SSSS.GRIDMAN うたかたのそらゆめ【完結】   作:カサノリ

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書いていて改めて思いましたけど、最初の怪獣が出てくるまでも色々なイベントや前フリに伏線まで盛りだくさんだったんですよね、ユニバース。すごい丁寧な映画だったんですよ。すごいわぁ…





再会

 幽霊or宇宙人or怪獣を見た次の日。

 

 元グリッドマン同盟は全員で集まって、内海と宝多さんが作ったグリッドマン演劇の台本を見ていた。響とは同じように幽霊を見たことを驚き合いつつ、だけれどその正体が何なのかもわからない状態なのでそれ以上話は進まない。

 

 結局は何かあるかもしれないから気を付けようという話になって、台本を見る作業へと戻っていった。

 

 共用の自習スペースに五人も集まっているのでちょっとスペースは狭いけれど、

 

「台本見てくれんのはいいけど……目の前でイチャイチャするなーっ!!」

 

「えー、いいじゃん。狭いんだし、こうすれば一人分でしょ?」

 

 内海の叫びを聞き流すアカネさん。

 

 今、アカネさんは俺の膝を椅子にしながら胸にもたれかかっている。そんな格好なものだからちょっとどころではなく周りからの視線は痛い。

 

 内海が言った大声は、たぶん周囲の代弁みたいなものだ。

 

 宝多さんも呆れたように頬杖をつきながら言う。

 

「馬場君もちょっとは抵抗すればいいのに……」

 

「いやいや、これでちゃんと二人とも幸せだから」

 

「はぁ……馬場君がなんでもいうこと聞いてると、アカネがまたわがままになっちゃうよ?」

 

「わがままじゃないもーん♪ 彼氏と彼女ならこれくらい当たり前だって♪ 六花もきっとわかるよ♪」

 

「私は周りのこと気にしないでイチャついたりしないから」

 

「そうかなぁ? ね、響君はどう思う?」

 

「うぇっ!? そ、それは……俺はそういうのもアリというか、ちょっと勇気が欲しいけど、嬉しいかもというか……」

 

 事情を分かっているアカネさんがからかい半分で尋ねると、真っ赤になった響の声がどんどんと小声になっていった。

 

 そして宝多さんも……うーん、どういった感情なのだろう。アカネさんを不満げに半目でにらんでいるが、アカネさんは涼しい顔。

 

 そんな様子を見て、内海は頭を抱えて大きく息を吐いた。

 

「ほんとこいつら、半年たってもバカップルすぎる……」

 

 自覚はあるけど。

 

 とにかく話をそらすためにも台本を見てみる。昨日、響も『絢』に行って意見を出したみたいだが……ふむふむ。

 

 一通り見て、内海に台本を返しながら素直な感想を言ってみた。

 

「総集編すぎて、まとまりがない」

 

 確かに主要な出来事を網羅しているのだけど、ちょっとどころじゃなく深みがなくて物足りない。ヒーローショーでも心に来るものはあるが、これは入れたいことを入れすぎて散らかっている印象だ。

 

 すると宝多さんも内海も自覚はあるようで、

 

「うーん、やっぱり?」

 

「でもあの出来事を全部台本にするのも難しいんだよ」

 

 なんて苦笑いを浮かべる。

 

 オレにも二人が頭を悩ませながら作成したのはよくわかる。よくわかるんだけど、主人公が記憶喪失になったり、怪獣が出たり、実は怪獣を作ってる少女が神様だったり、黒幕にアレクシスがいたり……ってあれ?

 

「やっぱりシグマと俺、いないじゃん!?」

 

「ぐっ……! い、いや、その……お前と新条の話を入れたら収集がさらにつかないというか」

 

「最後にちょっと出てるけど! なんだこれ!? 脈絡なさ過ぎて、ウルトラマンゼノンとか初代マンのゾフィーみたいな奴になってる!!」

 

「馬場君とアカネの話を入れたら、二人だけの恋愛ものになっちゃって……。ほら、二人の話は私もそこまで知らないからさ。私も悪いとは思うんだけど、カットしたほうがまとまりがあるし……」

 

 酷いっ! あんなに俺も頑張ったのに!!

