―Granzizel bilfen gungnir zizzl―
「なっ...!聖詠!?」
仮面の女の胸元が赤く光る。この輝きは紛うことなくFG式回天特機装束、即ちシンフォギアのギアペンダントのものである。漆黒の深利が彼女を包み込み、そして締め上げるように四肢に張り付く。そこから形成される鎧はまさにシンフォギア。一段階、二段階と
「黒いッ...ガングニール、、、だとぉッ!?!?」
「そ、そんな...なんであのギアが......。マリアさんのガングニールは今私が纏ってる...。じゃあ、あれはどこから??」
「フフフ、随分と驚いているようだなァ?だが驚くにはまだ早い!!」
すべてのアーマーの着用が終わり、頭部のヘッドギアが装着される。それと同時に彼女の仮面が砕け散る。すると、今まで隠れていた栗色の長髪が軽やかに舞い上がる。搔き上げられた髪の隙間から覗く顔は、マリアの顔によく似ていた。
「セレナ、やっぱりあなただったのね。言葉を聞くに、あのノイズたちと同じ、あなたもクローン。違いないでしょう?」
「おや?お前なら狼狽して泣き崩れて、終いにはそのギアを脱ぎ捨てるかと思ったが......、随分骨があるようだな。私の中のセレナが知っているお前とは違う。」
「当り前よ。あれからもう何年もたっている。あれからいろんなことがあった。たくさん悔しい思いもした。今回も心が折れそうになった。たくさん悩んだ。でも、もう決めたの。」
みんなは他のノイズをお願い。彼女とは私一人でやらせて。そう言って装者達を置いて前に進む。
「今だけは......、絶対にうろたえないッ!そしてッ!!今度こそあなたを救ってみせるとッッ!!!」
「私を、救ってみせる、、、だとォッ!?!?」
「冗談はその程度にしておけ。あまり巫山戯たことをほざいていると...この烈槍が黙っていないぞ!!!!」
「どういうことよ!?」
「チッ......。これだから平和ボケした連中はッ!!」
瞬間、セレナはガングニールを強引に振るい、マリアに襲い掛かる。2人の戦力はほぼ互角、ひたすら剣戟が続く。他の装者たちは溢れかえるノイズの対処をする中2人の衝突は激しさを増す。
マリアは信念を貫く。魂は違えどその身は同じ。またこの子にシンフォギアを纏わせることになってしまった。そんな迷いを打ち消すほどに強く、負けじと短剣を振るう。
「はぁぁぁッ!!!!」
マリアの力にじりじりと押され後退するセレナ。隙の生じた瞬間に潜り込まれ大きなきな一撃を食らい、遥か後方へ突き飛ばされる。
「ぐッ......。なかなかやるではないか。」
「えぇ、貴女のためだもの。絶対に負けられない戦いよ。」
「いい加減にしろ。セレナを救うだと?分かっているはずだ、私はセレナの姿をしているに過ぎないと。本物のセレナはとうの昔に死んでいると。」
「そんなこと分かっているわ。でも、セレナの記憶はあるんでしょう?だったら、あの時のセレナが目覚めた。それでは駄目なのかしら?」
「ああ、もちろんだとも。セレナの記憶を引き継ぎ覚醒した私は人間にいいように使われ続けた。このノイズたちもだ。セレナの記憶を思い返しても、いやな気分になるだけだった。好き勝手やって、守られて、そのくせまだ利用したがる。お前だってあの時、私に頼るしかなく、ナスターシャもお前を守ることしかできなかった。」
「それは......」
「お前だってその後ナスターシャとウェルに利用されただろう?事が終わっても魔法少女事変が始まるまでは国連に利用されてきただろう?」
「いつだって、人は何かを利用して、犠牲にして自分を守ろうとする。それが嫌いなのだ。憎いのだ。」
「せめてフロンティア事変の時にお前がフィーネとして覚醒していれば、或いはマリア・カデンツァヴナ・イヴとして君臨し続けていれば、奴らも気づいていただろう。必要以上に利用する愚かさを。」
「だがそれもできなかった。お前がただの優しいマリアのままだったから。私も!お前も!他の装者も!ノイズたちも!......。結局人間にいいようにされているだけじゃないか......。」
「私はノイズたちの記憶も伝えられた。ノイズ自身の手によって...。そこでも人間は今と同じだった。今の人間は何も変われていなかった。だったら......!!」
「私の手で終らせれば、この世の全て、もう悲しまずに済むだろう???」
「そろそろ終わりにしようか。来いッ!!!!!!」
突如、ノイズが彼女の方へと向かって行く。いや、これは吸い寄せられているのだろうか?次々と彼女のギアへと融合し、マリアを覆いつくすような、遥かに凌駕した体躯へと変化した......。