「ちくしょうッ!またノイズかよ......ッ!」
「それにしても変ね。アルカ・ノイズなら何故アラートも招集もかからなかったのかしら?」
「それについてはボクが説明します。」
「それではエルフナイン君、よろしく頼む。」
「はい、最初に結論を言うと、今回現れたのはアルカ・ノイズではありません。こちらで検知できませんでしたから。あるいは、何かしら特殊な改造がなされたノイズなのかもしれません。」
「じゃあ、新種のノイズってことデスか?」
「いや、ノイズを模して作られたものでしょう。」
「まさか?!錬金術ではない何かだというの?」
外見はノイズの犯行なのに、その正体はノイズではない、ノイズを模した何者か。これが錬金術師が作り出したアルカ・ノイズではないとしたら、普通の人間の持つ技術、科学の力で生み出したとでもいうのか......
この考えが導き出す未来は凄惨なものに他ならない。他の職員やシンフォギア装者以上にマリア、クリスの表情が曇る。
「話はこれだけではない。この襲撃された場所はアメリカにあるF.I.S.が所有していた工場で、クローン技術を主とした研究がされていたそうだ。そして、襲撃後、多くの研究資料が持ち出されていたとの報告を受けている。」
「くろーんぎじゅつ?」
「お前そんなことも知らねぇのか!」
「クローン技術......遺伝子が同じものを作る技術のことです。農業では早くからこの技術を使い、品種改良などに大きな影響を与えました。ボクとキャロルの関係を参考にしてもらえれば分かりやすいかと。ボク自身、元々キャロルのクローンみたいなものでしたからね。今ではキャロルの体ですが。」
「立花にはちょっと難しいかもしれないな。」
「え~そんなひどいですよ~。」
一同の緊張も解れつつある中、マリアだけはまだその唇を噛み締めていた。そして、その緊張の糸を引き千切るようにアラートが鳴った。
「F.I.S.日本支部から支援要請。大量のノイズが国内の施設にも襲撃を始めたそうです!」
「よし、出動だ!何があるかわからない、いつもより気を引き締めて向かってくれ。」
「「「「「「了解!!」」」」」」
-F.I.S.研究施設-
装者達が現場に到着するとノイズたちが施設内を跋扈していた。今までの無作為に襲い掛かるノイズとは様子が違う。
すると、そこに1人の研究員らしき女性が現れた。こちらに手招きしているようだ。
「皆さん、S.O.N.G.の方々ですよね?私はここの職員です。あちらの部屋にはまだノイズがいないのでそこで話しましょう。」
「相手はノイズですよ?意味ないんじゃ......」
「バカ、アイツらの様子が変なのに気付かなかったのか?」
「そうなんです、あのノイズたちは意図を持って動いている様なんです。」
「今までは誰かに操られても、目標を攻撃するだけで、こんな統率のとれた、それも人間の中でもさらにターゲットを決めたような動きはしたことが無かったのに......」
研究所内のノイズ達は道なりに歩き、物を破壊、もとい炭化させることなく歩き回っているという。それをチャンスと感じたのか、反撃を試みた者がいたようだが、敵対すると分かった者には容赦なく攻撃を仕掛けること、助けを請う、戦う意思がないことを泣き叫ぶような者へは攻撃してこないことを女性職員が説明する。
「ノイズがまるで人の言葉を理解しているみたいですね。」
「それはそれで怖いデス。」
「ん?なんか聞こえないか?まさか?!」
ピピピとキーを打ち込む音が僅かに聞こえる。この部屋も気づかれてしまった。そう悟ると同時にロックが解除され、扉が開くと、その奥には仮面を被った女性が1人。
「ほう、まだ逃げ隠れる余力のある者が居たのか。」
「あなたは......ッ?!」
「ここの職員か。私を見たこともあるのだろうな。しかし、今の私はもうF.I.S.の人間ではない。寧ろ貴様らとは対立する存在にある。いや、敵対しているのは貴様らS.O.N.G.の連中もだがな!!!」
そう言い放つと謎の女性が通信機のようなものを手にする。ピッとボタンを押すとその場に大量のノイズが押し寄せる。
「危ない!逃げて!!」
たとえ怪しい者であろうとノイズの脅威からは救おうとする響。しかしその呼びかけに応じることなく、逆に彼女はノイズの頭を撫でるかのようにその手を伸ばした。
「フフフ......炭化するとでも思ったか?小娘。こいつらは私が作り上げた、私だけのノイズだよ。頭も良いし言うことは聞く。さて、お前たちはこいつらとどう戦うかな?今までの突っ込んでくるだけのノイズとは一味も二味も違うぞ!!!!」