チラシの裏の日記   作:とうや

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整備士の彼が居住者達と共に核ミサイルと武力でスコーチビーストのクイーンを撃滅して少しの時間が経過した。
その間に驚いた事にアパラチアの外部から人々がやってきた。
一つは新たな居住地を求めてやってきた移民者たち、もう一つはあまり喜ばしいとは思えないレイダーたちとなります。
とは言え、アパラチアに人間が増えるのは喜ばしい事でしょう。
前者はファウンデーションに住居を構え、後者はアパラチア中に分散している。

現時点ではまだスコーチも存在し、感染の恐れは十分にあります。
故に彼等には可能な限りスコーチ病の抗体を摂取してもらうべきなのですが……さて、どうしましょうか。

==サットンに居住する婦人の日記==


本編:荒野の人々 Wastelanders
1:外からの来訪者達


不意に目が覚める……体を起こし、ぐっと伸びをすると、腕に何か…点滴が付いているのが分かった。

序に左腕につけていたPipboyが外され、傍にあった机の上でラジオの曲を流していた。

流れているのはカントリーロード、ウェストバージニアで一番馴染みのある一曲だ。

 

「ここは……」

 

廃墟ではなく、それなりに奇麗にされた一室、ベッドの上で目が覚めた様だ。

いや、ここはもしかしてVault76の俺の部屋ではないだろうか?

 

「点滴……栄養剤か?」

 

体がだるく感じるが、それは恐らく傍にあった机の上に載っているRADアウェイの空袋や中身が空のスティムパックも無関係ではないだろう。

 

「……いや待て、なんで俺はこんな所にいるんだ?」

「その件に関してご説明しましょう」

 

にゅっと現れたのは馴染み深いロボット、Mrガッツィー…ではなくMrハンディの様だ。

 

「うぉ!?」

「おはようございます、整備士殿、私です、ぺニントンです。

伝言をお預かりしていますのでお伝えします」

 

ぺニントンは言うが早いか早速伝言メッセージを再生する。

 

『クイーンとの戦いの後、整備士の爺さんは怪我と放射能汚染のショックでぶっ倒れちまった。

ウチのチームのメディックが言うには過労とかも重なって緊張の糸が緩んだせいじゃないかとか言っていた。

このアパラチアで一番……安全な場所、言うまでもないがここ、Vault76に運んで治療をした。

あぁ、言うまでもないと思うがクイーンはきっちり殺したぜ。

ペニントンにアンタが目覚めるまでの世話は頼んである、そのVaultも鍵が掛かってただけで空気自体は入れ替えられているけど空調はそこまで良い状態じゃないし水や電源周りもほとんど死んでるから落ち着いたらまたアパラチアに出る事をオススメするぜ。

後、監督官の婆ちゃんが見つかった、会いたければサットンに向かったらどうだ?

以上、またアパラチアで会える日を楽しみにしているぜ』

 

「以上です。

大変な冒険をなさったようですね、若者たちも立派になられた様でこのペニントン感動いたしました!

もしも涙を流す機能があれば感涙していた事でしょう!」

「あぁ、彼らはとても立派になった…もう子ども扱いはできないな」

 

あの戦いの時、確かに世代が変わったのを実感できたな…。

 

「えぇ、少々寂しくもあります懐かしいですね…25年前のあの日以来皆様と過ごしたあの罅は窮屈でもありましたが私にとっては良き思い出の日々です。

今でも時々様子を見に戻ってきてくれるんですよ、あの子たちは」

「そうか、そう考えると俺はどうやら薄情者みたいだな。

よろしい、今度からは偶にお前に会いに来るとしよう……さて、俺はそろそろ監督官に顔を見せてくるとするよ」

 

点滴を引き抜き、軽く伸びをしてから立ち上がる。

 

「おや、そうですか?

