獣を狩れ、ゴブリンもまた然り   作:YSHS

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 ついに平均評価7になっちゃったけど、私は元気です(半ギレ)


灰狼の狩人:前編

【1】

 「小鬼殺しの鋭き致命の一撃が、小鬼王の首を宙に討つ」

 

 吟遊詩人がリュートを鳴らして唄っている。

 

 「おお、青く燃ゆるその刃を見るがよい。誠の銀にて鍛えられ、その忠誠は決して主を裏切らぬ。かくて小鬼王の野望も終には潰え、救われし美姫は勇者の腕に身を寄せる。然れど彼こそは小鬼殺し、彷徨を誓いし身、傍にさぶらうことは許されぬ。伸ばす姫の手は空を掴み、勇者は振り返ることなく立ち出づる」

 

 夕暮れの大路にその音色を響かせながら唄われているのは、ゴブリンスレイヤーの為の礼賛。ゴブリンという身近な脅威に日々悩まされる人々や、老若男女、貧富、職業が混交する聴衆を前に、吟遊詩人は腕の見せどころとばかりに張り切る。

 

 硬派で悲壮な英雄の生き様に憧憬の念を抱く男、美姫との悲恋へ切なげに吐息を漏らす娘。反応は上々。浮かび上がってきそうな笑みを抑え、彼は数度の旋律を挟む。

 

 「共に戦いし友、獣の狩人は既に影へ帰れり。彼は夜を歩む身、朝陽に曝され衆目に晒されてはならむ。何れまた巡り合う戦友に胸中で謝し、小鬼殺しは朝陽に向かい歩み続ける」

 

 登場する二人の英雄の対比。この節は、出来上がった詩に後で付け加えた物であった。だからなのか、それまでの詩の調子からはやや外れていた。しかし聴衆たちはそれを気にしない、むしろ受けは良かった。英雄と肩を並べるもう一人の英雄、裏の英雄、片方とはまた別の悲壮さを持つ英雄、そして二人の友情。これらの要素は、主に男に受けが良いようだった。殊に繋がりを大事にする職業人らは、胸に火が点いたように神妙な面持ちで、うんうんと頷いている。

 

 「辺境勇士、小鬼殺しの物語より山砦炎上の段、まずはこれまで……」

 

 パチパチという拍手。投げ込まれる銭の音。吟遊詩人にとってこれほどまでに心地良い音は他に無いだろう。

 

 満足げに去る聴衆らへ優雅な礼をして見送り、それから彼らが居なくなった後、拾い上げた帽子の中のおひねりを数え出す。

 

 「ねえ」

 

 とそこへ若い女が話し掛けてきた。

 

 「その小鬼殺しの冒険者って、本当に居るの?」

 

 「ああ、居るともさ」

 

 吟遊詩人は、存在だけを肯定した。何故なら、今度唄ったそれには多分に脚色がなされているからである。ゴブリン程度に姫が攫われるような国なぞ、もし存在していたのならとっくに滅びていることだろう。獣の狩人については、ゴブリンスレイヤーとつるんでいることくらいしか情報を持っていない。

 

 詩の中で登場した美姫というのは、実際の『山砦炎上』でゴブリンに攫われた村娘と、これを助けに行った貴族令嬢率いる鋼鉄級の一党を(パーティ)を合わせたもののことで、いずれも既に死亡している。

 

 更にそこへ、一人の男が近づいてきて、

 

 「私は、獣の狩人とやらに興味があるな」

 

 と言った男の風体に、吟遊詩人は一瞬固まった。

 

 ぼろぼろにくたびれた、猛禽の頭のような三角帽と灰色の装束の男だ。長年に渡って着用されていたであろうその生地は、ほつれ、やぶけ、擦り切れていて、その姿は浮浪者のそれである。全体どんなことをしていればそうなるのものなのか。

 

