SSSS.GRIDMAN うたかたのそらゆめ【完結】   作:カサノリ

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お待たせしました!
いよいよ本格的に投稿を開始します!

公開してだいぶ経ちましたし、ノベライズも出ていますが、かなりグリッドマンユニバースのネタバレ全開なのでご注意を!


そして…!
グリッドマンユニバースは最高の映画なのでぜひ劇場へ!


決意

「俺、六花に告白しようと思う」

 

 響がそんなことを言い出したのは、球技大会を数日後に控えた日のことだった。

 

 もうすっかり外は暗くなって、静かになった俺のクラス。一緒に帰ろうと来てくれた内海と球技大会を控えて部活が休みの俺へと響はぽつりと言った。

 

 そしてそれに対する俺達の反応は、

 

「「いや、今更かよ」」

 

 というまったく驚きようがない、むしろちょっと呆れ半分なものだった。

 

 だってさ、だってだよ、響裕太よ。グリッドマンが取りついてて、でも最終決戦はちゃんと自分で参加した主人公よ。あの勇気は今までどこ行ってたんだよ? 

 

 それを指摘されるとさすがの響も自覚があるようで、

 

「やっぱり……今更かなぁ」

 

 と頭を抱えてうめくように言うのだ。

 

 そんな響を前に、俺と内海はアイコンタクトをする。俺達にウルトラ兄弟みたいなテレパシー能力はないが、それでもこのオタク仲間兼戦友兼親友兼彼女もち仲間(他の奴には内緒)とは言葉がなくても会話ができた。A最終回のヤプールみたいな感じ。

 

 そして俺達は、響に悟らせないままこんなことを言い合う。

 

『今更っていうか、宝多さんだいぶ前から告白待ちしてたよな?』

 

『うんうん、めーっちゃ裕太のこと待ってたって。なんか二人っきりの時間を作ろうとしてたし』

 

『アカネさんにも愚痴ってたっていうもんなぁ。さすがに女の子同士だから詳しい話は教えてくれなかったけど』

 

『っていうか、なんで戦いの後で告白しなかったんだよ? 絶好のチャンスだったろ』

 

『そこはあれだよ、グリッドマンが……ほら』

 

『あー……あれは不幸な事故だったな』

 

 事故っていうか、異種族ゆえのディスコミュニケーションというか、トモダチハゴチソウみたいな? いや、グリッドマンにそんな食文化あるわけないけど、別れ際の言葉にしてはあまりにもストレートに秘密を暴露して、宝多さんと響の関係に大ダメージを与えていった。

 

 とはいえ、

 

『なんか最終決戦前に告白っぽいことはしたみたいなんだけどな』

 

『そこまでやっといて、戦いの後でタイミングを逃しちゃったと』

 

『なんてこった』

 

 はい、アイコンタクト終了。

 

 俺達は落ち込む響の肩に手をポンと置くと、ふかーい思いやりの目をしながら語り掛ける。

 

「響、確かにお前はタイミングを逃し続けた。バレンタインもクリスマスも、なんだかんだと宝多さんと一緒だったのに告白できなかったのが、まず悪い」

 

「……あの時は六花、新条さんに振り回されてたし」

 

 そういえばダブルデートだーとか、手作りチョコづくりだーってめっちゃはしゃいでたな、アカネさん。

 

「いや、むしろその前にケリを付けとくべきだっただろ、六花さんとはよ」

 

「……その前は新条さんの勉強みたり、忙しそうにしてたし」

 

 毎日のように宝多さんと放課後に残って勉強してたな、アカネさん。

 

 ってことはだ、つまり。

 

「おい、ババリューさん? これって割とお前と新条のせいじゃね?」

 

「そんなはずは……あるかも」

 

 そうは言ってもなんかタイミングあんだろ!? 好きな人に好きって言えばいいだけじゃん! 俺とアカネさんなんか朝昼晩に一回は言ってるぞ!!