 

 抗議の視線を二人に送るがそらされる。この悲しみを、せめてアカネさんは理解してくれるかと思ってアカネさんを見るが、

 

「あー、わかるかも。ティガとファイナルオデッセイみたいな感じだよね? 一本それだけで作ったりとかは良いけど、作風が違っちゃうというか。SFが売りだったのに、いきなり昼ドラ始まっちゃうとか」

 

 残念ながら、アカネさんも内海たちと同じ側だった。さすがはクリエイター気質というべきか、作品の質にはこだわりがあるみたい。にしても昼ドラって。

 

「それにほら♪ リュウタ君のかっこいいところもやさしいところも、私だけの思い出にしたいし♪」

 

「……アカネさん」

 

「えへへ♪ だから気にしないで? 私のヒーローはリュウタ君だから」

 

「……うん」

 

 まあ、アカネさんがそういうなら俺からは文句もなにも……って、

 

「内海、これ見よがしにブラックコーヒー飲むんじゃねえよ」

 

「飲んでもまだ口の中が砂糖でジャリジャリ言うんだけど」

 

「ふっ、くやしかったらお前もやってみろ」

 

 羞恥心なんてアカネさんと一緒にいることと比べたら邪魔だ。

 

 でも、

 

「俺たちの話をカットしても、やることいっぱいで散らかってるよな……。もっとまとまりよくできないの?」

 

「難しいんだっての! そんな言うなら、お前も書いてみろよ! ……理想は列伝みたいな感じで、一つのテーマで貫ければいいんだけどな。ああいう総集編をつくる苦労が、今はよーくわかる」

 

「しかもクラスからは登場人物増やせとか、もっとリアリティある設定にしてよとか言われちゃってて。はあ……自分で書くって言ったから仕方ないけど、周りは勝手だよね」

 

 宝多さんは疲れたように息を吐く。

 

 実際の脚本でも『このおもちゃを売るために販促用のシナリオにしてくれ』とか、役者さんの都合で時間が取れないから出番を減らしてくれとかあるんだろうな。そういえばダイゴ隊員が忙しすぎたから、サブキャラの彫り下げが進んだとか聞いたこともある。

 

 それに加えてあの出来事をちゃんと収めようとするなら、30分12話とかでトントンというところ。それを文化祭のせいぜい一時間の尺に収めるのだから大変だ。

 

「で、でも、俺は六花の書いた台本は面白いと思うよ! ちょっとカオスなくらいがお祭みたいだし!」

 

 お、今のは良いフォローだったぞ響。

 

 宝多さんもちょっと照れながらの響の言葉に微笑んで、いい雰囲気にもなってる。こうやって人の努力とかをちゃんと認めてあげられるのは、響のいいところだよな。

 

 ただ、問題は脚本だけじゃない。さんざん言われてため息を吐いた宝多さんが、アカネさんへと反撃を試みた。

 

「アカネこそ、怪獣のデザインとかどうなったの?」

 

「先にデザイン決まらないと着ぐるみ作れないんだからな?」

 

「う゛っ……」

 

 アカネさんが二人のジト目に声を詰まらせる。さっきまでの上機嫌と打って変わった顔色が状況をなにより雄弁に語っているのだが、アカネさんはごまかすように言う。

 

「えーっと、いくつか候補はまとまったんだけど……」

 

「だけど?」

 

「なんかバーンって心にくる出来じゃなくて……」

 

 そんなアカネさんの言葉を聞いた内海は、俺をじっと見て尋ねてくる。

 

「で、彼女はこんなこと言ってるけど、実際どうなんですか? 彼氏で同棲中のババリューさん?」

 

「進捗は……ゼロです」

 

「リュウタくん?!?!」

 

 いや、スランプならスランプって伝えた方がいいって。こんなに長く悩んでるんだから。自分で言うのも何だが、アカネさんも抱え込みやすいところある。で、俺としてはここで抱え込むよりも暴露したほうが良いと判断した。

 

 するとアカネさんはわざとらしいというか、確実に演技の涙目になりながら言うのだ。

 

「うぅ……リュウタ君がいじめる……。ドSなのは夜だけで充分じゃん……!」

 

 ちょっ!?

 

「馬場君……」「「リュウタ……」」

 

「そういう誤解されること言うのやめてー!!」

 

 ただでさえ色々と疑われてるんだから!!

