転生戦姫の恋事情。~転生して三千年、目覚めたら乙女ゲームが始まりました~ 作:れーと
この小説は『小説家になろう』でも連載しているものです。
感想、評価、お待ちしています。
「戦姫様!戦姫様ッ!」
遠くで私を呼ぶ声が聞こえる。
最後までその名で呼ばれるのね。
一度でいいから名前で呼ばれたかったな。
朧な思考の中で今に至るまでを思い返す。
エルガルト王国の剣―カナストル公爵家に転生して、三歳から戦場に立った。
今でも思い出せる。
初めて味わった強烈な血の香り、人を斬る手の感覚。
何回も吐いて、何回も泣いて、それでも戦場に立ってきた。
世界大戦真っ只中な世界で生きるために、ずっと剣も魔法も磨いてきた。
でも、それだけじゃ足りないって知って。
前世で大好きだったロボットをもとに、敵殲滅兵器を作り上げて―
いつからかみんなから〈戦姫〉って呼ばれるようになったんだっけ。
気が付いた時にはもう、隣にも前にも誰もいなくなっていて。
それで―………
(あ、私。死ぬのか)
もう、ろくに保てない意識で考える。
氷の戦姫って呼ばれるけど、まさか死ぬときの魔法も氷とは―
くすっ、と笑みがこぼれる。
いや氷漬けになっているのだから、ちゃんと顔に出ているのかは分からないけど。
まさか異世界に転生して十八年しか生きられない、だなんて。
生まれてから死ぬまでずっと戦場にいた気がする。
ここ、世界設定は前世でやっていた乙女ゲームの世界そのままなんだけどなぁ。
そもそも、ゲームの中じゃ世界大戦なんて起きてなかったし。
メインヒーローの王子すら生まれていないし―
折角乙女ゲームの世界に来たなら悪役令嬢でも、モブ令嬢でも何でも良い。
恋に落ちて青春したかったなぁ……
(軍姫とか、戦姫とかじゃなくて。アミスって、呼びかけて、欲しかった、な、ぁ―)
暗闇に落ちていく感覚がした。
頬に何かが伝った。
ねぇ、神様。いるのなら。
血に染まった私を、救ってくれるのなら。
もう少しだけ―
「ぃ、き…た……い」
舌がうまく回らなかったからきっと誰も聞き取れないだろう。
そもそも声になったかも分からない。
戦場でたくさんの人を殺めた戦姫にかける情も、ないだろうし。
あぁ
前世で憧れた魔法とロボット。
それを両方を、血で穢してしまったな……
殺戮兵器だの、SSS級軍魔法だの。
連発して、戦場駆けて。
ただ敵を滅していって。
得たかったものって何だろう。
あぁ、分かんないなぁ。
分からない―――
「主ノ生命危機ヲ確認。回避シマス」
でも、意識を手放す直前に聞こえた機械音この声は
何を得たのかも分からぬまま
まるで、神様の存在だけを肯定するかのように
私の願いを聞き届けた―――
To be continued………