 

「それはお前と新条がバカップルってだけだ」

 

「っていうか、昼って……学校でもしてたんだね」

 

「こいつら、ぜってー二人の秘密の部屋とか作ってんぞ。隠れてエロいことするための」

 

「エロいことはしねえよっ!?」

 

 そういう場所があるのは……うん、まあ。

 

「と、とにかく! 響は宝多さんに告白したいわけだな。……まあ今更だし、周りの認識も付き合ってんだろくらい思ってるけど、言葉にするのは大事だ、うん!」

 

「こいつ都合悪くなったからって、話そらしやがったよ。でも、そこは俺も同意見。むしろはやくくっつけよとか思われてるけどな、裕太と六花さん」

 

「あー……やっぱり?」

 

 そうそう、あれは普通に付き合ってる男女の距離感だっての。クラスでも高嶺の花というか、意識高い系とか思われてる宝多さんが響とは二人っきりで出かけたりもしてんだぞ。サッカー部でひそかに宝多さんファンのやつがいたが、そいつはチャンスなくしたって嘆いてたし。

 

 正直に言えば、告白なんてしなくてもなあなあで付き合ってますとか既成事実化することは全然ありだと思う。

 

 だが響にとって、それはもやもやするものがあるとのこと。この妙に有事にだけ思い切りのいい、ヒーロー気質なシャイボーイとしては、なあなあのままで既成事実化させるよりも、男らしく決めたい気持ちが強いのだろう。

 

 とはいえ、だ。

 

「宝多さん的にも、変なタイミングで告白されても『は? 付き合ってないつもりだったの? 信じらんない』とか言われるかもしれんし」

 

「いや、六花に限ってそれは……」

 

「アカネさん曰く、あれでけっこうロマンチストだって」

 

「あー、わかるわー」

 

「たしかに……」

 

 そこで内海は眼鏡を光らせて、いい案が思いついたとばかりに響の肩を掴む。

 

「だったらよ! 普通に告白するのもアレだし、大きなイベントの後がいいんじゃないか?」

 

 そして内海はスマホをポチポチと操作した後、響へ向かって画面を見せた。それはなんかひと昔前に流行ったような胡散臭い占いのサイトで『文化祭の後なら大チャンス』とか書いてある。閲覧数めっちゃ少ないし不吉な666だし、信用できるとこかは不明。

 

 だけど内海が言いたいことは俺も理解できた。

 

「文化祭の後っていうのは……たしかにありかもしれない」

 

 お祭り騒ぎの中で気分が高揚するってのもあるだろうし、学生生活としてはかなり大きなイベントだ。改めてよろしくお願いしますというタイミングとしても、悪くないだろう。

 

 ってか、付き合ってる相手が相手だからか、こういう雰囲気づくりとか妙にうまくなったな内海のやつ。はっすさん、そういう企画系好きそうだし。

 

 俺としても賛成だという意見を伝えると、響も髪に負けないくらいに顔を赤くしながらもこくりと首を縦に振る。

 

 ほんといつも思うが、ちょっと気弱なところあるけど決断力はすごいんだよな。ヒーロー体質というかなんというか、決めたらこう一直線というか。そういうところは友人としてもグリッドマン同盟としても尊敬してる。

 

 ともかく、こうして怪獣と戦うよりも難易度が高そうな宝多さんへの告白リミットが決まった。

 

 話が終わり、わざわざこっそり教室に集まる必要のなくなった俺達はカバンを背負って下校の支度にとりかかる。その中で話題に出るのは、響にとってにわかに重要になってしまった文化祭の話だ。

 

「そういえば、そっちのクラスは文化祭になにやるんだ? さっき決まったんだろ?」

 

 うちは元ネタがあるのかもわからない脱出ゲーム。ついでにサッカー部は空き教室つかって執事喫茶とかやるらしい。

 

 俺とアカネさんがうらやましいから女子にもてたいと刈谷がめっちゃ燃えてた。そしてそれがどっからかばれて、奴のイメージは下落してた。

 

 内海のクラスにはアカネさんがいるので、彼氏としては彼女のクラスの出し物は気になるところ。まさか宝多さんとかキレイな子も多いから変な企画するわけじゃないだろな? メイドとか云々かんぬん。そういうのは家の中だけにしてほしい。

 

 すると内海はよくぞ聞いてくれましたとばかりに眼鏡を光らせて、

 

「俺らは演劇するんだよ! しかも……!!」

 

「「しかも?」」

 

「題材は……! グリッドマン!!」

 

「…………え、なんで?」

 

 声高な宣言に、俺はちょっと頬を引くつかせた。

 

 ウルトラオタクとしてはおおって思うし大賛成。俺だってやってみたいよ自作ヒーローショー。

 

 でもそれ、クラスの出し物でやるか?

