その後、自己紹介がまだだったのでお互い自己紹介をすることに。
「私の名前は姓は董、名は卓、字は仲穎、真名は月といいます」
なん…だと…こんな可愛い娘が董卓だと……あの悪逆非道、酒池肉林の董卓がこんな可愛い娘だと……しかも真名まで預けられたんだが…
「月っ!真名も預けちゃうの!?ほらこいつもあまりのことに放心してるわよっ!?」
「へぅ……だって助けて下さったんだからこれくらいはと思って……」
メガネっ娘よ…別に真名のことで放心してたわけじゃないんだが……いやそれも無いと言ったら嘘になるが……
「はぁ……しょうがない……ボクの姓は賈、名は詡、字は文和、真名は詠よ」
「ふぁっ!?」
突然の奇声に2人とも驚いていたが、いやいやいや!
董卓に続きあの賈詡ぅ!?董卓の後は曹操、曹丕に仕えたあの賈詡ぅ!?
「あ、あの……」
「はっ!?ゴメンゴメン……」
「何?何か私達の名前を聞いたら驚いてたけど?」
「い、いやいや!いきなり真名を預けられたから戸惑っただけだから!ははは……そうだ!俺まだ自己紹介してなかったね!えーっと、姓は李、名は炎、字は紅水、真名は紅蓮だ。よろしく!」
まぁ、なんだかんだで自己紹介は終わった。
その後は月の父と母に挨拶。娘を助けてくれてありがとう!と力いっぱいハグされました。あー、死ぬかと思った……
晩御飯もゴチになり、その日はそのまま就寝となった。
翌朝
早くに目が覚めてしまった俺はやることが無かったので朝食まで屋敷内を見て回ることにした。
早くから働いてる侍女さん達と挨拶を交わしながら歩いていると、中庭から人の声が聞こえてきたため気になり中庭へ。
中庭に行くと2人の少女が打ち合いをしていた。
ガキンガキンと金属同士が当たる音を聞きつつ近くへ。
しばらく見ていると戦斧を持った子が両膝をつき、偃月刀を持った子が切っ先を目の前に突き付けて勝負あり。
2人にねぎらいの拍手を送るとその音で気づいたのかこちらを見る2人。
「誰だ?お前は?」
「あー…昨日からここで世話になってるんだ」
「ん?もしかして、月を助けてくれたんはアンタかいな」
「そうそう。あ、俺、李炎って言うんだ。しばらく厄介になるからよろしく」
「私は華雄だ」
「ウチは張遼や。よろしく」
この娘達が華雄と張遼か。さっきの打ち合いを見てると華雄はパワー型、張遼はテクニシャンって感じかな。
その後、ここで厄介になることになった経緯や旅をしてることなど話していたら、侍女さんに朝食の準備が出来たことを告げられ朝食へ。
月や詠と合流し、一緒に食べた。
食ってる最中に
「月と詠が真名許してるし、ウチの真名も預けるわ。ウチの真名は霞や」
「私には真名がないからそのまま華雄と呼んでくれ」
「分かった。俺の真名は紅蓮だ。改めてよろしく!」
朝食後、月と詠は勉強へ、霞と華雄は鍛錬へ行き、俺は腹ごなしに街を見て回ることにした。
見て回っている内に昼時になり近くの飲食店へ入りお腹を満たした後、屋敷に戻り中庭に顔を出すと華雄と霞がまだ打ち合っていた。
「まだやってたの?昼ご飯は?」
「食べた。これは午後の分だ。はぁぁぁ!」
俺の問いに答えてくれた華雄は気合を入れ直し霞へ仕掛けていく。
その攻撃をいなそうとしたがうまく流すことが出来ずに霞は偃月刀を落としてしまった。
「勝負あり。2人ともおつかれ~」
2人に竹で作られた水筒を渡す。
「んぐ…んぐ…ぷはぁー!うまい!あーあ負けてもうた…」
「んぐ…んぐ…今日は…んぐ…私に軍配が上がったようだな」
「かぁー!くやしいわぁ…お、そう言えば紅蓮はどうなん?」
悔しがっていたがふと興味を持ったのか俺の腕を聞いてくる霞。
「う~ん…どうだろ?こういうのやったことないからなぁ…」
ん?凪とやってたじゃないかって?あれは俺が教えて、凪が学んでたって感じだったから含まれません。
「じゃあ私らとやってみればいい」
俺の返事を待たずに華雄は素振りを始めた。
「そやそや。やることなくて暇やろ~。ウチらもいつも同じ相手やからたまには違うやつとやりたいわ~」
確かに暇だけどさ…まぁやってみるか。
「お、やる気になったみたいやな。そこに刃をつぶしたやつがあるからそっから自分の使いやすいもの選び」
霞が指を指した先には色々な武器が置いてある小屋があった。
その中に入り、自分が普段使っている両刃剣に似てるものを何本か素振りし、ある程度しっくりきたものを選び小屋を出て華雄と向かい合った。
「両者ええか?―――では……始めっ!」
霞の声と共に一気に詰め寄ってくる華雄。自分のイメージより少し早いスピードで近づき、大振りの一撃を放ってくる。
「おっと。さすがにそれは大振りすぎるでしょ」
バックステップで躱し、追撃が来ないように目で牽制する。
「何、これはちょっとした挨拶代りさ。ふっ!はっ!せいっ!」
これが華雄のスピードなのだろう。先ほどとは明らかに違うスピードで攻撃してくる。
(スピードは慣れてきた。次はどれだけの力なのか受け止めてみるか)
と思ったその時、横に薙ぎ払ってきたので受け止めてみると、
(やべっ!この威力じゃ押し切られる!横へ飛んで衝撃を減らさないと!)
