前世の記憶を思い出したと思ったら火拳のエースと顔がそっくりさん 作:ポポビッチ磯野
その日は朝から嫌な予感がしていたせいですこぶる機嫌が悪い
(だーーっくそなんだすごいモヤモヤ、ご飯粒が変なところに入って取れない感覚...!!)
そこにあるのに取り除けないもどかしさに、いつからあったのか分からないがうちの底に眠っていた刀の鍔を切ってはもどし切っては戻している、カチャンと鉄と鞘がぶつかる音だけが響く
俺は15歳になった、覇気は覇王色を除く2種類を今修行中だ
見聞色はわりと相性がよかったのか常時村の範囲ギリギリまで人の気配が分かるようになった
武装色の覇気はまだまだ改善が必要だ実践で使うには程遠い
「はぁ、じゃあ一丁広げてみるか」
修行と精神集中も込めて、見聞色の覇気を使うために深呼吸をして範囲を最大まで上げる港からその先の海岸へーーーーーーん?
ざわりと胸騒ぎを覚えた
なるほどな朝から感じてたのはこいつらのせいか、殺意と略奪、欲望がここからでも感じとれた
すぐに家から飛び出し屋根へと軽く飛び打つると風見鶏と風速をみる
うわあこのままだと30分弱くらいでくるか
俺は今まで油断していた奴らを制裁したことはあるが
覇気で確認した感じ結構な人数を従えた海賊船だ、俺自身もどれ程時間稼ぎが出来るかどうかわからない
もうやんなっちゃうな!ここで俺は死ねないってーの!!!
タンッと隣の家に飛び移り目指すのはこの村シンボルでもある鐘、これは正午や決まった時間に鳴らすのだが回数によって意味が違う
海賊が来た場合は、たった1回だけを鳴り響かせる
瞬時に分かるようにという配慮でもある
ともかく急いで櫓にのぼり村全体に響くように紐をひいた
カラァーーン!
数泊置いたあと家々から荷物をまとめた人達が慌ただしくしかし騒がず出てくる
櫓からおりて武器を持つ男性ーーーラグダさんにに話しかける
「ラグダさん、向こうの海賊は結構な規模です!みなさんも逃げてください、殿は俺が務めま」
「ふざけるんじゃねぇお前一人に任せられるか、...お前の母ちゃんに頼まれてんだぞ?」
でしっと頭に軽く手刀が落とされむすっとした厳つい顔、この人は母がなくなってからよく気にかけてくれる人だ
俺もさすがにこの人には弱い
「...なら俺も戦います、それ以上の妥協はナシですよ」
「はあ...生意気になりやがって、いいか?引き際を誤るな、不利になったらすぐ裏山の隠れ家に逃げろ」
ぐりぐりっと頭を押さえつけるように撫でられて文句をいいながら俺は返事をした
この島は平和でそれなりに自然もある島だ大方次の島へ行く前にひと仕事ってところかハッと鼻で笑う
じゃないと震えがごまかせない
チンピラとは違う本当に容赦なく俺たちを殺すような奴らを相手にするのだ
野生の動物とは違う、人間同士の命のやり取りをするのだから
「いいか野郎ども、女子供が逃げるまで時間を稼ぐ事なるべく奴らの注意をひく」
村に集まった男達はみんな顔なじみで俺の姿をみてあまりいい顔はしてくれなかったが、諦めたように無理すんなとすぐに逃げれるようにはしとけと頭を撫でてくれる
「...恥ずかしいんでやめてくれます?」
うん、恥ずかしいラグダさんの時も思ったが、俺だってもう15歳前世の年齢をいれればこのメンバーの中でもそれなりの年齢に入るんだぞ!?
おっさんがおっさんに撫でられても嬉しくなんてないんだからねーーー!!!!!
わ、こら、やめろ!!!
「エクトルが反抗期よ!」
「アアン!ママ悲しいわ」
「誰がママじゃ!気色悪いですよ!!!?」
野太くて高い声なんてゾワッとするゾワッと、ラグダさんも思ったのかめちゃくちゃ引いてるし、いや作戦会議しましょ!?