 「失礼。私はデュラと言う者だ。かつて故郷の町で狩人に身をやつし、そして今はこの国で冒険者なるものに身をやつしている。周囲からは『灰狼』と呼ばれている。それで、私が聞きたいのは、その獣の狩人についてなのだが」

 

 しかし、その堂々とした佇まいや、紳士的な物言いのお陰で、彼が浮浪者であるようにはあまり思えず、どちらかと言えば老練な騎士のようにも見える。

 

 「あまり詳しいことは言えませんが、ここから西へ二、三日ばかり行った町に居るとお聞きました」

 

 吟遊詩人は丁寧な口調でそう話した。灰狼の振る舞いを前に、いささか居住まいを正している。

 

 「そうか、西の町だな。感謝する」

 

 そう言って彼は一礼し、去っていった。

 

 一寸緊張していたからか、吟遊詩人は張り詰めた空気を出すように小さな溜息を吐いた。それと少しの罪悪感。

 

 詳しいことは言えない、と言ったが、あれはゴブリンスレイヤーと獣の狩人のプライバシィへの配慮ではなく、単によく知らないだけだからだ。所詮彼が語ったことなどは、風聞を纏めただけのものに過ぎない。

 

 ゴブリンスレイヤーと獣の狩人が『山砦炎上』以前に一度組んだことがあるのは事実である。それから随分間を空けてもう一度組んだこともある。が、この詩はその二回目以前に作ったものだし、そもそもそれらをこの吟遊詩人が把握しているかは怪しい。

 

 吟遊詩人としても、この詩で結構な金子を稼がせてもらった。灰狼に二人のおおまかな場所を教えたのは、そうした恩返しのつもりであった。

 

 灰狼を前に嘘を吐いているみたいで、据わりが悪かったようだが。

 

【2】

 正午前、冒険者ギルドで、一人の女が何やら騒いでいた。

 

 「だから! オルクボルグよ、オルクボルグ!」

 

 その女の耳は長く、尖っていた。而して人間離れした美しい容貌であった。だがそれを具に表現するのは難しい。肌が白いとか、目が大きいとか、髪が綺麗な緑色と言うだけでは表し切れない。敢えて表現するなら、自然的な美と言ったほうが適当であろう。

 

 「へへえ、あれが森人(エルフ)ってやつか。話に聞いた通り、えらく綺麗だ。妖精の末裔ってだけはあるな」

 

 ギルドに居た者は男女問わず一様に、彼女の美しさに見惚れている。

 

 年の頃は――途方もない長寿の彼女らには無意味だが――十七か八くらいに見える。動物の狩人が着るような軽めの装束をぴっちりと着こなし、背には大弓を背負っている。首からは銀板の認識票を下げていた。弓手か野伏(レンジャー)だろうと思われる。

 

 「オ、オーク? オークって、木のオーク……というわけではないですよね……」

 

 彼女を応対する受付嬢は戸惑ったように受け答えしている。どうやら二人の間には齟齬があるらしい。

 

 「木じゃないわよ。オルク、ボルグ!」

 

 「やっぱり冒険者の方でしょうか……」

 

 受付嬢とて膨大な人数の冒険者を記憶しているわけではないが、森人の口ぶりからして、わざわざ名簿を引っ張り出すまでもないほどに有名な人物だとは見ている。だから、自分の記憶の中でそれらしき人物が居ないか探していた。

 

 「まったく、気位の高い耳長どもはこれだから。ここは只人(ヒューム)の領域じゃろうに」

 

 そうしていると、森人の隣に居た小柄な老男が口を挟んだ。ずんぐりむっくりとしていて、剥げ上がった頭頂部に、白い髭を蓄えた男。彼は鉱人(ドワーフ)という種族である。

 

 「耳長の言葉が通じるわけあるまいて」

 

 「じゃあ何て言うのよ」

 

 「カミキリ丸に決まっておろうに」

 

 鉱人は得意げに答えた。

 

 「いや、カミキリ丸という名前にも聞き覚えがありませんが……」

 

