幼馴染は赤髪ポニテっ娘   作:ノブやん

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第四話 漢の首都へ

村を出て2ケ月たったくらいに次の街へ着いた。その街の名は

 

「うひゃーここが洛陽かぁ……」

 

目の前に広がるは人、人、人。故郷や今まで回ってきた村などと比べると全然違う。さすが首都。

 

「お金はまだあるんだけど路銀を稼ぎたいな。都も見て回りたいし。どっかで住み込みで働かせてくれる所無いかな?」

 

まあ、そんな都合の良い話があるわけ……

 

 

「なんだ坊主?金が欲しいならウチで働いてくか?」

 

あったー!!たまたま入った飲食店のオッチャンに聞いたら雇ってくれるって!

 

「なら明日から来い。……なんだって?ここで住み込みで?ったくしょーがねーなー。その代り今から皿洗いに入れ。それが条件だ」

 

あざーす!お世話になりまーす!

それから……

 

 

「炎!皿洗い終わったら注文聞いて来い!」

 

「炎!そっち片付けたらこっちを片付けてくれ!」

 

「炎!薪が足りねぇ!薪割頼む!」

 

「どうした紅蓮。何?これを食べてみてくれ?……腹壊さねぇよな?……悪かった悪かった!食えばいいんだろ食えば!……紅蓮……これ……新商品として出していいか?」

 

「紅蓮!そっちが終わったら次はこっちを作ってくれ!俺はこっちをやるから!」

 

そんな慌ただしい日が約半年、俺が旅に出て1年が過ぎたそんなある日

 

 

「うーん……ここはどこなのかしら?」

 

「えーん!だから(ふぁん)と一緒に来ようって言ったんだもーん!」

 

「うるさい!それは言わないの!ほら探すわよ!」

 

なんだか道に迷ってしまった姉妹がケンカしてるな。

しょうがない案内してやるか。

 

「おい、そこの2人」

 

「……なによ?」

 

俺に声かけられた2人はビクッ!とした後、姉らしき方が妹らしき方を自分の背後にやり、警戒しながら返事をした。まぁ、知らないやつが声かけたら警戒するわな。

 

「いや。道に迷ってたみたいだから、案内できる所なら案内しようかと思って声をかけたんだが……」

 

「あら、そうなの?なら聞くけど、最近この辺りに珍しいものを売ってる店があるって聞いたのだけれど分かるかしら?」

 

「珍しいもの?うーん、聞いたことないなー。名前とか分かる?」

 

珍しいものなんて沢山あるからなー。せめて名前とか分かればいいんだがなぁと思っていたら背後に隠れていた妹?が

 

「えっと……“ころっけ”と“ふらいどぽてと”って言うらしいんだもん……」

 

コロッケとフライドポテトのことかよ……それなら話が早いな

 

「それなら俺が働いてる所で出してるやつだわ」

 

「あらそうなの?なら案内しなさい」

 

「分かった。着いてきな」

 

姉妹2人を働いてる食堂へ案内し、店内へ

 

「オッチャン。帰ったよー」

 

「おう遅かったな。さっそく仕込みに……」

 

「ん?どうしたの?」

 

帰ってきた俺の方を振り向いたと思ったら目を大きく開けてワナワナと振るえてるし。仕込みするんじゃないのか?

 

「ぐ、紅蓮が……紅蓮が彼女連れてきたー!」

 

「……は?」

 

「一体どうしたのさ?そんな声あげて……まぁ!」

 

「店は臨時休業だ!お祝いだ!宴会だ!」

 

「そうね!お休みにして今日はお祝いだわ!」

 

当人をほったらかしにして、騒ぎ始めるオッチャンとおばさん。いや、確かにさ女っ気無かったよ?でもそれってここで働いてたからだし、そもそも俺、まだ11歳だぞ?てか、後ろの2人も呆然としてるし、目の前の2人はお祭り状態だし……あーもう!

 

「オッチャン!おばさん!彼女じゃねーよ!客だ!客!」

 

「「はっ!……客?」」

 

「きゃーく。お客様」

 

俺の言葉を理解した2人は「なんだ……客か……」とうなだれていた。何でそんなに残念そうなんだよ……はぁ……

 

「……あなたの両親ってそそっかしいのね」

 

「いや、両親じゃなくて雇い主な。まぁ、すんげー可愛がってくれてるが……」

 

「ふーん」

 

そんなドタバタがあったが、2人を連れてきたわけを話し、それを聞いたオッチャンは

 

「よし!まかせろ!速攻で作ってやるぜ!」

 

と言葉通り速攻で作ってしまった。

 