 

 だって俺ら以外みんな覚えてないんだぞ、グリッドマンのことも怪獣のことも。それを文化祭の演劇にするか普通? 百歩譲ってヒーローショー企画が通ったとしても、ウルトラマンならともかくグリッドマンってよく知らないヒーローだぞ。正直、アンドロメロスの方が可能性ありそうだ。

 

 それを素直に言うと、

 

「いやー、俺もダメ元の提案だったんだけどさ、意外とみんなも面白そうって言ってくれて。新条もかなり乗り気だったし」

 

「アカネさんはそりゃ乗り気だろうけど……いいクラスだな」

 

「生暖かい目で見るなぁ! 別に浮いてねえし、無理強いもしてないから!!」

 

「そ、それで内海は演劇でなんの担当するの?」

 

 響が尋ねると、またもよくぞ聞いてくれましたと眼鏡をビカビカに光らせて言う。

 

「俺と六花さんで脚本を担当することにした!」

 

「おお、それまた重要なところを」

 

「っていうか、内海たちじゃないとそもそも書けないよね」

 

 ……たしかに。

 

 でも、内海もただ単に趣味を学校で披露したいから提案したわけではないという。真面目に話すのが照れくさいのか、内海はちょっと頬をかきながら言った。

 

「……まあ、なんていうかさ。俺達にとってもグリッドマンとの思い出って大きいだろ? 怪獣だったり戦ったり、新条やリュウタとも仲良くなったりさ。

 それに……! 物語としてもけっこー面白かったと思う!! ……だから、みんなにも知ってほしかったんだよなぁ」

 

 グリッドマンってすごいヒーローがいるってことを。 

 

(グリッドマンがいたことを、か……)

 

 内海の言葉に俺もいろんな景色を思い浮かべる。とってもカッコいい赤いヒーローに、その仲間の変人な黒スーツ達。あのヒーローオタクに染めてしまった元怪獣の紫ヒーローに、黒い仮面のあの野郎は……まあいいや。そして何より、俺を相棒にしてくれた青いシグマ。

 

 あんなにすごい活躍をして、世界を、アカネさんを救ってくれたみんな。

 

 それを誰も覚えていないっていうのは……確かに寂しいよな。

 

 ヒーローや怪獣がいないほうが、事件も起きなくて世界は平和。でもやっぱり物足りないから人は空想の中でヒーローや怪獣を生み出した。それが俺達を育ててくれたし、グリッドマン達との縁を繋いでくれた。

 

 だから……うん、とてもいいことだ。

 

 内海の言葉を聞いているうちに、やっぱりこのウルトラオタクはすごいやつだなと思えてくる。俺にもできることがあれば、なんて気持ちがわいてきた。

 

「脚本出来たら、俺にも見せてくれよ。グリッドマンのことだしなんか力になりたい」

 

「あっ、俺も俺も……!」

 

「おっ、マジか! よろしく頼むぜ、グリッドマン同盟♪」

 

「ちなみに、シグマのことももちろん書くんだよな?」

 

「そりゃあそう……って言いたいんだけど、着ぐるみとか尺の都合でカットってことも……」

 

 おいこら。

 

「わかったわかった……! なるべくお前とシグマのことも入れてみるっての! でもさぁ、けっこう大変なんだぞ? 総集編つくるときに本筋と別の話とかあると……」

 

 内海が困ったように頭をかくが、ヒーロー好きなこいつのことだ、うまくしてくれるだろうと信頼していた。

 

 そこで今気がついたとばかりに響が言う。

 

「そういえば、新条さんはなにやるの?」

 

「おいおい、響。アカネさんだぞ? もちろん……」

 

 

 

 

「うわぁああああん! 怪獣のアイデアがおもいつかない~!!」

 

