長期休暇よりも短い時の間でしか創作意欲が湧かないのはなんででしょうね。
あらすじ
レックスと呼ばれる推定NPCの裏には監視しているプレイヤーがいるはずだと思ったモモンガ様。
逆にハメてやろうと準備万端で一歩を踏み出した。
私が法国の至宝を触媒に召喚した
圧倒的な力を見せつけられ、無為に至宝を失った私は、しかし、歓喜に打ち震えていた。
スルシャーナ。死の神として崇められていた彼の力はあらゆる者の抵抗を許さず、その姿は白磁の骸骨であったとされる。その力と姿を見た。
なぜ、今。決まっている。帰還なされたのだ。
なぜ、私の前に。決まっている。我らの祈りが通じたのだ。
なぜ、天使を始末したのか。決まっている。神の御技の前には児戯も同然だからだ。
かのお方は静寂の中、布擦れの音を響かせながらつかつかと早足に我らの間に割り入る。
喧嘩はやめよ、と。そういうことか。我らの隊員は、かのお方の行動の意味は分からずとも、その姿を知らぬ者はいないのだろう、自然と武器を下ろし、平伏していた。それでいい。
「この辺りか」
ぽつりと言葉を漏らされ、一歩を踏み出した。すると、空がまるでガラス細工のようにひび割れる。
何か粗相をしたのか、と思えば、かのお方は東の空に手を挙げる。
その先には、光。光の柱。山の怒りにも似たそれが煌々と輝く。そして遅れてやってくる地響き。
あの規模だ、あらゆるものが死に絶えたのだろう、その魂があの白と黒のガントレットに集まってくる。
怒りだ。間違いなくこのお方は怒られてる。理由を考えるより先に、ただただ伏して許しを請う。
「なんだおまえは!」
「待て!その御方をこれ以上怒らせるな!」
バカが、力の差がわからないのか!?いや、頭を上げることはできない。我々だけでも許してもらわねば。
「たった今、お前たちを見守る者たちは、死んだ。ふふ、『強欲と無欲』に経験値が貯まるのを感じるぞ・・・多すぎないか?」
「ずいぶんと派手なやつやな。ワイらになんかようか?」
「邪魔者を排除しに来た。まあお前たちに用はない、どこにでも好きに行くといい。おっと、そこのひれ伏している奴らは別だ。連れて行け」
「承知いたしました」
おお、もしや私たちは神々の住まう地に招待されようというのか。人々を守るため、あらゆる試練を乗り越え、辛酸を舐めた、その甲斐があった。祈り続けて良かった・・・
『この中に入れ』
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「待ってよ!急に現れて助けてくれたのはいいけどさ、あんたたちが誰だかわからないまま別れるのも目覚めが悪いんだ。せめて名前だけでも教えてくれない?」
「至高の御方に何たる口の聞き様をっ!身の程をわきまえなさい!」
「まあ待て、そういきり立つな。奴らは違うギルドに所属しているのだからな」
前に出るアルベドを手で制しつつ、大仰に前に出てローブをはためかせる。悪役ロールでの撮影会で散々練習した動きだ、体が覚えている。
「我々はギルド、アインズ・ウール・ゴウン。ユグドラシル最悪のギルドと言った方がわかりやすいかな?」
かつてはプレイヤー1500人を41人で退けたギルドだ。この異世界に訪れる前の会話をNPCが覚えているというのなら、その話題を一度となく聞いていたことだろう、結成されてからある程度時間が経ったギルドに所属しているなら知っているはずだ。たとえ新参者だとしても、NPCであればかつて世界が『ユグドラシル』であったことを知っている。
「ギルド、アインズ・ウール・ゴウン?サルベージャーギルドなら知ってるんだけど、それって何かの職業?」
「ユグドラシルってどこかの地名?メレフ、聞いたことある?」
え?
「どこかで知った覚えがあるような・・・そうだ、世界樹だ。1000年前に作られたと推定される遺跡の中で、あの世界樹のことを『ユグドラシル』と記述していたらしい」
「じーちゃんよりもすーっごい長生きしてるノポン族がたまに『ゆぐどらしる』って言ってたも。方言だと思ってたけど、そういうことかも」
えっ?
