陽だまりシリーズ:小日向未来<外伝>   作:ヨザリイコイ

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響18歳の誕生日です。


飛蝗無双

 私の18歳の誕生日のお祝いは、私の部屋で行われた。

 調ちゃんの料理が並べられて、都合がつかなかったマリアさん以外の装者の皆も来てくれた。でも未来は、私の陽だまりは……、5ヶ月前に「探さないでください」と書置きを残して、何処かに行ってしまった。皆で探したけど、結局のところ足取りも掴めずじまい。

 心配のしすぎで、素直に楽しめなかった。

「未来、今頃どうしてるかな……。今夜は流星群が見られるから、一緒に居たかったのに……」

 窓辺に立って落ち込んでいると、インターホンが鳴った。

 調ちゃんが開けに行った後、妙な音が聞こえた。誰かが暴れている音。しかも尋常じゃないもの。

 調ちゃんがドアを開けて部屋に逃げ込んだ後で、それを追った無法者が姿を見せた。その姿は、一番この場にいて欲しかった人のものだった。

「み、未来」

 私の陽だまり、小日向未来がギアを装着して飛び込んできたんだ。

 

 

 

 

 

 

 皆、ギアを装着して外に飛び出した。未来もそれを追って、窓から出てきた。

「おい! 一体どういうつもりだよ!」

 クリスちゃんが怒鳴ったけど、全く意に介した様子を見せない。それどころか、アームドギアをこっちに向けて攻撃しようとしている。一体、どうしたの? 

 しかし考えている暇はなく、急いで散開する。間髪いれずに太い光線が撃ち込まれ、地面が抉られた。

「未来! こんな所で暴れたら、関係ない人まで傷つくよ!」

 私の呼びかけにも反応せず、未来は黙ったまま。またアームドギアに光線を集めて、こっちを攻撃しようとしている。この様子、もしかして誰かに操られているんじゃ。

「神獣鏡を最初に装着して暴れている時みたい……」

「確かに周りの被害を考えずに大暴れしているのは、似ているデス」

「それじゃあ、あの時と同じ方法を使えば……!」

 未来を助けられるかも……と思ったが、翼さんは首を横に振った。

「いや。あの時と同じ方法だと、小日向の心臓と化している神獣鏡を吹き飛ばしかねない。おまけに体内の原子炉を壊す事になる。これはこれで被害を出してしまう」

 そうだ。未来の体は、少し前の私よりも厄介な構造になっていたんだ。その時の私を人工的に再現する為に実験台にされたらしいけど……、同じ方法で助けられるようになってないなんて。

「打つ手なしかよ……」

 こちらが攻めあぐねていると、未来が急に姿を変えた。向こうの世界で使ったというエクスドライブモードに。手に持っていたアームドギアを円盤にして、未来が空高く放り投げた。何をするつもりだろう。

「不味い!」

 翼さんが巨大化させた3本のアームドギアを斜めに突き立てた。

「数が増やせないのと地面に平行に立てられないのが残念だが」

 どうやら空から光線を撃ち込む気らしい。でもエクスドライブモードともなると天ノ逆鱗で防ぎきれるかは難しいと思う。翼さんも苦い顔をしている。

「このままじゃ、ジリ貧デース。ダサい作を練らないと……」

「切ちゃん、それを言うなら打開策……」

 打開策の打ち出しようがない。師匠辺りなら何とかなりそうだけど、ここに来るまで時間はかかるだろうし。どうすれば……。

 そうこうしているうちに空の一点が紫色に光り、光線がこちら目掛けて突っ込んできた。その時だった。

 未来のアームドギアと同じ円盤が、飛んできて光線を弾き飛ばした。

 アームドギアが飛んできた方角を見ると、アパートの屋上に黒と紫のツートンカラーの飛蝗を人間にしたような怪人が立っていた。

「おいおい! なんか妙な奴が出てきたぞ!」

 飛蝗人間は、こっちをチラと一瞥した後、自分の方に向かってきた未来と戦い出した。

 武器を持っている未来に対して、飛蝗さんは素手だ。でも左手で叩きつけられたアームドギアを軽く受け止め、左胸に右腕でアッパーカットを叩き込んでいた。

 数発撲りつけた飛蝗さんが、未来を放り投げて欄干に叩きつけて、距離を取った。

「変身」

 急に飛蝗さんの姿が変化した。

 そしてその姿は……、神獣鏡を装着した未来だった。ただバイクのライダーみたいな見たことのない形のもの。

「アーマーパージ」

 足のスラスターを取り払ったライダーは、起き上がった未来の顎を蹴り上げて飛び上がり、続け様にお腹に回し蹴りを食わせて貯水タンクに叩きつけた。

 アームドギアをライダーに向けるもそれをひょいと取り上げられて、未来は防戦一方になっていた。悪足掻きで足から出したデバイスで攻撃するもライダーは構わず前進してくる。

 とうとう万策尽きた未来が逃げ出そうとした。しかしライダーが飛びかかってがっちりと未来の体を掴んだ。

 そのまま飛び上がり、身体を独楽みたいに回転させてから放り投げた。

「ぐえっ」

 受け身が取れず、地面に叩きつけられた未来。その上にライダーがのし掛かり、左胸に右手をつぎ込んだ。

「うっ……」

 そのまま中から神獣鏡を引きずり出して、握りつぶしてしまった。未来は、息絶えていた。

 

 

 

 

 

 

 飛蝗ライダーは、私達が引き止めようとすると、何も言わずに何処かへ行ってしまった。この後用事があるかのように、急いでいた。

 それとあの未来は偽物だった。身体の中がほとんど生身の人間と同じで、ナノマシンもなかったことから、クローンか何かじゃないかと考えられている。

 あとこの事とライダーの姿や様子から、ライダーは未来本人と見ていいという事で、S.O.N.G.で行方を探す事にするらしい。

「未来。私達を助けに来てくれたんだ……」

 無事だったのは嬉しかった。でも……流れ星を一緒に見られそうにないのは、残念だ。

 星の降る丘に1人向かって流れ星を見に行く。

 丘に着くとそこには先客が居た。私に背を向けて立っている。あの時のライダー、いや、未来が立っていた。

「未来、流れ星見に来たの?」

 こくりと頷く未来。ゆっくりと振り返り、こう言った。

「この日だけは、日本に帰らないわけにはいかないから……」

 




如何でしたか。
今日が翼さんの誕生日なので、彼女の誕生日にすべきだったかもしれません。なれどそれに未来を絡ませるのは、少々難しいので響の誕生日としました。
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