キン肉マン~ウルフマンが王位争奪戦の助っ人にやってきました~ 作:やきたまご
突然の事態に、まず超人委員会が動き出す。
「委員長! やつはゼブラに偽り王位争奪戦に参加した不届き者です! 今すぐ失格に!」
「待て!」
ハラボテの一喝で、超人委員会のスタッフが落ち着く。
「あの方は確かにキン肉族の血を受け継ぐ人だ。もっと詳しく言えば、キン肉タツノリの弟に当たる人なのだ」
「委員長! そんな話、一度も聞いた事はありませんよ!」
「歴史の闇に葬られたのだよ。サダハル様は王の資格はあったが、それを良しとしない輩もキン肉族にいた。しかし、あのサダハル様が今になってこの場に……。この際、もう一つの事もはっきりさせた方が良さそうだな。真弓くん!!」
ハラボテが真弓の名前を呼んだ。
「なんじゃ委員長?」
「あのサダハル様が正直に正体を明かしたんだ。ここらでソルジャーの正体もはっきりさせた方が良いとは思わんかね?」
「し、しかし……」
「真弓くん、わしの情報網を舐めて貰っちゃあ困る。スグルくんには実はもう一人兄弟がいたようじゃな」
「な、なぜそれを!!」
「委員長さんよ、そこまで喋るんなら俺に喋らせてくれ」
キン肉マンソルジャーがハラボテと真弓の話に入ってきた。
「俺の正体はキン肉アタル、サダハル同様、キン肉族の歴史の闇に葬られた男の一人。そして、キン肉スグルの兄貴にあたる」
またも飛び出た驚きの事実。真っ先にキン肉マンが反応を示す。
「なに! パパ! 私にはお兄さんがいたのか! 一言も聞いていないぞ!!」
「すまんなスグル、お前がまだママのお腹にいた頃、わしらがアタルをスパルタ教育で苦しめていたんじゃ。やがて、追い詰められたアタルは家出してしまった。この事実を広めてしまっては、超人界に混乱を招きかねない。だからわし達はアタルを歴史の闇に葬ったのだ……」
「はっはっは!!」
ネメシスが急に笑い始めた。
「かつて、私が正義の心を持っていた頃、幼き真弓に直々に王たるものは何かを説いてやった。しかし、現実はこのざまだ。もはやキン肉族等解体されるべきなのだ」
「解体だと?」
「そう、私が王位争奪戦を勝ち抜いた暁には、キン肉族そのものを正義超人界から葬り去る!! それがキン肉族が長年犯し続けてきた悪行に対する唯一のけじめなのだ!!」
ネメシスの危険な考えに対し、もはや誰一人無視する事はできない。
「あの男、キン肉族の解体を考えているだと! 奴は必ずや抹殺せねばならない!」
フェニックスがネメシスに対し怒りを見せる。
「サダハル様、いいですかな?」
ハラボテがネメシスに問いかける。
「俺はもうサダハルではない。ネメシスなのだ。何のようだ?」
「本物のゼブラチームはどうしたんでしょうか? 一応、彼らの承諾あってやった行為なのかを確認したい」
「心配ない、奴らに承諾は得ている。最も、実力行使ではあったがな」
数日前、ゼブラチームが都内の練習場にて、チームミーティングを行っている最中であった。
ドガシャァン
突如建物を破壊し、入ってきた者がいた。
「なにやつだ!」
「我々をゼブラチームと知っての事か!」
建物を破壊した人物はネメシスであった。
「下等であるお前達にかわり、王位争奪戦に参戦する。断れば実力でうなづかせる」
「このやろー! 舐めた真似を――――――っ!!」
ザ・マンリキがネメシスに向かっていた。
ガシィン
ザ・マンリキは自身の万力を用いて、ネメシスを締めあげる。
「ほう、下等超人にしてはそれなりの力があるな。しかしな」
ギギギギ
「なにぃ!?」
ネメシスは力尽くで万力をこじあけた。
「完璧超人の基準には遠く及ばない」
ドガァ
ネメシスはドロップキックでザ・マンリキを上空にふっとばし、さらに空中で技を決めていく。
