チラシの裏の日記   作:とうや

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ひい爺さんの代から継承されている我が家の『お宝』……実態は日本語の(ジャパニーズ)漫画(カートゥーン)なんだが、その中の一つが世紀末……この今の世界のような場所を拳一つで銃も刃物もものともせずに立ち向かう拳法家の物語だったか。
他にも色々とあったが、俺の集めた『お宝』と合わせて大多数はVault76の図書室に寄贈してしまった。
あれもある意味『お宝』と言えば『お宝』だが、Vault76の住人達以外にはあれを読めないだろう。
そもそも、日本語の文法や言い回しは独特過ぎて習得するのも困難だったからな!
だが、流石選ばれしVault76の住人達と言うべきか。
俺もそうだが基本的に優秀で仕事も忠実にこなす彼らは、割と暇を持て余しやすかった。
そんな中で読めないけど面白そうな漫画があれば、読める様に努力したのはもはや言うまでもない。

時間は腐るほどあったからな。

だが現金というか大量のキャップに繋がる様な価値のある物と言われると難しい。
雑貨や備品を持ち出せばそれなりになるだろうが……ザ・お宝と言える物が実は無いのだ。
少なくとも、建設に携わった関係上、それを仕舞っておくスペースが無いというのも実は確認してある。

==Vault76の元整備士とグールの会話より


3:ザ・ウェイワードとお宝さがし②

材木会社敷地への侵入は深夜に行った。

見事なまでに中途半端な要塞化しており、俺にとってはやりやすさも感じていた。

 

「遮蔽物が多いという事は隠れ潜むに丁度良すぎる。

せめて板でも用意していれば潜入難易度は上がっていたんだろうがなぁ」

 

こそこそと中腰になったり匍匐で進んだりとしながら敷地内を移動する。

途中、余りに隙だらけのレイダーの暗殺を心掛けていた。

ステルス状態でのライフル狙撃、背後から忍び寄り至近距離でのナイフ連撃などで思いのほかあっさりと敵が片付いていった。

 

「……もしかしたら俺には潜入工作員の才能もあったか?」

 

気付けば既に周囲は制圧できていた。

途中ステルスボーイも使ってしまったが、まさか全ての敵を暗殺で片付けられるとは思っていなかった。

 

ボスに至っては最初から容赦なしのオートグレネードランチャー連射からのプラズマグレネードで寝込みを襲い死体すらもバラバラになって貰った。

 

「ふむ……スコーチビーストとかなら余裕で耐えるが、やはり人間相手だと過剰火力だな」

 

グレネードランチャーは威力が十分過ぎる程なのだが、実の所スコーチやフェラルを相手にする事が多いと微妙に使いずらかった。

と、言うのも連射の微妙なラグがあり、耐えられてしまうと距離を詰められて下手をすれば自爆してしまい逆にこっちが危ない。

というか、なんであいつら耐えられるんだろう、俺だってPA着てなきゃ無理なんだが。

 

そんな些細な疑問が浮かんでは消えつつ、部屋の中を漁ると、無事なホロテープがあったので、何となく読み込ませて、すぐに止めた。

端的に言うとホロテープの記録内容はこの犯罪者共は殺すのがやはり妥当であったという確信に足る物だった。

どう考えても後の禍根になるのが目に見えているからな。

レイダーの影響を受けた第三世代以降が出なければいいが、難しいだろうな。

人は総じて安易で暴力的な解決に魅力を感じやすいものだ。

自分自身もそうなのだから。

当然の話だが、交渉で繋ぐのも良いだろう。

だがそれは潜在的な脅威は残りっぱなしで後回しにしているだけになってしまう事も多々ある。

もっとも、世の中には権威やカリスマによって十二分に人を惹きつける指導者がいる。

そういう人間が居れば少なくともその人間の『意思』が伝えられている限りは何とかなる。

まぁ、そんな先の事を今考えても仕方ない。

 

