また、その約束。
UMP45達の修復が終わり、全員が宿舎に帰ってきた。
「ただいま、GV。寂しくなかった?」
「おかえり、ナイン。そんな事はなかったよ」
からかって来るナインを躱しつつ、気になった事があったので聞いてみた。
「ねぇ、人形も指輪ってするのかな」
「あら」
45が意外といった表情になる。
「誰か付けてたのね。あんな指揮官が誓約してるなんて」
「誓約…?」
「そう、誓約。GVは私達グリフィンの戦術人形の所有権を何処が持ってると思う?」
人形の所有権。
道具として存在するのだから、確かにそれは発生する。
「…グリフィン」
「不正解♪今日のデザートは貰うわね」
「あっ、45姉ずるい!」
「UMP45…話を続けて」
何故かボクの食事から一品抜かれてしまった。
解せない。
「正解は、I.O.Pよ」
「確か、グリフィンと提携してる人形製造会社だっけ」
「そうよ。グリフィンはそこから人形を貸与されてるの。だから回収分解の際は変換の義務が生じるの」
グリフィンが製造会社から買っているのかと思ってたけど、そうじゃなかったんだ。
UMP45は話を続ける。
「それで出てくるのが誓約よ」
UMP45は手で輪を作る。
…それが何を意味しているか、先程の一〇〇式の指に合致した。
「戦術人形のリミッターを外すための指輪。あれを付けているとさらなる権限が与えられた指揮官個人の物になるの」
「そうなんだ…まるで、結婚みたいだ」
そう、ポツリと漏らす。
安易に結婚と表さないのは、やっぱり人形だからなのだろうか。
「ねーねーGV」
「どうしたの、ナイン」
「結婚って何?」
言葉に詰まってしまった。
結婚、結婚かぁ…。
「うーん、好き合った人同士が家族になる…って事かな」
「じゃあ私達は結婚してるの?」
後ろで416が飲んでいた水を吹き出した。
「人間の言う家族って言うのは…なんて言うんだろうか」
ナインは興味津々でボクの話を聞いている。
…いや、よく見ると全員、ボクの話を待っている。
「一生を共有するんだ。何もかも」
「共有?」
「辛いことも嬉しい事も。パートナーと一緒に分かち合う」
そんな絆が、結婚なんじゃないかな。
ボクはまだ14だし、そんな明確なビジョンを持っているわけじゃないけど。
そう結論付けた。
「人間は、ロマンチストね」
「ロマンチストじゃなかったら、君達はもっと武骨だったろうね」
「見た目に関心は無いけど、この姿の方が色々都合が良いから助かってるわ」
「可愛い方が一緒に居て楽しいからね」
「ふふ、お世話上手いんだから」
釣られて皆笑い始める。
…ナインだけは、無言で考え込んでいた。
相当難産になってしまってきたこのシリーズ。
原作がハッピーエンドじゃないからやっぱりバッド、ビターに寄ってしまいそうになる…。