 すぐさま受付嬢は否定し、それで森人は鼻で笑った。

 

 「私らが気位の高いと言うんなら、あんたら鉱人なんて頑固で偏屈な老害じゃない」

 

 と高笑いをした。

 

 「けっ、狭量な奴じゃのう、金床みたいな胸と同じくらい狭量じゃ」

 

 鉱人は吐き捨てて、取り出した容器から酒を呷った。

 

 「じゃあ鉱人の女は何よ、ビア樽なんじゃないの!」

 

 それにギロリと森人が流し目をし、食って掛かった。

 

 「ありゃあナイスバデェと言うんじゃア!」

 

 「あ、あのー……、ギルド内で大声や喧嘩は控えていただけると……」

 

 見かねて受付嬢が止めようとした折、

 

 「すまぬが喧嘩は他所でやってくれまいか」

 

 ぬっと三人に大きな影が被さった。見ると、鉱人と森人の後ろには、見上げるような体躯の、全身が鱗で覆われた、爬虫類特有の臭いを醸す蜥蜴人(リザードマン)の僧侶が立っていた。

 

 「連れが騒ぎを起こしてすまぬ」

 

 「いえいえ、冒険者の方々は元気な方が多いですから」

 

 受付嬢は吃驚の様をチラリと見せはしたものの、臆せず蜥蜴僧侶に微笑を付けて応えてみせた。ギルドの受付嬢をやっていることもあって、慣れたものである。

 

 「拙僧も人の言葉に明るいわけではない故、上手く言えぬが……、小鬼殺しと言ったところだろうか」

 

 「小鬼殺し……ですか。うーん……、何となく分かってきましたが……」

 

 いささかピンと来たように受付嬢は唸った。

 

 「拙僧が今言ったことが間違いですかな」

 

 「あれ、なかなかの好感触。ここからどうにか通り名を推測出来ないかしら……」

 

 と閃いたように森人が沈思しだした。

 

 「そうじゃなぁ……、よし分かったぞ! 小鬼殺しと来たなら、ずばりカミキリ丸じゃ!」

 

 「はあ? それさっきあんたが言って間違いだったやつじゃない、いくらそんな老け顔でも、ボケるにはまだ早いんじゃ――」

 

 と呆れて森人が、鉱人を見て、固まった。

 

 その顔は赤かった。目は焦点が揺れ、立っているだけだというのに身体がバランス悪そうに揺れている。これは疑いようもなく酔っ払っている。

 

 「いつの間にそんな飲んだのよ……」

 

 「拙僧が今言ったことが間違いですかな」

 

 再度蜥蜴僧侶が、今度は森人に顔を寄せて、同じようなことを言ってきた。爬虫類の生臭さと、それと蜥蜴の厳つい顔が急に迫ってきたものだから、森人は口や鼻を手で覆いながら仰け反り、

 

 「いや、半分当たりってとこでしょ、大したものよあなた」

 

 と流す。

 

 「で、どう言えばいいのかだけど……」

 

 「小鬼殺しではないのか?」

 

 また蜥蜴僧侶。

 

 「だから、それをどう変形したらいいのかって話でしょ」

 

 「拙僧が今言ったことが間違いですかな」

 

 「だから半分当たってるんだって」

 

 「じゃあカミキリ丸で決まりじゃろうがい!」

 

 「拙僧が思うに、小鬼を屠る者の意味で間違いないのだが」

 

 顎に手を当て目を閉じながら蜥蜴僧侶は言った。

 

 「それで、これを只人の通り名に変換すると?」

 

 「小鬼殺しですな」

 

 「だからそれが当たってるのは半分だって……」

 

 「カミキリ丸!」

 

 「また元に戻ったわね……」

 

 うんざりとして森人は眉間を指で摘まんで俯いた。

 

 それに蜥蜴僧侶が、一呼吸間を空けて、

 

 「拙僧が今言ったことは間違いですかな」

 

