前世の記憶を思い出したと思ったら火拳のエースと顔がそっくりさん   作:ポポビッチ磯野

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よいよいよい


せっせっせーの

 

 

 

 

 

 

 

『エル、起きてもう朝よ』

 

懐かしい母さんの声だ

 

『ほら起きて、手伝ってちょうだい』

 

うん、わかった起きるよ今手伝うからーーーー。

 

 

 

 

ぱちりと目を覚ます、寝ぼけている訳でもないのにゆらゆらと揺れている感覚

徐々に思い出していく、そうだ村がーーー!!

 

勢いよく体を起こすが手の着いた場所が悪かったのか、そのまま床にべしゃりと落ちてしまう

「っ...!」

痛がっている場合じゃない、この一定間隔の揺れは間違いない船だ、という事はあの海賊たちに捕まったのか?

一気に血の気が引いていく良くない考えがどんどん思考を占める

 

落ち着け俺、現状確認だ

逸る気持ちを抑えながら必死に記憶がなくなる前のことを思い出すーーーーーー。

 

 

 

 

 

結果から言うと奇襲作戦は成功した向こうもこんなに早く対応するとは思わなかったのだろう

しかし数が違う、結構な数を減らしたはずなのにまだ終わりが見えない

 

『死ねやガキ!!』

目の前の敵を相手にしている間に死角を取られる見聞色の覇気も最小限に抑えていたのがいけなかった

 

痛みに備えるもそれはなく襲ったのは身体が引っ張られる感覚、しかも首、首閉まってます!!!

 

『おおオラァ!!!』

 

助けに入ったのはラグダさんで後ろからやって来た敵に斬撃を飛ばし、もう片方で俺を掴んだというか勢いが止まらないーーーーー??!

遠心力を落とすことなくそれは敵に向かっていく

 

ガコーーン!!と両足が先程まで俺と向かい合っていた男にクリーンヒット&ノックアウトしたようで、上手いこと着地する。

ラグダさんも倒したようだが、俺は文句を言わねばならない

頼む言わせてくれ、本当にこの人はなァ!!!!!

 

『人をっ武器にっするなーーー!!!!』

『ッフ?!』

 

思わずスネを蹴ってしまった俺は悪くない

ないったらないんだから!

『悪かったよエクトル、だけどお前ちゃんと食ってんのか?軽すぎだろ』

『そっすかもう一発欲しいって?やだなぁ先に行ってくださいよォ』

『待て待て冗談だっての、ほらムラジョークな?』

『いやどんなジョークだよ』

 

冷静に突っ込む、いやアメリカンとかならわかるんだが何だよムラジョークって

『ま、油断すんなよ』

『それはこっちのセリフだから』

 

そう言ってまた俺たちは海賊をまた一人一人沈めていく。

 

 

しかし数の差に俺たちは徐々に押されていた

息が上がる、伊達に鍛えて来たわけじゃない、しかし限界が近いのはわかっていた

 

これからどうするのか、俺より数歩前に出ていたラグダさんに声をかけようとした

しかし、その体には深々と剣が刺さっていた

 

『ヒヒヒ手こずってんじゃねぇぞ、お前らァたかたが村人によォ』

手下の海賊たちから船長!船長だと声が上がる

『ラグダさんっ!!』

放り投げられたラグダさんに近ずく思ったよりも傷が深いのに舌打ちをした

辛うじて息はあるが治療しなければ手遅れになる。

 

しかしこの村でいちばん強いのはラグダさんだそして今回の指揮官も彼

ここでラグダさんが倒れれば一気に戦況が傾くのは目に見えている。

 

『くそ、やりやがったぐは!?』

『やろぉよくもラグダを!!』

『ガハッ!』

 

次々にやられていく村の人たち

海賊達も船長が出てきて、こちらの指揮官を崩したのに勝利を確信したのか民家を漁り始める

食料と金目のものを奪い、もうないと判断された家は火をつけられた。

 

燃える家にまだ抵抗する村の人たち

そして海賊の船長がこう言った

 

『男はみんな殺せ、あとは山ん中探せ、女子供がいるはずだ!根こそぎ奪って...楽しんだあとは人間屋に売り飛ばして儲けるぞ、ヒヒヒッハハハ!!!』

 

 

わき目で見えたのは俺の家から上がる炎

 

かあさんとすごした大切な場所

みんなと暮らしてきた故郷の村

 

 

全部奪われるなんて、

 

 

『おい、はっエクトル...』

『っラグダさん!』

もう血の気を感じられないほど青ざめているラグダさんの手をとる

最後だというように笑っている、もう助からないことがわかってしまう

 

『すまん、しくじったな、ァ...今からでも、いいにげろ』

『ざっけんな、見捨てれないだろ!』

今引いたところで何になる、なら生きぬいてやる何としてでも!!

