緑谷出久と麗日お茶子のチームが爆豪と飯田のチームに勝利して、次はどこのチームが戦闘訓練を行うのかとクラスがざわめく中、オールマイトからクラス全員に声がかかる。
「やる気十分だな、少年少女達!だが、ここで人数の関係上仕方ないがために特別ルールにする!!」
「「「「特別ルール?」」」」
クラス全員が首を傾げて、まるで分からないと言った反応をするがオールマイトはその全員の疑問に答えるべく話を続ける。
「そうだ!早速説明するとだね。」
「クラスの中で一番最初に引いたくじでアルファベット表記の周りが赤くペイントされているものがいたはずだ。」
「俺のことか?」
オールマイトの説明にあった赤くペイントされたくじを周りに見せる轟。
「そうだそのくじだ!轟少年!!」
「そして、そのくじを引いた君には一人で訓練に挑んでもらう!」
「一人でなの?」
「それは非常に不利だと思います!先生!!」
蛙吸梅雨こと梅雨ちゃんと、多分てか絶対クラスで一番の真面目君こと飯田天哉がオールマイトに控えめの抗議を送る。
その抗議の声にオールマイトは心配ないとハーハッハッと笑いながら言う。
「大丈夫だ、少年少女達。」
「そのための特別ルールなのだ!簡単に言わせてもらうと、轟少年ことヒーローは最初から核のある場所を知っているという設定だ!」
飯田がそれに答えるように言う。
「最初から核の場所を知っているんですか!それなら確かに余計な時間もかけずにその分見つからずに核の場所まで最短距離で行くことができる。」
「さらに、これまで仲間同志で連携が出来るように通信機をヒーローチーム、ヴィランチームの両方に与えていたが、今回轟少年の相手をするヴィランチームには通信機を与えない。」
「確かにこれなら、轟君も不利じゃないしそれどころか一部有利なところもある。」
「その通りだ飯田少年。ヒーローは自分一人という状況下でどうやって動けば自分が有利な状況に持ち込めるかがミソだ。そしてヴィランは上手く作戦を立てていかにして不利な状況から自分たちの有利な状況に持っていき立ち回っていくかがポイントになる。」
「そして、繰り返し言うが他のみんなも自分ならどうするか考えながら見るんだぞ。」
オールマイトはそう締めくくる。
なるほど、最初二人一組という最初の説明からみんなを含め私も気になっていたがこういうことになったか。
私だ吉良吉影だ。
あの1番目の戦いの後に麗日は軽傷で済んだが、緑谷は重症で保健室へと入学以来二度目の搬送で運ばれていった。
そんな緑谷達ヒーローチームに比べて、ヴィランチームを演じていた爆豪と飯田は無傷で済んでいる。
こんな無茶な戦いで勝利を勝ち取ることは後にも先にも二度とないだろう。
緑谷もこれ以上の負傷は望んでないだろうが、個性の関係上暫くは無理そうだな。
あっ言い忘れていたが、私は体を透明に出来る個性を持つ葉隠と同じチームだ、隣で手袋が浮いているからそれが証拠だ。
おっと、そんなことを言っている間にもオールマイトの説明も佳境に入っているらしい。
「そして、ヒーローチームの轟少年に対抗するヴィランチームはこの二人だ!」
「吉良少年と葉隠少女!」
おっと、早くも私の出番が回って来たようだ。
隣の葉隠を見ると、一緒に頑張ろうね、と顔は分からないが身振り手振りで私に一生懸命私にアピールしている。
羨ましいな、楽しそうで。
相手はあの個性の戦闘力が未知数かつ推薦入学の轟だぞ。
いっときも油断などできはしないのだ。
そんなわけで私と葉隠は最初のビルが半壊して使えなくなったため、二つ目のビルに移動した。
そして、私と葉隠はヒーローチームの目的である核のある部屋から一階ほど下がった部屋でお互いの個性を改めて紹介していた。
もちろん、今は誰にもキラークイーンの能力を明かすわけにはいかないのでそこは秘密にしている。
「吉良君のスーツ。普通のお洒落なスーツっぽいけど、何か隠されたものでもあるの?」
「勿論だ葉隠、何も心配しなくていい。」
私のヒーロースーツというか原作の吉良のスーツを模したものには防弾装備や物理攻撃を受けた時の衝撃吸収や刃物などの対策の為に切れにくいものを使用した一品で、まだまだ拡張性を残したものとなっている。
そして秘密兵器も二つほど用意してあるのだ。
この訓練で使うわけにはいかないがな、なんとしてもキラークイーンの素の身体能力で乗り切る。
最低でも第1の爆弾で乗り切るのだ。
「そうなんだ吉良君。あっ!そうだ!!私ちょっと本気出すわ、手袋もブーツも脱ぐわ。」
「本気を出すのは構わないが、別行動をとるのはやめてくれよ葉隠。」
「え、なんで?」
手袋もブーツも脱いだため、もうどこにいるか分からないし私の声に反応して振り返っているのかも分からないが、呼びかけに応えてくれるあたり少なくとも私の近くにいるらしい。
「戦力の分散は各個撃破される可能性がある。君の隠密を活かすには私が注意を引きつけて敵の…!?」
だんだん部屋が寒くなっていくのを感じた私はその時、部屋の床がどんどん凄い勢いで凍りついていくのを見つけた。
「葉隠!キラークイーン!!」
瞬時に吉良の傍に現れたキラークイーンは透明な葉隠を運良く掴むと凍りついていく床から部屋の宙へと葉隠を凍りつく脅威から逃す。
だが
「ぐおおお!」
代わりに吉良が犠牲になり、足が凍り付いてしまう。
「吉良君!」
葉隠の心配する声が上から聞こえるが、今はそれどころじゃないんだ。
ここは最上階の一歩手前だぞ。まさか、全ての部屋を凍らせたっていうのか!?
