。約束だよ」
また一つ、楽しみが出来た。
その楽しみが実現するために、世界が凪の海の如く穏やかになりますように。
二人がこうしてゆっくり出来ることを切に願います。
ちなみにこのウィスキーは料理用として台所に常備してあります。
こうしたお話をまた書いてみたいものです。