齟齬の発生箇所は修正していくようにします。
とりあえず今回は本編の更新を。
「GV、貴方は何処へ行きたいの?」
「ボクは…」
「…」
目を覚ます。
鉄血のマンティコアと呼ばれた兵器を破壊したあと、どうやら気を失っていたらしい。
辺りを見渡すと、白い壁にカーテン、ベッド等病室である事がひと目で判る部屋に寝かされていた様だ。
(…手当てしてもらったのだろうか)
傷を負った箇所にガーゼやら包帯やら巻かれていた。
…割と負傷していたらしい。
(…それにしても…懐かしい夢を見ていた気がする)
内容は覚えていない。
けれど、蝶のような羽根と声は思い出せる。
(…シアン)
消えてしまった。
ボクの、目の前で……………。
「あっ…………起きた!!」
「えっ」
扉が開いたと思ったら女の子の声がして、
「皆ぁぁぁぁぁ起きたよぉぉぉぉぉぉ!!!!」
叫びながらどこかへ走り去って行った。
「何だったんだ…?」
バタバタバタ。
廊下を走る音が聞こえる。
足音から察するに、割と多い。
「ちょ、押さないでよ!」
「やめてください!わ、髪が!」
「待ちなさいって相手は病み上がりよ!」
ドアが半開きになっていたため、声が駄々漏れしていた。
「あの…」
ピタッ。
声をかけたら、廊下の方が静かになる。
「トカレフ、貴女行ってよ」
「ちょっと、話してみたいって言ってたの貴女じゃない」
「いやでもさ…」
「あぁもう、ワルサーさん呼んできますよ」
「はーい…」
…また足音。
今度は遠ざかって行った。
「何だったんだ…」
「失礼するよ」
そう思った矢先、男性が部屋に入ってきた。
軍服をきっちり着こなした、若い男性だ。
人の良さそうな笑みを浮かべている。
「初めまして、ガンヴォルト君。私はこの寂れた基地の指揮官だ」
「…初めまして」
「ハハハ、そう警戒しないでくれ。君をもう拘束なんてしないよ」
「どういう事ですか」
敵勢力と疑われ投獄された身としては不審極まりない。
指揮官は構わず続けた。
「この基地を救ってくれた恩人だからね…部下達も世話になった」
「それは…」
「それに、ここは鉄血にもグリフィンにとっても戦術的価値の薄い基地だったんだ…君が来てくれたお陰で、上級代行官とも直談判出来たし。こちらにもメリットは多かったんだ」
「はぁ…」
ここの事について、何も判らないボクには何を言っているのか理解に苦しんだ。
「君さえ良ければ色々と説明したいんだけど…聞きたいこととかはあるかい?」
「…良いんですか?」
「君がしてくれた事に対するお礼さ。勿論、これだけじゃないけど」
「それじゃあ…ここは何処なんですか?」
根本的な疑問だ。
自分が今、どこに居るのか。
少なくとも、自分がずっと戦ってきた場所では無い。
「ふむ…ここは何処、か。場所を答えるならS12地区…と言う名前しか無い。しかし君が期待する答えでは無さそうだ」
「ここは日本ですか?」
「日本?その名前は割と前に無くなったと聞くが」
「日本が、無くなった?」
…まさか、自分はタイムスリップしたとでも言うのか?
訝しむボクを他所に、指揮官は続ける。
「今や国という単位はほとんど消失している。汚染された土地を残った国…もしくは企業がそれぞれ統治しているのが現状だ」
「汚染?」
「…いよいよもって君が異世界から来たとでも言いたげな雰囲気になってきたな」
「異世界…ですか。では、ここに"
「セブンス…?それが、その超能力みたいなやつの名前なのか?」
この人は
それに、ボクがいた地域は環境汚染はそれなりにあったが人が住めなくなる程じゃない。
スメラギが崩壊し、エデンに本格的に侵攻された後なのか。
いや、パンテーラ亡き後のエデンにそんな余力は残されていない筈。
「はい」
「超能力…か。本当に漫画みたいな話だ」
「けど、実在して…皆、戦ってきました」
「まだ若いのに、大変だったんだな」
「…」
指揮官の表情は読めない。
正直、本気で同情しているのだろうか。
ここまでの会話で、にわかには信じられないがボクが異世界へ飛んだのか、未来にタイムスリップしたのか色々と可能性が出てきた。
「脱線してしまったな。君も病み上がりだしあまり長く話すのも酷だろう」
「いえ…」
「最後に一つだけ聞こう。…ウチに入るつもりは無いか?」
「グリフィンにですか?」
意外だった。
戦闘用の人形を運用する組織がボクを雇用しようとするとは思っていなかった。
「見たところ大してバックが居ないみたいだし、部下たちも君のこと気に入ってるみたいだしね」
「部下たち…さっきの人たちですか」
「なんだ、見舞いに来てたのか。そう、君が救ってくれた人形達だよ」
「…そうだ!WA2000や他の子たちは!」
ようやくここで思い出す。
誰の為に戦い、倒れたのか。
「アイツらなら…ほら」
指揮官がドアに指を指す。
「あっ…!!!」
半開きになっていたドアから覗く瞳。
気付かれたと思うや否や廊下を走り去る足音が。
「やれやれ、素直じゃない」
「無事だったんですね…」
「ああ。君が命を張ってくれたお陰で」
良かった。
ボクは、今度こそ護れたんだ…。
ホッとした瞬間、身体からまた力が抜けていく感じがする。
「…まだ君には休養が必要だ。次起きたとき、答えを聞くよ」
そこで、ボクの意識は再び途切れた。
GV、グリフィンへ入社?
ただし、この基地には配属されない。
護りたいものすべてが零れ落ちた少年への、この世界からの報酬。