「おう、戻ったぞ。奴等は壊滅させた。新しいのが入らない限り当分は平和だろうさ」

「見事、と言うべきなのかしらね。

ただウチの用心棒たちが盗賊を追いかけて今も行方不明なの、探すのをお願いできないかしら?」

「ふむ、良いだろう。

その代わりクレーンの事は事が終わったらキッチリと教えてくれよ?」

「えぇ、助かるわ、本当に」

 

俺が即助ける事を判断すると少し呆れたようにダッチェスは言う。

 

「構わん、人助けも最終的にはこちらの目的の内だ」

「あら、どういう目的なのかしら?」

 

俺はVault76居住者のこの荒野(ウェイストランド)での目的、アパラチア再建に関して語る。

 

「まぁ、端的に言えば市民が今よりももっと安心して暮らせるようにするのが理想だ。

実際、全てのアボミネーションを駆逐するのも、レイダーを滅ぼすのも現実的ではない。

そして腐った政治家ばかりの国を再建したい訳でも無い。

昼はそこそこ働いて、夜は酒飲んで寝る、それが保証されている世界がどれだけ理想の世界と化してしまったことか」

「ま、言いたいことは分かるわ」

 

ダッチェスは理解を示しつつも話を遮った。

脱線していたか……俺もジジイになってから随分とこういうのが増えたな。

 

「すまんな、で、用心棒どうやって探せばいい?」

「用心棒は二人なのだけど片方に発信機が仕込んであるの。

この信号をラジオで受信すれば見つける事が出来るわ」

「……発信機を植え込んであるのか?人間に?」

 

俺が驚いて問うとダッチェスはふふっと笑う。

 

「ダッチェス、余り意地悪はしてやるな」

「あら、秘密と言うほどでもないけど……そうね、胸糞悪くなるような事はしてない、とだけ言っておくわ。

元軍人さんを怒らせて、良い事なんてないしね」

 

ダッチェスはれじゃ頼んだわと言って俺を送り出した。

PipBoyのラジオモードを起動し、電波をたどる地味な探索作業を行っていると、途中でフェラルに襲われている入植者を助けたり、スコーチを返り討ちにしたり、スーパーミュータントに奇襲して爆殺したりとしたが人助けが加わった以外は実にいつも通りだ。

 

そうして辿り着いたゴーリー鉱山の入り口で思わずため息をつく。

 

「ここ、完璧にスコーチの根城じゃないか」

 

つい最近クイーンを撃破したばかりだが、感染してスコーチ化した存在が実に多い事に今更実感がわいてくる。

 

「さっさと隠居してのんびり暮らしたいもんだ……戦前だったら退役金でも出たのかねぇ?

あぁ、いや出ないか、あの経済状況じゃ絶対出ないな」

 

あの頃に米国が崩壊しなくても、恐らく経済破綻でホームレスだったかもと思うとうすら寒い物がある。

野宿したりするのは今もそうなんだがな。

鉱山内を思わず独り言を言いながら進むとやはり何度もスコーチに遭遇し、駆逐しながら進む事になる。

とはいえ、誰かが先にここに訪れていたようで、銃とレーザーでスコーチが殺された痕跡が残っていた。

 

ある程度進むと苦悶している人の声が聞こえた。

 

「おい、そこにいるのは誰だ!」

「俺は人間だ、スコーチじゃないぞ!」

 

大怪我を負った男が壁に背を預けて座り込んでいた。

 

「俺はザ・ウェイワードの用心棒をやってるソルだ。

襲撃してくるスコーチをどうにかしようと動いてたら返り討ちにあっちまってよ……済まねぇんだが、薬とか持ってないか?」

「なるほど、俺はダッチェスに言われてお前とあともう一人を探しに来た。

薬は、このスティムパックを使え」

 

状態や装備を見て敵対されても余裕と判断してスティムパックを一つ渡す。

 