「はぁ?あんたたち誰に作られたのさ?創造主の名前も思い出せないわけ?」
「ヒカリちゃん、創造主ってお父様のことを話せばいいんでしょうか」
「私たちはそれでいいと思うけど、あの黒いのが言ってるのはたぶん何か前提が違うと思うわ」
「ホムラ様のような特別なブレイドはともかく、私たちはどこかの
「ウチらブレイドはそんなんだし、王子たちドライバーはふつーにお父さんお母さんから生まれたじゃあいかんのか?」
ええ?
「お、お前たちの創造主たるプレイヤーはどこにいるって言うんだ?」
「プレイヤーがなんだかわかりませんがこの世界に
「なるほど、カグツチはいい考えをするな。どうですメレフ様、この方と一緒に帰還方法を探すというのは」
「ワダツミの言うことにも一理あるな。えぇと、アインズ・ウール・ゴウン殿、でいいのか?その力に感銘を受けました。そこで折り入って頼みがあります。どうか我々の帰還にご協力いただけないだろうか」
「ちょっと待て!こちらにも心の準備というものがあるから!」
どうしてこうなった!
「お前たち、ちょっと集まれ」
とりあえず会議だ。
「モモンガ様、なにか問題があったのでしょうか?」
「ああいや、あいつらを監視していたのはあいつらの創造主だと説明したが、そうではなかったらしい。だから計画の変更を伝えなければと思ったのだが」
「さすがはモモンガ様でありんす!何から何まで想定内であったとは」
何から何まで想定外だよ!こんなときの計画なんて一切ないわ!本当は監視プレイヤーを先制攻撃で爆撃してから一気に攻勢に出て落とそうと思ったらもう爆撃だけで全滅してるし、うちの守護者たちの傾向から創造主が消えたら暴れまわると思ってたけどそんなことないし。
あげくの果てに創造主が誰だかわからない上に、この世界に転移させた存在がいるだって!?むしろ俺のほうが話を聞きたいぐらいだ!そうすればもしかしてここにいないギルドメンバーも連れてこれるかも・・・
「・・・どうかなされたんでしょうか、モモンガ様?頭を抱えて」
「これは・・・(まさか、我々の想像力がモモンガ様の想定するレベルのはるか下を行っているから失望されているのでは!)まずい、アルベド!」
「ええ、デミウルゴス!わかっているわ。いま考えてる」
・・・沈静化した。いかんいかん、今のことを考えよう。まず、爆撃した相手は誰だ?弱小プレイヤーギルドだとしてもあっけなさすぎる。たとえ超位魔法だとしてもレベル90あれば一撃でHP全損とはいかないはず。それに奴らは何者だ?NPCじゃなければ、もしや奴ら自身がプレイヤー?いやいや、転移したばっかりでまだ混乱しているだろう中で、あんなにキーワードを散りばめられた会話してもすっとぼけてロールプレイ続けるか普通?それに根っからのロールプレイだとして、どうやって説明すればいいんだ?中に人間が入っているってか?
