前世の記憶を思い出したと思ったら火拳のエースと顔がそっくりさん 作:ポポビッチ磯野
悲劇開演の合図を待つ。
スッと目を覚ます、部屋の前を過ぎるならもう一度寝るつもりだったが、ドアの前で止まった気配にそばに置いている剣を手に取った。
誰かはわかっているが、念の為だ
「まだ起きてっか?」
「ああ、入れよ」
ドアを押して入ってきたのはテンガロンハットが良く似合う男
適当に執務室のイスで仮眠をとっていた俺は居ずまいを正しながら、軽く片手を上げて挨拶するとむこうも返してくる
あえて口に出すこともない、それくらいお互いを分かっているという信頼の現れだ
「エクトルおめェ最近殺気立ってねぇか?」
この部屋にあるエース用に置かれている椅子に腰掛けながら単刀直入に聞いてくる
「...お前が一等賞だ、どこで気がついた」
「さァてね、双子だからじゃねェか?」
言いながら二カッと笑って少しだけ照れているのを誤魔化した
「…いやなんだ、これは良くない事の前触れっていうかなァ項がひりついてんだ、いつ首が落ちるかわからねぇ感覚がずっと続くもんで緊張してるのさ。悪いとは思うがこれくらいは気がつく奴しかわからねえし、そのうち収まる」
だから気にすんなって笑うが、内心は不安だ、時期的に見てもそろそろだと思う。
だからこそ奴の動きとサッチの行動を一挙一動見逃すまいと気を張っている。
ここに来た時、乱暴なでも温かい手に俺は誓ったんだ、もう取り零すのはアレっきりで最後だって。
あれ?そう言えばあの時のこと何があったのか教えて貰ってないな今度マルコに聞くかな。
「良くねェもんなのか」
「“これ”を感じたのは、俺がまだ陸にいた頃故郷の村を海賊に襲われた時以来だ」
「!」
「だから気を張ってるんだ兄弟、けどお前は今まで通りでいいからな?」
変なところで素直だし、隠し事が下手くそなのも知ってるそれを家族につくとなれば、隠し切るのは無理だ。
「俺は気がついてくれただけでも嬉しいさ、あとは俺個人の問題だから教える気はないけどな」
ありがとうと笑えばエースはこんなこと大したことはねェさと笑い、そしてお決まりのセリフを言う。
「俺ァ兄貴だからな!」
ドーン!と漫画であればそんな効果音がつきそうなほど胸をはったエースにさっきまでの穏やかな雰囲気が消え失せる
眉間にしわが寄って、口はへの字になって先ほどまであがっていた口角は下がる。
「...前言撤回、弟に気がつかれちゃ世話ねーな」
「いい加減認めろよ、俺の方が兄貴っぽいだろ?」
「いーや俺が兄貴だね」
アハハハ!!
ナハハハ!!
同時に椅子から立ち上がって揃って襟をつかみあげる
「表でろや愚弟!」「受けて立つぜェ弟くんよォ!」
またいつもの
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最近
ずっとほんのわずかに殺気を纏わせている、2番隊のヤツらに聞いてみても、顔を見合わせてそうか?としか返ってこねぇ。
双子の神秘かもな!と言われて柄にもなく舞い上がったのに随分
隊員が気が付けないなら隊長はどうだと観察するも、気にしている様子は一切ない
あえて黙っているのかとも思ったが、その場合は俺の方に苦情がくる
となると本当にこの船で気がついてるのは俺だけみたいだ。
(なんだよ本当に双子だからってか?)