では監督官様にも偶にはこのペニントンに顔を見せて欲しいと是非ともお伝えください・

あ、それと貴方様が眠っていたのは大体3日、正確には2日と15時間ぐらいですね。

眠っていた原因は過労と重傷と放射能汚染です。

過労以外は若者たちが診てくださったので後はその点滴と目覚めるまで寝かせておくだけで問題ないとのことでした」

「あぁ分かった伝えておこう……って、俺そんなに寝てたのか。

このだるさは寝過ぎと言うのもありそうだな」

 

最早体の一部とも言えるVaultスーツを纏い、その上に整備士用のジャンプスーツを上に纏い、後は愛用のレザーアーマー一式を装備して外に出た。

道中で見かけた敵は当然殺す、フェラルもまだまだいるスコーチも人々の敵なのには違いないからだ。

 

そうしてサットンにつく頃には日が暮れ始めていたが、そのお陰で俺は一つの事実に気付いた。

 

「街に明かりが……そうか、他のみんなも頑張っているという事だな」

 

そんな街から少し外れた場所にポツンとある家にもまた明かりが灯っていた。

 

「おそらく、あそこが監督官の家か」

 

俺は監督官の家と思わしき場所に入り、久しぶりに監督官と顔を合わせた。

 

「待っていましたよ、先ずはそこに座りなさい」

「え?」

 

それから30分、俺は堅い床に正座して彼女にこ懇々と説き伏せられていた。

 

「……お説教はこの辺りとしましょう。

結局の所、無謀な戦いを挑むか、核を用いて先ずは一撃強烈な攻撃を当てるかとなれば、あの方法は忌まわしきものであれど、有効でないわけではないのですから。

それに、あなたの集めた情報に関してはあの子達からも聞かせていただきました」

 

彼女とてやはりそれは分かっていたが、それでも核を用いない方法があればという理想を抱いていたのだろう。

そして彼らの活躍に関しても監督官は語っていく。

どうやら、クイーン討伐以前にも様々な場所で凶暴なスーパーミュータントや発電施設や浄水場の確保の為に彼等も力を入れていたようだ。

 

「そう言えば彼らの集めた情報によるとこのアパラチアに有ると噂される『宝』を求めてアパラチアの外から多くの人々が集まってきているそうですが、この話はご存知ですか?」

「その話は聞いた覚えがある。

Vault76近くに来ていた人が二人いて彼女らは『宝』を求めてアパラチアに来たと。

詳細に関しては『ザ・ウェイワード』という酒場で聞いたとも言っていたか」

「おそらくそれに関連する話でしょう。

ですが、私が気にしているのはそれとはまた別の事なのです。

 

所であなたはもうスコーチ病の予防はなされていますか?」

 

スコーチ病の予防と言うと当然やっているな。

 

「あぁ、既に予防はしてある。

レスポンダーの研究には感謝しなければいかんな」

「えぇ、もしもの話ですが彼らと別の組織が手を取り合えれば恐らく今のアパラチアはもっと良い物であったのでしょう。

疑心暗鬼、すれ違い、そういった不幸の積み重ねが彼らの全滅を齎しました。

そして新しい入植者達と我々が同じ轍を踏むわけにもいきません。

そこで差し当たって私たちが先ずするべき事があります、わかりますか?」

 

ふむ、何だろうかと一瞬思うがこの話の直前に聞かれたことを思うと答えは先に出ていたか。

 

「スコーチ病の予防接種?」

「えぇ、その通りです。

放っておいては新しいスコーチのコロニーが出来上がるだけ。

ならば例えレイダーであっても予防接種を受けさせる必要があります」

「レイダーは殲滅してしまった方が良い気もするが……」

 

俺がそう口にすると監督官は悩まし気に溜息をつく。

 

「そう考えるのも解ります。

しかしアパラチアは広く我々や善良な入植者だけが予防して、広範囲に分布する彼らが感染すれば後々に被害が大きくなる可能性もあるのです。

それに……出来る事なら話し合う余地があるのならば話し合いで解決したいと思うのです。

思う所があるのは分かりますが、力を貸してください」

「……あなたに頼まれて、嫌とは言えないよ監督官。

それにあなたの言う事も甘いとは思うがもっともな事だ、存分に俺の力を使ってくれ」

 