 これら一連のやり取りを見ていた、受付嬢や監督官をはじめとしてギルドの者たちは皆必死で笑いを噛み殺していた。

 

 実を言うと、監督官にはこの三人が誰を指名しているのかは端から見当が付いていた。数々の言語を知っている彼女に掛かれば、森人が最初に『オルクボルグ』という単語を出した時点で、それが『ゴブリンスレイヤー』という冒険者を指すのは分かったはずだ。しかし、何だか面白いことになりそうだということで黙っていたのである。

 

 そしたら案の定面白いコントを繰り広げてくれたので、彼女としても大いに満足であった。

 

 そこへ、折良くゴブリンスレイヤーが、ギルドの扉を開けて現れた。軋む扉と、ベルのの鳴る音で皆気付き、注目し出す。彼はそれらを意に介さないが、彼の連れである女神官は居心地悪そうに、縮こまりながら追従していく。

 

 「あっ、ゴブリンスレイヤーさん!」

 

 森人ら三人の間から、パッと花が開くような笑顔を覗かせて受付嬢が呼んだ。それで例によって彼は彼女のもとへ足を運んだ。

 

 「あなたがオルクボルグ?」

 

 唐突に森人が問う。

 

 「いや、俺はオルクボルグなんて名前ではない」

 

 「じゃあカミキリ丸じゃな!」

 

 「カミキリ丸でもない」

 

 ゴブリンスレイヤーも嘆息しながら否定する。

 

 「ゴブリンスレイヤーさん、この方々はどうやらあなたにご用がおありのようです。皆さん、この方がお探しの方のゴブリンスレイヤーさんだと思いますよ」

 

 と受付嬢はスムーズに取り持った。まるでかねてから分かっていたみたいだ。

 

 森人は口を半開きにして胡散臭そうな眼で受付嬢を見やり、

 

 「……ひょっとしてあなた知ってたでしょ」

 

 言われて受付嬢は半笑いになりつつも惚けた顔で視線を逸らした。

 

 「用とは? きっとゴブリンだな。そうなんだろう、そうに違いない、そんな予感がする。というわけで話を聞かせてくれ」

 

 一方のゴブリンスレイヤーは、ゴブリンの依頼が回されるものと、それも特別にやり甲斐のある仕事が回されるものと勝手に逸って話を進めようとしている。それを受付嬢が、さも遊びたい子供を相手にするみたいに、はいはいと言ってゴブリンスレイヤーと、彼を訪ねて来た三人の冒険者を奥へと案内していった。実に手慣れたものである。

 

 なお、その際に、

 

 「お前はここで休んでいろ」

 

 女神官に告げてから、ギルドの奥へ入っていった。

 

 ゴブリンスレイヤーらは、彼女が何かを言おうとするより前にさっさと行ってしまったため、一人取り残された彼女は大人しく椅子に座って待つことにした。その際、近くに羽帽子、女魔術師、女武闘家の三人が座っていて

 

 「あ、どうも」

 

 彼女らと目が合ったので、軽く挨拶をした。羽帽子は更に話し掛けようかと席を立ったのだが、女魔術師によって肩を押さえられて座らされた。女神官の疲労の様子を見た女魔術師が気遣ったのである。

 

 女魔術師の行動に素直に甘え、女神官は椅子に座りながら息を吐いた。

 

 と、そこへ、

 

 「なあ、君」

 

 二人の若い男女が話し掛けてきた。

 

 「え、あ、私、ですか」

 

 と、いくらかの疲弊でなまった頭で一瞬遅れて反応し、相手を見た。その二人は、たまにギルドで顔を見る新米の戦士と見習いの聖女であった。女神官とそう変わらない年齢であるように見受けられる、その佇まいやあどけない容貌で、首には白い認識票を下げている。二人とも、冒険者登録をしてまだ――女神官よりは若干長いが――まもない身である。

 

 「君って、あいつといつも一緒に居るよな?」

 

