しかし少年へのささやかな報酬は終わる。
存在しない筈の能力者は、存在しない部隊に組み込まれる。
「あ、あの!ガンヴォルトさんですよね!」
「うん?そうだけど?」
ある日、廊下で長い白髪の女の子に声をかけられた。
人形みたいに整った顔立ち…いや、この子も人形だろうか。
赤い瞳が印象に残る。
「わたし、トカレフと申します。先日は助けて頂き本当にありがとうございます」
「あの時の…」
WA2000さん達と一緒にいたハンドガンの子たちのひとりだったのか。
しかし、ハンドガンの子たちはどうしてこう少し幼いのだろうか。
この子は少し大人びているけど、何となく年齢設定がボクに近い様に感じられる。
「それで…その、宜しければわたくしと基地を周りませんか?」
「あー…その、ごめん。案内は一通りWA2000さんがしてくれて」
先日、休憩時間目一杯まで使って基地を案内してくれた事を思い出した。
…トカレフの表情が若干曇る。
「そう…でしたか…」
「あー、そう言えばカフェに行きたかったんだけど…道を忘れてちゃったな…」
「カフェですか!?じゃあわたしが案内しますね!!」
「う、うん…お願いするよ…」
急にテンションの上がったトカレフに面食らう。
何だろう、人形ってみんな情緒不安定なんだろうか。
「さぁ、行きましょうガンヴォルトさん!」
「はいは…わ、ちょっと、力強っ!?」
トカレフに手を引っ張られて走り出した。
「あら、GV君にトカレフちゃん。いらっしゃい」
「こんにちは、スプリングフィールドさん」
「今日はトカレフちゃんと一緒なのね」
「ごきげんよう、スプリングフィールドさん」
カフェに入ると、エプロン姿のスプリングフィールドさんがカウンターに立っていた。
こうして見ると、戦場で見掛けた時の武人の様な佇まいは感じられない。
「ちょっと待っててね。今珈琲を淹れますから。トカレフちゃんもどう?」
「頂きます」
スプリングフィールドさんが豆を弾く音がする。
…なんとなく、無言になってしまう。
この世界に来てから、最初は混乱もした。
けど、人間という物は思ったよりも強からしい。
何となく慣れてしまい、久しぶりに穏やかな日々を送っている…ただ、
(オウカは…心配してないかな)
急にボクが戻らなくなり、彼女が心配していない筈が無い。
…何とかして、帰らないと。
「あっ!見付けた!」
「…えっ?」
ふと、新たな声が聞こえて意識が戻る。
振り向くと、栗色の髪をおさげに結っている子が立っていた。
人懐っこい笑みを浮かべている…けど、左眼に縦一線の傷跡が残っている。
…人形は修復すれば外傷は全て消せる筈なのに、何で残しているんだろうか。
「君がガンヴォルトだね!これからは家族だ!」
「…へ?」
「なっ…!?」
「あらあら…」
…またひと悶着起きそうだ。
と、言う訳でガンヴォルトの配属先はこちらのヤベー部隊になります。
…まぁ大丈夫だよね!GVなら!
人形とフラグは立てるけど回収はしていかない予定…まぁオウカ居るしね…。
ヒロインどうしようか…。