絶えず聞こえる歌。
入り口は隠されていたが中は不気味なほど無人。
まるで、この状況を隠すかのごとく。
…通路には非常灯しか点いておらず、赤い光に照らされていた。
「おかしい」
UMP45が呟いた。
「どうしたの?45姉」
「集合。ちょっと聞いて」
殿として後方にいたHK416が合流する。
…ボクも、追い付いた。
UMP45はボクに一瞥し、話を続ける。
「妙だとは思わないかしら。ここまで鉄血の気配が無いなんて」
「…あー、確かに。いつもなら侵入すると嫌ってほど湧いてくるのに…ふぁ」
「…ボクたちの侵入がバレてないっていうのは」
「アレだけ派手に叫んで走っていた貴方が言う?」
「………ごめん」
駄目だ、今ボクは発言してはいけない。
彼女たちの信頼を取り戻すまで好機を待つしか…。
「GV…」
「ナイン。貴女は合流するまでに何か見たかしら」
「ううん。何も」
「…探索を続けましょう。警戒は怠らないように」
そう告げてまた陣形を構える。
…416の視線が冷たい。
これは自業自得だからと堪える。
「行くわよ」
赤く照らされた道を進む。
シアンの歌は、まだ聞こえていた。
手当たり次第ドアを開く。
特に目ぼしい収穫もなく、時間だけが過ぎていく。
「GV、大丈夫?」
「大丈夫だよ。ありがとうナイン」
ボクは人形じゃない。
疲労はもちろん蓄積している。
いくら身体能力を上げられるとはいえ限界は来る。
「止まって」
通路の突き当り。
…認証装置など、最も厳重なセキュリティが敷かれている部屋。
「判りやすいまでに厳重ね」
「うーん、これ凄い量の電子ロック。こんなのやってたら寝る時間もなくなっちゃう」
「最悪416の榴弾で壊すのも視野ね」
「弾数は少ないからあまり使いたくは無いんだけれど」
…このロック、よく見ると仕掛け的には皇の物に数段劣る。
この位なら
「GV、これ電気で壊せたりしない?」
ナインがボクに向かってそう言った。
気を遣ってチャンスをボクに回してくれたのだろうか。
いや、考え過ぎか…。
「やれるの?GV」
「…やってみる」
コンソールに手をかざす。
ボクの
それは圧倒的な攻撃力と汎用性を兼ね備えた能力だからだ。
電子回路に雷撃を流し込み、都合の良いように作用させる。
簡易的なハッキング。
過去に相対した能力者、テセオのワールドハックと呼ばれる
「開いた」
電子音。
スライドドアが空気の抜ける音と共に開く。
「GV凄いよ!こんな事も出来るんだ!」
「電気が通ってるなら、ボクの能力で操れるからね」
「…それ、私達も動かせるとか言わないわよね」
416が思わず自分の肩を抱いていた。
…それを見て苦笑いしながら答える。
「それは思い付かなかったよ」
「どうだか。私達は人間にできることは大抵できるもの」
「…どういうこと?」
「ッ!言わせる気!?」
何故か顔を赤くして怒られてしまった。
「GV!!!」
「どうし…ッ!?」
目の前に、明らかに銃口と思しき穴の開いた機械が浮いていた。
それはボクの頭を狙って…。
「スケアクロウ!!」
416の声と共に、銃弾が放たれた。
蒼き雷霆の力はまさしくチート。
けれど原作でも様々な制限、弱点、はたまた対策したボスなど現れて一筋縄では行かなかった。
今回は、どのような壁がGvを苦しめるのか。
…やっとサブタイトル回収した気がする。