 響たちと別れて家に帰ると、アカネさんがソファの上で頭を抱えて叫んでいた。

 

 その近くにはスケッチブックと造形用の粘土とへらといったアイデア出しのグッズが置かれているのだが、どれも散らばってて、アカネさんの悩みっぷりが伝わってくる。

 

 この様子で分かる通り、アカネさんは怪獣造形を担当すると内海が教えてくれた。ヒーローの方を担当しなかったのは……まあ、昔よりはマシだけど今もアカネさんは怪獣派だということである。

 

 アカネさんとしてもクラスの親しい人には怪獣趣味のことも打ち明けているらしいが、大っぴらに趣味を学校で活用できる機会はそうそうない。ということで、演劇にオリジナルの怪獣を出してみんなにも怪獣の良さを広めたいというのが立候補の理由でもあった。

 

 しかし、御覧のとおりさっそくスランプ中のよう。

 

 アカネさんがもどかしそうにふりふりさせている足に当たらないよう、そっとソファに腰かけると、アカネさんは芋虫みたいにぐねっとソファの上で体をよじって、俺の方へと頭を向けてくる。その途中で結構きわどい体勢になってたし、着ている制服の乱れっぷりのせいでいろいろと目のやり場に困るのだが、あんまりアカネさんは気にしてくれない。

 

「ん……!」

 

 そのアカネさんが上目遣いでこっちを見て、何か言いたげに意味のない音を鳴らす。

 

「はいはい……」

 

 そして俺はしかたないなぁと言いながらアカネさんの頭を自分の膝に乗せて、わしゃわしゃと彼女の柔らかい髪をなでることにした。

 

 こういう時のアカネさんは猫っぽく、なでられるごとに上機嫌な鼻歌のボリュームを上げていく。今日はTake me higherだった。

 

「聞いたよ、アカネさんのクラスでグリッドマンの演劇やるって」

 

「うん♪ 六花と内海くんが脚本やって……」

 

「アカネさんが怪獣造形でしょ?」

 

「そうなの♪ まあ、段ボールと粘土しか使えないだろうし、あんまり本格的なの作れないと思うけどね」

 

「素材ならあそこの奴とかもらってきたら?」

 

「えー……センターのは運ぶの大変そうだし」

 

「俺が手伝うよ?」

 

 センターというのは、最近アカネさんがボランティアをしている市民センターのこと。部活をやっていないアカネさんは放課後は基本フリー。だが、あの事件で街に迷惑をかけたことを気にしているのか、人の役に立つことをしたいと少し前から通っている。

 

 週に一、二回のペースで土日もたまに。ゴミ拾いしたり、小学生と遊んだり、老人の話し相手になったりといろいろなことをやってる。最初は慣れないので大変だったみたいだけど、最近は人の輪にも入れるようになって楽しんでいるみたいだ。

 

 俺が提案したのはそこの資材倉庫のこと。物によっては本格的な工作に利用できるものもあって、高校の文化祭に使うというのは施設の目的とも反してはいない。職員さんに相談したら融通してくれるかもって思ったのだ。

 

 するとアカネさんは数秒間無言で悩んで……っていうか俺の腹に頭を押し付けながら考えて、

 

「……やっぱり、今回はやめとく」

 

 と小さく呟いた。

 

「アカネさんがそう言うなら、別にいいけど」

 

「たまにはリュウタ君に頼らないでやってみたいし。そっちはクラスと部活で二つもあって大変でしょ?」

 

「気にしなくてもいいのになぁ……、でもありがと」

 

「えへへー♪ 新条アカネは優しい彼女でいたいのだー♪」

 

 言いながらアカネさんはぎゅっと俺の腰に手を回してじゃれてくる。そうすると当たってんのわかんないのかなー、わかってんよなー、ぜったい楽しんでるだろ。我慢するのけっこう大事なんだよ、男って。

 

 ならばとこっちもアカネさんの首元とかそういうところをこしょこしょと。

 

「ちょっ……! 手つき、ちょっとやらしい……! くふっ、あははっ……!」

 

「夜遅くにこんなことしてくるのが悪いっての」

 

「わかった……! あははっ! わかったからぁ……!」

 