 

 けれどその後は、俺のネタを間に挟んだのがよかったのか、アカネさんも宝多さんたちに怪獣造形のアドバイスを求めたり、話はしっかり進めだす。アカネさん的にも素直に"できてないから助けて"というのは気恥ずかしかったみたいなので、それが解消されたのなら俺の恥などはどうでもいい。

 

(にしても、ドSとか……)

 

 遠まわしにそういうことなのかなぁ……

 

 なんて、呑気に思っていた時だった。

 

『ねえ、見た?』

 

『あっ! ほら、あれ!!』

 

「……なんか、周りが騒がしいような?」

 

 どんどんと学生たちが窓に向かって、困惑したように、あるいは興奮したように遠くを指さしている。そして、その決定的な言葉が俺の耳に届いた。

 

 

 

『あれ、怪獣じゃない!?』

 

 

 

「……は?」

 

「かい、じゅう……?」

 

 茫然と呟くアカネさん。俺も水をぶっかけられたように心臓が跳ねる。アカネさんを膝から下して、急いで屋上へ。同じようにみんなも続いて……

 

 そして息を切らした俺たちの視線の先に……確かにそれがいた。

 

 まだ遠くから聞こえてくる爆発音に、それに伴って巻き上がる黒煙。その隙間からケバケバしい色の巨体が覗いているのだ。

 

 この世界の生き物にはあり得ない、異形の存在。

 

 それは間違いなく怪獣で、だけど……

 

「アカネさんの怪獣じゃ、ない……!」

 

 あの野郎が具現化したアカネさんの怪獣とは系統が違う。

 

 確かに恰好だけならオーソドックスな恐竜型。長い首に、体の各部を覆うアーマー、そしてその首を支える強靭な肉体。なにより緑色のサイケな色合いは……俺が知るウルトラシリーズの系譜とは外れていて、イコールでアカネさん製じゃないことが直感で理解できた。

 

 むしろどっかでああいう配色とかデザインを見た気が……

 

(いや、そんなことは後だ……!)

 

 変なオタク思考を捨てて、同じようにフェンスから体を乗り出しているアカネさんを見る。

 

 すると、いやな想像の通りだけど、アカネさんは目の前の光景を受け入れられないというように体を震わせていた。

 

「アカネさん、しっかりして……!」

 

「ち、ちがう……! りゅうたくん、わたしじゃ……」

 

「大丈夫! ちゃんとわかってる!」

 

 抱きしめながら、励ますように言う。

 

 ああ、そうだ。アカネさんのせいじゃない。もうアカネさんはグリッドマン同盟の仲間で、恋人で、人を殺すために怪獣を生み出したりしない。

 

 そしてそれは俺だけの意見じゃない。

 

「そうだよっ! 新条がつくるわけねえ!」

 

「他にも怪獣を作る人がいたの……?」

 

「じゃあ、またあの時みたいに……」

 

 みんなもアカネさんを疑わず、別の存在を確信している様子だ。

 

 だけど黒幕が誰かを考えるよりも、まず問題なのは……!

 

「っ……! みんな伏せろ!!」

 

 アカネさんを胸に抱いたまま、床に転がるように伏せる。怪獣が背中から生やした触手によって、遠くからバスやら車やらが飛んできて、校舎の目の前に着弾したのだ。猛烈な衝撃と爆発音で、校舎のガラスが割れる。俺たちのところにも熱風を感じるほど。

 

(くそっ……! シグマは……)

 

 問題なのは、今の俺たちに立ち向かうすべがないこと。

 

 俺の右腕にはアクセプターの影も形もないし、宙の彼方を旅しているだろうハイパーエージェントがどれくらいでこの世界にやってこれるかもわからない。くそっ、こんなことならシグマとの連絡手段くらい残しておけばよかった……!!

 

 今の俺たちはあまりに無力だ。ただの高校生だ。

 

 ヒーローもいないし、怪獣と戦うすべもない。

 

 まだ怪獣も離れた場所で暴れているが、既に余波がこちらまで届いている。自衛隊とかで対処できる感じもしないし、このままじゃ街全体が火の海になるまでそう時間はかからない。

 

 だけどそこで、

 

「グリッドマンが、呼んでる気がする……」

 

「……響?」

 

 響裕太が何かを確信するように立ち上がり、

 

「俺、行かないとっ……!」

 

 導かれるように走り出したのだ。

 

 俺はそんな響の行動に面食らいながらも、けれど彼とグリッドマンとの関わりを思い出して、『まさか』と考える。

 

「おい、裕太!?」

 

「響君……!?」

 

「あいつ、もしかしてジャンクに……!」

 

 そしてその『まさか』は俺だけの予感じゃなかった。

 

 同じように考えたのだろう宝多さんと内海も、響を追いかけて駆けだしてしまう。

 

 俺にだって響の行き先は分かっている。今も『絢』の片隅に眠っている古びたパソコン『ジャンク』。グリッドマンと響とをつないでいた不思議なマシンのところ。

 

 響にもグリッドマンがそこにいるという確信はないはず。だけれど、響はそれでも走り出した。

 

「俺は……」

 

 どうする?

