それでもよろしければお付き合いください
よろしくおねがいします
昨日は色々な事があり過ぎて混乱していたが、私達の目的は先ずは元の時代に帰る事なのだろうか?
お母様は、永遠の命という目的が第一のようだけど私の本心を言えばやっぱり弟を探したい
けれど方法がわからないし、そもそも帰れるのかどうかすらも怪しい
あの忌まわしい力が全ての始まりで、やっぱり私はもっとお母様の説得を試みるべきだったのだ
私の願いはお母様とジャキと一緒にただ普通に暮らしていけたらそれだけで良いのに
豊かで何不自由ない生活も、ましてや永遠の命なんて望んだことなど一度もない
しかし、お母様は何故あそこまで拘るのだろう?
わからない‥‥
やはり、近いうちにお母様とちゃんと話をしてみよう
そして今度こそ説得しよう
いつか、家族三人で仲良く暮らせる奇跡の様な日が訪れますように‥‥
ー
私とお母様は朝から千年祭の会場に向かっている
早起きと言うわけではなく朝の時間をゆっくり過ごしてから出掛けているので目は完全に醒めている
お母様は流石に女王としての正装を身につけているわけではなくマントや王冠を外してドレスだけの恰好だ
私も昨日と同じ服なので、早く新しいこの時代の服がほしい
それに宿屋との契約は、夕飯だけなので朝食も食べていない
そんな理由もあり朝から千年祭に向かっているわけなのだ
本当にクロノさんが言っていた武器商人のおじさまが宝石を買ってくれる事を切に願っている
そんな事を考えていたら、いつのまにか千年祭の会場に着いていた
「さて、昨日はこの先の噴水広場に商人がおったらしいが。」
「今日も、居てくれたら良いのですが‥‥」
「まぁ、居らぬなら別の場所を探すまでよ。」
私達はそのまま噴水広場へ向かっていくと
広場には、まだあまり人影はなく昨日と比べると閑散としている
なので昨日は見かけなかった露店をすぐに見つける事が出来た
露店といっても地面に布を敷き武器を広げている簡素なもので店主は噴水に腰掛けている
「‥‥‥‥え!?」
「‥‥‥‥ほぅ、これは面白い事もあるものじゃ。」
驚いた‥‥まさかこんなところで知り合いに会えるとは思ってはいなかった
「ぼ、ボッシュ様‥‥」
命の賢者ボッシュ様がそこに居たのだ
こんな偶然があるものなのだろうか?
ボッシュ様と私達は別のタイムゲートに入ったはずだ
同じ時代で会える確率なんて‥‥あり得るの?人違い?
「クックックッ‥‥あの姿は間違いあるまい。」
お母様は嬉しそうに笑う
向こうはまだこちらに気づいてはいないようだ
お母様は少し悪戯っぽい笑みを浮かべながら
「さて、1日ぶりの再会を祝いに行こうではないか。」
と、賢者様のところに歩いていく
「あ、はい。私も参ります。」
慌てて後を追っていく
再会‥‥本当にそうならどれだけ嬉しいだろう
私は心臓を高鳴らせながらお母様についていくのだった
ー
魔法王国ジールの三賢者の一人
命の賢者
そう呼ばるなくなってからもうどれくらいになるだろう
わしは、あの日、ゲートに飲まれ全てを失ったのだ
これまで築いてきた地位も名誉も、名前以外は全て
だが、悪いことばかりではなかった
幸運なことにわしが落とされた穴の出口は魔族の民家のタンスの中からだった
魔族と言ってもこの時代は平和な様でいきなり襲われる事はなく普通に話も通じた
メディーナ村、魔族の生き残り達の村
人間が嫌いな魔族も多いその村に住むわけにもいかず村から少し離れた所に今は居を構えている
ここが遥か未来の世界だと知り、始めの頃は色々な事に驚かされたものだ
だが、この世界は平和だった
それが一番の救いであり、何にも代え難く本当に素晴らしいと改めて気づかされた
色々な事があった‥‥持っていた知識を活かして鍛冶屋を始め‥‥ようやく自分の家を持ち‥‥
そう、あれから何年たっただろう?
少なくとも、魔法王国に居た頃を懐かしいと思える程には時間は過ぎていったと思う
あれから、あの王国は、あの親子は‥‥どうなったのだろうか?
この時代に魔法王国ジールの名残はどこにも残ってはいない
かつて繁栄を極めた楽園は歴史の陰に消え去ったのだ
だが、それでも最早わしには関係ないと割り切る事が出来ないのは‥‥おそらくあの親子の事が忘れられないからだろう
出来る事なら幸せになって貰いたかったが‥‥
しかし、わしにはもうどうする事も出来ない‥‥
今この世界で最も大きな国で建国祭が行われている
最近は鍛冶業での貯えも増え、仕事の依頼も急いで受けずとも生活していける
元々、祭が好きだったわしは祭の開催中は露店でもしながら祭の様子を眺めていようと毎日会場へと通っている
今日もいつもの服に着替えて朝一番の連絡船に乗って建国千年祭にやってきた
魔法王国時代の正装
この服はわしに残った最後の賢者としての、魔法王国時代の証明なのだ
連絡船から徒歩で会場まで向かい広場にたどり着いた
一番お気に入りの噴水の前は幸い空いていた
早起きした甲斐がかったと、いつもの様に露店を広げた
まだ、この時間ではお客も期待出来ないので暫くは噴水と祭を準備する人の様子を眺めるとしよう
わしがぼんやり景色を眺めていると
「もし、お店はもう開いていますか?」
と、綺麗な女性の声が聞こえた
ふぅ、朝からお客とは珍しいの
さて、仕事の時間じゃな
「ああ、すまんのぅ。もちろん開いて‥‥‥‥‥なっ!?」
わしの前にはあり得ない人達が立っていた
「サラ様‥それに‥‥‥いや‥‥これは、幻か‥‥」
「何を呆けておるのだ。ボッシュよ、ボケ過ぎてわらわを忘れてしもうたか?」
目の前で悪戯な笑みを浮かべている綺麗な女性こそが、わしが何年経っても忘れない人物その人だった
短過ぎたので少し足しました
申し訳ないです