 ギブギブとアカネさんが弱く太ももを叩いてくるので、こしょこしょストップ。

 

 はぁ、はぁ、とアカネさんがちょっと顔を赤くして、乱れた前髪のままでゴロン。俺の膝に頭を乗せたまま仰向けになった。

 

 上気したせいか、いつも以上に艶やかな唇が、小さく動く。

 

「…………ねえ、キスして」

 

「はい、お姫様」

 

「むっ……いまの慣れてる感じでヤダ」

 

「アカネさんだけだよ?」

 

「知ってる」

 

 こういうリクエストも毎日なんで慣れてしまった。なのでお応えして、たっぷり一、二分。

 

 今さら照れるようなことはないけれど、それでドキドキが減るとか、飽きるってことはない。いつでもアカネさんは魅力的で、そんな彼女と特別な時間を共有できるのはどこまでも幸せだった。

 

 顔を離すと、アカネさんは夢を見るようにゆっくりと話し始める。

 

「怪獣をね、ひさしぶりに作ってみたいと思ったの……」

 

「…………え」

 

 いや、それって……

 

「あ、違うよ? そっちの意味じゃないから。嫌なことがあったとかそういうのじゃなくて、趣味で怪獣作ってみたいなって」

 

「……そういえばオリジナルの怪獣つくるの、アレ以来なかったね」

 

 アカネさんが作った最後の怪獣は、今のところダイナドラゴン。最高にかっこよくて頼りになる、俺たちを助けてくれた赤いロボットな恐竜だ。

 

 でもそれ以外にも、アカネさんはたくさん怪獣を作った。それはグリッドナイトやカミサマみたいな敵とは言えない怪獣もいたけれど、大半は街を壊した悲しい心の具現化だった。

 

 そしてあの戦い以来、アカネさんは怪獣を作るのをやめていた。

 

 怪獣を好きなのはまったく変わってないけど、粘土細工やスケッチもめったに見ることがなかった。

 

 アカネさんはぼんやりと、自分の心を確かめるように続ける。

 

「もうイライラすることも、誰かを怪獣で傷つけたいってこともないよ……。だってリュウタ君と一緒にいられて幸せだもん。でも、だからこそ……そんな私がどんな怪獣を作るのか……ううん、作れるのか試してみたいんだ」

 

「どんな怪獣か……?」

 

「ゴモラみたいに強いのとか、ガタノゾーアみたいに怖いのとか……もっと別のすごいのとか。そうしたらきっと、今の私のことを私以上にわかると思うから」

 

「そっか……」

 

「でもね……ぱってアイデア出てこなかったの。悩んだけど、どんな怪獣がいいのか、ぜんぜんわかんない……。きっと、私がいろんなこと考えてるからだと思う。あの時は、すごくシンプルだったから……今の方が難しいんだよ」

 

 口調は悩まし気で、でも、あんまり嫌がってる雰囲気もなくて。

 

 きっとアカネさんは、そんな今の自分のことも楽しんでいるんだと思う。わからないことがあるのを、わからないなりに。

 

 俺は創作のことをよく知らないけれど、そうやって自分の心の中を覗いていくのもきっと大事なことなんだろう。

 

 その怪獣づくりに俺ができることはあまりなくて、でも彼氏として力にはなりたくて、アカネさんの頭をポンポンと叩いて言う。

 

「アカネさんの新しい怪獣、できたら見せてよね?」

 

「もちろん、一番に見せてあげる♪ リュウタ君だけの怪獣じゃないから、好みに合わないかもだけどね」

 

「大丈夫だよ、アカネさんの怪獣なら」

 

 好きになるに決まってる。

 

 そう言うとアカネさんはくすぐったそうに体を震わすと「ずるいなぁ」って聞こえるギリギリくらいの声で呟いた。

 

 響の告白に、アカネさんの怪獣づくり。

 

 平穏を取り戻していた俺たちの日常が、少しだけ変わろうとしていた。




アフターストーリーなので糖度100%+少年少女の成長要素でお送りします。



話全体としては8割程度書きあがってるので、あまり間を開けないで完結できるよう、投稿しながら調節していく予定です。よろしくお願いいたします!

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