「ありがとよ、兵隊さん…か?そのPAはBOSの装備にゃ見えないが?」

「あぁ、俺は元兵士だがあの核が堕ちてくる前にはとっくに退役しててな。

後、別にBOSって訳じゃない、これはエクスカベーターっていう採掘用の馬力重視のパワーアーマーだ」

 

話している内に男の様子もあっという間に落ち着いていく。

 

「動けそうか?」

「おかげさまでなんとか……そうだ、ポリー!ポリーを助けに行かなきゃ!」

 

ソルが急に立ち上がってそういうが、即座に顔をしかめて脂汗を垂らす。

 

「無理をするな、スティムパックは即効性とは言え一気に全部直るわけじゃない。

お前の相棒は俺が連れ帰る……しかし、なんでお前たちはこの鉱山に?」

「ダッチェスのバーには色々と襲撃者が来るんだが、その中で最近一番多かったのがスコーチだ。

どうにかしようとして俺とポリーは良いアイディアを思いついたんだ。

それで、先ずは鉱山の奥にあいつらを押し込めようとして…」

 

その後も幾らか話を聞くにどうも奥に押し込めて坑道を爆破して封鎖しようとしたらしい、だがスコーチに感づかれて反撃され、ポリーと言う人物が先行して奥で戦っていたそうだが、どうにも銃声が途絶えたらしい。

そして自身も奴らに追い込められて窮地に陥って今に至る、と。

こうなると同行されても重りをする必要があるかもしれない、そうなると手間だ。

 

「わかった、後は俺に任せろ。

今なら帰り道にスコーチはいない、すべて倒してきた」

「すまない、恩に着るよ」

 

ソルがその場を離れるのを見届け、俺は坑道の奥に向かう。

行動の中には相変わらずスコーチが多いが、それと同じぐらいスコーチの死体も転がっていた。

 

「打撃痕に、レーザーか何かで焼き切った痕だな。

……この特徴的な痕跡はアサルトロンの物か?」

 

更に進むと開けた場所に出た。

 

「アラ…? 誰かいるのかしら?」

「その合成音声っぽい声、アサルトロンか?」

 

俺はどこからか聞こえるオカマっぽいその声に周囲を見渡すがアサルトロンの姿は見えない。

 

「ちょっとやられちゃってね、みっともない姿だけど…あぁもう少し前よ、倒れたトロッコの上」

「……見事にバラバラだな、アサルトロン以外のロボットだったら普通にダメになってたな」

 

首だけちょこんと横倒しになったトロッコに乗っていたアサルトロンの頭を見て俺は思わずそう言った。

 

「私はポリー、貴方は?」

「俺はダッチェスからお前とソルを探すのを依頼されてここに来た……っと、お喋りの時間は終わりだな」

「よかったら私を使う?

 レーザーぐらいなら撃てるわよ?」

 

アサルトロンのポリーがそういうが、俺はそれを断った。

 

「お前、それで電源切れたらそのままシャットダウンだろう、その状態でシャットダウンされても困る」

 

アサルトロンは基本は胴体に動力源を持つが頭部にもレーザー用のバッテリーがある。

普段は頭部レーザー砲の為の補助電源だが、胴体の動力源損傷時にはそのバッテリーで動く事も出来る。

あの驚異的なレーザー砲の出力を考えればその電源がどれだけ大容量なのかは想像もつくが、だからと言って今の状態で戦闘に使えばすぐに尽きかねないだろう。

 

「あら優しいのね、じゃあお手並み拝見ね」

「任せろ、この程度ならば楽勝だ」

 

淡々とショットガンで胴を打ち抜き、弾が尽きれば10ミリで頭を、また弾が尽きればナイフで、ナイフが折れればPAの鉄拳で……。

 

「ってちょっと多くないか!?」

「まだまだ来るわよ。スコーチの武器を拾って対処するのが良いんじゃないかしらね?」

「あぁそうだなド畜生!!」

 

