チラシの裏の日記   作:とうや

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『お願い』をする立場と言うのはやはり苦労が多い。
俺が苦労性なだけかもしれんが、アパラチアの目立つ様なスポットももしかすればお使いで7割以上回ったんじゃないだろうか?
それと、ザ・ウェイワードという酒場で初めてグール、人としての意思を持ってるフェラルじゃないグールと遭遇した。
見た目は酷い焼け爛れた感じではあるが、フェラルとの違いが良く分かる。
というか、全てのグールに該当するかはわからないが、人相が全然違う。
フェラルは獣、グールには人間らしさを感じる。

ただ、いきなりドアップで出てこられたら心臓に悪そうなのはどちらも一緒だ。

==元Vault76整備士の日記


2:ザ・ウェイワードとお宝さがし①

監督官の家を出た俺だが、ダベンポートから監督官とはまた別の依頼を受けていた。

 

「カメラを入手して、入植者たちの拠点のファウンデーションやレイダーの拠点のクレーターを調査して欲しいとはまた手間のかかる……」

 

とはいえ、彼からは俺以外にもカメラを用いた調査依頼は出しているので手が空いていればとの事だった。

そしてファウンデーションもクレーターも規模も人員が大きい拠点で、下手に手を出すのは控えていたのだが今回の予防接種で縁が出来るのならばできればやって欲しい、との事だった。

 

カメラ、と言うとイメージ的には観光地だが、それにしたってどこにいるかなど想像もつかない。

 

「とりあえずの順路は……南側から進むか?」

 

ザ・ウェイワードという酒場も気になるところだしな。

近い所から片付けると言う心算で俺は先ずザ・ウェイワードに向かう事にした。

 

話に聞いていた場所に向かうと、依然は見かけなかった看板と奇麗にされている建物を見つけた。

建物の周囲には人と、牛が3頭、その中に何故かセントリーボットが混ざっていて、牛の鳴き声を発していた。

あのセントリーボットが牛になってるとか笑わせてくれるな。

思わず呆れながらも笑ってしまう。

そんな気分を引きずったまま店に入ると、何やら男が怒鳴り、女がいさめるような声が聞こえた。

店内に入っていくとカウンターバーを挟んで店主の女とパイプガンを構えた男がいた。

 

「おや、今日はここの酒場は貸し切りか?」

 

俺が軽口を叩いて男の注意を引く。

 

「アナタ、飲みに来るタイミングを間違えたわね」

「さぁどうだろう……もしかすれば最高のタイミングかもしれんぞ?

誰にとっての最高かはこれから決まるが」

 

そんな軽口を店主と言いアウト男はいらだって此方に注目する。

銃口はこちらに向く。

 

「おいお前は誰だ!?

関係のない奴は黙っていろ!」

「おいおい、関係が無いかどうかはお前さんの話次第さ。

なんだってそんな風に銃を突き付けているんだ?

もしかすれば俺がお前を手伝ってやれるかもしれんぞ?」

 

そう言って愛用の10ミリを引き抜くがトリガーに指は掛けていない。

 

「この人、私が宝のありかを知っているって思っているみたい。

こんな襤褸いバーを立てている私はよっぽど物好きなんでしょうね」

「うるさい、これが最後の警告だ!

宝はうちのクルーが手に入れるんだ!」

 

なるほど、阿呆だな。

意識が俺から店主へと再び移り、周囲への注意が散漫になっている。

ぐだぐだとモノをいう男に俺はもはや呆れしか感じなくなった。

男が再び俺の方に銃を向ける。

 

「そうだな、宝に関して教えてくれれば力になれるかもしれんぞ?