 

『...ほんと芯が強くて、頑固なところは、アイツそっく』

 

ぐしゃりと堅いものと柔らかいものが踏み潰される音がした

 

『まだ息があったのかァ、ほらガキ喜べ楽にしてやったぜ?ハハハ!』

次いでとばかりに笑う周りの海賊たち

 

 

 

 

頭を潰されたラグダさんを呆然と見てしまう

 

 

そして今まで感じたことのない感覚が俺を満たしたら

 

 

 

 

その後は、よく憶えてないーーーーーーー。

 

 

 

 

 

 

 

 

頭が痛くなりその後がうまく思い出せなかった、あの後どうなったんだっけ?

いやそれは置いておこう

ここが船なら油断は禁物、すぐに見聞色の覇気で索敵をーーー。

 

コンコンとノックが聞こえて、入るよいと声がかかる。

 

よいって聞いたことがある語尾だ、どうぶつ〇森とかにそんな口癖のやつがいた気がする

 

入ってきたのは特徴的な髪型、服装は紫色のシャツを着ており胸に刻まれたソレは、俺が長年待ち望んだ人のマーク。

 

「急に立ち上がったんだろ、気ィつけろよい」

ほらと手を差し出してくれる目の前の人物に俺はまだ信じられないでいた、だって

 

「坊主名前は?」

「あ、えっとマルドリード・エクトル、です」

「エクトルな、俺はマルコだよろしくよい」

 

まさか不死鳥のマルコが今目の前にいるなんて考えられないだろおおぉぉ?!?

 

え?いや本当になんで、いや俺の住んでた島が後半の海ってのは知ってたよ!?

知ってたけどそれだって広すぎる海にこの人たちが通りかかるなんて、どんな天文学的な偶然?

 

いやこれは仕組まれた奴だわ、神様がおもしくないっていうか、思いのほか俺の成長がイマイチだったから寄越したやつだ!!!

 

かみさま本当にムカつくわ、ボコしたい、やっぱり悪質の外道だわ脳みそ腐ってやがる。

 

と、とりあえず外道の事は放っておいてマルコさんに向かい合う

 

「あの、マルコさん...俺の村は」

そう俺があの後を覚えていない以上、助けに来てくれたであろうこの人に聞くしかない。

マルコさんの様子は至って普通でしっかりと答えてくれた。

 

海賊は全員マルコさんたちが倒したこと、生き残った村人たちは、あの島から1番近い彼らの保護下にある、大きな島に送り届けるらしい今はそれの移動中。

 

島を離れた理由に、男手が無いことと住居が破壊されたこと、食料の問題があるからだと教えてくれた

 

「戦って亡くなった奴らはみんなウチのもんが埋葬したよい」

「!よかった...、ありがとうございます色々教えて頂いて」

ラグダさんをはじめ沢山の人が亡くなった、ちゃんと弔ってもらえたかそれが気がかりだった

 

あの時の光景を忘れるわけない

 

悲しくないなんて、そんな訳ないだろ

悲しいし悔しい

 

俺がもっと力をつけてればよかったのに

 

例えばもっと覇気を使えたりとか悪魔の実を食べてたりとかしてたなら、きっとーーーーーいや、たらればの話よそう。

そんなこと言っても仕方ないことは母さんの時から知ってるだろ?

 

だからラグダさんやみんなの死を乗り越えなきゃいけない。

だって俺がこの世界について、前世について思い出した時に決めただろ

少しでもいい、あの日に彼を救う確率を上げるために出来ることを積み上げるって。

 

それに保護してくれるのも近くの島だと行っていたし、落ち着いたら花を手向けに行きたい母さんの所にもね。

 

マルコさんは微笑んで当たり前のことをしたまでだよいと頭を撫でてくる

 

「代わりと言っちゃなんだが、ひとつ教えてくれよい」

 

はて?一体何を聞きたいのだろうか確か俺の他にも生き残った村の人たちはいるだろうし、ーーーーあの後の記憶が無い俺に何を聞くのだろう

 

 

「覇気の使い方をどこで覚えた?」

 

 

あ、なるほど

 

 

そうだよな!

