時をかける女王   作:リバサ昇竜

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帰ってきた王妃 後編

 

 

 

 

魔法王国ジールでは、魔力の高さこそが重要視されていた

それは魔力が高い者はそれだけで一定以上の地位が約束され、逆に魔力が低い者はどれだけ優秀でも軽視されてしまうほどだ

私はそんな魔法王国でも最上位だと、よく先生や周りの大人に褒められた

弟のジャキは、逆で魔力が殆ど扱えない事から周りからはあまり注目される事はなかった

でも、私は知っている

弟の魔力は、私すらも軽く超えるほどに高く強大な事を

だから、きっと無事だろうと願ってしまうのは私の願望‥‥なのかもしれない

弟が魔力を隠しているのはお母様と私にせいだと思う

 

弟はお母様の事を疎んでいる

理由としては、お母様は弟とあまり一緒にいる事が出来なかった

本当に、随分寂しい思いをしただろう

寂しそうな弟を見たくなかった私はなるべく弟を気にかけるように努め一緒に過ごす時間を大切にした

しかし、ラヴォスエネルギーの研究や魔神器建設の実験などで私も忙しくなってしまい最近はあまり一緒に居れなかった

弟は私がお母様に無理矢理協力させられていると思っている様で、ますますお母様を毛嫌いしてしまった

おそらく、魔力を封印し隠しているのもその辺りが理由なのだろう

 

私は、弟には幸せになってもらいたい‥‥

もし‥もしも奇跡の様な事が起きて‥‥弟の、ジャキの無事が確認できて‥‥

私達と離れて幸せになっていたとしたら‥‥会わないのも覚悟している‥‥

 

ジャキ‥‥どうか無事でいて‥‥

そして出来る事なら‥‥私の事など忘れていたっていい‥‥

だから、寂しい思いなどせずに幸せになっていて‥‥

 

 

 

 

 

 

ボッシュ様と再会を果たした翌日に、私達は今ボッシュ様の家に向かっている

昨日は他愛のない話に花を咲かせていたら夕方になってしまっていて連絡船の最終便の時間になってしまった

ボッシュ様からは一緒に乗って自分の家に招待したいと誘われたが、お母様は買わなければいけないものがあるのと今晩も宿がある事を伝えて明日また会う約束をした

お金はボッシュ様が手持ちの連絡船の運賃以外全てを渡してくれて、私達の時代の価値と比較してお金の価値も教えてくれた

結構な額だった‥‥

その後の一幕こんな会話があったりした

 

「ふむ、ボッシュよ。恩にきる。これは、わらわからの感謝の気持ちだ。」

お母様は、身につけていた指輪を外してボッシュ様に渡したが

ボッシュ様は受け取ろうとしなかった

 

「受け取れませぬよ。わしは確かに今は貴女様の順者ではないですが、男として、かつて仕えていた者としての敬意は忘れていませぬ。」

「ほぅ‥‥ボッシュよ、わらわの感謝の気持ちが受け取れぬと申すのか?」

「そ、そんな、強気に言われても駄目です。わしにも見栄や誇りがありますじゃ。」

「ボッシュよ‥‥‥‥受け取れ。」

お母様は、有無を言わせぬ絶対者としての顔で言った

 

「‥‥‥‥貴女様はいつでもそうじゃ‥‥。なんでも、自分の思い通りに決めてしまわれる。」

「フフ‥‥変わらぬであろう?」

「本当に‥‥貴女様は変わらない‥‥。わかりました。しかし、わしも今は商人の端くれ。この指輪の価値は知っておりますゆえ、必ず残りの代金をお支払いします。」

「クックッ‥‥これだから、男とはつくづく損をする生き物じゃ。かつて仕えた我儘な女王からの退職金と割り切れば良いものを。」

「ほっほっほっ、それはまたいつか受け取らせていただきたく思いますぞ?」

 

その後ボッシュ様と、別れてお母様と買い物へ向かった

この時代の洋服や下着などと生活雑貨

色々と違いはあるものの何とか用途、使い方や身につけ方を聞いて揃えられた

その頃にはすっかりと夜になっていたので

買い物を終えてからすぐに昨日と同じ宿で夕食をいただき眠りについた

翌朝、つまり今日は朝からボッシュ様が宿まで迎えに来てくれて今連絡船に乗ってボッシュ様の家向かう途中と言うのがこれまでのあらましだ

 

「ボッシュ様が、仰っていた魔族の村でしたか?」

「ええ、一部を除いて人間嫌いな連中なので気をつけてくだされ。まぁ、サラ様のお力ならば万が一などもないでしょうがな。」

「そうですか‥‥ところで何故、人間を?やはり戦争の影響ですか?」

「この時代はかつて400年ほど前に魔王率いる魔族達と人間達との戦争があったと言うのは言うたと思いますが、結果は見ての通りに人間側の勝利。魔族は肩身が狭いのじゃ。それに納得のいっていない者も多いと言うわけですな。」

「そうなのですか‥‥。」

400年前は戦争があった

その時代に飛ばされていたらどうなっていただろうか?

きっと、無事にはすまなかったと思う

やはりこの時代に降り立つ事が出来たのは幸運だった様だ

 

「お?そろそろ着きそうですぞ。その様な事情がありまして連絡船は村から遠いところに停留所がありましてな。少し歩きますが辛抱してくだされ。」

「はい。大丈夫です。」

停留所に着くと、私達は降りるが他に降りる人はいないようだった

 

「さて、こちらです。付いてきてくだされ。」

私達はボッシュ様の先導で家までの道を歩いていった

ボッシュ様の家は思っていたよりも遠くで暫く歩いていくと、少し休憩しようとお母様が提案した

あまり体力に自信がない私はかなり疲れていたのでお母様の提案に賛成した

私達が休んでいる場所は森の中の道で私は近くの切り株に腰掛けている

ボッシュ様があらかじめ用意してくださった水筒を渡してくれる

中身はどうやら昨日飲んだのと同じ果実のジュースだった

ふぅ‥‥美味しい‥‥

 

 

「あと、どのくらいだ?」

「ここからなら、もうじきですじゃ。」

「ボッシュよ、か弱い女子をこのように歩かせるとは。」

「ほっほっほっ、お望みでしたらおぶりましょうか?」

「じじいに抱きつく趣味などないわ。結構だ。」

「ほっほっほっ、それは残念じゃ。」

お母様とボッシュ様ってこんなに仲良かっただろうか?

あまりそんな印象はなかったけど‥‥

 

 

私は、考え事をしていて少しぼんやりしていたようだ

そのせいで後ろから迫っている者にまるで気がつかなかった

 

「キャッ!?」

後ろから突然腕が伸びてきた、私は腰のあたりから掴まれてそのまま体格の良い魔族?に担がれてしまい

魔族?はそのまま走って私を運んでいく

 

「サラッ!?」

「サラ様!」

少し遠くでお母様とボッシュ様の声が聞こえるが、だんだんと遠くなっていく

ちなみに魔族だと思ったのは体が大きく蜥蜴の様な姿をしているためだ

 

 

うん‥‥どうやら私は拐われてしまっているようだ

 

 

 







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