その後、2度ほど武器を使い潰してようやく一息付けた。

 

「外だったら間違いなく爆破してた、鉱山でソロであの数と戦うのは二度とごめんだ!!」

「PA着ているとはいえ、良く凌ぎ切ったわねぇ」

 

PAの装甲も中々にボロボロだが、それ以上に装甲を抜けてきた衝撃や貫通した弾丸などで中身の俺もボロボロだった。

当然、スティムパックを使用して応急処置はしたが、正直体中痛い。

 

「我ながらびっくりだよ……んじゃ、ウェイワードに戻るぞ」

「えぇ、よろしく頼むわ」

 

そうして戻った後にダッチェスから礼を言われた。

なんとなく分っていた事だが、ダッチェスは最初からクレーンの事はすべて把握していて俺をうまく問題解決に利用した、という訳だ。

どちらにしてもあのレイダー共はどうせ近い内に掃除したのは間違いないだろうから問題はない。

それに入植者達から信頼を得るための活動も実際必要だからな。

便利屋として動くのもこれもまた仕方ない。

 

「これが最後のお願い、ポリーの新しい体を用意したいの」

「まぁ乗り掛かった舟だ、最後まで面倒を見よう」

 

ロボット販売店のMrハンディと交渉する場面もあったが、俺が軍のIDを持っていたお陰で軍が購入予定だったアサルトロンボディをあっさりと入手し、ポリーは新しいボディを。

俺はクレーンの真実を知る事になった。

 

ザ・ウェイワードの二階、閉ざされた部屋で拘束された一体のスコーチ。

 

「彼がクレーンよ……ほんの少し前までは普通だったの、だけど気が付いたらこんな事に」

「この拘束は?」

「彼自身が望んで……」

 

なるほど、それなりに親しい仲間、友人がスコーチ化してしまった…そういう事か。

情報を出し惜しんだのもそれが理由という事だろう。

 

「スコーチ化する前に予防できていればよかったんだがな。

こうなってしまえば最早人としてのクレーンは死んだよ……スコーチになると意識も彼らの物に浸蝕される。

終わらせてあげよう」

 

何時かの様に。

俺は愛用の10ミリでクレーンだった者の額を撃ち抜き、それで幕とした。

 

ダッチェスは少しの間悲しむと、クレーンの持っていたというIDを俺によこした。

 

「鉱山の奥に倉庫があるそうよ。

お宝が本当にあるのかは知らないけど、良かったら行ってみて。

それと、今回のお礼、後お酒はアンタが相手なら割り引いてあげるわ」

 

お礼として物資を渡され、更にサービスもすると言われた。

ダッチェスは人使いは荒い様だがこうした所はきっちりとした性分なのだろう。

 

「そうか、わかったありがとう……。

もしスコーチ病の予防をする気があるのならサットンのVault76元居住者達に相談すると良い。

それじゃあ俺は行とするか……クレーターとファウンデーション……どちらから向かった物やら……」

 

随分と寄り道してしまったが、今度こそ次に向かわなければならない。

人々は果たして俺達の提案を受け入れてくれるだろうか?




なお、言うまでもないですがサットンの元居住者の設定などは本作オリジナルです。
76は人が多かったそうなので、第一世代で監督官大好きな人々ならお膝元に集ってそうというそれだけでこういう設定にしました。
主人公も第一世代でさらに元軍人なので有能でカリスマある指導者な監督官には男女の好意というよりも、王族に仕える騎士かというレベルで忠誠誓うレベルで慕っています。
本人にそこまでの意識はありませんが、頼まれれば命懸けで諸々成し遂げるレベルです。

そして大体の住人がそこまででなくとも監督官の言う事は割と聞くので揃えば、並み居る襲撃者を撃退する無敵の要塞と戦闘部隊を作れそう(小並感
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