そしかい後 2   作:とましの

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第7話

サイレンの鳴り響く博物館の屋上でヘリコプターが待機状態を続けていた。そんな屋上へ複数の男が現れ周囲を警戒しながらヘリコプターへ近づこうとする。

 

そんな男たちの前にどこからかカードが飛んでくる。地面に突き刺さるカードによって行く手を阻まれた男たちは驚きの顔で周囲を見やる。

 

そして月を背にして立つ奇術師を見つけた。

 

「今宵月明かりの下で起きるミラクルは……」

 

貯水槽の上に立った怪盗キッドはパフォーマンスのようにシルクハットを取って頭を下げた。

 

「人身売買組織の壊滅」

 

 

「「貴様!」」

 

怪盗キッドの言葉にいきり立った男たちが銃を取り出す。だがその前にキッドの手にあるトランプ銃からいくつものトランプが発射された。

地面に接触したトランプは間もなく爆発して大量のスモークを発生させる。

 

 

だが屋上に流れる風がすぐにスモークを流しかき消してしまう。意味のないその行動に男たちは笑いながら改めて銃口を向けた。

だが男たちの視線の先に怪盗キッドの姿はない。

 

焦りとともに周囲へ目を向けた男たちはそこで自分たちが複数の銃に囲まれていることに気づく。

 

「銃を下ろして地面に両手両足をつけ!」

 

銃を手にした集団から日本語と英語両方で同じ言葉飛び交う。そうして男たちが制圧される中、怪盗キッドは騒ぎの外でひとり少年を抱えていた。

 

「……ここまで手を貸してやったんだ、俺の情報は消しといてくれよ」

 

怪盗キッドはそう告げながら近づく捜査官に少年を差し出す。

意識のない少年を渡された捜査官は鋭かった目をわずかに緩めて少年を眺めた。

 

「なぁ、聞いてるか? 捜査官さんよ 」

 

改めて問いかけた怪盗キッドには目を向けず、捜査官は少年を大切そうに抱えながら口を開いた。

 

「ああ……君の個人情報はすぐに消去しておく。ありがとう」

 

最初に連絡してきた時の強い態度を手放した捜査官の姿に怪盗キッドは笑みとともに肩をすくめる。

 

「では…これにて終幕とさせていただきます」

 

そう告げた怪盗キッドはシルクハットを軽く持ち上げ会釈を見せる。あげく駆け出すけ出すとそのままの勢いで博物館の屋上から飛び降りた。

驚く捜査員たちの視線の先で怪盗キッドは白いハンググライダーを背にして飛んでいく。

 

 

 

男たちが連行される中、金髪の女性捜査員が少年を抱えた捜査官のそばで足を止める。

「ワタシは日本の警察と話をつけてくるから、シュウはその子を保護者のもとへ帰してちょうだいね」

「保護者がいない場合は?」

女性捜査員の指示に捜査官は少年を眺めたまま問いかける。すると女性捜査員は日本警察へ保護してもらわないとねと肩をすくめる。

だがそこへ高校生探偵ふたりが駆け込んできたため女性の視線が移された。

 

女性捜査員が高校生ふたりの元へ向かうのを尻目に捜査官は意識のない少年の頬に触れる。

 

傷の有無を確認しようとした捜査官だったが、ふと眉を浮かせ改めて頬に触れる。

そして想像以上の柔らかさに眉尻を下げた。

 

「いまジョディ先生から、小児愛者で児童誘拐犯で人身売買組織を検挙したって聞いたんだけど」

 

そこへやってきた新一から冷たい視線が向けられる。

 

「赤井さんも逮捕とかやめてくれよ」

「傷がないか確認していただけだよ。それに彼は子供ではないだろう」

「なら問題ないよな」

 

 

そう言いながら新一は捜査官へ両手を差し出す。捜査官がそれを見つめていると新一がにっこりと微笑んだ。

 

「赤井さんは仕事中だろ? 安室さん連れて帰るから」

「…………」

「お巡りさん呼んでいい?」

 

新一の新たな一言で捜査官は真顔のままだが渋々と少年を手渡す。

 

「後で君の家へ様子を見に行っても?」

「今回の事件の真相を聞かせてくれるんなら」

「君にはかなわないな」

「じゃ、交渉成立ってことで」

 

少年を受け取った新一は待っていてくれた服部とともに屋上を去っていく。

 

高校生二人組を見送った捜査官は煙草を取り出し火をつけると煙とともにため息を吐き出した。

「柔らかかったな…」

 

 

 

 

 

 

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