【完結】蒼き雷霆の最前線   作:塊ロック

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独房に大人しく入るGV。

外は対鉄血のムードの中で取りうる選択肢は。


セルフBGMはサブタイでどうぞ。


蒼翼は夜に舞う

前線基地の地下、予告通り檻と見られる中に入れられ鍵を閉められた。

 

 

「悪いな、坊や」

 

「いえ。そちらも仕事ですから」

 

「…オトナだねぇ」

 

 

外見年齢に引っ張られての発言なのだろうか。

 

 

「まぁ、人形だしそのへんはそうか」

 

「だから、ボクは」

 

 

人間だ、と言いかけてぐぅ、と腹の方が抗議の声を上げた。

 

 

「………」

 

「はははっ。腹減ってるのか。ちょっと待ってろよ」

 

 

看守はそう言うと、檻の前から消えた。

 

暫くして、看守が戻ってくる。

 

 

「ほら、食いな」

 

 

格子の隙間から、缶詰めを一つ差し出してきた。

 

 

「ありがとう、ございます」

 

「礼は良い。寝覚めが悪かっただけだからな」

 

 

突如、独房の壁が吹き飛んだ。

 

 

「なっ…!?」

 

 

思わず顔を手で守る。

 

外と繋がったのか、声が聞こえてくる。

 

 

「敵砲兵による被害発生!!」

 

「どこに落ちた!?」

 

「独房付近です!!」

 

 

先程まで会話していた看守がうつ伏せで倒れていた。

 

 

「大丈夫ですか!?」

 

「いつつ…駄目じゃないか、独房から出たら…」

 

「そんな事を言っている場合か!?」

 

「はやく、逃げろ…」

 

 

そう言って、彼は眠ってしまった。

 

爆発で頭を打ったらしい。

 

 

「くっ…」

 

 

なんとか安全な場所へ連れて…。

 

銃を構える音がする。

 

 

「無駄だ!雷撃鱗で全て防げる!!」

 

 

実弾ならば全て遮断する事ができる。

 

足元の男性を感電させないよう、出力を絞って展開した。

 

 

「…すぐ戻ります」

 

 

意識の無い男性に一言告げて、ボクは走り出した。

 

 

「ダートリーダーはどこに…」

 

 

アレが無ければ戦闘に支障をきたす。

 

…が、すぐに見つかった。

 

さっきの男性が持っていたのだ。

 

 

「どうして…」

 

 

何にせよ、すぐに見つかったのは幸運だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー外は混沌としていた。

 

 

至る所で鉄血と呼ばれた人形達が見られ、それらに応戦している人間が各所に散らばっている。

 

 

奇襲でも受けて完全に指揮系統をやられたのか、組織的な動きにはとても見えなかった。

 

 

「まさかこんな事になるなんてね…」

 

 

行く宛も無い、がこの状況を放置するほど血も涙もないわけではない。

 

随所で乱入し、鉄血と思われる人形を片っ端から壊して回っていた。

 

途中で出会った男性に怪我人が居ると伝え、看守を保護してもらった。

 

 

これで心置きなく動き回れる。

 

 

(この人形たち、個々がそれぞれ状況判断をしている感じに見えるけど…命令を出している個体でも居るのだろうか)

 

 

戦闘中はまるで熟練の兵士の様な動きをするが、固まって移動している最中などは驚くほど脆かった。

 

 

そこへ付け込むと一瞬で混乱し、容易に突き崩せた。

 

 

「あれは…」

 

 

不意に、鉄血に対して優位に戦況を進めている集団を発見する。

 

メンバーは全員女性…。

 

 

「スコーピオン!!」

 

「う、えぇ!?GV!!?何でここにいるの?!」

 

 

その内の一人が、先程顔を合わせた相手だったため声を掛けた。

 

他の女性達も次々とこちらを注視する。

 

 

「サソリ、この子は?」

 

 

これまた片目を眼帯で覆い、長い黒髪を三つ編みに纏めた長身の女性が尋ねた。

 

 

「この子はガンヴォルト。さっきわーちゃん助けてくれた子なんだけど…」

 

「へぇ、オマエが。私はM16A1だ。よろしく」

 

「ど、どうも」

 

 

ボクもそう背が高い訳ではないが、女性に見下されている光景というのはあまり記憶に無かった。

 

 

「今鉄血の奇襲を受けたせいで見ての通り混戦状態。私達もヘリアンのやつを逃がすので精一杯だった訳だ…まぁ、やられっぱなしっていうのも癪だからどうにかしたかったってとこ」

 

「反撃、出来るんですか。見たところ他の兵士は皆撹乱されて身動きが取れないみたいだけど」

 

「…凄いな、少し見ただけでそこまでわかるのか。指揮官の素質があるかもな」

 

「からかわないでください」

 

 

しばらく黙っていた他の女性が口を開いだ。

 

 

「始めまして、GV君。私はスプリングフィールドと言います」

 

 

栗色の髪の柔らかい笑顔を讃えた女性だった。

 

…しかし、武人の様に隙がない。

 

 

「わーちゃんを助けてくれた事にお礼を言わせてください。ありがとうございます」

 

「い、いえ…」

 

「あの子、素直じゃないからなかなかお礼を言わなかったでしょう?」

 

「そうですね…」

 

 

落ち着いた雰囲気にちょっとどぎまぎしてしまう。

 

 

「今、わーちゃんは囮になってくれて時間を稼いでくれています…助けに行って貰えないでしょうか」

 

「お、おい…敵か味方かまだ判らない奴に頼むのか…」

 

「私はスコーピオンの意見に賛成。多数決なら負けだよ、M16」

 

「…ッチ。しょうがないか…悪いんだが、頼まれてくれないか…ガンヴォルトとやら」

 

 

わーちゃん、と言うのが先程まで一緒にいたWA2000と言う女性らしいのは推察できた。

 

 

「ボクに任せて、大丈夫なのか?」

 

「私達は、味方の撤退の時間を稼がねばなりません。自由に動けるのは今、貴方しか居ません…お願いします」

 

「………わかった」

 

 

乗りかかった船なのだ。

 

最後まで付き合うのが道理だろう。

 

 

「…死ぬなよ」

 

「…善処する」

 

「命というのは、大事にすれば一生使えます。お願いですから、危なくなったら引いてください」

 

 

スプリングフィールドと呼ばれた女性から放たれた言葉が、ボクを貫く。

 

…昔の、顔なじみを思い出して苦笑いしてしまう。

 

 

「わかった。大事にするよ」

 

 

 




Mission Update.
次回、WA2000救出作戦。
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