いやぁ〜忘れてました、いくら新世界とは言えど、こんなガキが一端に覇気を2種類も使えたらおかしいですよねアハハ!

 

やばい(やばい)

 

え?まさか記憶が無いうちに、未熟な武装色の覇気でマルコさん殴ったとかそんなのないよね?ないよね???

 

マルコさんをちらっと見る

ああ〜〜なんの事ですかってしらばっくれるのはダメだわ

 

しかししらばっくれるのはダメでも、すっとぼけるのはアリだと思います!!!

 

「...覇気って言うんですか?この力」

「知らねぇで使ってたのか、驚いたよい」

 

ハイシリマセンデシタヨ

マルコさんは少し思案したあとわかったといって立ち上がる

 

「あとでウチのもんが飯持ってきてやるから、それまでは大人しく寝てるんだよい」

できるな?と子供に言い聞かせるように言うと扉から出ていったのを見送り、気配が遠ざかるのを確認してからベットに沈みこんだ。

 

 

ひぇえやべえ緊張した、やべぇ本物のマルコさんかっこよすぎ、あと生よい!!!!

 

...誤魔化したの気が付かれてたかな、う〜んそこは流石1番隊隊長ってところか悟られるような真似はしてなかった。

ならばあとは俺がぼろを出さないようにするしかないんだけど

 

とりあえずはマルコさんが言う通り、休もうここに敵はいないはずだ、覇気が使える程度のガキなら“あの男”も警戒はすれど直ぐに手をかけてくる事もないだろう、いや、無いようにお願いします!

 

うん、じゃあお言葉に甘えてね

 

 

一定のリズムで揺れる船にゆっくりと眠りに落ちて行った。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「親父、入るよい」

ノックのあとにマルコが入ったのは船長室そしてその奥で座っている男こそ、最も海賊王に近い男と言われる四皇の一角

 

白ひげ海賊団、船長エドワード・ニューゲート

 

「それでどうだったガキの様子は」

「外傷はなかったんだが、覇気を使ったせいで疲れが出てるがまあそれも島に着くまでに回復する見込みだよい」

 

親父はまだなにかあるんだろう?とまだ黙っている

「...覇気の使い方を何処で知ったのかと聞いたら、この力が覇気だったなんて知らなかった、と誤魔化されたよい」

 

なぜ誤魔化す必要があったのかはわからない。

確かにあのくらいのガキが、覇気を感じ取って使えるなんて才能の塊だろうけど、なら素直に自然に身についてたと言えばいい話だ。

 

覇気だと知って使っていたのを何故か隠したがった

向こうだって食い下がった俺に対して誤魔化しきれてないことは勘づいてるだろうに

 

「ほぉ妙な話だァ」

いつものジョッキと酒を呷る親父にああまたナースたちに報告しねぇと頭の片隅にメモしながら同意した。

 

生き残った村人に聞いたが父親はわからず2年ほど前に母親も亡くなっており、昔から身体は鍛えていたらしい

母親想いで芯の強い心優しい青年だとみな口を揃える

 

「...まァ、そこまで深刻に考えることでもねェだろうよどうせ面倒を見るのは島に着くまでだ」

「......そうだねい、けど各隊長には程よく監視するようには伝えとくよい」

 

「グラララ...相変わらず慎重だな」

「それが俺の仕事でもあるんでねェ、それじゃあ親父、酒も程々にしとくんだよい」

 

こんな酒ただの水だと言い始める前にさっと部屋から出てナースたちに告げ口しておく。悪いな親父、だが俺たちは心配してんだ、わかってくれ。

 

さてと各隊長に情報共有をしないとな、そう思いつつ足を動かした。

 

 

 

 

 

 

 

 





別にマルコさんだったからこのタイトルにした訳じゃないですよ?

UA、お気に入りありがとうございます!
めちゃくちゃたくさんの方に見てもらっていて正直驚いてます...!
いやホンマにね、びっくりだ
ゆっくりですがじわじわ進めていきたいと思います( ˇωˇ )

これからもオリ主の活躍(?)をお楽しみに!!


ポポビッチ磯野

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