あっ、ちょっと考え込みすぎた。何か、何かしゃべらないと、守護者たちに何も考えてなかったんだろうって失望される。
「・・・! なるほど、そういうことでしたか。さすがはモモンガ様、全てにおいて抜かりない、まさに端倪すべからざるお方」
「わかったのね、デミウルゴス!」
あっ、頭を上げたらデミウルゴスに先を越された。しかもなんかすげー脂汗かいてるし、すごい深いところまで読み切ってそう。相変わらず『たんげいすべからざる』ってどういう意味だかわかんないけど。
「モモンガ様、どうか私にその計画の一部を話させてもらえますでしょうか」
「うむ、いいだろう、話してみよ」
「まず、我々は彼らを囮に使われたNPCだと考え、それを監視するプレイヤーがいると想定しました。そして、たしかに彼らは監視されていました。プレイヤーではない第三者に」
「ほぅ・・・」
「どういうことでありんすか、デミウルゴス?」
「監視対策魔法に引っかかったのは、陽光聖典を監視する者たち。そして彼らの後ろにプレイヤーはいなかったんです。そうですよね、アルベド」
「ええ、いま尋問官から確認が取れたわ。モモンガ様が爆撃された場所はスレイン法国と呼ばれる国で、陽光聖典の住処だそうよ」
「そうか」
やけにあっけないと思ったら、まったく関係ない現地の国を攻撃していたということか。『強欲と無欲』で吸い取った経験値が多すぎたのは、それだけ多くの住民がいた、ということか。
・・・大量虐殺をしたというのに、まったく心が傷まない。まあ、今はその違和感をさらけ出す時ではない。おとなしく話を聞くことにしよう。
「デミウルゴス、アルベド。何もかもわかったような口をきくけど、それってあいつらの後ろにプレイヤーが居るっていうモモンガ様の判断が間違っていたって言ってんの?」
「そうではないわ、アウラ。それは推測であって、可能性の一つにすぎない。そしてその可能性が間違っていたとしても問題ない手を打っていたのよ」
いや、問題あるだろ!
「私の部下の悪魔たちが現地の様子を確認しました。大多数の住民は余波で死んでいる様子ですが、宝物殿と思われる一部の建造物が残っています。また、中にいた守護者が外に出て暴れまわっています。動きからして強さは我々と同等と思われるという報告も上がっています」
「へぇ、つまりどっちにもプレイヤーがいる可能性があって、攻撃するのはどっちでもよかったってことか!モモンガ様の予測はすごいなあ」
「まぁ、それは運が良かっただけだ」
問題なかった!
「そして無関係であった彼らにその力の一端を見せることによって、人間種でありながら適度に強い駒を用意することができた。これも全てモモンガ様だからこそ、つかめた可能性の一つなのよ」
「ナントスバラシイ、流石モモンガ様」
「まあ彼らの心をつかめたのも彼らが欲する力があっただけのこと。ならば次の手は?」
「宝物殿から出てきた敵を制圧し、財宝と情報を奪うことで、戦力の増強を図ります。編成した軍をそのまま利用することにします」
「いいだろう。さて、彼らを長らく待たせてしまったな」
便利な駒として扱うなら、悪印象は持たれないように、次のビジネスチャンスにつながる別れの挨拶にしないとな。
「すまない、急用ができた。できる限りのことはする。次に会う時があれば君たちの世界についても知りたいものだ」
「わかった!オレたちはしばらく村にいると思うから、その時はよろしくね!」
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その後転移した私たちはスレイン法国の宝物殿を守っていた『絶死絶命』と交戦した。レベルが高くとも経験が足りないらしく、守護者たちのパーティだけでも十分に無傷で勝利することができただろう。
「それでデミウルゴス、彼らの言っていたことについてどう考える?」
彼らとははもちろんレックスと呼ばれていた者たちのことだ。ギルドどころかユグドラシルのことを知らなかったり、元の世界に帰りたいと言ったり、いろいろ突飛なことを言っていた。
「はい、彼らは自身が作られるときに創造主によって『誰に作られたかわからない』ように細工をされたのでしょう。ユグドラシルについて知らないと言うのも創造主が『そうあれかし』としたのでしょう。ナザリックの掃除をしているエクレアが『ナザリックに反旗をひるがえす存在』として作られたのも何か意図があるのでしょう、それと同じように彼らを創った者にも意図があるのだと思います。そしてこの世界に転移してしまい、帰りたいと言うのは、創造主と一緒に転移できなかったから出てきた言葉だと思われます」
「・・・なるほど、お前たちはそう思ったか。参考になった」
かつてユグドラシルであった世界。そしてユグドラシルの魔法やモンスターで構成されたこの世界。それらの世界しか知らないNPCにとっては『ユグドラシルで再現できること』の範疇でしか考えることができないのだろう。
そりゃそうだ。誰だって『起こり得ること』で全てを説明できるとしたら、『起こり得ないこと』が起こったなんて考えるはずがない。
だが俺は思う。ただなんとなく思う。俺自身がプレイヤー、この世界の外からやってきた来訪者だからだろうか。
彼らこそが
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