 新米戦士はやや緊張したような面持ちで、周囲を気にする素振りで女神官にそう尋ねた。

 

 「ゴブリンスレイヤーさんのことですか」

 

 「そう、あのいつもへんな恰好してるあいつ」

 

 と、新米戦士の連れの見習い聖女が、煙たがる風に言った。女神官はその彼女の様子から、そぞろに嫌な予感がした。

 

 「よければだけど、一緒に来ないか」

 

 矢張り、という感情が女神官の胸の内に降りて、思わず彼女は溜息を吐こうと息を吸い、いけないと気付いてこれをぐっとこらえた。

 

 「いえ、私は結構です……」

 

 その空気を吐きながら、女神官は努めて穏やかに、ゆっくりと言った。

 

 「何でさ。君はおかしいと思わないのか。あんな、ゴブリンばかり相手にしてるような怪しい奴……」

 

 途端に女神官は押し黙った。言い返せないのではなく、自分を押さえているのだ。

 

 「噂じゃ、あなたを囮にしてるって聞くわよ、あと他の冒険者を見捨ててゴブリンを狩っているとか言われているし」

 

 見習い聖女の言葉を聞いて、女神官は渋面を深めた。

 

 女神官も、本当ならこの二人を喝破してやりたいところであったが、しかし反面、この二人は飽くまで善意で彼女に声を掛けてきたということも慮っていた。だからそうするわけにはいかなかった。噂を鵜呑みにして人を悪く言うのはいけないことではあるが、だからと言って、十五歳の女性が何かしらの酷い目に遭っている可能性を考えれば、二人の行動は責められることではなかった。

 

 で、そうして女神官が、二人の言葉を聞きつつ自分自身を律していると、そこに近づく者が居た。それは羽帽子だった。

 

 羽帽子は我慢の限界といった感じに、勢いよく、それでいて静かに立ち上がると、止めようとする仲間の手を振り払いつつ速足で新米戦士のほうへ向かう。新米戦士はそれに気付いたものの、誰が近づいてきているのかまでは、当座には分からない。それで相手の顔、いや、被っている帽子と手に持った仕込み杖を見て顔を青ざめさせた。

 

 そうこうしている短い間に羽帽子は新米戦士の目前まで来たところで、いきなり彼の喉を掌で殴りつけたのである。蛙が潰されたようなえずき声を上げ、新米戦士は喉を押さえ床に膝を突いた。

 

 そばに居た見習い聖女が悲鳴を上げ、ギルド内がどよめいた。

 

 構わず羽帽子は、新米戦士の髪の毛を掴んで上を向かせ、それから右手に持った仕込み杖を相手の開いた口に突っ込んだ。

 

 「私の恩人を悪く言うのやめてくれます?」

 

 ひどく無機質な声で言い放った。

 

 直後に彼女は、女武闘家に羽交い絞めにされる。それでも羽帽子は唸り、仕込み杖を振り回そうとするので、その手を女魔術師が掴んで止める。

 

 「放してくださいッ! 止めないでくださいッ! こいつら偉そうにッ。じゃあ今からあなたらの武装取り上げてゴブリンの巣に放り込んでやりましょうかッ、そうすれば彼の有難味が分かるんじゃないですかァ、アァ! ていうかその噂流した人は誰ッ、即刻シメてやるッ!」

 

 このように喚き立てて、到底止まりそうもない羽帽子に、女魔術師は、

 

 「ああもうっ、やっちゃってちょうだい!」

 

 と、指を突き出して女武闘家に何やら指示を出した。

 

 必死な顔で羽帽子を押さえていた女武闘家はコクリと頷くと、羽交い絞めの状態から、今度は腕を首に回し、スリーパーホールドの体勢で絞め上げ、羽帽子のタップを無視してそのまま一気に落とした。

 

 そして、ギルドの中の誰かが、

 

 「ノルマ達成」

 

 と一言。

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