転生戦姫の恋事情。~転生して三千年、目覚めたら乙女ゲームが始まりました~   作:れーと

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少女の主(1)

「よく来たな。体調はどうだ?」

 

厳つい顔で話しかけてくるこのおじさんはこの家、ファルファード公爵家の現当主―レイフォンドさん。

相手が相手なので私も水色のドレスを着せられている。

一応病み上がり、ということでコルセットの地獄からは免れたけどね。

 

「はい、大分よくなりました。ご心配ありがとうございます」

 

美味しいご飯も食べられたし。

一応この世界についても少しは分かってきたところだ。

三千年で人類は色々変えすぎた!とも思うけど。

 

「して、アミスといったか?お主は何者じゃ」

 

!?いきなりドストレートな質問来たよ!

え、もっと遠回しに聞いたりしない?

この人天然か何かなの?それとも私なめられているの?

 

「分かりません」

 

エルガスト王国が剣、カルディア公爵家の長女アミスです。

何て言ったら、絶対不審者扱いじゃん!

そもそもエルガスト王国ってどこよ!って話になるし。

 

あ、じゃあ。

前世持ちの転生者〈氷の戦姫〉アミスでーす★

って言ってもいいですか?

あ、駄目ですか。そうですか。

 

「ほぉう?自身のことを知らぬと申すのか?」

「はい。残念ながら私は名前以外覚えておりません。なぜここにいるのか、ここはどこなのか。私はどこにいたのか。すべて覚えていないのです」

 

一つ確かなのは、何かがあって私がこの家に運ばれてきたってことぐらい。

 

「なるほど。わかった。その様子だと親についても覚えていないのであろう?」

「申し訳ございません」

 

母親は生まれてすぐに死んで、父親は私を少佐に任命して戦場に送り込みましたよ。兄もいたけど私が先に少佐になった嫉妬で相当恨まれていました。

まぁ、お陰様で何故か今ここで生きていますがね!?

 

「…ではアミス。貴殿にはここで働いてもらおうと思う」

 

…え、マジか。話の展開が少し早すぎるんですが。

もしかして私が知らないうちに話が進んでいた―?

 

というか、てっきりどっかに送り込まれるか、少量のお金を渡されて野放しかと思っていたわ。

 

「働く、と申しますと?」

「うむ。貴殿はまだ幼い。一人ででは生きていけぬだろう?メイド辺りが妥当だと思うが…何か希望はあるか?」

 

希望…?

屋敷の役職としては料理人や庭師とかもあるんだよね。

でもずっと戦場にいたからそういうのやったことないしなぁ……

出来ること―強いて言うなら……

 

「では、護衛で」

 

戦うことしかできん。

 

「は?お主は戦える、と申すのか?」

「はい、恐らく戦えるかと」

 

少しだけど体にも慣れてきたし、千人くらいまでなら余裕かな。

魔力も回復してきていて、最上級魔法は無理だけど上級魔法なら連発可能―ってところ。

うん。若いっていいね!(?)

 

「―では一本、お願いできるかな?」

 

…力試しってことだよね?

つまりは護衛に成るに足りる才を持っているかの確認、か。

 

「貴方様と…ですか?」

「そうだ。なにか問題はあるか?」

「特にございません」

「では訓練場に移動だ。ついてこい」

 

 

***********

 

 

何故だ。

何故同じ公爵家なのにここまで違う!!

私も公爵家の生まれだけど、こんな整備された訓練場なかったよ?

さっき通り過ぎてきたバラ園や温室も綺麗だし、でかいし……

この試験に合格出来たらここで働けるんだよね?

なんかすごいやる気出てきたかも。

 

「いつでも良いぞ?」

 

そう言って大剣を構えるレイフォンドさん。

戦場慣れしているのか構え自体は悪くない。

でも質より量って粗さを感じる。

 

そういう私の手には双剣。

レイピアじゃないどころか、小さい子が剣を二本も持つことに驚かれたけど…まぁいいじゃん。

理由は簡単、剣一本で攻撃するより二本で攻撃した方がなんか強そうじゃない…?

私は質も量も確実に狙いますからねッ!

 

「では、失礼します」

 

一応雇い主になるかもだし、断りを入れてから駆け出す。

私とレイフォンドさんの距離は大体十メートル。

距離を半分まで縮めてから姿と気配を消す。

 

「―!?」

 

まさか私が魔法を使えるとは思っていなかったのか、目を見張る主人(仮)。

ふっふっふ~、戦場ではその一瞬が命取りなのです。

 

「―ここかっ!」

 

背後から剣を振るうが抑えられる。

気配は消していたから超直感の天啓でも持っているのかな。

 

おじさんと外見七歳の少女じゃ鍔迫り合いになったとき負けるに決まっている。

まぁ、光系魔法を使うなりやり方はあるんだけど―

 

今日はもう

勝負はついているよ。

 

「ふっ―――」

「なっ!?」

 

鍔迫り合いをしている反対側から首筋に剣を当てる私。

レイフォンドさんは幽霊でも見たかのように目を大きく見開いている。

 

「勝負あり、です」

 

剣を下ろして微笑めば、彼も苦笑した。

 

「あれは土魔法か」

「はい、私の分身人形です。気配を消して、すぐに作ったんですよ」

 

もう一度分身人形を作り上げて、種を明かす。

レイフォンドさんは呆れたような苦笑をして、どこか嬉しそうに口を開いた。

 

「無詠唱か……うむ。お主を雇おうではないか」

「えっ!やったー、ありがとうございます!」

 

分身人形とハイタッチする私。

これで衣食住の心配はいらなくなったぞー!

 

「ではアミス。お主の主人を紹介しよう」

「…………へ?」

 

私の主人って、レイフォンドさんじゃないのぉぉぉおおおお!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued・・・・・

 

 

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