【完結】蒼き雷霆の最前線   作:塊ロック

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「く、うぅ!」

 

アスロックの攻撃がカゲロウを少し貫通する。

油断なくダートリーダーを構えて後ろに飛んだ

かつて戦った時、攻撃してきたのはあのロボットだけだった。

 

……しかし、今回は周囲に鉄血人形たちの残骸が無数に転がっている。

ビットにライフル、軽機関銃と選り取り見取りだ。

ボクは今、武器庫の中に放り込まれている様なものだ。

 

「う、わ!」

 

リング状のエネルギー弾まで飛ばしてくる。

跳ね回り回避する。

単純に敵の手数が多く、攻めあぐねていた。

 

45達が抜け、狙いが全てボクに集中しているのもそれに拍車をかけていた。

 

(大型の機動兵器がないだけマシか!)

 

迫る機械に雷撃を浴びせ続ける。

下手をしたらどこかでオーバーヒートの隙を突かれるのではないか。

オーバーヒートをしてしまえば、カゲロウは張れない。

ボクの防御が丸裸になってしまうのだ。

 

「くっ……!」

 

だが、かつて一度倒した相手。

ここで負ける道理も無い!

 

「迸れ、蒼き雷霆(アームドブルー)!!」

 

一点集中。

スパークカリバーを放つ。

ロボットの腹を突き破り、吹き飛ばす。

一瞬だけ、アスロックの動きが止まる。

 

「うおおおおお!!」

 

既にスパークカリバーを放っているため、ボクのキャパシティは乏しい。

だから、次の一撃はどうしても威力は劣る。

 

「ライトニングスフィア!」

 

雷撃のドームを作り出す。

アスロックを巻き込む。

 

雷撃が体中を駆け巡り……アスロックに()()()()()

 

「やっぱり……!」

 

アスロックは鏡の様に砕け散った。

破片は散らばり、さらさらと砂の様に消えていく。

 

「これも、鏡像……やっぱりパンテーラの仕業か」

 

糸が切れた様に周りに浮いていた残骸も全て地面に落ちる。

……これで本当に、瓦礫の山になった。

 

「………………ん?」

 

耳に微かに入る、声。

いや、これは……歌だ。

 

そして、聞き違える事は決して無い……歌声。

 

「シアン……」

 

駆け出そうとして、止まる。

今、ボクは一人でここに居る訳ではない。

前はボクの独断専行で……404が窮地に陥ってしまった。

 

二の轍を踏んではいけない。

落ち着くんだ。

 

「……?」

 

連絡を取ろうと通信を開こうとして……聞こえるのは、砂嵐ばかり。

 

「嫌な予感がする……」

 

45達に限って敵の手に落ちるなんて事は無い筈。

ここは電波妨害の可能性を加味した方が良さそうだ。

 

ボクも合流地点に向かおう。

 

確か……。

 

「こっちだ」

 

残骸の山をかき分けて進む。

最奥に設けられた教会の廃墟。

 

ここに、45達が入っていった。

ボクも続こう。

 

 


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