「な、何だ?!急にノイズ共が...!」
「あれは...ずるくないデスか?!」
一部のノイズが装者たちの元を離れ、セレナへと集まり、ガングニールと融合して行く。その装甲はぶくぶくと膨れ上がり、4,5メートルほどの巨大なパワードスーツのような姿に変わる。
体格差、パワー、スピード、全てにおいて今までと比べ物にならない。次第に追い詰められてゆくマリア。しかし、他の装者が彼女に加勢しようと試みるも、ノイズの数が多すぎて、まともに近づけそうにない。
「ずるい、だってぇ??全力を出しているんだ、喜んでほしいものだね!!」
「くっ、さすがにこれは...」
さすがのマリアでもこの力量差を覆すことができないでいる。そこへ...
「切歌ちゃん、調ちゃん!もう一度、SC2Aを使うから、残りのノイズを集めてくれる!?」
「立花?!...仕方ない。不承不承ながら了承した!」
「しゃーねーなぁ!!手伝ってやる!おいチビ共!!あたしらが残りの力を使って雑魚を蹴散らす!」
「あとは、マリアさんをお願い!!」
切歌と調が他のノイズを上手く寄せ集め、誘導する。そして、響、翼、クリスの三人はS2CAを発動させようと体勢に入る。
Gatrandis babel ziggurat edenal----
「ふん、捨て身覚悟で他のノイズを消しに来たか。だが、そうはさせん!!!」
セレナが天に掌を翳す。すると他のノイズたちが次々と吸い込まれ、さらに巨大な姿へと変容する。
が、しかしセレナの様子がおかしい。
「グッ......、、、何だ?!?!おい、ノイズ!もういい!これ以上融合しなくていい!!これではガングニールが持たない!!!!おい!聞いているのか?!?!?!」
「セ、セレナ???」
「グ、アアアァァ!!!!やめろ!これ以上融合するな!」
「い、嫌だ!!呑まれる!!嫌だ!!死にたくない!!!嫌ぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「セレナ!!!!」
暴走したノイズがセレナを呑み込んでゆく。このままではガングニールが耐えられずに、ギアが破壊されてしまう。
ノイズたちはセレナを炭化させはしないだろう。今までそのように訓練されてきたからだ。即ち、ギアをまとわぬセレナがこの暴走したノイズの群れに身を投げるということは真の意味でノイズの融合に巻き込まれるということだ。これだけは避けなければ。
「敵データの更新は終わったか?!」
「ハイ、こ、これは...!!緊急出動レベルです!」
「なん...だとォッ?!絶唱のエネルギーを溜め込むのはまずい、今あの三人にはS2CAを撃たせるしかない。となればあれを倒すのは...ッ。」
「皆さん!聞こえていますか?!あれを急遽、クイーン・ノイズと仮称します。これを討伐できなければ、この街を丸々飲み込みかねません。対象の討伐を優先してください!」
「エルフナインちゃん、セレナちゃんを助けるのは譲れない!大丈夫、このままS2CAを敵装甲部へ打ち込みますッ!!少しは装甲が剥がれるはず、、そしたらセレナちゃんを!!」
「分かったわ!調!切歌!射線から外れるわよ!」
「了解(デス)!」
「S2CA!トライ!バースト!!」
三人の残りの力を込めたS2CA。それはクイーン・ノイズの装甲を大きく抉るが、セレナの救出には至らない。高火力の攻撃があと一つ、足りない。
「そ、そんな...これじゃセレナちゃんが...。」
「諦めちゃダメよッ!響!それに翼とクリスも!そこで見ていなさい。私が、私達がセレナを救って、あのノイズも倒して見せる。二人とも、行くわよッ!!」
そう言うと三人はLiNKERを取り出し首元へ注射する。体が悲鳴を上げる。だが、フォニックゲインは高まる。ならば、力が高まるその限り彼女たちは戦い続けてみせると、救って見せると巨大な影の中へ吸い込まれていった。