 

 俺がシグマになったときは特殊な事情もあって、ジャンクを介することがなかった。

 

 もしシグマが来てくれるなら、この場でアクセスフラッシュができるはず。なのに、俺には響が感じたような予感を得ることができなかった。

 

 なにより腕の中には守るべき人がいて……

 

「リュウタ君、行こう……!」

 

「アカネさん……?」

 

 けれどその人が震える声で言うのだ。

 

「私の怪獣じゃなくても、知らんぷりなんてできない……! きっと私にもなにか関係があるから、だから私も行かないと……!」

 

 かつての神様は、怪獣使いは……涙すらにじませながら決意した。

 

 だったら俺は彼女の恋人として……! それにアカネさんのヒーローとして……!!

 

「わかった、手を離さないで……!」

 

「うん!!」

 

 アカネさんの手を引きながら、響たちの後を追いかけた。

 

 

 

 "あの時"のように、街は地獄絵図だった。

 

 あっちこっちで火の手が上がって、秩序の象徴だった信号機なんて薙ぎ倒されて変なタイミングで点滅している、いくつものビルが倒れて平和な街は無残な有様。

 

 そんな光景にひるみそうになる気持ちを叱咤しながら、響の後を追いかける。

 

 こんな状況だというのに響はまるでおびえる様子がない。あの告白することにおどおどしていた純情少年とは思えないほど、一直線にジャンクへと向かって行ってる。

 

 だったらきっと……

 

(グリッドマンたちはこっちに……)

 

 けれどそんな期待を裏切るように、

 

「っ……!?」

 

 ごうっと怪獣によって吹っ飛ばされた大きな瓦礫が、俺たちの上に降り注いできた。

 

 あっけなく、なんのドラマもなく。

 

 俺も、隣のアカネさんも目を見開く。

 

 スローモーションになったように内海や宝多さんもまとめて潰そうとする巨大な死の気配。

 

 ああ、そうだった。

 

 今までヒーローごっこをできていたり、ハッピーエンドを迎えられた方が不思議で、ただの人間だったらちょっとしたことで死んでしまう。怪獣なんていう非日常の前ならなおさら。そのことを突き付けるように瓦礫は目の前に迫っていて……

 

 だけどこの時やっと、俺に確信が生まれた。

 

(おい、出待ちしてるなら今だぞ……!!)

 

 それは現実逃避した甘っちょろい特撮脳だったのかもしれないけどさ。

 

 ヒーローごっこの続きが始まるには、ちょうどいいだろ?

 

 そして、

 

「っ……はは!」

 

 不意に軽くなった体を前に、俺は思わず笑ってしまった。

 

 

 

「いいタイミング過ぎだろ、新世紀中学生!!」

 

 

 

「すまない、遅くなった……!」

 

「ったく、相変わらずかわいくねー奴だなっ!!」

 

 俺を抱えてくれる屈強な男と、アカネさんを背負った生意気な性別不明のチビ。マックスとボラー。

 

 グリッドマンの頼れる仲間にして、俺にとっては師匠にも当たる売れないバンドみたいな不審者たちだった。

 

 相変わらずどこにそんな力があるのかという身体能力で飛び上がると、近くのビルの上に俺とアカネさんを下してくれる。

 

「二人とも、ケガはないか?」

 

「う、うん……! 私たちは大丈夫だけど……」

 

「宝多さんと内海は?」

 

「そっちも大丈夫だっての! キャリバーが……ほらっ!」

 

 ボラーが自信満々に指さす方を見ると、猫背のキャリバーが同じように二人を抱えて着地するところだった。

 

 そのすぐ隣には……ってアイツだけ相変わらず力仕事してないし。飄々とヴィットが立っている。

 

 けれどそこには響がいなくて、

 

