キン肉マン~ウルフマンが王位争奪戦の助っ人にやってきました~ 作:やきたまご
『マリポーサからとんでもない事実が告げられた――――――っ!!』
会場の皆は驚くも、まずキン肉マンが口を開いた。
「家族を殺したじゃと!? 一体何があったというんだ!」
マリポーサが空中で連続ヘッドバッドをしながら解説をした。
「つまらん話だ。私が幼い頃に、一家を支えていた父が亡くなり、母は仕事で無理をして体を壊した。私は母や弟を助けるために、盗人稼業という汚れ仕事に手を出した。しかし、私が起こした事件により、町中の医者が足りない状態となり、危篤となった母は医者を呼べず苦しんで亡くなった。そして、私の盗人稼業により恨みを持った者も現れ、そいつに弟は殺された」
盗人は当然、許される行為ではない。しかし、マリポーサの貧困の事情、彼の悲劇的な人生を聞き、誰もが彼に同情してしまった。
「私が王位の座についたら、まず貧富の差をなくしたい! 誰もが空腹に苦しまず、盗人稼業に染める事もない、平等な社会を作り出したい! キン肉マンよ! お前のように坊ちゃん生活を続けたいからと闘っているわけではないのだ!!」
キン肉マンにとって、マリポーサのこの発言は図星であった。
「た、確かに私が王位の座につきたい理由は、今までのような金に困らない生活を送りたいからなのかもしれない……。この男の王になりたい信念に、私は勝てない……」
キン肉マンが弱気になってしまった。
「何を言っているんですか王子!!」
そう叫んだのはミートであった。
「あなたも、マリポーサのように貧困時代があったじゃないですか! 幼い頃に捨てられて! 金も食べ物も無い状態で! 人間にさげすまされて! でも王子はマリポーサのように悪行に手を染めずに、地球の平和のために頑張ってきたじゃないですか!!」
「ミートの言うとおりだぜキン肉マン!!」
ウルフマンもミートの意見に強く賛同した。
「お前もマリポーサも貧困を味わって育ったきたが、悪行に手を染めなかった分、お前の方が王にふさわしいってもんだぜ!!」
キン肉マンは2人の発言で元気を取り戻した。
「お前が元気を取り戻しても、リングのペンタゴンには意識がないみたいだぜ。こいつを死なせたくないなら、すぐにタオルを投げな!」
リング上で体の半分以上がリングに埋まり、火傷の酷いペンタゴンを見て、キン肉マンはすぐにタオルを投げようとした。
「待ちな!!」
ペンタゴンが意識を取り戻した。
「僕と盟友の誓いは、そんなに軽いもんじゃないぜ! 特にキン肉マン、いずれはお前を倒し、正義超人No.1の座を狙っている俺に対し、お前にタオルを投げられるなんてな……プライドが許さないんだ!!」
ズボォ
ペンタゴンは体半分以上がリングに埋まった状態で、渾身の力をこめて、右腕を出す事が出来た。そして、自身の顔面の星形のマークに手をかけた。
「クロノスチェンジ!!」
グル
ペンタゴンの顔面の星形のマークが回転し、マリポーサとペンタゴンの姿が一瞬消え、そして両者の体勢が入れ替わった。
「なにぃ!?」
マリポーサは驚いた。マリポーサ自身がリングに埋まっていたからだ。逆にペンタゴンが脱出し、空中で逆さ状態で浮いていた。
「カーカカカ! キン肉マンよ、お前が我が盟友に使った技を使わせて貰うぞ!」
ペンタゴンが右腕に力を込めながら、落下し、リングに埋まっているマリポーサに右の拳を力強くヒットさせた。
ゴガァン
「ぐおほぉ!」
「あ、あの技は! 48の殺人技の一つ、フライングパンチだ! もしや、ペンタゴンの盟友というのは!」
キン肉マンの頭に、かつて自分が闘った悪魔超人のシルエットが浮かんだ。
「マリポーサ! 僕にも君同様の夢がある。誰も虐げられない平和な世の中を築きたいという夢がある! だから君が負けられないのも分かる! そして僕も絶対負けるわけにはいかない!」
「盟友の誓いだと、私の思いに比べれば軽いもんだ! 私は自分が殺したに等しい家族への贖罪の思いを背負い闘っているのだ!!」
マリポーサがリングに埋まった状態で回転を始めた。
ぎゅるるるる