剣で受け止めたわずか0コンマ何秒で今の自分では受け止められないと悟ると横へ跳び衝撃を和らげる。
「あぶねっ!横に飛んでなかったらやばかった…まぁそれでも、ダメージはかなり貰っちまったが」
「どうした紅蓮?お前はその程度か?」
「うっせ!今度はこちらから行かせてもらうからな!」
このやろ、こちらが避けることしかしてないせいか調子に乗りやがって……男舐めんな!ぜってー泣かしちゃる!
先ほどとは打って変わって自分から仕掛けていく。
「やっ!せいっ!とうっ!おんどりゃぁっ!」
華雄に反撃の隙を与えないくらいの連撃を浴びせていく。
すると華雄は
「この……うっとうしい!」
今まで防御に回っていたうっぷんを晴らすがごとく大振りの一撃を放とうと戦斧を振り上げてきたが、俺はこれを待ってた。
振り上げた隙を狙い、某竜の冒険譚の必殺技を放とうと華雄の懐に入り
「ギガブレイクッ!(仮)」
(仮)なので原作ほどの威力は無いがこの一撃をもらってしまった華雄は
「ぐわぁぁぁっ!」
と吹き飛んで行った。
が、吹き飛んで行った方向が悪かった。
武器が置いてある小屋へ飛んで行った。
「くっ!間に合えっ!」
体中の気を下半身に集め、強化して華雄を追いかける。
途中で何とか追いついたものの、目と鼻の先に小屋が。
華雄を守るように抱きしめ、全身を気で強化して激突に備えた。
ほどなくして
ドーン!ガラガラガッシャン!
小屋へ突っ込み、突っ込んだ衝撃で武器が色々降ってきた。
気で守ってるとは言えすごく痛い…
「華雄…無事?キズとかない?」
「ああ。お前が守ってくれたおかげでな」
「そっか、良かった……女の子に傷つけたらサイテーだからな……」
そんな言葉を聞いた華雄は耳まで真っ赤にして、あわあわしてたけどもう無理……
気が枯渇したのと体中痛いので意識が朦朧としてきた……
あ、もうダメだ……
「……知ってる天井だ」
「当たり前やん。何言うとんの」
「あれ?霞……俺は一体……」
「覚えとらん?手合せ中に紅蓮が華雄をぶっ飛ばして……」
「あー……思い出した。てかあんな事になってよく生きてるな俺……」
まったくやでーはははと霞は他人事のように笑ってた。
まぁ、他人事なんだけどさ……
「よっと……あれ?体が重い?」
「そりゃそうやで。5日間意識うしなっとたんやし」
「5日間!?」
そんなに寝てたのかよ!?やっぱり気が枯渇したからなのかなぁ…
「そならウチ、みんなに目覚ましたって知らせてくるから、これで体でも拭いといて」
「そうだな。大人しく体拭いてるよ」
霞は桶と手ぬぐいを俺に渡すとみんなを呼びに部屋を出て行った。
服を脱いで体を拭いてると
「紅蓮!目覚ましたのか!?……うわぁっ!?」
いきなり扉が開いたと思ったら華雄が入ってきて何か驚いていけどどうしたんだ?
「ああ。ようやくな……ってなんで顔を背けてるの?」
耳まで真っ赤にして顔を背けてる。
あれ?体拭いてるだけだよな?下も隠してるし?
「うわぁ……こんな乙女な華雄ボク初めて見たよ…」
「わたしも……」
「しゃーないって2人とも。今まで男であんなに強いやつおらへんかったし、それに……女の子扱いなんて初めて見たいやったからなぁ。ああなるのもしかたないで」
「なっ!ち、違うぞ!それは違うからな!?」
『ふ~ん』
「なんだその反応は!?違うと言っている!」
みんなで部屋に来て患者ほっぽり出してワーワーキャーキャー女子トーク?
それ、あんまりじゃないですか?
その後俺は数日かけて体内の気の回復とリハビリに努めた。
負担のないように体を動かした後はいい機会だったので月や詠と一緒の勉強に参加させてもらった。
気が回復した後は、華雄や霞と仕合した後、月や詠に合流して勉強という流れになっていた。
そして、12歳の誕生日当日……
「お世話になりました」
ペコリとおじさんとおばさんに頭を下げる。
「もっと居てくれても良かったんだぞ?」
「流石にそこまで厄介になるわけには……それにそろそろ旅も再開させなきゃですし」
「そうか……残念だ……」
このままここに残って月と結婚してもらってワシの後を継いでもらおうと思ってたのに。とかなんとか聞こえてきたけど無視した。
「へぅ~……寂しいです~」
「まったく……アンタなんかさっさと居なくなればいいんだわ……」
月、俺も寂しいよ……詠、キツイこと言ってるけど泣いてるのバレバレだぞ……口に出さないけど
「次会ったらまた手合せやろうな~」
「ふ、ふん。次こそは負けんからな!」
ああ!霞に華雄、次も負けないからな!
そして俺はみんなと別れ、荊州を目指して出発した