周囲なんて関係ない。
ボクが、今度こそ彼女を。
…彼女を、どうしたいんだ…?
「シアン…!シアン!!どこに居る!?ボクだよ、ガンヴォルトだ!!」
本来なら、敵地…それも敵の本拠点と思われる場所で大声なんてあげるべきではない。
けど、落ち着いて何て居られない。
彼女は2度消えた。
どんな形であれ…存在しているなら守らなきゃいけない。
今度こそ…今度こそボクが、守らなきゃ。
「GV!待って!!待ってったら!!」
後ろから追いかけてきているナインの声が聞こえるが構えない。
「ねぇどうしちゃったのGV!」
「ナイン…ごめん、でも行かなきゃいけないんだ」
「せめて45姉達が来るまで待ってよ…!」
「そんな時間は無いんだ。…彼女が行ってしまう」
「彼女…?誰の事?」
「ボクの…大事な人なんだ」
「それって、GVの家族?」
「…家族…かな。一緒に過ごした時間は短かったけどね」
彼女…シアンと過ごした日々を思い出す。
穏やかで優しい時間。
けれど、長くは続くことは無かった。
「その人をボクは助けられなかった。だから…今度こそ、助けるんだ」
どんな形であれ。
「GV!」
「45…ぐっ!?」
呼ばれたので振り返る。
…顔面に拳が突き刺さった。
人形の馬力で一気に吹っ飛ばされてそのまま背後の壁に背中から叩きつけられた。
「45。こいつもう置いて行った方がいいわ…隊の生存率が下がる」
「ちょ、416…!殴ることは」
「私はこいつに言ったわ。『足を引っ張るなら後ろから撃つ』ってね。殴られただけで済んだことに感謝する事ね」
「…ごめん、少し、錯乱してた」
416に殴られて少し冷静になれた。
…シアンは、消えてしまったんだ。
ここに居ることがそもそもおかしい。
「…理由を聞かせて貰って、良いかしら」
UMP45が、いつもと変わらない表情で問いかけてくる。
…少しだけ、怒気を孕んでいた。
「…この歌は…ボクの大事な人が歌っていたんだ」
「…どういう事かしら?」
「その人はもう居ない。それなのにこの歌が聞こえたんだ…そうしたら」
「もういいわ」
UMP45が話を切る。
そのまま周囲を見渡す。
「…図らずも敵陣に踏み込んじゃった訳だけど、静かね」
「45姉達、鉄血達と会わなかったの?」
「うん…全然見つからなかった」
「…まさか、まだ中に居るとか…?」
足元を見る。
…暗くて見えない。
「GV、灯り」
「う、うん…」
雷撃鱗を展開する。
…床に、何かを引きずった様な跡が奥に続いている。
「…行くわよ。GV、切り替えなさい。貴方の処遇は全部終わってからよ」
そう告げられて、全員奥へ進みだした。
…ボクも立ち上がり、それに着いて行った。
ついに手が出た416。
404小隊からの信頼が地に落ちてしまった。
果たして、挽回の機会は巡ってくるのだろうか。