洛陽から西へ進み、函谷関、潼関を越えて現在、長安の少し前の村の宿屋に泊ってる。
洛陽を出た後も子供の一人旅というかなり珍しいことをしてる俺を襲ってきた賊は数知れず。
某竜の冒険譚に出てくる青いボディーに愛くるしい表情のゼリー状の魔物を蹂躙してレベルを上げるがごとく賊を蹴散らしてきた。
ちなみに返り討ちにした賊が持っていたものはありがたく頂戴して、商人に売って路銀に変えたよ。
宿屋で一晩休み、朝食も食べ終え、そろそろ村を出るかと思っていた所で声が聞こえてきた。
「そういや、あのじいさん。最近姿を見ないがどうしちまったんだ?」
「そう言えばそうね。恋ちゃんの姿も見てないわ」
「様子を見に行きたいが仕事があるしなぁ……」
何やら困っている様子。まぁ、見に行くだけならいいかな?
「オッチャン。俺が様子を見に行ってこようか?」
いきなり話しかけた俺にギョッと驚いたオッチャンとオバさんだったが、仕事で手が離せないため逆にお願いされた。
「えっと、この辺だと思うけど……」
オッチャンに教えてもらったあたりに着いたが小屋らしきものは見当たらないためもう少し奥を探してみると1件の小屋を発見。
「お!発見、発見!すみませーん!誰かいませんかー?」
何度か声をかけてみたけど何の反応もない。帰ろうかなと思った時、
「……誰?」
後ろから声がしたため振り返ると赤い髪に2本のアホ毛の俺と同い年くらいの女の子がいた。
「あ、えっと……村の宿屋のオッチャンに頼まれて、おじいさんと女の子の様子を見に来たんだけど……」
ここに来た理由を話すと、シュン(アホ毛も一緒に)となり
「……おじいちゃん……ちょっと前に死んじゃった……」
辛いことを聞いてしまったなと思いつつ申し訳ないが状況を把握するために色々と聞くことに。
1ヶ月前に育ての親であるおじいさんが亡くなって、村の人たちに頼ることなく1人で生き抜いてきたらしい。
色々とおじいさんがやってきたのであろう。小屋も手入れ等が出来ておらずボロボロの状態だった。
あと名前なんだけど姓は呂、名は布だって……
みなさんお気づきだろうか……この娘、呂布だって!?
おっと、やべーやべー。あまりの大物の名前を聞いて、今までの歴史の知識と現実がかなり違っていて混乱してしまったようだ。
「……どうしたの?」
「いや、ちょっと混乱しただけだから……」
「???」
「えーっと……あ、俺の名前言ってなかったな。姓は李、名は炎だ。それで、今あったばかりの俺が言うのもなんだが、この家もうボロボロで危ないから住むのをあきらめて村に行った方が良いと思うんだが?」
自分で言っておいてあれだが、ついさっき初めて会った人にこんなこと言われて従うやつが……
「うん。そうする」
「いたー!?」
「???」
おっといきなり大声で叫んだ俺を不思議そうに見てる呂布
「い、いいのか?」
「うん。恋も……そう思うから」
「そっか……じゃあ必要な物を纏めて行くか」
コクッと頷いてくれた呂布。その後、最低限の荷物を纏めて、おじいさんの墓石に挨拶をして村へと向かうのであった。
『恋ちゃん!?』
「……おばちゃん……おじさん……」
呂布を宿屋に連れて行くと、おじさんとおばさんが駆け寄ってきた。
「今まで姿を見せなかったけど、どうしたんだい?」
「えっとね……」
呂布から事情を聞いたおじさんとおばさんは
「恋ちゃんさえよければおじさん達と一緒に暮らさないかい?」
「ここで?いいの?」
「おう!遠慮なんかするな!それに……ここからならおじいさんの墓にも近いからな」
「じゃあ……お願いします」
その言葉を聞いたおじさんとおばさんはすごく嬉しそうだった。
頃合いを見て
「それじゃあ、俺は行きますね」
用事も済んだので出て行こうとしたら
「ちょっと待て。これ駄賃だ」
そう言って渡されたのは1週間分くらいある食糧だった
「えっ!ちょっ!こんなにもいいんですか?」
「ああ。身しらずな俺らのために働いてくれたんだ。持ってけ」
「ありがとうございます!」
「礼を言うのはこっちよ」
今度こそ行こうとしたら
「待って……」
トテトテと呂布が寄ってきて
「ん?何?」
「恋」
「えっ?」
「恋って呼んで」
「分かった。俺は紅蓮だ」
「紅蓮……うん。紅蓮」
「恋。またな」
「またね紅蓮」