「ネメシスドライバ――――――ッ!!」
「だ、脱出できん!?」
ズガァァン
ザ・マンリキにネメシスの強烈な技が炸裂した。ザ・マンリキは誰が見ても闘えないと判断できる状態だった。
「このやろ~! 今度はモーターマン様が相手になってやるぜ!!」
モーターマンが自慢の電力でネメシスを感電させにいく。
バチバチバチバチ
「どうだ! 俺様の電気はさぞ苦しかろう!!」
「なんだ、こんなものか」
「うそだろ!?」
長年身体を鍛え抜いてきたネメシスにとっては、多少の電気はどうとも感じないのだ。
「先程の奴よりも手応えがないな」
ネメシスは感電しながらも、平然とモーターマンにカナディアンバックブリーカーを決めた。
「ぐお! これしきの技で!」
「これしきの技ですむと思うか?」
ネメシスはカナディアンバックブリーカーを決めながら、ジャンプし、体勢を崩さないまま逆さから落ちていく。
「や、やめてくれ――――――っ!!」
「ネメシスバックブリーカー!!」
ズガァァン
モーターマンはカナディアンバックブリーカーの体勢のまま、腹から落ちた。その衝撃で胴体が真っ二つになった。
「モーターマン! おのれ!」
バイクマンがリングにあがってきた。
「次はお前か」
バイクマンはバイクに変形した。
ブオオン
すさまじい排気音を出しながら、ネメシスに突撃する。ネメシスはそれを正面から受け止めるようだ。
「俺の突撃を正面から受け止められると思ったか!! 馬鹿め」
ズガァァン
ネメシスはなんと、正面からバイクマンの突進を受け止めた。
「ば、ばかな!?」
「なるほど、お前はゼブラチーム内でもかなりの実力者のようだな。このネメシスの肋骨にヒビを入れるとは大した奴だ。お前に敬意を表し、特別にこの技でとどめをさしてやろう」
ネメシスはブリッジの体勢でバイクマンの身体を上空へ上げる。それを何度も繰り返した。その動きを見て、ゼブラが気付いた様子を見せる。
「まさか、その技は!?」
バイクマンは人型に戻り、ネメシスは技を決めていく。
「ほう、この技が分かるとは、それなりの眼を持っているようだな。これぞ、キン肉族三大奥義のひとつ! マッスルスパークだ!」
「ぐぼぁ!」
バイクマンが空中で血反吐を吐いた。
「どうやらマッスルスパーク天だけで終わったようだな」
ネメシスが途中で技を解いた。バイクマンはそのままマットに落下した。もはやバイクマンに闘う力はない。
「お、俺はもうやだ! 金なんていらない!!」
パルテノンが逃げだした。ネメシスがパルテノンにめがけジャンプする。
すたっ
逃げるパルテノンの目の前にネメシスが着地した。
「ひぃっ!! 許してくれ!!」
「主人を置いて逃げるとは、貴様にはプライドというものがないのか!!」
がしっ
ネメシスがパルテノンをとらえ、技を決めた。
「バトルシップシンク――――――ッ!!」
ドガァァァン
「ぐぼはぁ!!」
パルテノンも他の仲間同様KOされてしまった。
「ふん、せっかく大金を払ってやったのに、役立たずどもめ。まあいい、真の王たる者、一人でも勝ち残れる力がないとな」
ゼブラの顔を見て、ネメシスも表情を変える。
「流石チームリーダー、他の奴とは違うようだな」
「先程三大奥義の一つを見せてくれたな。お礼に俺も見せてやろう!」
ゼブラがリングロープの上を素早く駆け回った。そして、数人になったゼブラがネメシスに一気に襲いかかった。
「とうりゃあ!!」
「なに、複数人になって襲いかかってきただと!?」
ギュイーン
ゼブラはネメシスごと空中へ上昇し、技を決めた。
「これぞ三大奥義の一つ、マッスルインフェルノだ――――――っ!!」
大将の意地を見せよ!!