「大丈夫だ、裕太なら……」

 

 マックスが言い終わる前に答えが来る。

 

 怪獣の頭上に開く光の門。そしてそこから流星のように飛んできた光の塊。

 

 その中から人型のシルエットが生まれ、躍動し、俺たちがテレビで憧れたウルトラマンのように輝きながら……

 

 俺は上を見上げて思わず叫ぶ。

 

「来てくれたんだっ、グリッドマン……!!」

 

 赤い巨人が、俺たちのヒーローが姿を現した。

 

 だけれどそれはあの最終決戦での姿とは違う。確かあれがフルパワーの姿だったと思うけど、それ以前の鎧を身に着けたような格好になっていた。

 

 それを尋ねると、

 

「ぐ、グリッドマンに、正式なすがたは、ない……」

 

「裕太に最も適応するのが、あの姿なんだ」

 

「くぅっ……! なんて便利な設定だ!! いくらでも派生フォーム作り放題じゃねえか!!」

 

「内海……今はそういう場合じゃないだろ」

 

 気持ちは同じだけどさあ。

 

 言いながら内海と苦笑いする。

 

 あの時は今生の別れみたいに思ってたけど、まさか半年とちょっとくらいでまたみんなと会えるだなんて。そりゃ『悪魔はふたたび』って状況だけど、嬉しさとか興奮が入り混じってしまう。

 

 けれどそこで、

 

「ちょっと二人とも、ちゃんと前見てよ! グリッドマンが……!」

 

「「っ……!?」」

 

 宝多さんの大声に慌てて前を見る。

 

 この場所からは戦闘の様子がよく見えるのだけれど……状況はまさかの劣勢だった。

 

 怪獣の突撃はグリッドマンを難なく弾き飛ばしてビルへと叩きつけるし、背中の触手も一本一本がビルを両断する威力。しかもなぜか怪獣の左手についた鎧から、グリッドビームよろしくビーム攻撃まで発射される。

 

「はぁ!? 怪獣の設定間違ってない!? こんな序盤で出す強さじゃないでしょ!?」

 

 アカネさんが信じられないものを見るように言う。

 

 確かにこれが特撮のグリッドマンシリーズの続編だったら、こういう再会の場面ではヒーローは華麗に圧勝して視聴者に自己紹介をするし、強敵はもっと後に出現するのがほとんどだ。

 

 現実じゃないと言えばそうだし、昔のアカネさんだったら初回からとんでもなく強い怪獣を出したいとか思ってたかもしれないけど。個人的にはちゃんとアカネさんがグリッドマンを応援する側に回ってくれているのも嬉しかったりする。

 

 だけど、そんな悠長なことを言ってる場合じゃないかもしれない。

 

 明らかに今のままのグリッドマンでは、この怪獣に対処できない。

 

(でも、グリッドマンだってまだ全力じゃない)

 

 俺たちはさらにパワーアップしたグリッドマンを知っている。

 

 だから、俺はグリッドマンの戦いを眺め続けているボラーに言った。

 

「ここはいいから、みんなも早くジャンクに……! アシストウェポンになってグリッドマンの援護を!」

 

「だーいじょうぶだって!」

 

「いや、大丈夫じゃないだろ?!」

 

「大丈夫なんだよ。……どうやら、新入りが協力してくれるみたいだ!」

 

 そう言って、ボラーがニヒルに笑いながら上を見上げた。

 

 するとそこにはグリッドマンと同じように、光が現れて……

 

「あれは……!!」

 

「うん……!」

 

 思わず、アカネさんと二人で目を輝かせる。

 

 光の中から現れたのは、赤くて巨大なかっこいい恐竜みたいな怪獣のシルエット。

 

 それは間違いない。あの時にアカネさんが作ってくれて、俺とシグマの力になってくれた頼れるダイナドラ……

 

 

 

 

『手を貸すぜ、大将!』

 

 

 

 

「「…………え、だれ?」」

 

 アカネさんと俺が同時に、変な声を上げる。

 

 いや、だって、でも、仕方なくない?

 

 出てきたのはダイナドラゴンによく似た、けど微妙に違う怪獣だったのだから。

 

 おい、ダイナドラゴンどこ行った!?

 




相変わらずボラーと相性がいいのか悪いのかな関係です。
アカネさんを除くと、この二人のやり取りが好きだったり。



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