ここで出しているフライドポテトは一般的なシューストリングポテトではなく、ナチュラルカットのポテトだ。某ハンバーガーチェーン店みたいにシューストリングにしようかと思ったが、専用の道具を準備出来なかったため、三日月形に切るだけのナチュラルカットにしたわけだ。

おっと2人の反応はっと

 

「へぇ~いもだけでこんな料理が作れるなんてね」

 

「アツアツでおいしいんだもん!」

 

とペロリと食べてしまった。

 

「そんなに美味しいか?」

 

「ええ。いつもは冷めた料理しか食べてないから、こんなアツアツのものは食べたことないわ」

 

冷めた料理って……こいつらはそんなに食べるのに困っているのか……

ふと厨房の方を見ると聞こえていたのかオッチャンとおばさんが涙を流していた。そして

 

「嬢ちゃん達……これも飲みな」

 

姉妹2人の前に出されたのはワンタンスープだった。

 

「これは?頼んでないけど?」

 

「俺達からのおごりだ。気にするな!」

 

ずずっと鼻をすすり、涙ぐむオッチャンからの差し入れ。

オッチャン……カッコいいぜ!

 

「ふぅ、ごちそうさま。……ねぇあなた」

 

「ん?どうした?」

 

「あなたの名前は?」

 

「名前?ああ、言ってなかったな。俺の名は李炎。字は紅水。真名は紅蓮だ」

 

「えっ!ちょっと、真名まで教えちゃってもいいの!?」

 

「別に問題ないよ。それより人に名乗らせておいて自分は名乗らないのか?」

 

「うっ……はぁ、そうね。ちょっと姓は言えないのだけれど名は宏。真名は空丹よ」

 

「わ、わたしも姓は言えないけど、名は協。真名は白湯だもん」

 

宏に協。なんかかすかに聞いたことあるけど、忘れちゃったな。

あ、もしかして……んなわけないか

 

「宏に協……ね『空丹』……え?」

 

何か真名っちゅーもんが途中で入ってきたが?

 

「私のことは空丹と呼びなさい」

 

「私も白湯で構わないもん」

 

「えーっと……」

 

呼ぶかどうか迷っていたが、さっさと呼べよと言う無言の圧力を感じたので

 

「空丹」

 

「はいはい」

 

「白湯」

 

「はい!」

 

「えーっと、よろしく……」

 

真名を呼んだ時の2人の笑顔は眩しかった。

が、初対面の人間に真名を預けるかふつー!真名って大事なものじゃないの?

……まぁ、2人の笑顔が見れたから深く考えないようにしよう。

 

 

 

 

空丹と白湯の2人と出会ってから半年

 

「まだー?早くしてよー」

 

「お腹すいたんだもん……」

 

「だー!忙しい時間に来て何言ってんだ2人とも!ちょっと待ってろ!今作ってるから!」

 

と姉妹は2人してほぼ毎日のように入り浸っていた。

 

 

「あ、そうだ。お前らに話があるんだった」

 

「話?珍しいわね。何よ?」

 

「実は……」

 

2人に来月くらいには洛陽を出て旅を再開することを話した。

話し終わった後

 

「そう……」

 

「やだやだ!いやだもんー!」

 

と別れの時を想像したのか嫌だと泣き出す白湯。

空丹もショックをうけているようだった

 

「……今日はもう帰るわ。ごちそうさま……」

と鳴き続ける白湯をなだめて帰って行った。

 

 

 

1ヶ月後

 

「お世話になりました」

 

ペコリとオッチャンとおばちゃんに頭を下げる。

 

「なに気にすんな……元気でな……」

 

「紅蓮ちゃんも元気でな……賊に襲われたら逃げるんだよ。作戦は命大事にだよ……」

 

おばさん……そんなこと知ってるなんてあなた……転生者かなにかですか?

 

「あの2人こなかったね~」

 

「しょうがないっすよ」

 

今日でお別れだと言うのに2人はあれから姿を見せていない。

ちゃんと今日だって伝えたはずだが……

まぁ、別れるのがつらいからこなかったのかなぁ……

 

 

「「紅蓮!」」

 

と俺を呼ぶ大きな声が

 

「空丹に白湯。お見送りに来てくれたのか。ありがとう」

 

「紅蓮……1つだけ約束して」

 

「何だ?俺に出来ることなら」

 

「私達2人に危機が訪れた時ちゃんと助けること」

 

「なんだそれ、ムチャクチャだろ……はぁ、分かった。約束する」

 

「絶対よ!」

 

「絶対だもん!」

 

「ああ。1ケ月ぶりに2人の笑顔も見れたし、もう行くわ」

 

「そういえば行先を聞いてなっかたわ」

 

「だもん……」

 

「次は涼州方面だな」

 

 

 




あれ?白蓮可愛いで始めた小説なのに現地妻を増やしてる気が……

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