非常に良い言葉なのですが、時と場合によっては残酷な言葉にもなってしまいます。
「矢張り無理みたいです、未来さん。貴方の体を元に戻すのは…」
エルフナインちゃんが申し訳なさそうに言った。やっぱり駄目なのか…。
「元の臓器か細胞のデータがない以上、再移植も難しいでしょうし。何より未来さんの身体は細胞から手が加えられていますから戻すのは、まず無理です」
細胞から変えられてるからか…。それじゃあまあ無理だよね。できれば人間に戻りたかったけど…、本郷さんが言っていたように人間のフリをして生きていくしかないか…。仕方がない。人間として生きていくのは、諦めるか…。
「わかった……。エルフナインちゃん、忙しいのにわざわざ調べてくれてありがとう」
エルフナインちゃんの研究室を出る。どうしたものかな。響にはとても言えない。あの子は必要以上に責任を感じる子だから。だから隠しておくのが一番いい方法なんだろうけど、隠し事をしないことにしているし、それに去年、響が装者をしていることがわかったときに、あんな態度を取ってしまった手前、そんなことはしにくい。どうしたものか。でも話したら話したで、自分の身体から必要なものを取っていいからなんてことを言い出しかねない。極端な話だけど考えられなくもない。
「人間として生きていくのを諦めるのも…、中々大変だなぁ」
伝えるのに苦労する相手が響や一緒に行ったクリスとマリアさんくらいしか居ないのが、不幸中の幸いかなぁ。今の私にはライダー達と同様、血の繋がりのある人が全くいないし。そういえばあの人達、不幸中の幸いなのは家族を狙われる心配がないことだって言ってた。その家族がそもそもいないからだって……。
「どうしたものかな」
人間でなくなったらなくなったでこの始末。良い手が考えつかない。
「……という事なんだ」
結局、いい方法が出ないので、全部話した。下手に隠した方が後々厄介なことになるからだ。
「じゃあ…もう未来は……、人間には……戻れないの?」
「残念ながら…、人間として生きるのは、諦めるしかないみたい…」
「そんな……、未来、ごめんなさい。あの時、未来を止めていれば、こんな事にならなかったかもしれないのに…」
「いや、どこにいようと同じ事だったと思うよ。どっちみち神獣鏡が使えるって事で遅かれ早かれ私は攫われていただろうし。それにね…」
何か言おうとした響を手で制して話し続ける。
「私は人間では居られなくなった。でもね、だからといって小日向未来として居られなくなった訳ではないんだ」
「未来は未来のまま?それはそうだけど…」
「そこが無くなってしまえば、私だってたまったものじゃないけど、そうなったわけじゃない。人間で居られなくなるだけで済んだのだから、これ以上何か言うこともないよ」
「未来、未来はそれでいいの?」
「外見は人間だった頃と変わらないでしょ。どう?私が機械で出来た怪物に見える?」
「見えないよ…。前と同じ未来のままだよ。ちょっと年をとったみたいだけど…」
それは一番言われたくなかった。そっちの方が気にしているのに。年を誤魔化しているから老けて見えるのも無理ないけどさぁ。今夜、寝る時に全力で抱きついてやろうかな。
「ほとんど変わらないでしょう。私は私のまま。だから響が責任を感じることないよ」
「う、うん」
まだ納得しきれてないな…。ならば…。
「それじゃあ、響。どうしても責任を感じるのなら、その分人助けをして。それならば、もしかしたら私みたいな目に遭いそうな人を助けられるかもしれないでしょ。第2、第3の私を増やさないで」
「人助けを…、わかった…。そうすれば未来のようにならないで済む人も出てくるかもしれないしね」
多少はしこりがあるみたいだが、飲み込んではくれたみたいだ。
如何でしたか。