終わらせる者   作:MUL

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本命の息抜きにコツコツ書いてたヤツです。
全体の構想ははっきりしませんが書きたいところだけなんとなく。
以下、経緯です。

『終わらせる者』で敵と相打ち

爆発のショックと不思議なパワーによりオラリオへ

血みどろで路地裏に倒れてたところをティオナが発見

丁度近場にあった豊饒の女主人へ担ぎ込まれる

酷い怪我と名前以外の記憶を失い療養を余儀なくされる悠

ティオナ、その後も気になり足繁く通う。たまたま居たレフィーヤも巻き込まれる

なんだかんだで仲良くなる

体もよくなってきたので怪物祭へ引っ張り出されて原作イベント発生←イマココ


オマケ~DUNGEON×AMAZON”S” 第X話~

何かができると思ったわけではない。

レフィーヤが。

あの優しい少女の身が危ないと思った時、体は勝手に動き出していた。

その顔に恐怖を浮かべた少女の体を突き飛ばし、怪物の触手の前に体をさらけ出す。

突き飛ばしたその一瞬、レフィーヤと視線が交差する。彼女の目は、何故こんなことをという疑問にあふれていた。

そんな彼女を安心させるように微笑み、そしてその瞬間、無謀の対価は支払われた。

 

怪物の触手がいとも簡単に悠を吹き飛ばす。人形のように飛ばされた悠の体は、そのまま避難のため人の居なくなった小さな屋台へと叩き込まれた。

木製でできた屋台の破片が散乱し、土埃が舞う中を悠の体が転がっていく。

あまりの衝撃に息が詰まる。咳込んだ口からは赤い液体がこぼれていた。

体中の感覚が異常をきたし、痛いのかどうかさえもよくわからない。

 

「ハルカ!!」

「ハルカさん!?」

 

無慈悲に弾き飛ばされた悠の姿に、ティオナとレフィーヤが悲鳴を上げた。

特に、レフィーヤの顔面は蒼白だ。

普通の人間よりもはるかに頑丈な冒険者ですら無事では済まない攻撃を、“恩恵”も受けていない一般人がまともに受けたのだ。しかも、己を庇って。

生存は絶望的。

レフィーヤの脳裏に、悠の儚げな微笑みが浮かんでは消えていった。

今すぐにでも駆け寄って確かめたいが、目の前の怪物がそれを許さない。

 

「こンのぉぉぉぉおおおお!」

 

激高したティオナが、我武者羅に怪物へととびかかる。が、しかし感情に任せたその突撃ではやはり奴には届かない。

もどかしさと怒りと焦り、そして恐怖。色んな感情が二人の中に渦巻いていく。

今はただ、無駄だとしても彼の無事を祈る事しかできなかった。

 

 

 

 

伸ばした手が、何かを掴んだ。

霞む悠の目に映ったそれは、記憶を失った自分が唯一持っていた奇妙な道具だった。

ベルト状のその道具は、数日前に一度手に取った以降、一度も手を触れていない。

何かを思い出すかもしれないと手にとっては見たものの、それに触れた瞬間、強烈なイメージと共に脳を焼くような頭痛に襲われたからだ。

脳裏に浮かんだ“何か”への恐怖と、頭が内側から破裂しそうな激痛で胃の内容物をぶちまけた悠は、以来それを視界に入れることすら拒絶していた。

それでも過去へとつながる唯一の手がかりを捨てることはできず、結局はこうして今日もコレが入った鞄を肌身離さず身に着けていたのだ。

 

ソレが今、再び悠の手の中にある。

先ほどの衝撃で、痛覚すらあやふやだったにもかかわらず、頭はやはり焼けるような痛みを訴え始めていた。

その痛みと共に再び浮かんできたイメージに今すぐにでも気を失いそうになる。

しかし、この状況を打開するにはこれに頼るしかない。

そんな奇妙な確信が、今の悠にはあった。

 

奥歯が砕けそうになるほど歯を食いしばりながら、ようやく痛みを訴え始めた体を引き起こす。震える手は、しかししっかりとベルトを握りしめていた。

そして、勢いよく腰へと巻き付け―――

 

―――その瞬間、膝から崩れ落ちた。

先ほど離れたはずの地面が、今は再びすぐ目の前にある。

一体何が起きたのか一瞬わからなかったが、何故そうなったのかはすぐにわかった。

エネルギーが、足りないのだ。

 