そう言うと着いてきて欲しいと言われて着いていった先はMrハンディのいる地下のちょっとした工作室だった。

壁には大きな地図があり、ちょっとした秘密基地的な気分が味わえる。

 

「紹介します、彼はダベンポートです。

ダベンポート、彼はVault76で整備主任を行っていた人物でスコーチビーストクイーンを討伐の立役者です。

少々頑固な所もありますが、優秀で人間的にも頼れる人物ですよ」

「ご紹介に預かりましたMrハンディのダベンポートです。

ここでは監督官殿のお手伝いの一環で最近アパラチアにやってきた新興勢力の情報収集を行っています。

以後よろしくお願いします、整備主任殿」

「あー、まぁよろしく頼む」

 

俺達の挨拶が終わるのを見計らって監督官が続きの話を促す。

 

「あなたにお願いしたいのはここにファウンデーションと言う集落を作った入植者と、レイダー達に予防接種を受けさせる交渉をお願いしたいのです」

「……俺が交渉するのか?」

「はい、申し訳無いのですがアナタにお願いしたいのです。

他の第一世代の殆どが今サットンで居住地を作り上げていますが、彼らは最早戦闘するに厳しい老齢ばかり。

防衛戦ならばタレット等も用いてどうにかなりますが、各地を赴いての交渉は荷が重いでしょう」

「第2、第3世代の子供たちは?」

「彼等には沼地地帯の『霧』に関して調査をお願いしています。

他にもアパラチアの外部への調査と探索に出て貰いましたし、ミサイルサイロの周辺の拠点化もして貰っています」

 

それぞれが今のアパラチアにとって必要な事だというのが分かる。

 

「監督官自身は?」

「私はワクチン量産設備を見繕う為に調査に出ます。

Vault76の生活の時と同じです、皆がそれぞれの役割をこなさなければなりません」

「なるほど、任せてくれ」

 

俺が言うと監督官は小さくにこりと笑う。

うん、この人は普段クッソ真面目で表情はお堅いがやはり喜んだときは意外と解り易い人だな。

 

「レイダーに関しては……そうですね、世界の頂上に居るローズを頼るのも手でしょう。

彼女のあの声を聴くのは余り得意ではないので申し訳ないのですが、しかし彼女のレイダーとの伝手は見逃せないものがあります」

「あぁ、恐らくレイダーに関して一番詳しいのはローズだ……また難題を押し付けられそうだが、まぁ何とかなるだろう」

 

そんな風に話している中で、不意に思い出したことがある。

監督官の恋人……正確には婚約者だったか?のエヴァンの事だ。

 

「監督官、そのアンタの婚約者の事なんだが……眠りについたよ。

ウェルチの家の外に墓を作った、其処で眠っている」

「……そうですか、貴方にはプライベートでも苦労を掛けてしまったようですね」

 

一瞬凄く複雑そうな表情をし、必死に言葉を選んだであろうことが分かった。

 

「……さて、俺はそろそろ行くとしよう。

こういうのは早いに越した事は無いからな」

「えぇ、そうですね。

事が済んだらここに来てください」

 

こうして、俺は新たな目標を手にアパラチアを歩き回る事となった。

新たな住人を迎えたアパラチア……いや、荒野と化した世界(ウェイストランド)の住人と言う物を改めて知る事となるのだ。




という訳でウェイストランダーズ編の導入でした。
監督官と主人公の関係は頼れる(カワイイ)上司と何だかんだで頼れるがちょっと頑固な部下と言う感じです。
お互いに十分な信頼関係があり、他の居住者達も同じく信頼関係は十分ある…と言うのが切削におけるVault76居住者達です。
当然レイダー被れなんかも出て来るかもしれませんが、少なくとも前話まではいませんでした…と言う感じです。
ちなみに監督官が引き籠り疑惑を持ってたりしますが、


【200516:本文修正】
前半部分が途中でダブった状態だったので修正。トクユウさん報告ありがとうございます!
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