「まあ茶番はそれくらいにしとけ、本当にエクトルが反抗期なったらテメェらのせいだからな?」
『はーい!真面目になりまーす!』
「最初からそうしてくれ...」
返事だけはいいなと呟いた他の人に同意しながら作戦を話す
簡単に言えば民家に潜んで奇襲を仕掛けること、混乱に乗じ
高台にいる射撃に覚えのあるメンバーが家から慌てて、でてきた海賊を仕留める
その後は混戦になるだろうがなるべく長引かせて闘うこと
これが俺達ができる作戦だった
「最後に死ぬなとは言わねぇだが、また生きて家族に会おう」
『おおーーーっ!!!!』
武器を高らかに掲げて配置に付き始めるなか俺は呼び止められる
「エクトル、もしもの時はお前が伝令に走れいいな?」
その目には俺を案じてくれているのだろう心配している色がありありと浮かんでいる、生まれた時から俺や母さんの事を見守ってくれたのは何もラグダさんだけじゃない
けれど1番気にかけてくれたのはこの人だった
だかきっと伝令といいつつも最後まで戦わせないつもりなんだろうなぁ
悔しかった、そこら辺の子供よりは強いと自負してるし村の人たちもそれは認めているが、俺はどんなに頑張っても
まだ護られるべき子供なのだと、痛感させられる
「わか、りました」
ああ悔しい、ラグダさんはほっと安心したようで肩を叩くとすぐにほかの村人たちに続いて行った
その背を見送りながらふと俺は村を見た
何故かそうしなければならないと、本能が訴えていたから
きっとこの時にわかっていたのだろうこの綺麗な村が戦場に変り、悲惨な姿になることを
「...やってやるさ、」
負けるつもりなんて毛頭ない
死ぬつもりもない
こんな所で淘汰されるなら、あの頂上決戦まで生き残る事なんて夢のまた夢だ
なら意地汚く生き残ってやる
村の人たちも守って、向き合ったら逃げねぇ、そうだろ?
聞こえるはずないとわかっていてもどこかに居る彼に向けて囁いた
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その島の近くを通ったのはたまたまだった、ここら辺の気候が今は安定期なのか比較的穏やかな航海をしていたのだが
立ち上る黒煙がある島から登っていた港に船が停まっているのを見るところに襲われているのだろう
あの島は正式な縄張りではないとはいえこちらの領域の目と鼻の先で暴れ回るとは恐れ入った
親父に報告すれば直ぐにでもあの島へ船をむけるだろう、あの人はそういう人だと船内へと向かおうとした時
一陣の風が吹き抜けた
コレには覚えがある親父や赤髪がもつ数万人に1人と言われている素質
人の上に立つ王の素質、覇王色の覇気だった方角から予想するにあの島から放たれたものだ思わず舌打ちをしたくなる、海賊に覇気の使い手がいるかもしれない事もそうだ
厄介だな、すぐにそばにいた気絶していない部下に、確認させていた海賊団の情報を受けながら報告を急いだ
航路を変更し島に着いた時には悲惨なものだった民家は破壊され村人も海賊も倒れている
しかし女子供が見当たらないあたりどこかに隠れているのかもしれない、残党に注意しながら村を調べるように指示をし気配を探る、目的は覇王色の覇気の保有者だ
「わ!」
「なんだ!?」
残党か?と思いつつそれならばうちの者が動揺する確率は少ないはずならばこの村の人間かとあたりを付ける
中心にいたのは手負いのまだ子供と呼べる青年だ、肩で息をしていながら視線はそらされることなく俺たちを見据えている
「やめろ俺たちは白ひげ海賊...」
「!」
早いと思った、この年代の村で育ったガキにしてはだが、それでもその動きは油断していた奴らにはきいたようで簡単に伸されていたのを思わずため息をついた、あいつら船に戻ったら報告書だよい
「お前らにやるもんなんて一文だってねぇッ!!!!!!」
ぶわりと覇王色の覇気が発動される、冷静な判断もなく向かってくる人間を敵と認識しているようだ、このこと考えるとどうやら無意識に発動しているのだろう
けれど上陸した面子は覇王色の覇気に耐性があるものばかりそれは効かない、しかし本人は気がついていないのか構わずその刀を向けてくる僅かだが覇気を纏っているのも見えた
(ったくその年でそんだけ覇気が使えるなんざ、将来有望だよい)
はあと一息つくと武器を振り回す青年の目の前に滑り込み刀を持っていた手を掴むと容赦なく腹に一撃、部下の何人かが容赦ねぇ!と悲鳴をあげていた気がするが今は無視だ
「ぐ、はァ!」
そのまま倒れるのは分かっていたため肩に背負うこれで厄介なのは大人しくなった
「山の調査を頼むよい恐らく女や子供がいるはずだ、警戒を怠るな!けが人は治療してやれよい!」
テキパキと指示を飛ばしこちらも治療をしてもらうために救護班へ急いだ
追記(20181114)
誤字方向ありがとうございました!。・:+°
やった事ある人はわかると思いますけど、あれって鬼ごっことかの派生だと思うんですが正式な名前聞いたことなくて、なに鬼なんでしょうね?
1話2話とたくさんの方見ていただきありがとうございます!٩(*´◒`*)۶♡
だらららーっと書く予定なのでストックとかありません、最新話投稿したら次の話を書き始める感じ
それと彼が今どこにいるのかわかりましたね
新世界のとある島になりました、そして白ひげ海賊団との出会い物語が加速していきますよ〜!!早く彼に会えるといいですね
今のところ目立って矛盾点出てませんけどそのうち、やらかすかもしれません...気をつけますね...!
それではまた次のお話で
ポポビッチ磯野