(つまりはいつものこと)
『マスター、大丈夫ですか?』
『エンプレス助かったよ・・・久しぶり』
『はい、久しぶりですねマスター』
緑谷出久 14才
今時珍しい‘無個性’の少年
現在は、光輝く大鎌を持ち宙を浮いていた
『相変わらず、無茶がすぎますよ』
『ゴメン』
かっちゃんに投げ捨てられ
運悪く木に引っかかってしまった僕のノート
木に登って取った瞬間
足を滑らせ、地面に真っ逆さま
走馬燈が巡る
思い出した、あの悲しくも楽しかった日々を
そして、聞こえた
彼女達の声が
(まだ、死ねるかッ)
使い慣れた、彼女の名前を呼ぶ
「エンプレス、来てくれ!」
『今行きます、マスター!』
そして今に至る
『みんな僕の魂に溶け合っている、と』
『その代わり、今までマスターの手に入れたソウルはなくなってしまいました・・・』
『気にしないで、みんなとこうやって会えて嬉しいから』
収納と顕現を繰り返しながら、マビノギオンと念話をする
ある程度試し、気合を入れ直す
『魔核機関接続・・・アンロック!』
目の前に浮かぶようにして、存在するマビノギオン
成功はしたが・・・
『体のせいか、キミ一人のアンロックで限界か・・・』
前世と比べ物にならないくらい落ちた魔力
『当分は、キミたちの出番はお預けかな』
一部のS・SSランクからブーイングが上がるがなんとか宥める
ロックして、マビノギオンを収納する
(何が何でもヒーローにならなきゃ、彼女たちと生きてくために)
腹は決まった
もう迷ったりはしない
帰り道の途中で、ヴィランに出会った
さっきまでの何も覚えてない僕だったらなすすべもなかっただろう
「顕現・氷霜の書」
『配置完了、いけますご主人様』
でも、さっきまでの僕じゃない
「凍らせろ」
『わかりました』
僕を取り込もうとした彼は氷漬けになった
それを電話で通報したのち
その場から立ち去った
家に帰り、魔力トレーニングを始めた
幸い魔法のスペシャリストや薬のスペシャリストも魔剣にはいる
今すぐでなくてもいい
彼女たちを少しでも多く、アンロックしたままでいられるように鍛える
あの頃と同じように
(リディはいないけどな)
結果的にその日はなんのことはないただの日になったはずだ
だけど、明確に変わったことがあるとすれば
目指したい理想が、変わっただけだ
ヒーローから魔剣使いに、ただそれだけだ。
これから始まるのは受け継ぎヒーローになる物語ではない
思い出した少年と魔剣少女達がともに歩むただのラブコメだ
エンプレスは、最初のSS交換で選んだ
マビノギは言わずもがな