前世の記憶を思い出したと思ったら火拳のエースと顔がそっくりさん   作:ポポビッチ磯野

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まーだだよ



視点が変わります、オリ主→彼→オリ主母親




もういいかい?

 

 

 

 

 

「...996、997、998、999...ぐっは、1000!!!」

 

いつもの筋トレのメニューを終えるとその場に倒れ込んだ

腹筋背筋、スクワットに腕立て伏せ、懸垂に走り込みに水泳とにかく身体を鍛えた10年間だった

 

つい先日この世界での両親ーーーとはいえ父親の顔は知らないがーーーいつも側にいてくれて、肉体と精神面がちぐはぐな俺を産んでここまで育ててくれた母親が病気で亡くなった。

 

葬式は村の人間で粛々と行われ、俺は村の人たちにお礼を言って我が家に戻った

 

 

「...ただいま、かあさん」

 

 

『エル、おかえりなさい今日はあなたの好物を作ったのよ』

 

 

明るかったリビングにもう母親の姿はない

けれど先程まで使っていたように空いた椅子にかけられた母親のエプロンが、毎朝髪を整えるために使っていたブラシが

畳むために積み上げられた洗濯物だけが残されて

 

いつも当たり前にあった温もりだけが失われてしまった

 

 

「っご、めんなさい...!!」

 

 

俺は泣きながら謝るしかなかった、あなたの息子を奪ってごめんなさい

本当の息子になれなくてごめんなさい

親不孝者で、ごめんなさい

 

ごめんなさい

 

ごめんなさい

 

あなたの息子をこれから殺してしまう俺をどうか天国で恨んでください

 

ごめんなさい

 

 

 

それでも、俺を愛してくれてありがとう

 

 

 

その夜、俺は母さんの部屋でずっと泣き続けてゆっくりと眠りに落ちて行った

 

朝日とともに目を覚まし、朝のあいさつにこの家で誰も返してくれる人がいないことにまた胸がいたんだが、気が付かないふりをして朝食を作り食べる

 

...あー、作り過ぎてしまった分はお昼ご飯にしようと思いながら完食すると身支度をしてその日のトレーニングに出かける

少しでも長くあなたの息子を生かすために

 

ふと風が頬を撫でて俺は空を見上げた、この青のしたできっと同じ顔を持つ彼も生きている筈だ

そう思えばぽっかり空いた穴が少しだけ塞がった気がした

 

さて目下は早めに体力つけて、白ひげ海賊団に入らないと

とりあえず船が来たら忍び込んで見習いにして下さい!!!って言わないとな

んー断られたら、どうするか

海に捨てられるか殺されるかだろう、だって彼らは海賊なのだ

名のある賞金稼ぎや海賊ならまた違うかもしれないが全く眼中に無い所から湧いて出てきた奴なんて、迷惑以外の何者でもなかろう

しかしこちとら引く気は1歩もない。

 

白ひげは好きな人物だった、その生き様に憧れた

だから憧れの人に腰抜けだと笑われるのだけは、嫌だ

俺としても、母さんの息子としてもこの誇りと覚悟は失わないようにしなければ

 

 

汗を拭きながら上体を起こし、我が家に帰ってくる

 

「ただいま」

 

写真たての中で優しく笑いかける母親にそう言えば、おかえりなさいが聞こえてきそうで、この家に一人暮らしになった今もやめることは出来ない習慣のひとつだ。

寂しさと悲しさは残る、でもそれを理由に立ち止まる事は出来ない

俺がしようとしていることを考えればね、でも母さんもきっと笑って許してくれるさ。

 

着替えをすませると予定を確認する

午後はこの村の農作物を荒らしているイノシシを狩りに行く事になっている

鍛えているからか、ベースだけはこの世界の人間だからだろうか、成長速度が早く身体能力も高い、そういえばと思い出すああ彼もイノシシ狩りをしていたっけ

 

「別人で、違うはずなのにね」

意味もなく彼に話しかけるように独り言が零れた

 

 

 

 

 

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東の海 ゴア王国 コルボ山 山中

 

 

 

 

 

“別人で違うはずなのにね”

 

 

 

囁くようにけれど何処か笑うような呟きが聞こえた

 

「?、どうしたんだ」

「...いーや何でもねぇよ気のせいだ」

 

僅かに顔を顰める、もっと小さい頃に聞いたっきりだったあの声が今になって聞こえたと思えば、意味のわからない呟き

 

「そっか!なら早くメシにしようぜ!肉だ肉!!」

 