早く。早く。早くしなければ。何か―――

満足に動かぬ体、血走った眼であたりを見回す。

今こうしている間にも、こんな自分に優しくしてくれたあの少女たちが傷つけられてしまう。

その時、悠の鼻が微かな匂いを感じ取った。

視線を向けるとそこにあるのは、地面に散らばった小さな塊。

それは、砂にまみれた肉だった。悠が突っ込んだこの場所は、どうやらそういうものを売っている屋台だったらしい。

心の中で顔も知らぬ店主に謝罪しながら、地面ごと鷲掴みにしたそれを、口の中へと捩じり込む。

ジャリ、と砂をかむ感触は確かに不快感を伴ったが、今はそんなことはどうでもいい。

大した量ではないが、確かに体は活力を取り戻し、悠は今度こそしっかりと両足を踏みしめて大地に立った。

何かに導かれるように、ベルトのグリップに手をかけた瞬間、頭痛が再び大きくなる。

しかし、それと同時に体の奥からとてつもない感情の奔流が突き上げてくるのも感じていた。今までの自分では想像できないような強い感覚に、悠の体が恐怖に震える。

しかし悠はあえてそれを抑えようとはせず、腹の底から解き放った。

 

「ぅぅぅううううおおおおおおおおおおおおおおおおおおおオオ―――――――!!」

 

己の喉から吐き出される咆哮を、どこか他人事のように聞きながら、悠の意識は己の内側へと埋没していった。

朧気だったイメージが、徐々に色濃くなっていく。

それと同時に、頭の内側からどこか聞き覚えのある声が響いてくるのを感じる。

恐ろしくも懐かしいその声が、静かに悠へ呼びかける。

 

―――――ハ、――ダ――

暗闇の底から、声が聞こえる。

わからない。でも今はただ、あの子たちを助けたい。

 

――――エハ、―レダ――

鎖が千切れて、声が聞こえる。

わからない。でも今はただ、あの子たちを傷つけたあいつが許せない。

 

―――マエハ、ダレダ――

檻が弾けて、声が聞こえる。

わからない。でも今はただ、目の前のあいつを引き裂きたい。

 

――オマエハ、ダレダ――

異形が近づき、声が聞こえる。

 

ああ、そうか。

やっとわかった。

ずっと、聞こえていた。ずっと、感じていた。ずっと、気づいていた。

こいつは。

ずっと僕の中にいた、この化物は―――

 

―――お前は、『僕/オレ』だ。

 

「――――オオオオオオオオオオオオオオ!!!『アマゾン』ッッ!!!!!」

 

『O-ME-GA』

 

熱風が、吹き荒れた。

 

『EVO-E-EVOLUTION!!』

 

悠の体が、変わっていく。

湧き上がる力と共に、思考が赤く染まる。

先ほどまで何を考えていたかさえ曖昧で、衝動と興奮だけが悠の体を動かそうとしていた。

視界にあるのはあの怪物。それ以外には何も映っていない。

 

「ハァ―――ア、アァ・・・。」

 

熱を放つ体が、周囲の空気をゆがめている。

異形の仮面の口部が開き、熱い吐息を吐き出した。

 

 

 

 

「何・・・アレ・・・?」

「ハルカ・・・さん・・・?」

 

この場にいる誰もが少しも動き出せずにいた。

目の前で起きたことを、うまく頭が処理できない。

悠の飛ばされた方向から人の動く気配を感じた時、二人の心には純粋な喜びと希望があった。しかし、それと同時に聞こえてきた咆哮に、二人の思考は一瞬で硬直した。

その声は、確かに彼の声だった。

でも、よく知る彼の雰囲気と、この獣の様な咆哮がどうしてもかみ合わなかった。

そして、彼を覆う砂煙が完全に晴れた時、突然それは始まり、悠はヒトではなくなった。

 

全身を覆いつくすのは、しなやかながらも硬質なエメラルドグリーンの表皮。

オレンジ色の胸部は、その強靭な筋肉で内側から盛り上がっている。

太陽の光を反射して鈍く輝くのは、肥大化した爪と前腕部と脹脛に生えた鋭利なヒレ。

そして何より目を引く、真赤な複眼を備えたヒトのモノではない頭部。

 

それは、人の手が生み出した禁忌の生物。

それは、人を越え、人を喰らうヒトガタの化物。

それは、ソレすらも超越した第三の可能性。

 

アマゾンオメガ。

―――それは、解き放たれた本能。

 

 




ちょっとした設定のメモ

・スキル

【生存本能】
ダメージによって、耐久と力が向上

【弱肉強食】
神によるステイタスの更新を受け付けない。
自身が倒した魔物の魔石を取り込むことのみによって自動更新


アマゾンズドライバーについて
アマゾン細胞由来の生体パーツが使われており、身に着けていれば基本的には自己修復する。
明らかにサポートが受けられない状況で仁さんや悠がこれを使い続けられたのはそれのおかげ。

変身でレベルに補正だったり、魔法でニュー化したりとかざっくりとそんな妄想です。
煮詰まってない事この上ないのでもし正式に連載することになればこの話もたぶん修正されます。
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