【完結】蒼き雷霆の最前線   作:塊ロック

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お久しぶりです。
ちょっとリアルがごたごたしてたので大分遅れました。

あとノエルは魔素の最低保証で入手しました…。


さて、GVがいよいよこの世界で戦う理由を見付ける。


偽りの歌

 

 

「…お世話になりました」

 

 

各所で頭を下げる。

 

UMP45は律儀だと呆れていたけど、初めてこの場所で親しくしてくれた人達だったから。

 

 

親しくなった戦術人形たちにも声を掛ける。

 

その中に、彼女は居た。

 

 

「GV…」

 

「WA2000」

 

「もう、行くんだ」

 

「うん。ボクの部隊が決まったからね」

 

「一緒に戦えなくて残念ね」

 

「…結局、あの一度だけだった」

 

 

初めて戦術人形と言う存在を認識したあの戦場。

 

もうそれも懐かしく思える。

 

 

「そうね…ほら、早く行ったら?」

 

「そうだね…それじゃあ、また」

 

「っ…ええ」

 

 

WA2000が顔を背けた。

 

…何か気に障っただろうか。

 

 

そのまま、WA2000と別れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

side:WA2000

 

 

 

…言えなかった。

 

言うべきでないと理解していたけど、私の電脳はエラーをずっと警告していた。

 

 

私は、殺しの為だけに生まれた。

 

そんな私が…引き止めたいと、思ったなんて。

 

 

「わーちゃん」

 

「スプリングフィールド…?」

 

 

気がつくと、目の前にスプリングフィールドが立っていた。

 

彼女は私の頭に手を起き、そのまま撫で始めた。

 

 

「ちょ、何…!?」

 

「大丈夫。彼にはまた会えますよ」

 

「は、はぁ!?ちちち違うし!GVに会えなくなるとか…あぅ」

 

 

言葉に出して一気に恥ずかしさが込み上げる。

 

これでは自分はただの…。

 

 

「私は、貴方が変わったみたいで嬉しいですよ。ただ…もう少し素直に、ね?」

 

「うぅ…」

 

「次あった時伝えましょう?」

 

「…ええ」

 

 

だからGV。

 

絶対、帰ってきなさいよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side:Gun Volt

 

 

「…歌?」

 

 

404小隊は、与えられた輸送機で仮拠点へと向かっていた。

 

グリフィンがいくつか点在させている、敢えて放置している廃墟群だと教えられた。

 

その中で、この小隊に与えられた任務について説明を受けていた。

 

 

「そう、歌。今どき珍しいよねー」

 

「もうそんな酔狂なモノを嗜むヒトも居ないのに」

 

「…寂しいと思うな、ボクは」

 

 

何度も歌に勇気付けられ、支えてもらった身としては。

 

 

「やっぱり、貴方は人間ね…理解に苦しむわ」

 

 

今まで黙っていたHK416が口を開いた。

 

 

「…人間に近くても、思うところはあるんだ」

 

「当たり前よ。私達の電脳は抽象的な考えなんて必要ないもの。私は完璧よ」

 

「くかー…」

 

 

一言も喋らないと思っていたG11は、寝ていたみたいだ…。

 

 

「G11は良いわ…一応、貴方にも聞かせておくわね」

 

 

UMP45がレコーダーのスイッチを押す。

 

 

ザー

 

ザー

 

ザー

 

ザー

 

ザザザ、境界線を 砕く 閃光の、ザー

 

ザッ、光抱き 届け ザザザッ、の彼方 

 

 

 

ザー

 

ザー

 

ザー

 

ザー

 

 

「…ね?ノイズに混ざって歌みたいなのが聞こえ…GV?どうしたの?」

 

 

この声、は

 

 

間違いない。

 

聞き違えるはずが無い。

 

 

 

「これは、どこで…」

 

 

ようやく絞り出した言葉は、震えていた。

 

 

「これから向かう仮拠点近くの鉄血の司令部付近を盗聴してたら聞こえたのよ」

 

「実弾武器で武装した妙な鉄血人形達が活動していると、決まって聞こえるのよ…気味が悪いわ」

 

「えぇ?でも私は好きだなー。GVもそう思うでしょ?」

 

「…そうかな」

 

「そうだよ。だってGV嬉しそうだもん」

 

 

ナインに言われて、予感は確信に変わる。

 

 

この世界に、彼女…シアンは、居るのだ。

 

 

今度こそ、助け出すんだ。

 

 

「………」

 

 




妖精の歌が聞こえる。

果たして、また彼女に逢う覚悟がガンヴォルトにはあるのだろうか。

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