新しい家族の義妹のねね(陳宮)と張々(犬)が出来て早1ヶ月。今日も元気に俺の故郷である幽州・遼西郡を目指して北上していた。
「兄上は妖術士なのですか?」
「どうした?藪から棒に」
「いえ、何も無い所から『ふぁいや』とか『うぉーたー』とか唱えると火や水が出てくるので」
確かに何も無い所から火や水が出てきたら誰だって驚くわな。自分の場合は前世の記憶があった上に気の存在を父さんから教えてもらって魔法みたいだと思って試しにやってみたら出来たからな。出来るまで数年かかったが…
とりあえずねねにはこれは気の操作でやっている事だと説明。ついでに空気の中には水分が含まれていて、その水分を利用して水を出している事。
火は形を創造したものを具現化→具現化したものに熱を加えるという工程をへてやっていると説明。
説明を受けたねねは首をかしげて「???」となっていたので「そう言うものだと思っておいてくれ」とねねに伝えた。
そんな話をした数日後の冀州の魏郡にある鄴の宿屋で書き物をしていたら
「兄上。何を書いておられるのですか?」
「んー?小説~」
この旅の途中にお金の足しになればと思い短編小説を書いて書店に持ち込んだらそこの店主さんが気に入ってくれて気合い入れて写本を売ってくれたおかげで人気に火が付いたんだよな~。で、旅の途中でもちょくちょく書いて出来上がったらそこの書店に黒猫山太郎って運び屋さんに届けてもらってる。
「小説!?見ても良いですか!」
「短編ものならこっちに入ってるからそれなら良いよ」
「ありがとうございます!」
凄く嬉しそうに小説が入ってる荷物を漁るねね。あれ?ねねって文字読めるのか?と思ったが、読めないのに小説を読みたいって言わないだろうと思い直し執筆を再開した。
ベッドの上にうつ伏せに寝転がり読み始めたねねだったが、
「あのー兄上…」
「ん~?どうした?」
「これは何て書いてあるのですか?」
と聞いてきたねねが指を差していた文字は“ひらがな”だった。
あちゃー、手にとって詠んでたのはまだ下書き段階のやつだったか。ふむ…この際だからねねにもひらがなとカタカナを覚えてもらうか。
「ねね。それはひらがなと言う文字でもう1つこっちの形が違う字がカタカナって言うものなんだ」
「もしかして兄上が新しく作ったのですか!?」
「いやいや!これは他の国の文字でな。ちょっと習う機会があったから覚えただけだ」
生前、小学校で習ったから嘘は言ってない。
「もし興味があるならねねも覚えてみるか?」
「え、良いのですか?」
「ああ。覚えてもらったらこっちも色々便利だからな」
「是非覚えたいのです!お願いします!」
この日からねねにひらがなとカタカナを教える事になった。
ねねにひらがなとカタカナを教える事になって1週間後の
「兄上。これは何ですか?」
と差し出してきたのは折り畳み式の将棋盤だった。荷物を漁っている時に見つけたらしい。
人の荷物を漁るのが好きな娘だな…
「人の荷物を勝手に漁らないように」
「ごめんなさいなのです…兄上の荷物はおもちゃ箱のようで面白かったのでつい…」
あー確かに色々入ってるからな~。
ねねには今後気を付けるようにと注意をした後に将棋のルールと各駒の動かし方を説明。
説明後に1局指してみる事に。結果は……
「圧勝!」
「ぐぬぬぬ~……」
まぁ、水鏡女学院でやった時も開発者兼転生者の意地とプライドにかけて上位を死守してたんだから初心者のねねには負けたりしないんだよ。ハッハッハー!
「わふ……」
うっせー。大人げないな~じゃねーんだよ張々。
「ねねは今日初めてやったわけだからな。勝てないのはしょうがないよ」
頭をポンポンとしてあげるが余程悔しかったのか、む~と唸っている。しょうがないな~。
「ねね。君にはこの紙束を贈呈しよう」
「これは?」
「棋譜って言ってな。1手目から投了までの駒の動きが書いてあるんだ。水鏡女学院の時のものしか無いがこれで勉強してみな」
「分かったのです!今度やる時はケチョンケチョンにしてやるのです!」
そんなことを言って宣戦布告したねねは早速棋譜を眺め始めた。
その後も移動や食事の時もずーっと棋譜を眺めては頭の中で色々と駒を動かしていたのだろう。
次の街の襄国の宿屋に泊まった時
「くっ…負けました…」
「やったー!勝ったのですー!」
ついにねねに負けてしまった。悔しいが喜んでるねねの姿を見ていると、まぁ良いかとなった。