くつくつと喉の奥で笑う、あの夜からエクトルとはサボやルフィと限りなく近いが、
最初は成り行きだった。ただ兄弟が増えるだけだと、しかし蓋を開けりゃ違ったわけだ
こんなに似すぎている以上、他人にすることも出来ないしエクトルの話じゃ異母兄弟がいるって、ならどの海でも一目でわかるのは今のところ俺しかいないだろうな。
かといってジジイに聞くわけに行かねぇし、親父はそもそもそんな事気にしてすらねぇまた笑い飛ばすんだろうさ。
騙していると言われちまえばそうだが、あの時のエクトルをみて断れるならそうしてる
けど今となっちゃ些細でどうでもいい事
あの時俺達はこの世界でたったふたりの家族になった、それだけだ。
そうして何日か過ごして行くうちに、不思議なことも起こるもんで。
意識しているからか、だいたいお互いが何をしてるか、どこにいるかわかるようになっていた
戦場ではどちらかが危機に瀕していたら必ずいいタイミングで助太刀があった。
アレ取ってくれと言えば、何をとは言わずとも欲しかったものが手元にやってくる
笑い方やツボだってそっくりで、俺達が話し込んでいると他の隊からいよいよもって双子だなぁ!と何時も言われている。
ただそこにいてくれるだけで、俺の中にあった重荷が半分になった気がしたから、独りではないんだと安心したから
いつからか騙しとか疑いはなくなっていた、全て呑み込むにはこの血は敵が多いが、今は甘えることを許して欲しい。
代わりに守ってやる、最悪出生が世間に晒されようともお前ならまだ一人でも逃げ切れるだろ
その時はお前を逃がす為に、俺が逃げねぇ、それが兄貴としての役目だ。
さて部屋にいるのは気配でわかってる、さっさと聞き出してお悩み相談と洒落込もう
2番隊隊長の部屋の前、短く息を吸った
「まだ起きてっか?」
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マリンフォード 海軍本部
燃えるような夕焼けを眺めながら、英雄と呼ばれた海兵は唸った
「ふぅむ…」
スペード海賊が解散しそのまま、白ひげ海賊団に吸収されたのはとうに知っていた
しかし思ったよりも早く馴染み、まだ力を伸ばしている
赤ん坊の頃から成長を見てきたわしとしては、孫の悪名も喜ばしいものだ。
白ひげ海賊団に入って2番隊に配属されたと風の噂で聞いた
そしてそのすぐあとに《2番隊の双璧》という名をよく聞くようになった。
白ひげ海賊団の16ある本隊のひとつ
そして2番隊と言えば苦渋を強いられることで海軍では有名だ
ただ戦闘力だけならばこちらとて押し負けることは無いが、知略策略を駆使しこちらが攻めればまず落ちることはなく。
撤退の指示があればまるで読んでいかのように空が味方する、そうしてついた異名は、
2番隊隊長“不落のエクトル”
白ひげを討ち取るならばある意味不死鳥よりも厄介な相手をせねばならん
なにより不落は能力者でもなければ、名のある海賊に所属していた訳でもない
噂では孫の一人とそう変わらん歳だと聞く、その若さと身ひとつでその地位に至った実力者
そこに入った新参者の億超え能力者が、隊長格と並び双璧と呼ばれているのだ、白ひげ海賊団は安泰じゃろうて。
いかんいかん、笑ってはまたあのうっさい大仏に怒られてしまうわい
そのおかげかまた奴らの賞金を上げるべきだと、上層部では飛び交っている
不落と火拳
共に並ぶ姿は双璧、戦う姿は盾と矛
発行されている手配書を見ながら、既視感が拭えなかった。
目深く被った帽子で隠しているが、わしにはわかる、この男はエースと同じ顔だと。
半分以上海に沈んだ夕日を見ながらポツリと零れた溜め息と呟き。
「何も無ければええんじゃがのぉ」
何もなければいい。
あの子が抱えている重荷は白ひげが軽くしてくれるだろう、ならこのまま進んでゆけばええ
エース、ーーーそして不落よ。
沈んだ夕日を追いかけて暗い夜が空を満たし、闇のヴェールが覆いかぶさった。
イエーーーイどうも、ポポビッチ磯野death!。・:+°
ちょっぱやでかき揚げましたサクサクです。
戦闘シーン書くって???
えーーーーー、はいすみません。逃げました。(:3[_____]
気が付いたら双子の話になってました、まあもうワンクッション挟むって言ってたのでね!
そしてエースがエクトルを片割れ認識してる〜〜〜!?って書いてて驚きました、あとうちのエースくん結構考えすぎちゃタイプです。
わしシリアスにするとギャグすら挟めなくなる、ここら辺の加減が出来ない悔しいわ...次は優しく行こう...。
微妙におじいちゃん目線グダった、もう無理マジヤミリスカシヨ()
さてと不穏な空気が漂っていますね、果たしてエクトルはサッチマンを助けられるのか...
それとも間に合わないのか...ううん頑張れエクトル!オラ応援してるぞ!!
次の更新は週末以降!(´◠ω◠`)
今週は初校出さなくちゃで忙しくてのぉ...すまなねぇ!
あとコメント、評価お待ちしてまーす!!貰えたらもっと頑張るぞい
それでは次のお話でお会いしましょう!
ポポビッチ磯野