まさに規格外だ。それしか言うことがないぐらいに圧倒的な個性だ。
やがて部屋全体が凍りつき、暫くすると凍りつくパキパキという音も止む。
「もう大丈夫だ、足を凍らされただけらしい。」
「本当に大丈夫?痛くない?」
尚も心配そうに声をかける葉隠に
「ああ大丈夫だが、私はここから動けない。今動けるのは君だけになってしまった。」
ああ負けか。
つい勢いで助けた葉隠は奇襲なら効果を発揮するだろうが、相手が奇襲を警戒しないほど、バカではないだろう。
それにこれなら負けてもまあ仕方ないし、キラークイーンの爆弾を使うこともなければ目立たなくて済むと言うものだ。
そしてつい本音が口から出てしまう。
「どうやら我々は負けてしまったようだ。」
「どうして、そんなすぐに諦めちゃうの!まだ訓練は始まったばっかりだよ吉良君!」
私のつい出てしまった本音に反応して反発する葉隠。
「とは言っても、相手は奇襲なんて許すほど油断なんてしないだろう。それに、相手はこれをやった個性持ちの奴だ。相当に強いぞ。」
「…。」
「分かったら、君は無理に立ち向かわずに核のある部屋で一応の抵抗はしているといい。それに君のおかげで私は動けないから、ここで怪我をしないようにしておくとするよ。」
「…。」
タッタッタッタッタッタッ。
ふん、どうやら素足のまま行ってしまったみたいだな。
まだ勝つことを考えているらしい。
一応授業だ、私も少し抵抗してバレないように相手を上に誘導するとしよう。
そして時間が経ち、コツコツと静かだった足音がゆっくりと大きくなっていく。
そして足音の主がついに部屋へとやってきた。
部屋へと入って来た轟を睨みつけている私に開口一番に
「動いてもいいけど、足の皮剥がれちゃ満足に戦えねぇぞ。」
クソ!コイツ舐めやがって!!
強力な個性に運良く産まれただけでコイツ自身が強いわけじゃないのに意気がりやがって。
私はこんなスカした態度の奴は私が一番嫌いな野郎だ。
前言撤回だ、奴にだけは負けてなるものか。
やりたくはなかったが、あれをやらざるを得ないか。
「そうなのか………ところで。」
「?」
「ちょっとした質問なんだけど。」
「リカバリーガールってどれくらいの怪我の治癒ならできるんだろうね。骨折とか脱臼とかなら簡単かもしれない。でも最悪の場合、腕が千切れたら腕の切断面だけ治癒して腕が生えてくることはないのかもね。だが私の仮説を言わせて貰えば、切れた腕を切断面に押し付けて治癒を発動すればくっつくかもしれない。まあ、それでも血管を付け直したり、筋肉を再生させたりするから凄まじい体力を消耗してそのあとは行動できなくなるかもしれないし、最悪の場合死ぬのかもしれない。」
「何の話だ?何が言いたいんだ?」
「今の私だよ、絶対絶命のピンチってわけだ。私の凍らされた足に葉隠さんもどこにいったか分からない。」
「今まで私は、負ける必要がある時にだけ負けていたが、自分の得意分野で負けたことは一度も無かったし、悪くて全て引き分けに持ち込んでいる。」
「さっきも言ったが、意味がわからねえ。」
なんのための話だか、さっぱりわからない轟に吉良は続ける。
「なに、私はただこれからこのままなのかなと思ったりしてるだけで、もしそうならこれからみんなの戦いを観戦することができないなと思っただけだよ。」
「今の状況分かってんのか?もうお前は負けてるんだよ。だけど安心しろ、この訓練が終わった後にちゃんと氷は溶かしてやる。」
「………君に負ければ、私はこれからこんな無様な負けを覚えてそれを背負って生きることになるだろう。とても許容できるものではないし、今だって屈辱的だ。」
なにを言っても無駄だと思い、吉良を無視して行こうとする轟。
「だが、それも今だけだ。」
先程とは目の色を変えた吉良がその言葉に同調するように、吉良のスタンドのキラークイーンが背後に現れ、吉良の腰をぐっと離れないように掴む
「キラークイーン!!」
吉良の鬼気迫る覚悟を決めた言葉にキラークイーンはその呼びかけに応えるべく思いっきり吉良の腰を引っ張り吉良の足はその反動で足の凍らされた部分を境に皮がめくれ、宙に吉良の鮮血が舞う。
「お前!?正気か!!?何やってんだ!!!」
なんて奴だあのやろう、まさか本当に足の皮を引き剥がすなんて。
アレは脅しのために言ったのであって、下手に動かして怪我をさせないようにするためである。
それを目の前の男は自分の言ったことを本当に実践してのけたのである。
「見ての通りだ。足の皮を引き剥がしたんだよ。」
「痛いよ…なんて痛いんだ。血もいっぱい出てるし、涙まで出てきた。」
「だが私にとって勝ち負けは関係ない。私は私の守りたいものを守って生きてみせる。私にとっての平和と平穏のために生き延びて見せる!!」
轟は負傷している吉良から発せられる同じ高校生とは思えない迫力に一瞬気圧されるも、すぐに部屋に来た時と同様の冷静な表情に戻る
「さあ、第二ラウンドだ。」
吉良のヒーローとは思えないような冷徹な顔を見て、轟も気を引き締める。
戦いはまだ始まったばかりなのだ。
正直言ってこんなに書くとは思ってもみませんでした。