「わかったって、ほら運ぶぞルフィ!」

「あ!置いてくなよエース!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「おめでとう男の子よ」

身体中が怠惰感で動けない中、助産師がこちらにやってきて先程とり上げた息子を枕元に置いてくれた

 

産まれたばかりでお世辞にもまだ人の子供っぽくない私の息子、幼く小さい命

 

「産まれてきてくれてありがとうね、“エクトル”」

「あらお名前はもう決めていたんですか?」

助産師の女性にふふと笑いかけるそう決めていた

 

「男の子ならエクトル、女の子ならテレシアずっと決めてたのどちらも勇敢な戦士の名前よ」

「戦士って...物騒なこと言わないでくださいよ」

呆れて肩をすくめる助産師にまた笑う

あら違うのよ?私は戦士みたいに悪役を倒せるように強くなれなんてこの子に願うわけないわ、でも戦士のように誇り高くいて欲しかったから

国を守ろらんとした王子に仇討ちにと一騎討ちを挑んだ戦士

勇敢で守るべきもののために全てをかけれる覚悟をもつように、友のために身を呈して戦える思いやりのある子に育って欲しいから

 

ねぇエクトル

 

 

 

 

 

私の息子、マルドリード・エクトルはすくすくと育ち好奇心の赴くまま村を駆け回っていた父親譲りの黒髪がゆれて、私から受け継いだ紫色の瞳が光に照らされてよく見える

普段は黒目と思われてるけどこうして光にあたると紫色なのがわかる、変わった瞳

 

「かーしゃん!」

「おいで私の愛子」

 

この子には父親がいない、エクトルは私がいるからいいとは言うもののやはり寂しいのだろう時より他の家の家族を見ているのを私は知ってる、ごめんねエクトル私が勝手に決めて、自分勝手な母親を許してね

 

 

3歳になったエクトルはある日から雰囲気ががらっと変わった前は落ち着きがなくて朝ごはんでさえも大人しく食べてくれなかったのに、いま目の前で黙々と口に運んでいる

 

何かあったのは一目瞭然ででもその目は真っ直ぐで迷いがない

だからあえて問いただすことは、しなかった

きっと必要になったら話してくれる気がしたから、ふふ母親のカンよ

 

 

 

あっという間に時が過ぎて、私は静かに本を閉じる

 

エクトルは13歳になった

最近私の体はなかなか思うように動かなくなってきており簡単な家事しかしていない、ほかは全部エクトルがやってくれている。

流石私の息子ね!

 

お見舞いに来てくれる村の人たちの情報によると、村付近の山にこもって体を鍛えて時より動物を仕留めて帰ってくるという

私の息子ながら逞しすぎて知った日に大声で笑ったのはいい思い出よ。

 

 

「ただいま母さん!」

「おかえりなさい、エクトル」

 

 

この子の眩しい笑顔がもう見れなくなってしまうのはとても悲しいわ

それとこれから成長していく姿も

 

そこに私はいない

 

私の死期はきっと、もうすぐ

 

 

村の人たちにエクトルことは見守って欲しいと頼んであるし、少ない財産もあの子には全て伝えてある

結局あの子が何に対し覚悟を決めたのか聞きそびれてしまったわ

 

うーんそうね、もしかしたら海に出たかった?とか、有り得るわ!

私のことは気にしないで行けばよかったのに、優しい子

 

なら神様、あの子の旅路にどうか光あらんことを

 

 

 

 






かくれんぼ大人数でやるならいいですけど、まーだだよ!って声でだいたい方向予想しますよね
ちなみにエクトルは最後までバレずにいつの間にか2回戦が始まっちゃうタイプです

ーーーー.☆.。.:*・°

お気に入り、しおり、評価ありがとうございます!!
再熱と思いつきで初めてしまい見切り発車でしたのでこんなにたくさんの方が見てくださるとは思いませんでした、、、

同じ世界に血縁関係じゃない同じ顔を持つ人がいる話が大好きでして.....絶対面白い!!!とネタだけほくほく温めておいて適当に残しとくために投稿したんです、なのでびっくりしてます
文字数もあまり多くなくてすみません...読みにくくてすみません...ちまちま進めていきます...でも飽きたらフェードアウトしますごめんなさい。
他の夢だとシャンクスと鷹の目にもう1人くらいライバルつけようぜ!ってひとり妄想しながらニヤニヤしてますね

あ、でも目下はこちら進めるつもりなのでご安心くださーい!
それではまたお会いしましょう、バイビー!

ポポビッチ磯野

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