チラシの裏の日記   作:とうや

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どんな時代にも国家を裏で操る影の支配者がいるだのなんだのの陰謀論は存在する。
アメリカにもあれば日本にもあったのだろう。
ヨーロッパの国々もそうに違いない。
だが、ジョークの一種としてそういった論絶を口にしても誰も本気にはしていなかった。
だというのに……実にあほらしくなってきてしまう。


13:影の支配者

 リジー中尉の遺した資料を見るに、核ミサイルをぶっぱしてスコーチビーストの巣を叩くという考えがあったようだ。

勿論、これは彼女が玉砕したタッチダウン計画が失敗した場合の対処なのだけれど実際失敗した上にディファイアンス砦の方も防衛に失敗しているのでこの最終手段が使えなくなった。

だが、そもそもの話で核ミサイルのサイロへの侵入方法が現時点で存在しない。

場所はわかってもサイロのセキュリティを突破できないからだ。

 

そこで目を付けたのは州の上院議員まで上り詰めた癖にあっさりとその座を捨てて姿をくらませたサミュエル・ブラックウェル…大体の場合はサム・ブラックウェルと呼ばれる男の足取りを掴み情報を探す事だ。

そして情報がありそうなのはやはり議事堂、そして政治家のスキャンダルが大好きな新聞屋だ。

 

「しっかし、余りにあちこちに移動するのはこの歳だと少し堪えるな」

 

 ジジイになってからの方が壮年時代よりも動き回るお陰で流石に体中痛くなってくる。

同時に傷も増えた。

噛まれて殴られて斬られて撃たれて爆破されておまけに焼かれてと凡そ軍人時代でも合わなかった酷い目に遭い続けている。

しかも敵は無限を思わせる数が居て、自分は孤軍奮闘。

戦わなければ生き残れないから戦うが、いい加減疲れるのも事実だ。

傷は応急処置もしているが、そのうち動けなくなるかもしれない。

そうなる前にスコーチの増殖に歯止めをかけなければ死んでも死にきれない。

 

「さて、またチャールストン……山越えだなぁ」

 

山を越えて向かったのは先ず議事堂。

前に軍人IDを発行した際にブラックウェル議員の部屋が残っている事は探索で確認済みだ。

あの時にもっと調べれば…とも思うが、それは無茶な話だ。

 

議事堂にそれなりの情報はあったが、直接足取りにつながる情報は得られなかった。

ならば次に向かうのはホーンライトだ。

あそこになら記事に出来なかったネタもそれなりにあるに違いない。

チャールストンのスコーチとSM溢れるエリアを強引に突っ切って倒壊しかけているビル内を探索すると、やはりと言うか情報はあった、探すのに時間はかかったが。

 

「今度はまた沼地地帯?ハーパーの東か…老人をにやさしい距離にしてほしいぞ、全く」

 

途中でレールライフルと言う武器の設計図をワトガ駅で購入したのでさくせいしてみたが、なかなかご機嫌な武器だった。

何せ、弾薬が釘だから下手に鉛とか火薬を用意しなくていい。

ネックなのは重さと反動だけだが、まぁ何とかなるだろう…威力もそれなりに高い。

そうして向かった先はデスクローの巣だった。

 

「ふざけんな!お前マジでふざけんな!」

 

デスクロー2体に襲われた俺はお気に入りのハンドガンを破壊され、PAも稼働ギリギリまで破壊され散々だった。

 

「これで何の成果も無ければこのバンカー爆破して埋めてやる!」

 

なお、バンカーは埋めずに済んだがブラックウェル議員の迷走ぶりの理由もわかった。

彼は愛する娘の為にあれやこれやと手を尽くした、簡潔に、短くまとめるとそういう事になる。

娘もボケ始めた父親の介護を頑張ったようだが、スコーチビーストにでもやられたようだ。

そう思うと、口から出るのはただ一つの決意だ。

 

「やはりスコーチ共は殲滅せねばならない」

 

決意を新たに俺は議員のIDカードを拝借し、リゾート地であるホワイトスプリングにこっそり存在するバンカーへと向かった。

また山越えか、とあきらめの溜息をつきつつ。

向かった先のバンカーはただのバンカーではなく、Vaultだった……まぁそういう事もあるだろう。

そしてそこでは俺を待ち受ける存在が居た。

MODUS、エンクレイブとか言う組織の所有する人工知能だが……MODUSのモニターアイコンの胡散臭さも相俟って若干の忌避感を感じる。

もう少し見た目を良くしてほしいものだ。

 

『ではどの様な画像だったらあなたは気に入りますかな?』

「コミカルなのが良い、もしくはキュートなのだ、人間は先ず視覚情報から物事を判断する。

その点から言えば、お前の顔は胡散臭いか、怖いか不気味と言った評価しかできない」

 

とぶっちゃけてやった。

 

『コミカル、キュート……機械の私には人間の感性からくる判断は難しいですね。

具体例はありますか?』

「そう、だなぁ……例えばVaultボーイはわかるか?」

『あぁ、Vault-Techのですね?』

「例えばあれはコミカルの範疇だ。逆にキュートとなると難しいな。……そうだ、昔曾爺さんが教えてくれたゲームの主人公なんかが良いな。紙とペンはあるか?」

『えぇ、ベンダーから受け取ってください。色ペンも出しましょうか?』

「あぁ、頼むよ」

 

そうして描いたのは桃色の団子に手足と目と口があるだけのキャラクターだ。

自分では割とかわいいと思う。

 

『ほう……これはシンプルですね』

「こういうのがコミカルでキュートなキャラクターだ」

『なるほどさいよ……う出来ないみたいですね。

どうやらキャラクターの著作権があるようです』

「そうなのか、残念だ」

 

MODUSとそれなりに会話して思ったのは、またアパラチア中を歩き回らなけりゃならないな、と言う現実だった。

先ずMODUSが最初に要求したのは自身と衛星の通信の復旧だ。

その対価として報酬と施設の利用権を俺によこした。

安全に補給と休憩が出来る場所が一か所でも増えるのはありがたい事なので俺はそれを引き受けた。

 

その後、施設の利用許可を得た俺は装備や薬品のレシピ、装備の設計図を購入してMODUSの管理下に存在しない軍司令施設へのアクセスの為に色々とロボットの起動前の防衛やら凶悪なアボミネーションの討伐、スコーチビーストの殲滅を行った。

当然、それだけではモチベーションが上がらなかったのでスカウトのサバイバル実習のまねごとであちこちに足を延ばしたりもした。

……ただ、人助けの項目は非常に難しいと思う。

どう考えても助ける対象が居ない上にたまに会う元Vault76居住者は随分と…まぁ、強靭な様で俺の助けは必要なさそうだった。

 

そんな風に日々を過ごせばあっという間に「将軍」になった。

……Vault76の居住者ならこれ誰でもクリアできそうだなぁ。

 

そんな感想を抱いた俺が次に行うのは核ミサイルサイロの起動コードの断片探しと、カードキー探し、そしてコードの断片の暗号解読だ。

 

しかし、米国の影の支配者を自称する組織にしては内部分裂で破滅とは随分とお粗末な結末だ。

恐らく別の州にも支部や或いは本部はあるのだろうが、彼らが『正しく』米国の、そして文明の再建に手を貸して呉れれば良いのだがなぁ。

 

 

 




コードの複合にはそれ用にエクセル作って算出とかやらせてみましたが、
アナグラムとかそもそもMODUSの解析が遅かったりとうまくいかないので色々探したらもっと安易な答えがありました(白目

Wastelanders編の要望確認です。

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