何せ俺はスコーチ狩りでアパラチア中を歩き回っているからな、どうだ?」

 

男は思案しようと銃を下げ始めたその直後、暗がりで出番を虎視眈々と狙っていた男に後ろから撃たれて呆気なく絶命した。

 

「残念ながら縁がなかったようだな」

「その様ね。

ザ・ウェイワードの紹介にはもっと相応しい物があったと思うのだけどごめんなさいね」

「構わんさ」

 

俺は死んだ男を無視して椅子に座る。

 

「最初の一杯は私のおごり、何飲む?」

「ビールで」

 

言えばすぐに冷えたビールが出てきた。

 

「私はダッチェス。

何か力になりましょうか?」

 

そういわれて俺はビールを飲みながらここに来た本題を話す。

というのもこれは監督官の家に寄る途中、Vault76を出て直ぐの話なのだが「宝探し」でVault76目指してやってきた女性二人のコンビが居た。俺はVaultの実情を語ると彼女たちはあから様にがっかりしていた。

 

そりゃ、何時扉が閉まりっぱなしになって酸欠で死ぬかもわからない場所で雑貨漁りなんてしていられないだろう。

そして彼女達はこの宝探しの情報はザ・ウェイワードでなけなしのキャップを払って得たと言っていた。

 

まぁ、ほぼジャンクなその辺の塵に比べれば奇麗な品が多いが、命を懸けて拾いに行くほどの価値は無いだろう。

役職柄内部の構造はそれなり以上に熟知しているが、そもそもメインジェネレーターが耐用年数ギリギリで25年間を何とか保つ程度しかValut76の運用は考えられていなかったのだからな。

 

そしてVault76は再び閉じられたので、もう開く事はそうそう無いだろう。

だが、お宝探しで万が一にもVault76を荒されたくはない。

もう済む事が出来ない場所だとは言え、あそこは多くの元住人の家だった場所だ。

もしもあそこに手を出す人間が居れば、アパラチアのどこに逃げようと追い詰められて確実に消されるだろう。

そうならない為にも「宝探し」の正しい情報を得てさっさと決着をつけたい気持ちがある。

 

「ま、ただのデマだというならそれはそれで構わんさ、Vault76を荒されない限りな。

そこのそれみたいなのが来てもらっても迷惑だしな。

お前さんは何か知ってるかい?」

「私も大して知らないわ。

アイツはクレーンって奴の居場所を探してきたみたい、私が前に手を貸した男みたいね」

 

それ以来酒場を立ち上げたばかりなのにろくでなし(レイダー)が来るようになって苦労してるそうだ。

 

「ふぅむ、ならば少し手を貸そうか?」

「是非とも借りたいわ。ああいうのは初めてじゃないのよ、これっきりにしてほしいんだけどね」

 

悩ましげにダッチェスはそういう。

 

「普段はうちのスタッフが対応してくれるんだけど、今はいなくて。

用心棒含めて人手が足りないわ」

 

色々と解決してくれるなら当然報酬は出すという。

 

「面白い、だが先ずは計画を話してくれ」

「それもそうね」

 

大体の場合、奴らはクレーンを探してやってくるというのでならば喧伝すればいいという話になった。

そうして誘き出して奴らの根城を探し、対処すればいいという話になった。

どうせ初めに来るのは使い走りが精々だろうというのは読めていたからだ。

 

「看板と宣伝文句、後映像情報を流すテープのセットよ。

図面が正しければ看板なんかはこれでいけるわ」

「準備が良いな、元からやるつもりだったのか?」

 

ダッチェスはにこりと笑って答えない。

 

「もしもその件で助言が必要だったら言ってくれ……まぁ何となくだがお前さんなら大丈夫そうだがな」

「彼はモート、ウチのスタッフの中では物を作ったりするのが得意な方よ」

「モートだ、流石に今回みたいな件があると困るので直接は手伝えんが、助言くらいはできる。

何だったら話し相手でも構わんぞ?」

 

その後、少しの雑談の後に俺は行動を開始した。

ザ・ウェイワードからそれなりに離れた、道路に面した少し広い場所を探しそこで「店」を建築し始めたのだ。

幸いにも材料はうなるほど転がっていたのであっという間に建築は終了し、後は武具のメンテや料理でもして待つぐらいしかやる事が無かった。

テープも最寄りの放送施設で流して2~3日待つとホイホイと誘い出された奴が現れた。

 