『マリポーサ! リングに埋まりながら回転を始めた! 徐々にその体がリングから抜けていくぞ!!』
それを見て、ミートがある事に気付いた。
「そうか! あれはねじ回しの原理の応用ですよ!」
「ねじ回しか、嫌な思い出が蘇るな、いや、なんでもない! 説明してくれミート」
ウルフマンはねじ回しというワードでかつて、スクリューキッドとケンダマンのコンビにやられた事を思い出した。
「マリポーサのマッスルリベンジャーは、ハンマーで釘を叩くように垂直に力を加えられていると思う方が多いと思いますが、実際は技の威力を高めるために回転の力も加えられています。つまり、さっきまでペンタゴンがねじのようにリングに埋められていたというわけです」
「そうか! ねじは螺旋の逆向きに回せば抜ける! マリポーサはそれを応用したんだな!」
ウルフマンは理解したようだが、キン肉マンはよく分からない様子を見せていた。
「ミートよ、私の代わりに解説してくれて感謝する」
すぽっ
『マリポーサ! 機転により、自身の埋まった体を引き出すのに成功しました!!』
「マリポーサよ、僕の気持ちが軽いと言ったな。軽いならこのリングには上がっていないさ。なぜなら、僕は酷い負け方を何度もしてきたが、その度に次こそはリベンジしてやると這い上がる精神で次の闘いに挑むからね!!」
ペンタゴンはかつて超人オリンピックでウォーズマンに酷い怪我を負わされて負けた事、そしてタッグトーナメントでキン肉マンのチームに負けた事を思い出していた。
「ならばお前の軽くない意思で私の炎をとめてみるがいい!」
ゴォ
『マリポーサの体が再び発火した――――――っ!!』
「お前の炎を止める手段はある!」
ガシッ!
ペンタゴンは火傷を承知でマリポーサの体をつかんだ。
じゅうううう
「ぐがああ!!」
「お前、気でもおかしくなったか!」
「これが私のモクテスマ・ディフェンス攻略法だ――――――っ!」
バサァ
『ペンタゴン!マリポーサの体を掴んで空高く飛び上がった!』
両者の体は高い上空まで来た。ペンタゴンも炎に耐えながらマリポーサを根性で掴んでいたが、限界が近かった。
「空高くから私を落としてKOを狙おうと思っていたのか? しかし、その前にお前の体力が尽きそうだな」
「いいや、これでもう十分さ」
「む!?」
しゅぼぼ
マリポーサを包む炎の勢いが弱まっていく。
「私の体の燃焼が弱まっていくだと!?」
「上空へ行けば行くほど、君の炎の発現に必要な空気は薄くなる。つまり炎は封じられたのだ!!」
「くっ!」
さて、そんな2人の闘いを遠くから見守る男がいた。完璧超人始祖の1人であるサイコマンであった。
「ニャガニャガ、あのマリポーサとかいう下等超人は許されない事をしましたね~。シルバーマンさんの考えたマッスルリベンジャーとは全く違うものじゃないですか~。それをマッスルリベンジャーだと堂々と言ってしまっては、流石に温厚な私でも、制裁を加えざるを得ない気持ちになりますね!!」
サイコマンはサンダーサーベルを両手にかまえ、上空へ放った。サンダーサーベルはやがて炎を纏い、大きな火弾となった。
一方、ペンタゴンも火傷のダメージにより、マリポーサを捕まえる力が弱くなっていた。
がきっ
マリポーサは力尽くでペンタゴンから抜け出した。
「私の炎を封じるので精一杯だったようだな!」
ゴゴゴゴゴ
「む!?」
マリポーサの背後から巨大な火弾が飛んできた。
ドガァ
「ぐわぁ――――――っ!!」
マリポーサに火弾が直撃し、大ダメージをくらった。
「こ、これは一体!?」
ペンタゴンは突然の出来事に驚いた。
「マリポーサ! 君には申し訳ないが、このチャンスを逃すわけにはいかない!!」
ペンタゴンは力なく頭から落ちるマリポーサの首をラリアットでひっかけ、自身の羽を利用しそのまま落下速度を速めた。
『あ――――――っ! マリポーサとペンタゴンがリングに戻ってきた! しかし、両者の体は火傷が酷い! 何があったんだ――――――っ!』
「これが私の全身全霊の一撃!! ナイアガラ落とし――――――っ!!」
ドゴォォォン
ペンタゴンはラリアットの状態で、マリポーサをリングに強く激突させた。
見ているか!