見た目少し武装した旅人風の男だ。

 

「クレーン!いるのか!?」

「残念ながらクレーンはここに居ない」

「お前は誰だ?何が起こっているんだ?」

 

互いに軽く事情を説明しあうと彼はため息をついてザ・ウェイワードに向かって言った。

残念ながらただのトレジャーハンターでレイダーではない、外れだった。

次に現れたのは如何にも荒野のゴロツキと言わんばかりの上半身裸の男だった。

 

「クレーン!!どこにいやがる!」

「随分と威勢が良いじゃないか」

 

そこから交渉で何とかしようとしたが向こうが攻撃してきたので返り討ちにしてしまった。

 

「まぁ、俺自身もそこまで熱心に説得したい訳じゃなかったしな、仕方ない」

 

幸いにも敵の根城は北の材木会社だと解った。

しかし、そこはスーパーミュータントが根城にしていた気もするが…。

とはいえ、先ずは経過報告をダッチェスに行うとしよう。

 

「……という訳だ、奴らは材木店の跡地を根城にしている」

「そこって前に足を延ばしたことがあるけどスーパーミュータントの根城だった場所よ?

そんなとこを占拠するなんて、随分と戦力が多いみたいね」

「……」

 

スーパーミュータントやスコーチ、モールマイナー等のアボミネーションだらけの拠点なら、何度か壊滅させた事はあるのだがなぁ…。

特に発電所だ、あそこを解放して発電システムを復旧させないと得られないモノが幾つもあった。

 

「だとすると警戒する必要が…」

「まぁ、賊を相手に手加減は無用だな、皆殺しにすればそれでいいだろう?」

 

テロリストみたいなもんだ、中国軍の大部隊を相手に戦うよりも気が楽だな。

アンカレッジの時は英雄が居たから何とかなったんだよなぁ

今では俺もPA纏って暴れまわっているから彼に及ばなくても似たような事は出来る。

 

「あー、まぁやり方は任せるわ。

一応、噂では北の農場を営む一家がどうやってかは知らないけど彼らの侵攻を撃退したと言う噂もあるし聞いてみたらどうかしら?」

「おう、それは良いな。

情報があればその分スマートに殲滅できるしな」

 

この時点で俺は既に奴らを殺しつくすのは規定事項となっていた。

 

「思っていたより血の気が多い人なのかしら?」

「元軍人でね、テロリスト、敵兵、犯罪者相手に交渉する気は無い。

ましてや今回はVault76元住人の未来も関わるからな……ダッチェス、我々と敵対すればどうなるか、彼らを見て学ぶと良い」

 

念の為に釘を刺しておく。

その後、農場に行けば彼らの協力者がいてそいつのお陰で何とか出来たという。

そうしてそいつが移動遊園地を根城にしていると聞いたのでそちらに出向くと、手品の種は割と簡単に割れた。

ステルスボーイで姿を隠してレイダーのボスの秘密を握って対処したそうだ。

ちなみに彼の根城の移動遊園地は何故かしょっちゅうスコーチ共が集まる危険地帯だ。

今回もスコーチが集まっていたので一度すべて散らした。

 

「しかしステルスボーイか、そんなに数がある訳でも無いし対応しきれなそうだな」

「だったらあそこの卵を持ってくれば幾つかやるよ。へへ、アレの卵は美味しいんだ、なぁどうだ?」

 

そう言って指示されたのは西の方にあるデスクローの住む島だ。

 

「いい根性しているな、お前。

まぁステルスボーイの対価と考えれば妥当か?

分かった持ってきてやろう」

 

20分後、デスクローは親子で俺と彼の胃に納まる事になった。

昔、ひい爺さんが作ってくれた『OYAKO-DON』を思い出すいい具合の料理になってくれた。

 

ここまでやっていると不意に予防接種の件が何日も進んで無いな、という事を思い出す。

さっさと終わらせて仕事に戻らないとな。

 

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